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2015年5月 1日 (金)

日本社会の高齢化に伴う社会保障制度崩壊が間近に?

時折類似の事件が報道されるところなんですが、今回はずいぶんと長期間に渡っていたらしいと推測されるのがこちらのニュースです。

父親の白骨遺体放置で逮捕「年金支給停止恐れた」愛知・半田(2015年4月30日スポニチ)

 愛知県警半田署は29日、父親の遺体を自宅に放置したとして死体遺棄容疑で、同県半田市花園町のアルバイト新美徳雅容疑者(51)を逮捕した。

 同署によると、「収入が少なく、父の年金受給の停止を恐れた」と容疑を認めている。半田署は28日、新美容疑者のマンションの寝室で白骨化した遺体を発見。同居する父親で無職の進さん(82)とみて、同署が身元を確認していたところ、新美容疑者が「仕事から帰ったら父が死亡していた」と話したため、同容疑で逮捕した。半田署によると、死後1~3年ほど経過していた。司法解剖したが目立った損傷はなく、死因は不明としている。

何しろ白骨痛いですから死因も何も判らなかったんだろうとは思いますが、80代で自宅に老親が一人きり、息子は50代でアルバイト生活と言えばなかなかに難しい家庭内状況も想像出来るところで、今後国策として自宅介護が推進されるにつれてこうした家庭がますます増えて行く可能性もあると思いますね。
社会保障と言うものに関しては全般的に抑制されていくべきものであると言う認識が財務省などを中心に次第に力を得ていて、一般論として財政再建と言う観点からその必要性は十分理解できるものであるところなんですが、それが必要ない人も含めて万人に均等に支援を手厚くするようなバラマキは時代にそぐわなくなっている一方で困窮し不本意な生活状況に追い込まれている人もいるのは確かでしょう。
特に日本社会も不況や低成長がすでに20年以上にも渡って続いてきた結果、現在の中年世代以下は社会に出てから一度として十分な稼ぎを得られた時期がなかったと言う方々もいるはずなんですが、高度成長やバブル世代で稼いできた老親達がワープアの子供世代の生活を支えると言う状況がいつまで継続出来るものなのか、そろそろ考えてみなければならない時期になってきているようです。

「ゴミ屋敷」に老夫婦、年金使い込む息子… 認知症社会(2015年4月18日朝日新聞)

 「お願いです。病院に連れていって」
 昨年の冬、岡山県内の自宅で自治体の職員に保護されたとき、70代の妻はそう叫んだ。そばには80代の夫。ともに、認知症を患っていた
 自宅は「ゴミ屋敷」になっていた。捨てられずにたまったゴミの袋が山積みになり、古くなった弁当や汚れたオムツが床を覆っていた。同居していた40代の息子は外出していた。

 夫婦は二十数年前、夫の定年を機に故郷の岡山県に移り住んだ。年金は夫婦で月約30万円あり、安心した老後を送れるはずだった。
 だが、2人の暮らしは、認知症によって大きく変転した。
 移り住んで10年ほどすぎた頃、夫は脳梗塞(こうそく)を起こし、車いすでの生活になった。妻の話を忘れる。過去の記憶と現在を混同する。脳梗塞の後遺症で認知症も進んだ。
 「老老介護」は重労働だ。妻はデイサービスも利用しながら夫の生活を支えた。介護疲れから酒を飲むようになり、やがて認知症になった。家が荒れ始めたのは、数年前からだ。

 そんなときに、県外にいた息子との同居が始まった。
 それからの夫婦の暮らしぶりについて、福祉関係者の記録にはこう残っている。「何カ月も入浴できず、適切な食事もとれず、ネグレクト(介護放棄)状態であった」
 息子は独身で無職。借金もあった。夫婦の年金が振り込まれると、決まって20万円が消えていた夫名義のカードの借り入れも約300万円にのぼった。
 近所などからの通報で、自治体もこの家の異変に気づいた。昨冬、自治体職員が息子の留守を見計らって家に入り、夫婦の保護に踏み切った
 夫婦はいま、自治体などの支援を受け、同じ老人ホームに入っている。息子は同じ家に住み続けている

 今月、記者が夫婦を訪ねた。
 「お父さん、昔は気難しくてね」「息子はしっかり者だったの」。苦しんだころの記憶は抜け落ち、妻が語ってくれたのは楽しかった時代の思い出ばかりだ。部屋には、夫がリハビリで書いた手紙が貼ってあった。震える字で、こう書かれていた。
 〈仲良く、続けませう〉

認知症の老親に対するネグレクトとして批判的に見ることも十分可能な記事ではあるのですが、実際問題親の年金を頼らなければ生活できない息子世代と言うのは確実にいるのだろうし、そうした世代が今後一斉に親による経済的扶養力を喪失した場合に社会保障がどのようになっていくのか、なかなか難しい問題であるとは言えそうですよね。
気になる話として先日は40〜50代の中高年ニートが急増していると言う記事が出ていて、かつては若年者の特徴のように語られていた引きこもりも時代が進むごとに高齢化しているのだなと改めて感じたのですが、こうした引きこもりが成立すると言うのは当然ながら親世代が経済的に扶養力があると言うことが大前提になっているわけです。
今後それら親世代が平均寿命の80歳代で亡くなったとして子供世代も普通であれば定年を考えるような歳になっているでしょうし、そうでなくとも何十年も職歴もなく引きこもっていた人々に外の世界に出て稼ぐような生活力があるとも思えませんが、当然ながらせいぜい最低限の国民年金程度しか持っていないだろうこれらの方々に対しては生活保護受給者になるくらいしか道がないと言うことですよね。
国や自治体にしてもそうなる前に何かしら手を打っていくべきなのかと思うのですが、現実的に引きこもっても食べていける、何の不自由もなく生活できていると言う人々が社会に出る必要性を感じるかと言えばこれも疑問で、将来困ったことになるのが目に見えているし社会に迷惑もかけるから今から外に出て働きなさいと言われても知ったことかと反発されるのがせいぜいでしょう。
医療における皆保険制度などもそうですが、国全体が成長し国民が着実に貯蓄を殖やしていくことが前提で設計された社会保障全般が今後ますます歪みを増大させていくと指摘されていて、そろそろ抜本的な改革が必要だと言う点では程度の差はあれ誰しも頭で理解はしているんだろうと思いますが、それでは実際にどういう制度がよいのかとなるとこれはなかなか難しい話になりそうです。

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コメント

つか、まだ壊れてないと思ってたんだ?
とっくに過去形で語られてしかるべき話だよ

投稿: | 2015年5月 1日 (金) 07時37分

でも議員の方々は社会保障を充実させますって言うばっかですよねえ。

投稿: ぽん太 | 2015年5月 1日 (金) 08時34分

親の年金で食っていたような中高年ニートは、やっぱ効率的な高齢者介護と同じ発想で、
一カ所に集めて共同生活させるのがいいんじゃない?
生活保護をはじめ、社会保障制度の恩恵をフルに受けている人たちって、それなりに
人権の制限があっても仕方がないと思いますがね。
もらって当然という意識を変えないと!

投稿: hisa | 2015年5月 1日 (金) 08時52分

不届き中高年ニートがいるから、生活保護者の人権制限すか?八つ当たりじゃん

投稿: | 2015年5月 1日 (金) 11時04分

中高年でニート化すると発生機序の如何を問わず社会復帰は非常に困難ではないかと想像しますが、ただ現状の生保システムに関しては何もせず制度どっぷりになるほど得をすると言うのは設計上まずいかなとは感じます。
先日も奨学金を得た家庭で保護費が減額され裁判沙汰になっていましたが、全国で訴訟が頻発することで制度設計の機運が盛り上がるかも知れないし、無差別にもっと手厚い保護をと言う動きよりは建設的でしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2015年5月 1日 (金) 11時44分

「制度設計の機運」ではなく「制度改正の機運」でした。

投稿: 管理人nobu | 2015年5月 1日 (金) 11時45分

こっちも問題ですね
http://mainichi.jp/select/news/20150501k0000e040258000c.html

投稿: | 2015年5月 1日 (金) 15時34分

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