子供にあいさつをしてはいけない?
近年実生活とネット社会とを問わず話題になりやすいのが俗に言う声かけ事案と言う問題で、特に続発する子供相手の犯罪を警戒してか小児相手の声かけ事案に関しては広く地域で情報共有されるべきだと言う考え方は判るのですけれども、先日は「いくらなんでもそれはどうなんだ?」と各方面から絶讚突っ込まれ中のこんな声かけ事案が発生したそうです。
小金井警察署(子ども(声かけ 等))(2015年3月13日警視庁)
3月13日(金)、午前10時40分ころ、国分寺市本町4丁目の公園内で、園児が遊んでいたところ、男に声をかけられました。
■声かけ等の内容
・無言で園児に近づいてきたもの。(不審者の特徴については、60歳代、160cm 位、黒色っぽい上衣、黒色っぽいズボン、帽子、ホームレス風、徒歩)
(略)
無言で声かけをすると言う超絶行動ぶりがあまりにハマッたと言うことなのか、ネット界隈では「エスパーktkr」と大受けしているようですけれども、想像するにホームレス風の方が近づいて来たと言うだけでは様々な意味で問題化しにくいので、声かけ事案と称して広報しているのかと言う気もしますがどうでしょうね。
この声かけ事案問題に関しては以前にも当「ぐり研」で迷子らしい泣いている子供を見かけたものの、声かけ事案扱いされることを懸念して非常に徹底した対応を取った男性の行動が話題になっていたことを紹介しましたが、もちろん警察から情報が出されるケースの大多数は素人目にもあからさまに普通ではない、あるいは率直に変質者と言うしかない方々であると察せられるものです。
そうは言っても一部では「それはどうよ?」と疑問符がつくケースもこうして情報発信されてしまうと言う点も気になるわけで、実際に先日もこんなケースが議論を呼んでいたことを紹介してみましょう。
子供へ声かけ ついに挨拶もNGに(2015年3月26日webR25)
東京の赤羽警察署が、公園で遊んでいた児童に「さようなら」と声をかけた40代の男を不審者情報としてホームページに掲載し、驚きの声が寄せられている。
全国の警察は、子どもを犯罪から守る防犯パトロールなどに活用するため、「声かけ」「つきまとい」「公然わいせつ」「ひったくり」といった、地域で発生した不審者情報を登録者にメールで配信しており、あわせてホームページにも掲載している。しかしそれらのなかには、
「帰宅中の女子児童らが、青色トラックから降りてきた男から『あのー』と声をかけられる」(2010年6月 長崎県警)
「女子学生の後ろを、男が同じ方向に歩いていた」(2012年12月 小倉北警察)
「児童が遊んでいたところ、男に声をかけられました。声かけ等の内容・そんなことじゃ、日本代表になれないぞ」(2013年6月 野方警察署)など、不審者なのかどうかが疑わしい内容のものが含まれているのも事実。それらはしばしばネットで話題となってきたが、3月12日に登場したのが以下の「声かけ」だ。
「3月11日(水)、午後3時50分ころ、北区神谷2丁目の公園内で、児童が遊んでいたところ、男に声をかけられました。
声かけ等の内容
・さようなら
不審者の特徴:40歳代、160cm 位、やせ型、短髪茶色、茶色っぽいジャンパー、黒色っぽいズボン、マスク、徒歩」この「声かけ事案」は、ツイッターでも話題となり、
「これはええやろww」
「とうとう日本の男性はあいさつさ出来なくなったんだな…」(原文ママ)
「都内では挨拶しただけで不審者になるのか?」
「一体、日本はどうなっていくのかな?」
という声が登場。さらには
「子供が倒れていたとしても保身の為に無視せざるを得ないような時代がくるよ」
「女性と子供は死に掛けてて助けを求められても、放置しないと不審者」
と、先々を憂う意見まで寄せられた。“事件”が発生した東京都北区は、地域環境浄化活動の一環として、「青少年健全育成のための地域環境づくり推進活動(あいさつ運動)」を行っており、内閣府が唱える「子ども・若者育成支援強調月間」である11月には、「あいさつ運動」と銘打って毎年さまざまなキャンペーンを実施しているという。
今回提供された情報だけでは、「さようなら」がどのようなシチュエーションで発せられたのかを知る由もないが、子どもへのあいさつが不審者情報に掲載されたことは、多くのネットユーザーにとって驚き以外の何ものでもなかったようだ。
記事にもあるように全国各地域でむしろ子供には積極的に声かけしよう、地域全体で子供を守り育てようと言う運動も展開されている中で、このニュースをどう解釈すべきか迷うと言う方々も少なくないと思いますが、声かけに限らず遊んでいた子供が転倒して泣き出したところに声をかけたところ、たまたま親がやってきて不審者扱いされたと言う経験は結構多くの方々があるのだと思います。
その場合にもちろん地域のコミュニティー内で顔見知りであるとか、あるいはきちんと無理なく状況説明出来るのであれば何らトラブルにはならない場合が大多数だと思いますが、何しろ引きこもりや草食化等々個人と社会との関わりにこれだけ支障が出ていると言われる時代ですから、思いがけない誤解を受けた結果警察から注意を呼びかけられてしまうと言うケースもあるのかも知れません。
こうした情報が発せられる基準として客観的異常性などももちろんですが、当の子供が恐怖や不安を感じたかどうかも重視されるようで、実際にこれだけの情報ではどのような状況での事案だったのか何とも言えませんけれども、そうであるからこそこれだけ議論にもなり過剰防衛にもつながりかねないのですから、何故情報共有の必要性を感じたのか?と言う状況説明についても併せて記載してもらいたい気はします。
そうは言ってもこうした時代ですから、その何となく不安を感じたと言う部分において差別反対だとか人権侵害だとか各方面からクレーム殺到と言う事態も予想されるところなんですが、お隣中国では転倒した老人を手助けした人が逆に慰謝料を要求されたなどと言うトンデモ事案が発生して以来誰も倒れた人間に手をさしのべなくなったと言うくらいで、情報拡散が広く速いだけに社会の反応もまた過激になりがちだと言う認識は必要でしょう。
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コメント
大人に挨拶もしないのに、子供にだけ挨拶するのは怖い
投稿: | 2015年3月20日 (金) 09時47分
2015/03/19 14:00:55
不審者注意!!(中標津町)
3月18日午後3時半ころ、中標津町内において、被害者が歩行中、後方から男(身長180センチくらい、35歳くらい、肥満型)に、
突然「こんにちは」と声をかけられ、不審に思い急いでその場を離れましたが、再度男に「こんにちは」と声をかけられるという事案が発生しました。
行為者は発見しましたが、まもなく春休みを迎え、不審者情報が増えると予想されます。防犯対策の徹底をよろしくお願いいたします。
http://anzen.m47.jp/mail-260530.html
投稿: | 2015年3月20日 (金) 10時57分
ご紹介いただきましたケースでは後追いしていると言う点で不審者らしくも思えるのですが、やはりどのような点が不審であったのかが判るような情報を出していただきたいですね。
投稿: 管理人nobu | 2015年3月20日 (金) 12時48分
前を歩いていた女性が鍵を落としたことに気づきましたが、
声を掛けたら事案になるリスクを知っていたので無視したことがあります。
自己防衛が大事な世の中ですね。
投稿: | 2016年10月27日 (木) 14時19分