« 救急車がようやく有料化?しかしその理由は… | トップページ | 箱根噴火の恐れで意外な影響が »

2015年5月14日 (木)

自転車事故の賠償金額は車並みと言う前提でどうすべきか

先日またぞろ議論を呼びそうなこんな裁判が報じられていたのですが、御覧になったでしょうか。

自転車に追突され負傷 中1男子と両親提訴 神戸地裁(2015年5月12日神戸新聞)

 昨年4月、歩行中に中学1年の男子生徒=当時(12)=が運転する自転車に衝突されたとして、神戸市内の女性(39)が生徒や両親を相手取り、治療費など約1150万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。

 3月26日付。訴状によると、女性は昨年4月8日昼すぎ、同市兵庫区上沢通で生徒の自転車に衝突され、首に捻挫などを負い、めまいや頭痛の後遺症が出たとする。両親に対しても「子どもに注意を払い、指導監督すべき義務があったのに怠った」と主張している。

記事の内容からは事故の詳細は分からないのですけれども、自動車事故で言う場合の10対0に近いような一方的な内容の事故であったのでしょうか、特に事故が発生したのが歩道上であれば今日の道交法によれば自転車は車道を走れと言うことになっていますから、そもそも走行してはならない場所を走っていたと言う過失があると言われそうですよね。
一方でここで注目いただきたいのが1150万と言う賠償金額で、中学生の自転車にぶつかって怪我して1000万オーバー!いくらなんでも高すぎだろう!と言う声もありそうではありますけれども、例えばこれが一般の車が絡んだ交通事故でこうした生活に支障のある後遺障害が残ったとなれば、その程度によりますが保険から数百万円以上の金額が出てもおかしくないのかと言う気もします。
要するに今や自転車事故はその金銭的補償額において自動車事故と遜色ない水準が請求されるようになった、一方で基本全員保険加入の自動車と違って十分な保険に加入している自転車乗りなどまずいないでしょうから被害者救済と言う点で難しい点があり、ましてや子供が乗っているとなればどこまで親に監督責任を要求出来るのかです。
以前に小学校の校庭で子供が蹴っていたサッカーボールが外に飛び出し老人の事故の原因になった、裁判で親に1500万の賠償が認められたと大騒ぎになりましたが、あの件も最終的には最高裁で親の賠償責任が否定されたと言うことで「通常、危険とはみられない行為で損害を生じさせた場合、結果を具体的に予見できたなどの事情がない限り、監督義務を怠ったとは言えない」と言うその判断基準をどう解釈すべきなのか微妙ですよね。
こうした様々な面倒を避ける意味も大きいのでしょう、近年歩行者と自転車を分離すると言う方針がとられるようになったのも無保険者同士の事故を避けると言う意味が大きいと言う説がありますが、一方で危険度から言えば明らかに車道を速度差の大きい自転車が走る方が危ないのは言うまでもなく、このところ自転車対自動車と言う形での重大事故が多数報じられています。

前方不注視のクルマが路肩の自転車に追突、男性死亡(2015年5月11日carview)

5日午前7時40分ごろ、福岡県久留米市内の国道210号で、道路左側の路肩を走行していた自転車に対し、後ろから進行してきた軽乗用車が追突する事故が起きた。この事故で自転車に乗っていた47歳の男性が死亡している。

福岡県警・うきは署によると、現場は久留米市田主丸町志塚島付近で片側1車線の直線区間。47歳の男性が乗る自転車は道路左側の路肩を走行していたところ、後ろから進行してきた軽乗用車が追突してきた。

追突によって自転車は転倒。男性は近くの病院へ収容されたが、頭部強打が原因でまもなく死亡した。警察はクルマを運転していた佐賀県鳥栖市内に在住する19歳の女性から自動車運転死傷行為処罰法違反(過失致死)容疑で事情を聞いている。

現場は見通しの良い区間。聴取に対して女性は「前をよく見ていなかった」などと供述しており、警察では前方不注視が事故につながったものとみて、事故発生の経緯を詳しく調べている。

ちなみにこの「前をよく見ていなかった」と言うのも警察が用意したテンプレのようなもので、実際の事故原因はどうであったのかはこれだけれは何とも言えませんよね。
時間帯的に朝の通勤ラッシュで車も多い頃だったのかも知れませんが、ストリートビューで見る限り非常に立派な歩道がついている国道のようですから、以前であれば何も車で混雑する車道の端などを走らなくても安全に走行できていたところを、今では車の危険を間近に感じながら車道を走らなければならないのですから単純に怖いでしょう。
一方で通勤時間であると言うことは通学時間でもあって、児童生徒で混雑する歩道を自転車が突進してくると言うのであれば歩行者にとっては重大な脅威ですけれども、この場合予想される被害の大きさ、事故発生頻度よりも事故が起こった際の補償がスムーズに進むと言うことを優先しているのだとすれば、健全な自転車乗りにとっては日常的な走行に身の危険を感じるありがたくない話になります。
ただこうした規制強化の背景にはそもそも傍若無人で商店街の中だろうが平気で爆走する自転車乗りのマナーの悪さが先にあったとも言え、警視庁もこの6月から自転車の悪質運転、危険運転に対する罰則を強化すると発表したばかりで。通行区分違反なども厳しく取り締まる方針だと言いますから、当面自転車は車道を走るべしとのルールが元に戻される可能性はなさそうですよね。

もともとは自転車専用通行帯が整備されていなかったと言うインフラの欠如が混乱の大きな原因でもあって、歩行者とも自動車とも分けて走らせるようにしていれば何も問題がなかったとも言えそうなんですが、国土が狭く自動車以前の細い旧道を改修しながら使っている地域も多い日本で、膨大なコストの調達をどうするかは置くとしても今さら自転車専用レーンを全国に整備するのも極めて難しいだろうとは想像出来ます。
となると他の方法論としては自主的に自転車マナーの向上を世間に認めさせ旧来通りの歩道通行権を回復するだとか、自転車にも全員加入の保険を義務づける、あるいは無保険を前提とした賠償金額の相場を新たに設定すると言ったことも検討すべきなのかも知れませんが、特に同じような被害の程度であれば自動車も自転車も賠償金額は同じと言うのは今のところ誰しも違和感を感じずにはいられませんよね。
ただ被害者救済などと言わずとも無謀運転で一方的に怪我を負った人にすれば、相手が自転車だから勘弁しろでは受け入れられないのは当然なんですが、特に見ていても危なっかしい運転の多い子供に対しては学校等における交通教育などももちろんですが、場合によっては自転車運転に関しても知識や技能を担保する何らかの免許制のようなものも検討する意味があるのかも知れません。

|

« 救急車がようやく有料化?しかしその理由は… | トップページ | 箱根噴火の恐れで意外な影響が »

心と体」カテゴリの記事

コメント

でもどうせ地裁判決なんて上級審で片っ端からひっくり返されるんでしょ?

投稿: | 2015年5月14日 (木) 07時38分

車のように幅・重量があってスピードが出るモノに比べ、自転車なんて小回りはきくし
質量もしれています。普通に走っていれば、歩行者が路地から飛び出してきたとかじゃない限り
擦り傷打ち身程度しかないと思いますが。
それなりの傷害を与えるような事故をおこすって、車で言えば飲酒運転、よそ見運転、
住宅地の細い生活道路を倍速で走るといったのと同じようなレベルの相当悪質な運転と
見なしてもいいんじゃないでしょうか。
賠償金は傷害の程度できめればいいし、それが車での事故と同じでもおかしくはないと思います。

ただ中学生にもなっているのに両親は関係ないだろう。
賠償能力がないというところはあるだろうが、両親に監督責任を求めるところがDQNそのもの。
これで、地裁が認めたとしたら、いつものどうしようもない地裁裁判官評価となりますね。

投稿: hisa | 2015年5月14日 (木) 09時12分

基本的にはこの種の金銭的賠償は保険対応が望ましいと思うのですが、国民全員に保険を義務づけるのがいいのか、それとも保険を持つ人にしか乗らせないのがいいのかは難しいところでしょうね。
ただ自動車保険などでも悪質運転による事故は過失相殺で支払いがなされない場合があることを思うと、自転車事故で重大な結果を招くような走行の仕方をした場合の扱いがどうなるのかは気になります。

投稿: 管理人nobu | 2015年5月14日 (木) 10時25分

中学生の自転車事故で、誰の監督責任も問えないとするなら、
中学生の自転車利用を禁止すべきと思います。
暴走してぶつかれば、歩行者が死ぬような事故が起きるような代物なんだからさ

投稿: | 2015年5月14日 (木) 15時27分

2本の足で歩いてても年寄りにぶつかったら押し倒して死なせる可能性あるよ?歩くの禁止するの?

投稿: | 2015年5月14日 (木) 17時19分

>中学生の自転車事故で、誰の監督責任も問えないとするなら、
>中学生の自転車利用を禁止すべきと思います。
当然そうなりますね。
親は自転車を買い与えた時点で、事故に遭わない、事故を起こさないような運転をするよう指導する義務があるでしょう。
裁判で十分な注意を払ったと認定されてはじめて免責されるのが筋かと。

うちの娘には、私と一緒の時以外は自転車に乗ることを禁止しています。
おかげでちっとも上達しなくて、中学生になるというのにいまだに一人では運転させられない悪循環。

>2本の足で歩いてても年寄りにぶつかったら押し倒して死なせる可能性あるよ?歩くの禁止するの?
通常果たすべき注意を払っていたのにぶつかってしまったのなら仕方ないけど、歩きスマホしてましたとか、人混みで無理な割り込みをしましたとか、明らかに有責の場面もありますわな。

投稿: JSJ | 2015年5月14日 (木) 18時38分

自転車に乗せるなとの極端な意見がありますが、単に、自転車に乗せるなら、1億円以上の賠償責任保険に入れ、で良いのでは?医師賠償責任保険にも入っているでしょう。それと同じです。賠償責任保険付の、小中学生の障害保険なんて、ググレばすぐに見つかりますよ。

投稿: 麻酔フリーター | 2015年5月15日 (金) 11時14分

>2本の足で歩いてても年寄りにぶつかったら押し倒して死なせる可能性あるよ?歩くの禁止するの?

2本の足で歩かなければ生活できない
中学生は自転車に乗れなくても生活できる
必需品でないものの使用制限を生活に欠かせない行為とごっちゃにしても意味なし

投稿: | 2015年5月15日 (金) 12時03分

 県警は10日、春の交通安全運動を前に、川口市前川1丁目のイオンモール川口前川で「春の交通安全フェスティバル~すたーふらわーと
学ぼう交通ルール~」を行った。

 イベントには、県警などが作成した自転車安全利用五則を啓発する「5Song(ごそんぐ)」を歌う、人気子役の小林星蘭さん
(10)と谷花音さん(11)によるユニット「すたーふらわー」が登場した。

 2人は一日県警交通部長として、ステージ上でクイズに挑戦したほか、かわいらしい振り付きで「5Song」を披露。2人からの
「お願い」として「交通事故を起こさないためにも、交通事故に遭わないためにも、周りの安全をよく確認して、交通ルールを守ってください」
と来場者に呼び掛けた。

 県警によると、県内の交通事故死者は10日現在で60人と、前年同期比より12人上回っている。うち16人は自転車乗車中の事故で、
前年の8人より倍増。小学生2人が犠牲になっている。
 県内在住の谷さんは、友達と
遊ぶときなどに自転車を利用。「自転車に乗っているときに歌詞を思い出して、(歩道で)降りなきゃ
ってなったりする」とにっこり。「小さい子にも『5Song』を覚えてほしい」と小林さんと声を合わせた。

http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/05/12/03.html

投稿: | 2015年5月18日 (月) 22時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/61585016

この記事へのトラックバック一覧です: 自転車事故の賠償金額は車並みと言う前提でどうすべきか:

« 救急車がようやく有料化?しかしその理由は… | トップページ | 箱根噴火の恐れで意外な影響が »