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2015年5月13日 (水)

救急車がようやく有料化?しかしその理由は…

本日の本題に入る前に、迷惑車輛の問題は昨今珍しいものではありませんが、先日珍しい車輛が非常に迷惑な行為をしていた?と話題になっているようです。

緊急車両スペースに共産党の車が停車し逆ギレ? 画像つきのツイートが拡散され話題に(2015年5月10日ガジェット通信)

5月10日の、とある『Twitter』ユーザーの画像つきツイートが現在大変話題になっているようだ。

    先日、西新井駅西口で、信じられない光景。緊急車両スペースに、救急車がきたが、共産党の街頭車が停まり前に進めず。婦人が「ここは緊急車両の場所です」と声をあげたのに、共産党員は「いつも、ここに停めているんだ!」と逆切れ。ひどい!拡散希望

というツイートとともにアップされたのは、2人の共産党女性議員のポスターが側面に貼られた車と、その後ろの救急車の画像。いずれも緊急車両スペースの上に停車している。
(略)

まああくまでも個人が書き込んでいることですから真偽の程は全く不明と言うしかありませんけれども、少なくとも写真を物証と見る限りでは緊急車両用のスペースに無関係な車輛が停車していると言うことは間違いないようですから、真贋いずれにしてもこのままでは当事者にとっても悪印象を世に広めてしまう可能性は十分にありそうですよね。
ちなみにこの政治団体はその後状況説明をすると称して一連のつぶやきは事実と異なると言う主張をしているようですけれども、その主張内容を見る限りでも社会的に十分迷惑と言っていい行為をしていたらしいことはうかがえるようですし、「二台分のスペースがあったのだから問題ない」と言う問題でもなさそうに思うのですが、このあたりは有権者それぞれに解釈の余地もあるのかも知れません。
いずれにしても救急車の運用は社会的にも優先されるべきだと言うのはその目的を考えると誰しも首肯できるところだと思いますが、その優先性と言うことを妙な具合に解釈して「救急車で病院に行けばすぐに診てもらえる」などと考える人がいるだとか、「どうせ税金で運用しているんだから使わなければ損だ」とばかりにタクシー代わりに利用したりだとか、その利用モラルが問われるようになってきているのも周知の通りですよね。
消防庁なども救急車利用の適正化と言うことを主張しているくらいで、いざと言う時に確実迅速に搬送が行えるようにするためにもその適正利用と言うことは重要であるのは当然なんですが、その一助としてかねて議論が続いている救急車の有料化と言うことに関して、先頃こんな話が出てきていると言います。

<救急車>「有料化」提案 財務省、軽症者対象に(2015年5月11日毎日新聞)

 財務省は11日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、救急車の一部有料化を検討すべきだとの見解を打ち出した。軽症にもかかわらず救急車を呼んだ人に、費用を請求する案などが浮上している。先進国で最悪の状態にある財政状況を改善するための歳出改革の一環として、年約2兆円の消防関係予算にメスを入れる狙いがある。タクシー代わりに救急車を利用しようとする一部利用者への「警鐘」の意味合いも強そうだが、有料化には利用者の反発も予想される。

 財務省は、5月末をめどにまとめる財政審の建議(報告書)に、一部有料化を盛り込むことを検討している。

 消防庁などによると救急車による搬送者のうち半分近くは軽症者が占めている。2013年の救急車による救急出動件数は過去最高の591万件で、過去10年間で22%増えた。119番通報から現場に到着するまでの時間は平均8.5分と10年前より2.2分延び、一刻を争う重症者の搬送に支障が生じているとされる。

 海外では救急車を有料としている国が多く、フランスでは重症者以外の搬送は30分で3万円超の有料制を採用している。財務省は「フランスなどの例を参考に軽症の場合の有料化などを検討すべきだ」と説明している。【宮島寛】

ここでは消防庁や厚労省ではなく財務省がこうした主張をしていると言うことに留意いただきたいと思いますが、しかし有料化の是非はひとまず置くとしても、財政状況改善のために消防関係予算を節約したい、その方法論として救急車を有料化すると言う論理には違和感を感じるというのでしょうか、そもそも経費削減効果に関しては果たしてどうなんだろう?と思うところです。
救急車の運用は社会的なインフラであって、出動件数が減ったからと言ってその分救急車を減らしましょう、救急隊員も減らしましょうと言うことにはまずならないと思いますし、出動しようが待機していようが設備投資のコストや人件費等はかかっているわけで、単純に出動が減ることだけで実際にどれくらい費用削減効果があるものか?と言う気がします。
最近では消防救急の出動は正当な業務の一部であると言う理屈で出動時の手当も削減、廃止する地域も出ているのだそうで、これもスタッフの士気を考えるとどうなのかですが、これに加えて有料化ともなれば医療機関における選定療養加算に説明の手間が新たに生じていることを考えても面倒な説明にその都度手間取る上に、給料は増えないどころか減らされる(ことが目的ですからね)となればやっていられないですよね。

一方で有料化そのものに対する反対意見も一定数あって、選定療養などもそうですが今ちょうど議論されている病院受診における定額負担の問題なども、日医などは受診差し控えによる重症化を招くとして反対しているように、救急車を呼びにくくなれば重症者が救急車を呼ばずひどいことになる場合もあるのでは?と言う指摘はあるところです。
日医としてみれば何であれ受診抑制につながりかねないことは忌避したいのが本音でしょうが、救急搬送が増えすぎて送り先が見つからないだとか言う状況にある中で当然搬送遅れで不利益を被っている人もいるはずですから、費用負担の件は抜きにしてもどの程度の救急車出動率が国民の健康を保つ上で最も適切なのかと言うことは、もう少し検討してみる必要がありそうには思いますね。
ただ諸外国では一般的に救急車は有料であるのが当たり前であり、それによって不利益が生じるだとか国民の健康が脅かされると言った議論は特に出ていないようですし、何故日本は無料なのか?と言う疑問に対して昔からそうだったからでは単なる既得権益維持と言われかねず、その方が結局は国全体で見るとお得なんだと言うことを無料維持派の側も示していくことは重要でしょう。
ちなみに救急車を受ける病院の多くが選定療養加算を取っているとすれば、軽症者に関してはお金を取るわけですからいわば二重取りになると言う指摘もあるように、この辺りは消防救急だけでなく医療現場とも一元的に議論すべき問題だと思いますが、仮に将来救急車の有料化が為され重症だと感じながら救急車を呼ぶのに躊躇するような時には、本当に重症なら病院に支払う治療費の方がずっと高いと言うことも思い出してもらいたいです。

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コメント

秋田県央部の60代女性が昨年秋、医療費の支払いを負担に感じて医療機関の受診をためらい、がんで亡くなっていたことが
明らかになった。亡くなる直前に救急搬送されたものの、手遅れだった。女性は国民健康保険の保険料(税)を滞納し、
医療費を窓口でいったん全額支払わなければならない「被保険者資格証明書(資格証)」の交付を受けていた。

 昨年秋の夕方、女性は近くに住む親族を通じて「自宅で動けなくなった」と119番した。秋田市の中通総合病院に救急搬送され、
末期がんと判明。手術ができないほど進行していた。

 女性はそのまま入院し、同病院医療福祉相談室の医療ソーシャルワーカーに「以前、腫瘍があると診断を受けた。
ただ、医療費が払えないので通院しなかった」と打ち明けた。

 女性はアパートに1人暮らしで、パートを二つ掛け持ちしていた。支払う保険料は月1万3千円程度だったという。
医療ソーシャルワーカーは「仮に払ったとしても、収入が少ないため、通常の自己負担(医療費の3割)も重荷になると
考えたのではないか」と推測する。

 医療ソーシャルワーカーは女性の資格証について地元自治体へ相談。女性が重病であることを説明し、有効期限は短いが
窓口負担が軽くなる「短期被保険者証(短期証)」に切り替えてもらった。女性は働けなくなって収入も途絶えたため
、生活保護も申請する予定だった。だが、入院から約1週間後、息を引き取った。

 地元自治体によると、女性は保険料支払いの相談に訪れておらず、女性宅は民生委員の訪問対象でもなかった。
このため女性の家計状況や健康状態を把握しておらず、行政のセーフティーネット(安全網)ですくい上げることができなかったという。

http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20150512e

投稿: | 2015年5月13日 (水) 07時50分

↑意味不明

そういう人生を選んできたのだから、仕方ないのでは?
収入が少ない、生活が苦しい人を行政が全て把握していくなんて、それこそ
国民総ナンバー制にして収入から借金から全て把握していかない限り不可能。
プライバシーも全て無しですよ。
どこかのマスゴミ記事だろうけど、こういうことを平気で記事にするレベルの
低さは許せないほどですね。

投稿: hisa | 2015年5月13日 (水) 09時06分

>意味不明

窓口負担が軽くなる制度があってもみな知らなくて利用しない(知らせず利用させない)から、
それが知られるのはいいんじゃないwww

投稿: | 2015年5月13日 (水) 10時56分

↑で紹介いただいたような事例はたびたび報じられるのですが、仕事に多忙で病院に受診出来ず手遅れになる人はずっと多いと思われるのに、あまり社会の歪みとして報道されない気がしますね。

投稿: 管理人nobu | 2015年5月13日 (水) 13時04分

仕事に多忙で病院を受診しないのは、経済的に受診できないのに比べれば、
健康より仕事を選んだ自分の責任だから、仕方ないのではと思いますね
健康より仕事を選ぶことにプライドを持つ人は医療関係者に多そうだし

投稿: | 2015年5月13日 (水) 13時25分

「部活で来れない」って中高生も多いですね。スポーツもスポーツに命賭けてる奴も大嫌いな私は「リア充○ね」と、聞こえないように呟きますがw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年5月13日 (水) 15時30分

日本には生活保護というセーフティネットがあります。
生活保護の存在を知らなかったのであれば不幸ですが、知っていて使わなかったのであれば、生活保護を受けたくない何かがあってそのために受診が遅れてしまったと、少なくとも私は考えます。

救急車の有料化については、誰がお金を徴収して誰の懐に入るのか、というのが結構な問題だと思われます。

投稿: クマ | 2015年5月13日 (水) 21時50分

軽症者からは病院でお金を取ってるんだからそれでいいんじゃないかって気がしますが。
救急搬送の現場で余計な判断をさせたって時間や手間がかかるだけでメリットないですから。
どうしても有料化するなら全員から一律で同じ金額を取るべきだと思いますね。

投稿: 内科医 | 2015年5月13日 (水) 22時08分

2台分の駐車スペースが確保されている理由
http://www.saitama-med.ac.jp/hospital/topics/images/20131109/20131109-5.jpg
ストレッチャーの搬入には2台分のスペースは必須だから
2台分の空間がないと、危険な道路上での作業でとても危険

投稿: | 2015年5月14日 (木) 06時22分

財務省 教職員9年間で4万人余削減の試算
 国の財政負担を減らしたい財務省は、少子化が進んでいることを踏まえて、
公立の小中学校の教職員の定数を今後9年間で4万人余り減らすことができる
という試算を示し、今後、文部科学省などから強い反発が出ることも予想されます。

 財務省は、11日開かれた財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」で、
教職員定数の削減についての試算を示しました。それによりますと、少人数指導の
実施など、今行われている水準の教育環境は維持できるように教職員を配置しても、
今後、少子化が進み、学級数自体が減ることから、9年後の2024年度の
公立の小中学校の教職員の定数は、今年度よりも4万2000人少ない65万
1600人まで減らせるとしています。これに対して文部科学省は、9年後の
定数を68万7500人と見込んでいて、財務省は、試算の定数まで減らすことで、
国の財政負担は年間で780億円軽減できるとしています。

 政府は、2020年度までに、基礎的財政収支を黒字化する財政健全化の計画を、
この夏までに策定する方針で、財務省は今回の試算を前提にした教職員定数の
削減方針を計画に盛り込みたい考えです。

しかし、教職員定数は一定の水準が必要だとする文部科学省などから
強い反発が出ることも予想されます。NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150511/k10010075781000.html

投稿: | 2015年5月14日 (木) 10時32分

救急車、軽症なら費用請求案 麻生財務相「現場見て判断を」

 麻生太郎財務相は12日の閣議後会見で、財務省が財政再建策の一つとして提案する救急出動の一部有料化について、「酔っ払ってひっくり返ったら救急車(を呼ぶ)という話がある。タクシーで自分で払え、あたり前だという話は何十年も前からある」と述べた。

 麻生氏の一族が経営する麻生グループには病院もあることから「病院をやっているから、(救急車で)どの程度の人が来るかよく知っている。現場を見て判断した方がいい」とも語った。消防庁によると、救急車による搬送者の約半分は入院が必要ない軽症者が占める。2013年の救急車の救急出動件数は過去最高の591万2千件で、ここ10年で2割増えている。

 財務省は11日の財政制度等審議会で、軽症で救急車を呼んだ人に費用を請求することを提案した。年間2兆円の消防関係予算を減らすねらいで、6月中にもまとめる政府の財政健全化計画に盛り込みたい考えだ。
 (奈良部健)
(朝日新聞 2015年5月13日掲載)

投稿: | 2015年5月15日 (金) 07時53分

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