« 新型うつ病なお増加中、だそうですが | トップページ | 全国医療現場では医療事故が頻発している? »

2015年3月 4日 (水)

イスラム問題に絡んで金融機関が失態

本日の本題に入る前に、先日の人質殺害事件以来、日本でもそのニュースが報じられない日はないと言ういわゆるイスラム国(IS)問題ですけれども、あの悲劇的な事件に関するもう一つの影響としてこんなことを指摘する記事が出ていました。

【人質事件】とても悲しい…でも日本のイスラム教徒への寛容さが世界に伝わった。(2015年2月2日まぐまぐ!ニュース)

(略)
イスラム国関係者以外の世界中の人々が、亡くなられた後藤さんに、心からのご冥福をお祈りしている状況だ。
また当然、イスラム国を非難する声は、それこそイスラム教徒の方々からも「教えに反する」と、世界中で巻き起こっている。
こういうニュースは、いくらでも悲しく暗く報じられるし、実際、マスコミの多くが、そう報じているような印象だ。

しかし、
『物事を多面的に考える』
ということで、この出来事を改めて考えてみると、今、起こっているのは、悲観的なことばかりじゃないような気もしてくる。
例えば、この一件のお陰で、日本や日本人がどれほどイスラム教徒に対して親和的かが、改めて広く世界中に伝えられることになった

前回のこのメルマガや、ブログの方でも取り上げたが、例えば、在日イスラム団体(イスラミックセンター・ジャパン)が、イスラム国へアラビア語や英語も含めたメッセージをインターネット上で発信し、それが広まったりしている。。
とても重要なので、再掲しておこう。

イスラミックセンター・ジャパンは以下の5つの理由を示して、人質を即座に且つ無条件で解放するよう強く要求した:
◆日本は、イスラエル紛争時にパレスチナ支援する等相対的に公正
◆日本がパレスチナに対する最大の援助国
◆日本のイスラム教徒は平穏無事に暮らしている
◆日本政府はイスラム教徒の宗教活動に干渉しない
◆日本は、イスラム国を含めいかなる国にも宣戦布告しない世界唯一の国

また、

「日本人2人の人質を殺すことで、日本人のイスラムに対するイメージ、そして日本に住んでいるイスラム教徒に、とても大きな影響を与える
このような影響に対して、我々は全能のアッラーの前で、イスラム国が責任を負うべきだ。
日本人の人質を殺すことについて、いかなる弁解の余地もなく、正当性もない。」

と厳しく非難している。
こんな感じで、アラビア語や英語で「日本人は敵じゃない」とか、「何やってんだイスラム国」といった声が、世界へ発信されている。
その他、インターネット上では、後藤さんの開放を求める「I AM KENJI」という運動も世界各地でグローバルに繰り広げられていた。

今回、後藤健二さんが殺害されたことは、誰がどう考えたって、どんな言い訳とか言い逃れのできない、とても悲しい出来事だ。
でも、あまりに悲しい出来事であるがゆえ、世界中の人々の心を動かし、いかに日本がイスラム教徒に親和的かという情報が、さらに世界中に拡散されることになる。
同じような悲劇を繰り返したくないと考えているのは、もはや日本人だけじゃないのだ。

むしろ、今回の一件で、世界的なイメージ悪化を懸念するイスラム教圏の国々や信者の方々は、すでに今回の一件について、各所で様々な活動や発言を行っており、そうした中で、いかに日本がイスラム教徒に親和的かという情報も、大々的に広めてくれている
これまで、イスラム系のテロ組織に日本人が殺害されたことはなかったので、当たり前って言えば、まぁ、そうなのだろうけど、歴史上これほどまでに、いかに日本がイスラム教徒に親和的かという情報が、英語、アラビア語を交えて世界中に広まったことは、なかっただろう。
(略)

改めて亡くなられた後藤さんのご冥福を祈りたいと思いますが、今回の事件において否応なしに世界が日本をどのように見ているかと言うことも浮き彫りになってきたように感じますね。
先年に起こったこれまた非常に大きな悲劇である東日本大震災においても、壊滅的な被害を被った被災地での日本人の秩序だった振る舞いが世界的に大きな感銘を与えたと言う話がありましたけれども、「まさかの友こそ真の友」と言う言葉通り、日本の苦境に対して世界中から数多の方々が支援し励ましてくださったことを忘れてはいけないと思いますけれども、そうした気持ちが寄せられる理由は何かと言うことです。
遠い国に思いをはせずとも日本のごく近傍にも国民が今も深刻な耐乏生活を送っている地域があると言いますが、世界的に「地上の楽園を名実共に人民の楽園にしよう」と支援の機運が盛り上がらないと言うのは何故かと言えば、やはり長年積み重ねてきた信用、信頼の差と言うことを考えないではいられませんよね。
近年欧米諸国ではイスラム圏との対立的な構図が日常的に語られるようになり、場合によってはいわゆるテロとの戦争と言った物騒な話にもなる一方で、日本ではそこまで深刻な危機感を持って語られる事が少なかったのは長年外交的に地道な友好関係を築いてきたことや宗教的対立関係が存在しなかったことなど様々な理由があると思いますけれども、要は「日本は敵ではない」と言う信用を得ていると言ってもいいのでしょう。
逆に言えばこうした信用と信頼に基づく関係をさらに維持・発展させていくことが日本にとっても何よりの安全保障対策になると言うことですが、その点で先日少しばかり気になる記事が出ていたことを紹介してみましょう。

団体名に「イスラム」、口座開けず 沼津信金が拒否(2015年3月1日朝日新聞)

 静岡県御殿場市の男性が、自ら立ち上げた任意団体「日本イスラーム圏友好協会」名義で沼津信用金庫(本店・静岡県沼津市)に口座を開設しようとしたところ、団体名に「イスラム」が含まれることを理由に断られた。男性は「『イスラムは怖い』という偏見そのもの」と話している。

 男性は斉藤力二朗さん(66)。エジプトのカイロ大卒で、中東系銀行の日本勤務のほか、日本の大学でアラビア語講師などを務めた。その後、10年前からイスラム圏の政治情勢や事件などについて、自らのブログなどに書いてきた。

 過激派組織「イスラム国」(IS)が日本人を殺害したとみられる事件が起き、その影響で「イスラムは怖い」という偏見が日本に広がっていると感じた。「正しい情報を発信したい」と1月に協会を設立。メールマガジン発行や講演会開催といった活動を始めるにあたり、資金管理用の口座を作ろうと、2月24日に沼津信金上町支店(御殿場市)に電話で相談すると、職員から「イスラムという名前が入った団体では口座は開けない」と言われたという。

第一報を報じたソースがソースだけに様々なバイアスも想定しておくべきなのは言うまでもないことで、別ソースによれば電話で団体名での口座開設を申し込んだところ「イスラムがいろいろと問題になっていることもあり、総合的に判断した」と説明されたと言う当事者談の一方で、銀行側は「任意団体の口座開設は不正利用を防止するため、通常電話で受け付けることはない」とコメントしているそうで、何やら話が食い違いますよね。
一方で朝日の記事によれば同紙の取材に対して銀行側は「将来、イスラムの教えから逸脱した組織などに、口座から資金が流れる疑義がまったくないとは言えないことなどを総合的に判断した」と答えたのだそうですが、もともと口座開設を断られること自体はよくあることで問題ないが、事実銀行側がこのように話したのであれば問題だろうと言う声も少なからずあるようです。
口座開設の是非よりも判断理由を軽々しく語ってしまったと言う対応ぶりの方が問題だったと言うことなんですが、同金庫においても一連の事件を受けて職員に「イスラム国とイスラム社会を分けて考え、誤解を招く発言は避ける」と通知を行っていたと言いながら、どうもその誤解を避ける方法論において現場の解釈にいささか脇の甘さがあったと言うことでしょうか。

個人が(失礼な言い方をすれば)思いつきで作った団体で何らの活動実績も組織としての実態もない、そして名前だけでは一体どんな活動をするのかも判らないとなれば慎重な対応になること自体は当然だし、事実古典的な暴力団から昨今流行りのオレオレ詐欺に至るまで各種の反社会的団体に不正利用されることもあり得ると言う点で、全般的に口座開設に当たって用心をしている金融機関は少なくないようです。
口座開設の是非の判断などは各種の個人情報や社会的信用度の評価などあまり人に知られたくないことも大いに絡んだことであるでしょうから、赤の他人の第三者に対してぺらぺらと内部での判断の詳細を語ると言うのもおかしな話だと思うのですが、そうした観点からしても同金庫と取引をしている方々にとってもイスラム云々は抜きにしてあまり面白いニュースではなかろうとは思います。
世間ではこの一件を受けて「世界に戦争災禍を及ぼす可能性からしたら圧倒的にキリスト教徒が上なんだから、キリストと名のついた口座は全部断るべき」と言った意見も出ているようで、この小さな事件を妙に拡大解釈して問題だ問題だと大騒ぎするのも正直どうかと思うのですが、信用第一であるべき金融機関が思わぬところで信用を失墜したと言う点ではリスクマネージメント失敗の一例だとは言えそうですよね。

|

« 新型うつ病なお増加中、だそうですが | トップページ | 全国医療現場では医療事故が頻発している? »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

「イスラム国」、殺害した人質の肉を母親に食べさせる―台湾紙

FOCUS-ASIA.COM 3月3日(火)11時55分配信

「イスラム国」、殺害した人質の肉を母親に食べさせる―台湾紙

英紙デイリー・メールによると、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が殺害したクルド人男性の肉を調理し、解放交渉に訪れた母親に食べさせていたことが分かった。
2日付で台湾・自由時報が伝えた。

英国から祖国のイラクに戻ったクルド人、アブドラさんが証言した。アブドラさんは「イスラム国」の蛮行を見ていられず、英国での生活をすべて捨て、イラクの反「イスラム国」組織に加入した。
アブドラさんによると、最近、クルド人女性が「イスラム国」に拉致された息子を救うため、「イスラム国」本部に乗り込んだところ、殺害された息子の肉を食べさせられるという残忍な目に遭った。

母親によると、「イスラム国」戦闘員は意外にも親切で、「長旅でお疲れでしょうから先に腹ごしらえをして下さい」と煮込んだ肉やスープなどを振る舞ってくれた。
母親はこれを食べ終えた後、息子の居場所を尋ねたところ、戦闘員たちは「お前がたった今、息子を食べてしまったよ」と嘲笑したという。
(編集翻訳 小豆沢紀子)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150303-00000020-xinhua-cn

投稿: | 2015年3月 4日 (水) 07時21分

周りのムスリムの方々はいたって平和ですけどねえ。
日本ってよくも悪くもムスリムの世界とは遠い感じです。
変にヒステリックになるよりはいいのななって思いますけど。

投稿: ぽん太 | 2015年3月 4日 (水) 08時41分

銀行の口座を開設するのに、実績のない任意団体じゃ、ほぼ100%無理ですね。
自治会関係ですら地元の町内にある信用金庫でやっとOK、しかも昔と違って
代表者名も必ず記載(本人確認も含め)。なので役員改正時、引き継ぎにも
手続きが結構あります。
ちょっと知っていれば、協会を設立っていっても、メンバーは一人だけ?なんて
常識的に難しいのは判るのですがね。
まあ、この人団塊世代みたいですから仕方ないかな?

投稿: | 2015年3月 4日 (水) 09時14分

ほぼ自業自得とは言えなかった事にされている湯川さんに草不可避(www。

>これまで、イスラム系のテロ組織に日本人が殺害されたことはなかったので、

…香田証生さんの立場は?

>日本ってよくも悪くもムスリムの世界とは遠い感じです。

つか、ネット上の通説によるとイスラムの天国って実は日本だそうでw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年3月 4日 (水) 09時54分

>ほぼ自業自得とは言えなかった事にされている湯川さんに草不可避(www。

あのお方の場合ご本人のキャラクターがあまりに立ちすぎているので、表メディアにおいてはいささかエピソードの掘り下げに苦慮しているような気配もうかがわれますね。
いずれにせよ日本人に限定することなく、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするばかりです。

投稿: 管理人nobu | 2015年3月 4日 (水) 12時48分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/61223525

この記事へのトラックバック一覧です: イスラム問題に絡んで金融機関が失態:

« 新型うつ病なお増加中、だそうですが | トップページ | 全国医療現場では医療事故が頻発している? »