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2015年3月24日 (火)

マスコミ報道から見る医療とカルトの親和性

最近のマスコミにおける医療系記事を読んでいて少しばかり気になる点があるように思うのですが、まずは先日出ていたこちらの記事から紹介してみましょう。

現役医師20人に聞いた「患者には出すけど、医者が飲まないクスリ」(2015年3月21日週刊現代)

心の中で「自分なら絶対に飲みたくない」と思っていても、患者には言えない。副作用がひどい、飲んでも意味がない—じつは、そんなクスリを処方している医者は多い
(略)
広く使われているクスリでも、じつは重篤な副作用をもたらすことがある。医者は、自らが服用したり患者に投与したりした経験から、「本当のクスリの怖さ」を知っている。都内の大学病院に勤務する循環器内科医はこう本音を明かす。

患者さんには普通に処方していても、自分では絶対に飲みたくない、家族には飲ませたくないというクスリはけっこうあります

重篤な副作用が生じる、飲んでも効果がない、依存性がある……など理由はさまざまだが、じつは、ほとんどの医者が「患者には出すけど自分は飲まないクスリ」があると言うのだ。

そこで今回本誌は、現役の医師20人にアンケートを行った。自分では飲まないクスリは何か、その理由はなぜかを訊いた。複数の医師から名前が挙がったクスリをまとめて、次ページからの表に記したので、併せて見てほしい。
(略)
多くの医者たちが、自分では飲まないクスリを患者に処方する理由はここにある。クスリを出せば儲かるということのほかに、家族や患者が「出してくれ」と言うからだ。埼玉県の総合病院に勤務する内科医はこう話す。

「本当はクスリを飲まないほうがいい場合でも、何も出さなかったら患者さんに文句を言われます。日本は医療費が安いですから、患者さんのほうも『せっかく病院に来たのにクスリをもらわなきゃ損』という意識があるようにも思います。悪い評判が立つのも嫌なので、仕方なく出していることが多いですね」

病院で出されるクスリが本当に必要なのか、考えたことはあるだろうか。何の疑問も持たずに服用するという人が多いかもしれないが、処方する医師には「患者に言えない事情」もあるということを肝に銘じておいたほうがいい。

もちろん患者さんに言われれば出すが積極的に使いたくない薬など幾らでもあるものですが、ただ記事に掲載された「この薬は使わない」と言う臨床医の声を聞く限りではいささか理由が子供じみていると言いますか、仮にも医学教育を受けただろう方々の口から「使ってみたら強い副作用が出たから使わない」などと言われると、さすがにDHMOの恐ろしさでも語ってみたくなるでしょうかね?
医師が儲け主義で薬を出しているなどと言われても、薬価差益がほぼ解消され医薬分業まで果たされた今の時代に何を言っているんだ?と言う気もしますけれども、実際に臨床的効果の上では似たようなものであると思われるのに薬価が極端に異なると言うちょっと理不尽な気のする薬剤と言うのは少なからずあって、この辺りは今後薬価決定においても医療経済学的側面からも考慮されるべきなのかも知れません。
ともかく全体的には素人向けの低俗なゴシップ記事的な内容と言う印象を受けるのjですが、ひと頃の医療崩壊現象から続く医師vsマスコミと言う構図が世間を味方に付けた医師側有利の状況で収束してからと言うもの、あまり見られなくなっていた印象もあるこの種の記事が、このところ立て続けに出てきていると言う点には少しばかり興味を引かれます。

がんより怖い「がん治療」の実態 医療業界の有り様を知らないとカモに… (2015年3月21日産経ビズ)

 医者が信じられない。頼りになるはずなのに、不信感しか持てなくなりそうだ。このままでは、病院に行くのも怖い。そんな暗い気分にさせる、知りたくなかった医療の現実を見せつけたのが、『がんより怖いがん治療』(小学館刊)だ。がん治療、がん検診、医者の裏側を赤裸々に明かしたのは、『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋刊)で日本の医療界を敵に回した近藤誠氏。40年間にわたり医者として活動してきた慶応義塾大学病院で見てきたことや経験してきたことなどから、医療界の真実の姿を浮き彫りにする。

 ■ともに怖い、手術と抗がん剤治療

 第1章と第2章で明かされるのは、がん治療の怖さ。次のような実態を知れば、怖くなるだろう。

勘三郎さん(歌舞伎俳優の中村勘三郎さんのこと)は、食道がんの手術から約4か月後に亡くなった。真の死因は食道の全摘手術にある。胆汁や消化液を誤嚥し、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)を引き起こしたのは、手術によって胃や気道の機能に障害を起こした結果だからだ。(※第1章19ページ)

(略)

 手術も抗がん剤も信じられない。がん治療が信じられないものになっているのは、患者第一ではない医療界の体質にあった。手術は、19世紀に始まったときから、がん治療の最新、最良の技能と見なされ、医療界に君臨してきた。(中略)手先が器用で手術がうまければ、論文など書かなくても、つまり研究しなくても、出世の道が開けるのが外科である。(中略)よって、切除できそうががんは手術になって、臓器が取られてしまう。(※第1章25ページ)

 抗がん剤治療の恐ろしさは、新薬の実験台(被験者)にされることだ。(中略)第2相試験の実験台に選ばれるのは、もう何をしても治る見込みのない患者たちだ。対象になるのが、乳がん、胃がん、肺がん、卵巣がんなど、もともと抗がん剤が効かない種類のがんだからである。さらに、すでにほかの抗がん剤を使って効果が見られない患者を選んでいるからである。(中略)しかし、治る見込みがないなら、残された人生をできるだけQOLを保ちながら、穏やかに暮らしたい人も多いだろう。それを医者は、ゼロに等しい効果をちらつかせて、実験台にしてしまうのだ。(※第2章45-46ページ)

 がん患者は、出世と実験のために利用されるということか。医療界には、病に苦しむ人を救うという崇高な理念は微塵も残っていないのか、と絶望したくなる。
(略)
 ■不必要な検査や医療は受けないで

 第1章から第3章は、高い専門性を利用し、がん治療でやりたい放題のことをしている医療界の印象を強く印象づけたが、第4章以降は、間違った治療や検診に立ち向かう著者の戦いにシフト。どのように戦い、その過程で達した新境地が中心になっている。
 苛烈な戦いに、著者には味方する者などおらず、孤独な戦いを強いられる。そのため採用した戦法が、メディア利用し患者を味方につけることだった。『文藝春秋』にある論文が掲載されるとき、二人の娘に対して語ったことが、戦いの苛烈さを物語っている。
(略)
 面白くないのが、真っ向から否定された医療界。なりふり構わず著者を潰しにかかる。しかし、そんな医療界をよそに、患者は著者に味方し、著者の外来を訪れる新患は後を絶たない。セカンドオピニオンを求めて来る人が多いことから、著者は治療をせず相談だけを受けるセカンドオピニオン外来を開く。医療界との戦いから著者が読者に伝えたかったことは何か。それは、次の記述で明確に示されている。

 人は自然にまかせて生活するのが一番健やかに、長生きできる。だから読者には、不必要な検査や医療を受けないようにしてもらいたい。そのためには医療や治療法の知識以外に、医療業界の有り様について知っておくことも必要だろう。知らないとカモにされるのである。ほかの業種ならカモられたところで、お金や財産を失うだけだが、医療では最悪の場合、命がなくなる。(※第7章 205ページ)

 医療は産業。治療代と検査代を稼ぎたい病院に、製薬会社や医療機器会社の思惑も絡む。様々な思惑が絡む複雑な構図の中で病院の言いなりにばかりになっていれば、助かる命も助からないことだってある。長生きしたければ、賢くなるしかない。これが、著者が読者に伝えたいメッセージである。

まあしかし近藤先生の過ごされている別世界の日本ではよほどに違う医療が行われているのか、あるいは慶大病院内での常識がこのようであるのかは何とも言い難いのですけれども、とりあえず「不必要な検査や医療は受けないように」と言う点に関しては選定療養費を取っている慶大病院のみならず、全国数多の医師も全く同意であるかとは思います。
さすがに全編この調子の記事ですから長々と引用するのも馬鹿馬鹿しいと言いますか、真面目に相手するのもどうなのかとも思うのですが、先日は週刊コミック誌であのお方監修を謳う新連載が始まり大きな話題を呼んだことなどから考えても、この一種宗教的とも言える一派が社会的にそれなりに商売になる程度の量は存在しているらしいと類推できるところですよね。
個人的には医療などはあくまで自ら求めてお金を出して受けるべきオプションサービスであって、逆に言えば望んでもいない治療を受ける必要など全く無いと思うのですけれども、一部の生真面目な臨床医の方々からは「近藤理論を信じ込んで患者が助かる病気も放置し亡くなっていく!」と批判の声も強いようで、まあこの辺りは最終的には個人と医療との関わり方とはどうあるべきなのかと言う考え方の議論になってくるんじゃないかと言う気がします。
ただ記事として読んでいて誰しも気になるのが明らかに真っ当な記事と言うよりカルトの宣伝そもものと言う体裁を取っていて、それが当たり前に一般誌にも掲載されていると言う点なんですが、このところ例のイスラム国問題に限らず国内でもオウム絡みの話題が再び世間の注目を集めている中で様々なカルト対策なども議論されていると言うのに、その一方の実施主体である当のマスコミがカルト拡散に協力している点が興味深く思われます。
こういう記事が出てくると言うのはそれなりに売れると踏んでのことであるだろうし、それだけ社会がカルトを受け入れる下地がある証明でもあるはずなんですが、どんなトンデモであれ信じればそれが真実になると言う宗教と同じくらいに、知識のない素人だけでなく専門家目線で見ても何事も理屈通りには運ばない臨床医学の世界もまた、本来的にカルトとは親和性が高いと言うことなのだとすれば要注意でしょうか。

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コメント

マスコミに登場する医者ってなにかちょっとズレてる人多くないか?

投稿: | 2015年3月24日 (火) 07時53分

産経の医療記事って昔からダメなイメージ強いんですが。
でもこういうの真に受けた人が増えたら医療費削減にはなるのかな?
本人と家族が納得してるのであればそれもありなのかって気もしますけど。

投稿: ぽん太 | 2015年3月24日 (火) 08時41分

うん十年生きていると、だんだん世の中って半分以上の人は自分で考えずに(考えようともせず)
ただただ流されているんだなぁというのが判ってきた。
正しいことか間違っているのか疑問をもって自分で調べることもしない。
この2本の記事も、シロウトであってもチョットおかしいって思う内容なので、
それを信じ込むようなレベルの人たちが騙されようと仕方ないかな(自然淘汰)って
最近思います。

投稿: | 2015年3月24日 (火) 09時01分

そのまま違う世界で人生を全うしてくれればよいのですが。

投稿: JSJ | 2015年3月24日 (火) 09時24分

>それを信じ込むようなレベルの人たちが騙されようと仕方ないかな(自然淘汰)って 最近思います。

 今現在のように、制度的金銭的扶助だけでは ものを考えないやつがはびこるから(教育しきれないから)、毒を発生するに任せてそれに当たるやつを自滅するに任せる、ですかね? 戦争や恐慌を起こして(自然に起きて、かな)間引きが起きてたのと同じ目的性ですね。これがポストモダン、ってことなんでしょか。

 自然淘汰、ではなく意図的に剪定されてるイメージ。 

投稿: Anonymous Alcoholicus | 2015年3月24日 (火) 09時44分

>そのまま違う世界で人生を全うしてくれればよいのですが。

 社会階層の固定化隔絶化願望ですね。 良くわかります。

 考えること、自己責任を引き受けることが嫌いな人たちに、「社会の行く末」の責任(の一端)を無理やり押し付けてもろくなことにはならない。産経見てればわかるでしょ。苦し紛れにとんでもないことを言い出す。 
 グローバリズムが進んで、国内にも「帝国臣民たることを望み、而して奴隷との違いを指摘されたくない階層」が発生した。そろそろ、両者に差はないという事実を韜晦する必要性もなくなってきた。(十分にゆでガエル)

 世界規模の階層化が安定して次のステップを模索し始めるまで、日本国民の奴隷階層も増え続けることも歴史の教えるところです。先生方もいつまで(知的)貴族性を生き続けられるか。20年以上かかりそうですもの。
 うまくやらないと文化大革命wで紅衛兵(無名氏)に処刑されたくはないですわな。 

投稿: Anonymous Alcoholicus | 2015年3月24日 (火) 10時26分

近藤先生自身のお考えはそれとして、それを長年雇用している慶大病院も同じ考えであると言う判断に社会的にはなりそうなのですが、今後紛争化した場合に組織としてどう対応するつもりなのかが気になりますね。

投稿: 管理人nobu | 2015年3月24日 (火) 10時44分

近藤氏個人の問題じゃなく、慶大病院も問題ありなの?

投稿: | 2015年3月24日 (火) 11時13分

↑使用者責任、って奴ですね。「慶大病院講師」って肩書きがなきゃこんなトンデモがここまで猖獗をきわめる事はなかったワケで、グンマーのセンセイの件で病院側の使用者責任が問われるならコレも問われなきゃ不公平でしょう。

*まあ実際問題クビにするのは難しいでしょうし、したらしたでここぞとばかり「医学界がなりふり構わず潰しにかかってきた!」って喧伝しまくるのは目に見えてますから飼い殺しのがまだマシだったのかもですが。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年3月24日 (火) 11時47分

近藤誠については下記のブログでよくわかります。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20140716
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/35628534.html

投稿: 放置医 | 2015年3月24日 (火) 12時47分

単なる大馬鹿なのか稀代の詐欺師なのか?商売上手なところをみると後者の可能性が高そうだね

投稿: | 2015年3月24日 (火) 13時48分

医者以外にも看護師も薬剤師もマスゴミ界隈にどっぷりの奴は平気で嘘八百並べ立ててる。
よほど金になるのか、それとも現場で酷く自尊心を打ち砕かれたのか知らんが、マスゴミに関わる奴等はマジで職業倫理を捨ててるような奴等ばかりだよ。

投稿: | 2015年3月24日 (火) 21時25分

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