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2015年3月 7日 (土)

川崎の少年刺殺事件でマスコミがまたもお騒がせ中

先日容疑者が逮捕された川崎の中学生殺害事件が大きな注目を集めていますけれども、半ば予想されたこととしてこんな記事も出回っているようです。

週刊新潮が実名と写真掲載 川崎中1殺害容疑の18歳(2015年3月4日長崎新聞)

 川崎市川崎区の多摩川河川敷で中学1年上村遼太君(13)が殺害された事件に関して、「週刊新潮」(5日発売)が、殺人容疑で逮捕された3人のうち、主犯格とみられる18歳の少年の実名と顔写真を掲載していることが4日、分かった。

 記事は、少年のこれまでの問題行動や上村君とのトラブルについてまとめた内容。顔写真はインターネット上の写真を、友人らに確認して掲載したとしている。

 週刊新潮編集部は取材に「事件の残虐性と社会に与えた影響の大きさ、少年の経歴などを総合的に勘案し、実名と顔写真を報道しました」とのコメントを出した。

こうした実名報道が近年たびたび問題になっていて、先年のアルジェリア人質事件においても朝日新聞が親族の反対を押し切って人質の実名報道を行い問題化しましたし、犯罪や事件の起こるたびに加害者のプライバシーばかりが尊重され被害者側のそれが無視されるのはおかしいではないかと言う声もたびたび上がるところですよね。
一応少年法の第61条では未成年の犯罪に関して「氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と定めてはいますけれども、罰則がないことからせいぜい民事訴訟に訴えられる程度であり、しかもそうした訴訟沙汰にでもなればますます個人情報が流布してしまうと言うジレンマもあります。
そもそも少年犯罪に限らず有罪になった後でならともかく、容疑者の段階で実名報道を行うことにどれほどの意味があるのか、むしろ不起訴や無罪になった場合その名誉回復が困難になるばかりではないかと言う意見も出るのは当然なんですが、いずれにしても法の規定がおかしいと思うのなら好きに無視すると言うのではなく、国民的世論を喚起し法改正を行うように話を進めるのが筋ではないかと言う気はしますでしょうか。

ただ今回の場合当の容疑者が過去に自らをいわゆるイスラム国になぞらえ「俺らは法律関係ない。自分たちのルールで動く。川崎国だ。逆らったら、生きたまま首を切るよ」などと公言していたと言う話もあって、法もルールも無視する人間が法で保護されるのもおかしいと言う素朴な意見もあるでしょうから、やはりこの際徹底的に議論をしておくのも有意義なのではないかと言う気がします。
ちなみにこの「川崎国」なる言い回しが(不謹慎ながら)ちょっとしたブームにもなっているようで、実際にかの地界隈ではずいぶんと治安も悪いと言う話もあるようなんですが、なかにはテレビ朝日がイスラム国を擁護するかのような報道をするからこんな不謹慎なことを言い出す輩が出てくるのだと言う、さすがにそれは八つ当たりにしてもいささかどうよ?と思うような極端な意見も出てはいるようです。
むろん世の中なんでもかんでも突き詰めればマスコミが悪いと言うのも行き過ぎた過大評価だと思いますが、一方でマスコミと言えばこうした事件のたびに新たなトラブルの発生源になっていると言うのもこのネット時代によく知られるようになったところで、今回の事件に関してもこんな話があるようです。

【川崎中1事件】上村さん通夜でトラブル!? マスコミ記者と少年らが警察沙汰に…(2015年3月4日トカナ)

 世間を騒がせている川崎の中1殺害事件。主犯格の少年らが逮捕され容疑を認める供述を始めたことで、被害者である上村遼太君(13)が暴行の事実を他人に告げたことによる逆恨みが動機など、事件の全容が明らかになりつつある。
 しかし、その裏で、とあるトラブルが起こっていたという。

「2日にこの事件の被害者である上村さんの通夜が行われました。マスコミ各社が報道したように、同級生などが訪れ、悲痛な雰囲気に包まれていました。取材のために私も出向いたのですが、そこでひと悶着あったんですよ。被害者と親しかったと思われる少年たちが、取材に来ていたある記者といさかいを起こしたんです」
 そう語るのは週刊誌の記者であるY氏。被害者を悼む通夜の場で、そのようなトラブルが起きてしまったというのも驚きだが、一体、なぜそのような事態になったのか。
「かなり少年側がヒートアップしてしまったようで、最終的には警察も来ていましたよ。恐らく、その記者をはじめマスコミ側が少年らに対して心無い質問をするとか、断っているのにしつこく聞くなどしたのではないでしょうか。それで少年たちは堪忍袋の尾が切れてしまったんでしょう」(前出・週刊誌記者)
 マスコミの強引な取材によるトラブルは、かねてより問題視されてきたが、今回もそのひとつということだろうか。
「僕もそれなりに強引に取材してきた経験はありますが、いわゆるキー局や全国紙のような大手マスコミの連中は、自分たちの取材に皆が協力して当たり前! という態度で接しますからね。彼らの強引な取材でマスコミアレルギーになってしまい、一切口を開かなくなってしまう関係者も少なくない。そのせいで、我々があとから事件の裏を追おうとしたときに、苦労することもままあるんですよ」(前出・週刊誌記者)

 この通夜をめぐっては、「ニコニコ動画」などで動画を配信している人物が通夜の様子を配信したところ、被害者の知り合いである地元の少年たちに絡まれるというトラブルもまた起こっている。この人物はその後、ことの顛末を動画配信で報告した際に、「マスコミには何も言わないのに、自分にだけ文句をつけるのはおかしい」という主張をしていたが、実はそんなマスコミもトラブルに巻き込まれていたというのだから皮肉な話だ。
 国民の知る権利を掲げ、無神経に他人の心に踏み込む大手マスコミたち。彼らの横暴が、さらなる悲劇を生むような事態にならないことを切に願うばかりだ。
(文=阿左美UMA)

ずいぶんな言われようですが一応はマスコミの擁護もしておきますと、こうした現場の絵を喜んでみる視聴者も一定数いるのですから「我々は視聴者の求めるものに従っているだけだ」と言う見解も成り立つところだと思うのですが、これまた事前に想定したシナリオ通りの映像、コメントを収集することを目的化している現代のマスコミがもたらした弊害だと言えるのだろうし、真面目にきちんと信頼関係を築いた上で深い取材を行う記者にとっても迷惑な話ですよね。
海外においてもダイアナ元妃を死亡事故に追い込んだ過剰報道など様々な問題が存在するのも事実なんですが、先年のニュージーランド大地震で日本の取材班が大怪我をした被災者に「片足を切断してスポーツなんてもう出来なくなったけど今どんな気持ち?」と生放送で問いかけたりだとか、流血した被災者が起き上がろうとしたところ「ちょっとそのまま」とカメラを向けようとするなど、現地でもずいぶんと顰蹙を買っていたようです。
今の時代ですとこうした情報もすっかりネット経由で共有されるところとなっていて、当然ながらマスコミと言うものに対して最初からある種のバイアスのかかった目線で接している人も少なくないと思いますが、そうなると今度はサクラに適当なそれらしいコメントを言わせてみたりもすると言うのですから、とりあえず現場に人を送ってコメントを撮り放送すると言う現在のスタイル自体に無理があるのかも知れません。
この辺りも前述の通りで視聴者が「当事者かく語りき」と言う絵を求めているからだと言う弁解が成立してしまう以上、それは価値のないどころかしばしば不愉快でさえある報道だと言うことを言い出す人がどれだけいるかにも関わってくるところなんですが、それではどのような事件報道が最も望ましいものなのかと言うことに関しては当のマスコミは元より、我々の側にも明確な指標はないんでしょうね。

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コメント

朝日新聞デジタル 3月5日(木)21時4分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-00000051-asahi-soci
 中学1年の上村遼太さん(13)が遺体で見つかった事件で、
殺人容疑で逮捕された少年(18)の実名と顔写真を「週刊新潮」(新潮社)が掲載したことについて、
日本弁護士連合会は5日、「少年法に反する事態であり、誠に遺憾。
実名が報道に不可欠な要素とはいえない」などとする村越進会長の声明を発表した。

 少年法は、少年の犯罪に関しては本人が特定できる報道を禁じている。横浜弁護士会も同日、
「少年の人格を否定して一方的に社会的責任を負わせることになりかねず、
社会復帰と更生の可能性を決定的に阻害する行為だ」と抗議する小野毅会長の談話を発表した。

投稿: | 2015年3月 7日 (土) 07時57分

通夜の会場に押しかけるテレビ局の人とyoutubeなどでの配信を行う人との境目ってなんなのでしょうかね?

投稿: クマ | 2015年3月 7日 (土) 08時54分

金を稼ぐかアクセスを稼ぐかでしょ

投稿: | 2015年3月 7日 (土) 10時20分

↑平等に価値がないwwwww

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年3月 7日 (土) 15時56分

川崎市中学生殺害事件。あなたは声をかけ、手を差し伸べる人となれるか
川崎市の中学一年生、上村くんの死を悲しんでいる人は多い。私もその一人です。

だけど、もし彼が今も不良グループの一員として深夜徘徊していたら、あなたは彼に声をかけただろうか。
近隣の方などの「異常さになんとなく気づいていた」というコメントも報道で数々取り上げられています。残念に思います。
街で出会う少年少女たちの抱える問題は、子どもたちだけではどうにもできないものばかりです。大人が勇気を出して一歩踏み出さない限り、変わりません。

そんななか、「川崎中学生殺害事件に極刑を!」という署名集めサイトのページに賛同しシェアする人が、私のFacebookタイムラインにもいます。
ありえません。そのページには、こんなことが書いてあります。

「逮捕された主犯は18歳。少年法51条により死刑も求刑できる。本人らの口裏合わせ、野毛山公園の別件、主犯の父親による証拠隠滅教唆も
徹底的に追及していただきたい。 カスを生かしておく必要はない。」

こんなものに署名しないでください。

刑を重くすればいいということではありません。
もちろん加害者となってしまった少年がしたことは、取り返しのつかないことです。
しかし、彼らをそこに追いやったのは、こういうサイトに賛同し気軽にシェアしてしまう一人一人、私たちがつくる社会なのです。
排除が排除を生んだ結果としての事件だと思います。ただ力で子どもを押さえつければいいという発想は間違っています。それでは問題はなくなりません。
押さえつけられるものではないからです。少年たちの背景に目を向ける必要があります。

彼らが安心安全なもとで、暮らせていれば…。排除しない、一番大切なことです。

http://blogos.com/article/107214/

投稿: | 2015年3月 7日 (土) 19時52分

【エンタがビタミン♪】新潮社の名物編集者・中瀬ゆかり氏、“少年犯罪の実名報道”の批判に「野獣の何を守らなければいけないのか」

『新潮45』の元編集長であり、現在は新潮社の出版部部長の中瀬ゆかり氏は、コメンテーターとしても活躍している。
同社の『週刊新潮』が川崎中1殺害事件の主犯格とされる18歳少年の実名と顔写真を報道したことに対し、世間では賛否の議論が巻き起こっている。
「少年法を尊重すべき」といった声もあるが、中瀬氏は出演した番組で激しく反論した。

3月5日放送の『5時に夢中!』(TOKYO MX)“夕刊ベスト8”のコーナーで取り上げられた、“少年犯罪の実名・顔写真報道”に関する記事。
木曜コメンテーターの中瀬ゆかり氏は、自分がもし『週刊新潮』の編集長であっても「出します」と断言する。

かつて彼女が編集長を務めていた『新潮45』は、1998年に起こった「堺市通り魔事件」で逮捕された当時19歳男性の実名と顔写真を記事に掲載した。
“19歳と年齢は成人と変わらないのに、非常に残虐な殺傷事件の犯人が少年法で守られるのはおかしい”と、入念な取材を重ねた上での結論だった。
だが今のようにネットに顔写真が出回る時代ではなかったので、世間に大きな衝撃を与えたという。
その後『新潮45』の発行元である新潮社は、男性とその弁護団から名誉毀損の疑いで訴えられたが、高裁で新潮社側の勝訴が確定した。

今回の川崎中1殺害事件の主犯格とされる18歳少年には非行歴があり、過去には少年鑑別所に収容されていたとも伝えられている。
だが少年は“鑑別所に入っても更生せず、世に放たれた”と考える中瀬氏は、「野獣のような行為をした男の何を守らなければいけないのか」と言葉に力を込めた。

“野獣に人権はない”。これは1989年に起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件で逮捕された少年を実名で報じた、『週刊文春』当時の編集長の言葉である。
少年法に対しては中瀬氏も、これと同じ考え方のようだ。

(TechinsightJapan編集部 みやび)


ソース
Techinsight
http://news.livedoor.com/article/detail/9865087/

投稿: | 2015年3月 9日 (月) 08時06分

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