« 今日のぐり:「大阪王将 福山平成大学前店」 | トップページ | 日本全国人手不足なんだそうです »

2015年3月16日 (月)

結局医薬分業とは何だったのか?

様々な異論反論ありながらも実施され一応の定着を見ている医薬分業ですが、先日内閣府からこんな発表があったそうです。

内閣府、医薬分業に関する調査結果を公表(2015年3月12日DIオンライン)

 内閣府の規制改革推進室は2015年3月12日の公開ディスカッションの開催に先立ち、一般市民を対象に実施した医薬分業に関するアンケートの結果を公表した。回答者の半数以上は、医薬分業という言葉や、薬をもらう時に薬剤師による説明などのサービス料金が掛かっていることを「知らない」と答えた。
 規制改革推進室は公開ディスカッションの論点として、医薬分業を患者(国民)視点から見た場合、(1)医療機関と薬局が離れていなければならないという点で利便性(構造)の問題、(2)院内処方よりも院外処方の方がコストが高い半面、コストに見合ったメリットが感じられにくいという問題――の2つの問題があるのではないかと指摘している。国民にとって、よりメリットのある医薬分業について議論するため、医薬分業に関するアンケートを実施した。
 調査は15歳以上の一般市民を対象に、内閣府の委託を受けたマクロミルがインターネット上で実施した。調査期間は2月27日~3月1日。男性499人、女性537人の計1036人が回答した。

 「医薬分業という言葉を知っていますか」「薬をもらう時、薬代のほか、薬剤師による説明等のサービス料金が掛かっていることを知っていますか」という問いに対しては、「知らない」と回答した人がそれぞれ54.5%、52.2%と半数以上に上った。
 「医師と薬剤師がそれぞれの専門知識を生かして正しく診療や調剤を行うためには、医師と薬剤師が、医療機関と薬局に分かれて業務を行う必要があると思いますか」という問いに対しては、「思う」と答えた人は31.6%にとどまり、「思わない」(25.6%)、「どちらともいえない・分からない」(42.9%)と答えた人が多かった。一般市民は、医師と薬剤師がそれぞれの職能を発揮する上では、構造上の分離は不要と見ている傾向が浮き彫りになった。
 その一方で、「医師が必要以上に多い薬や高い薬を処方して利益を追求するのを防ぐためには、医師と薬剤師が、医療機関と薬局に分かれて業務を行う必要があると思いますか」という問いに対しては、「思う」と答えた人は48.0%に上った。
 院内処方の医療機関で直接薬をもらうよりも、院外処方を行う医療機関から処方箋を受け取り、薬局で薬をもらう方が、同じ薬をもらう場合でもサービス料金(一部負担金)が約300円増えることに関して、「薬局で受けられるサービスの内容に照らして、この価格差は妥当だと思いますか」という問いには、「高すぎると思う」と答えた人が58.5%に上り、「妥当だと思う」と答えた人は14.2%にとどまった。
 「医療機関で院外処方箋を受け取った時、どこの薬局に薬をもらいに行きますか」という問いに対しては、「医療機関からなるべく近い薬局」と答えた人が69.1%に上ったが、20.4%は「普段行き慣れている薬局(かかりつけ薬局)」と答えた。かかりつけ薬局を選ぶ理由(複数回答)としては、「家、職場、学校などに近いから」(135人)が多かったものの、「薬剤師が自分のことをよく知っているから」(58人)、「薬剤師が薬について分かりやすく説明してくれる、よく相談に乗ってくれるから」(49人)など、薬剤師の介入を理由に挙げた人も一定数いた。
 「医薬分業を行う場合のメリットは何だと思いますか」(複数回答)という問いに対しては、「医療機関で薬をもらうより、薬局で薬をもらう方が待ち時間が短くて便利」(289人)、「薬局で薬について説明してくれる、相談に乗ってくれる」(249人)、「複数の医療機関を受診しても1つの薬局で薬をもらえる」(206人)、「必要以上に多い薬や高い薬を処方されずに済む」(203人)」を選んだ人が多かった。
 一方、「医薬分業を行わない場合のメリットは何だと思いますか」(複数回答)という問いに対しては、「受診した医療機関で直接薬をもらえるので、薬局に行かずに済んで便利」(596人)、「サービス料金が安く済む」(394人)を選んだ人が多かったが、「医療機関で薬について説明してくれる、相談に乗ってくれる」(140人)、「医療機関で薬をもらう方が安全だ」(130人)を選んだ人もいた。

本来的にはそれぞれが専門職としての知識経験を生かすためには薬剤師が医師に隷属する関係であってはならないと言う話での医薬分業推進と言うなら判りやすいところ、少なくとも国の趣旨としては当時薬価差益批判も多かったことからとりあえず医と薬を切り離せばいいと言う考えで医薬分業を推し進めた部分が多分にあったわけで、その結果総医療費がどんどん下がってきたと言うことになればめでたしめでたしだったはずです。
ところが実際には医療費抑制政策で病院側が青息吐息と言う状況にあっても薬局側は大儲けと言う状態で、ついには日医の理事が薬剤師会で「母屋でおかゆをすすっているのに、離れではすき焼きを食べている」などと恨み言を言うと言った情けない話も聞こえてくるわけですが、国民の側としてもそうした事情を知っているということなのでしょうか、結局医薬分業の意義とは金であると言う理解であるようですよね。
あくまで医療の質的向上などとは縁遠い実利実益に基づいての話であるとすれば、病院から近い薬局を選ぶと言うのも実際門前薬局の方が処方箋通りの薬を置いている可能性が高く待たされることが少ないと言う実利があるわけですし、さらに突き詰めれば別に院外薬局でなくても病院でもらえばよくね?と言う話になってくるのも当然と言えば当然でしょう。
もちろん利用者視点でそういう話になってくるのは十分に理解出来る話なんですが、最近面白いなと思ったのは先日こう言う話が国の方から出てきたと報道されていたことですよね。

不便さ解消へ「病院に薬局」検討…厚労省反発か(2015年3月8日読売新聞)

 政府の規制改革会議は、病院などの医療機関の敷地内に薬局を置くことを認めていない「医薬分業」の見直しを検討する。

 医療機関で受診後、薬局まで移動しなければならない不便さを解消しようというものだ。規制を緩和し、独立した経営の薬局を病院内に設置することを認める案などが浮上しているが、医薬分業を推し進めてきた厚生労働省は反発するとみられる。12日の会議で議論が始まる。

 厚労省は、薬の過剰投与などを防ぐため、医療機関の窓口で薬を受け取る「院内処方」より、医師の処方箋を受けて薬局の薬剤師が調剤する「院外処方」を推進してきた。1974年には院外処方に大幅に診療報酬がつくよう改定。省令で、薬局が「医療機関と一体的な構造や経営」となることも禁じている。経営的に従属してしまうと、薬剤師が医師の処方箋や過剰投与などに疑問を呈したりすることができなくなるためだ。構造的な規制として、病院と薬局間のフェンス設置なども定めている。

国が決めた医薬分業を国がひっくり返すのか?とも受け取られかねない話なんですが、確かに前述のような実利実益優先の考え方からすればわざわざ病院外に出かけて行って薬を受け取る必要もないわけで、会計等の待ち時間の間に薬も用意出来て一緒に受け取って帰ると言うスタイルの方がよほど合理的なのは確かですよね。
当然ながら医薬分業の旗振りをしてきた形の厚労省側では反発していると言いますが、そもそも医薬分業導入当時のような薬価差益でウハウハなどと言う話が過去形で語られるようになっている今の時代にあって、そもそも物理的地理的に病院と薬局とを分ける理由付けがあるのかと言えばあまりないのも確かで、せいぜい同じ院内で相互に尊重して仕事を分担できれば十分ではないかと言う考え方もあるでしょう。
医療財政的にどうなのかですが、前述の「離れですき焼き」状態になったのも医薬分業を推進しようと院外薬局に様々なインセンティブを用意してきたからだとも言え、それが無くなれば医療費抑制に働く可能性もあるでしょうし、そもそも今まで医に比べて様々に甘い対応が取られていた薬に対しても医同様に厳しくチェックされるようになるとすればこれはこれで国の利益だとも言えるかも知れません。
ただこうなりますと過去散々に医薬分業を推進してきたのが何だったのか?と言う話ではあるのですが、人間過ちを改めるに遅すぎると言う事はないと言いますから間違っていれば過去にこだわらず改めればいいだけのことであって、厚労省が過去の経緯からくるメンツを振りかざして国民に不利益を強いるようなことはないと期待したいですよね。

|

« 今日のぐり:「大阪王将 福山平成大学前店」 | トップページ | 日本全国人手不足なんだそうです »

心と体」カテゴリの記事

コメント

単なる薬剤師のマスかきでしょあんなもん
医薬分業したら地位も収入も上がるって踏んだんでしょ
でも病院から独立したら誰も薬剤師のことなんて気にしないよねえ

投稿: | 2015年3月16日 (月) 07時29分

この前の「主治医制」に関わる薬局のゴタゴタとか、
厚労省のお家芸、はしご外しは既に始まっていると見ますが。

投稿: JSJ | 2015年3月16日 (月) 08時53分

それぞれに業務に関して言いたいことはあるのでしょうが、少なくとも顧客本位の目線で考えるとこれは予想された結末であったように思えます。

投稿: 管理人nobu | 2015年3月16日 (月) 13時13分

元は富山の薬売りといわれるぐらい893医師の方が歴史が長い。
戦後になって、内科医とか外科医とかが偉そうになったけど基本的に893医師が金を稼いで、
一族に内科医と外科医と厚労省の官僚を増やすから、あんまりチェック体制にならないwww

投稿: | 2015年3月16日 (月) 17時40分

>医師が必要以上に多い薬や高い薬を処方して利益を追求するのを防ぐためには、医師と薬剤師が、医療機関と薬局に分かれて業務を行う必要があると思いますか?

新聞各社が世論調査と称して、よく使う手口ですね

結論だけでも高い数字を得たいときには、無理矢理何でも前提条件付けて、あたかも自由意志を表明したかのように編集するからね

で、医薬分離した結果はどうですか?
そこの解析をせずに、素人に質問を投げかけても意味が無い

知識のない関心もない素人に前提条件付けて、付け焼き刃の洗脳して得たアンケート結果で扇動するのにメディアは罪の意識はないんだろうね。。。愚問ですが。。。

投稿: Med_Law | 2015年3月16日 (月) 18時00分

うーん、しかし外来も入院も全部院内で払い出す体制を維持していたら、病院側も新薬の新規採用への動きも鈍くなってるだろうし、一剤切り替える毎に飲み替わり関する説明で現場も混乱する。
投薬カウンター前の椅子では待ち時間に苛立つ患者の怒号で地獄絵図になってただろうなぁ。

当然薬剤師は外来現場から離れられないから病棟業務も行われてないだろうし、その分薬剤師を増やせば病院は人件費で赤字。
元々外来調剤に従事してた薬剤師が病棟に上がる事で一定の評価が出ているって事も忘れないでほしい。

調剤薬局は外来に関する病院の汚れ役をゼニもらう事で引き受けてるような感じかねぇ。

投稿: | 2015年3月16日 (月) 19時26分

でもトータルでみたら患者の待ち時間はよけいに長くなってると思うけど?

投稿: | 2015年3月16日 (月) 22時11分

1000枚単位で処方箋を発行するような病院だと間違いなく外の薬局の方が早い。

患者が大挙する門前薬局では長く待つかもしれないが、ならば待たない薬局を選べばいいだけの話。
指定の薬局へFAXを送るなどのサービスも行っているし、自宅の近所など、混雑のない薬局をかかりつけにすればほぼ待ち時間無く薬はもらえる。場合によっては届けてくれるところもあるし。

同一施設内で長く拘束されるデメリットが解らないもんかね。

分業化する事で新薬や後発の浸透が早くなってる以上、待ち時間以上に得ている恩恵は大きいと思うのだが。

投稿: | 2015年3月17日 (火) 00時37分

そもそも医師に調剤権を残したまま分業したのが間違いだったな。

投稿: | 2015年3月17日 (火) 03時24分

>医師が必要以上に多い薬や高い薬を処方して利益を追求するのを防ぐためには、医師と薬剤師が、医療機関と薬局に分かれて業務を行う必要があると思いますか?
こんな質問の仕方されてYesと答えない人がいるほうがおかしい。あからさまに医師を貶めようとする悪意に満ちた質問ですね。

投稿: | 2015年3月17日 (火) 05時34分

国民の声に真摯に耳を傾けろよ

投稿: | 2015年3月17日 (火) 07時07分

病院の既得権院外薬局に移っただけでなにも変わらないよ

投稿: チチハル | 2015年3月17日 (火) 08時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/61270404

この記事へのトラックバック一覧です: 結局医薬分業とは何だったのか?:

« 今日のぐり:「大阪王将 福山平成大学前店」 | トップページ | 日本全国人手不足なんだそうです »