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2015年2月18日 (水)

生殖医療に関わるトラブル

本日の本題に入る前に、昨今では生殖医療の進歩と普及が日進月歩の勢いで進んでいますが、基本的にその進歩が歓迎される傾向の強い医療技術の中でも必ずしもそうではないケースがままあると言うのも生殖医療の特徴なのでしょうか、各方面で賛否両論の議論にまで至っていることは周知の通りですよね。
そんな中で生殖医療に関係して、先日ちょっと妙な方向でそれが活用されてしまった結果裁判沙汰にまでなってしまったと言う事例が話題になっています。

体外受精の将来も左右しそうな「精子すり替え裁判」が、元女子アナ夫妻の間で進行中(2015年2月16日現代ビジネス)より抜粋

(略)
体外受精をめぐる前代未聞の裁判

ある男女の口論が録音された音声ファイルがある。こんな内容だ。

男「このことは明らかに僕にも関係していることだと思わないのかい? 僕にも(父親としての)権利があるんだ」
女「あのね、もうここまで言ったら……実はあなたは関係ないのよ」
男「関係ない?」
女「新しい精子なのよ。そしてそれは〇〇(実際は実名)のものなの」
男「ええ! また君はウソをついたってことか。今になって○○の精子だなんて……」
女「そうよ」
男「で、僕のもののように見せかけて……」
女「そうよ」

男性のショックと狼狽ぶりが伝わってくる。この女性は、口論の相手である夫とは別人の精子で体外受精の治療を受け、妊娠を遂げたのだ。
その事実を知った男性は激怒し、ついに裁判を起こした。上記のやりとりも、裁判に証拠として提出されたものなのである。

男性の名は川田洋一氏(48歳・仮名)。都内で教育関係のソフトを作る会社を経営している。女性のほうは、かつてはフリーアナウンサーとして活躍していた遠藤恭子氏(42歳・仮名)。有名バラエティ番組のアシスタントや、NHK教育テレビの外国語会話番組のキャスターなどを務めた経歴がある。
川田氏は、元妻への憤りをこう語っている。

「彼女は意図的に精子をすり替えたんです。本当は新しい恋人の精子でできた子なのに、私との子として産んで私から養育費をもらい、その上で恋人と暮らそうと考えた。悪魔のような発想だと思います。
もう一つ、私が世に訴えたいのは、不妊治療をするクリニック側の問題です。女性が他人の精子を夫の精子だとして持ち込んでも、まったくチェックが行われない。精子の『本人確認』がないんです。人間の生命にかかわる治療が、このように杜撰に行われていていいのでしょうか」

川田氏の驚きと憤りは、男性なら理解できるだろう。
自分の子供だと思って離婚した妻に養育費を払っていたら、実は妻が別の男の精子で体外受精した子供だった――。そんな恐ろしいことが現実に起こりうるのだ。
女性側の立場からすると、カネ持ちの元夫から養育費を引っ張り、そのカネで好きな男と子供と幸せに暮らすという、いま流行りの「後妻業」よりももっと狡猾な手口が可能になる、ということだ。
(略)

当事者の一方にソースを依存した元記事の内容を信用する限りではいささかそれはどうよ?感が強い経緯であったようですが、ゴシップとしてはともかくとして不妊治療を行うに当たって本人確認性をどうするのかと言う私的は確かに重要で、医療現場においても患者取り違えを避けるために様々な対策が講じられていますが、基本的に患者本人が嘘はつかないと言うことを大前提にしている部分はありますよね。
外来で患者の名前を呼び診察室に入れようとしたところ何故か二人同時に入ってきた、聞いてみると一人は単に名前を聞き違えただけであったと言うことであれば単純なうっかりで済みますけれども、例えば他人の保険証を使おうとしていたりで意図的に名前を騙ろうとする人に対して、現場でどこまで確実に本人確認を行えるかと言えば疑問ですし、実際にそうした詐欺的行為を行っている人もいらっしゃるようです。
そもそもこうした行為は詐欺に問われますし、保険証一枚でサラ金で大金を借りることも出来るのですから貸す方も貸す方なのですが、現実的に軽い病気のつもりで病院にかかったら思いがけない重病だった、さてどうしようと言うケースもあるようですし、今後医療機関をまたいでの診療情報のやり取りが進むほど病歴の整合性が取れなくなり診断を誤るリスクも出てくると言った不具合があることは自覚しておいていただきたいところです。
いささか余談が長くなりましたけれども、不妊医療の進歩に伴い特に女性にとって人生の選択枝が増えたのは事実だし、一部自治体などでは将来の妊娠に備えた卵子凍結保存に補助金を出すと言う話もあるようですが、高齢出産のリスク等々様々なデメリットも指摘されるところで、関連学会においても個人の権利との兼ね合いでいささか扱いに苦慮しているようですよね。

<健康女性の卵子凍結助成>日産婦「推奨せず」との考え示す(2015年2月8日毎日新聞)

 順天堂大浦安病院(千葉県浦安市)と浦安市が、健康な女性が将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存するバンク構想を進めていることについて、日本産科婦人科学会(日産婦)の苛原(いらはら)稔・倫理委員長は7日、毎日新聞の取材に「(健康な女性を対象とすることは)推奨しない」との考えを示した。

 苛原委員長は理由として、(1)卵子を凍結保存した場合、将来妊娠できる可能性は高くはなく有用性がはっきりしていない(2)女性が妊娠を先送りすると出産年齢が上がり、医学的なリスクが高まる--の2点を挙げた。

 卵子凍結は、がんなどの治療で卵巣機能が低下する恐れのある女性患者のほか、最近は若い健康な女性が将来の妊娠のため取り組む例が出ている。一方、凍結卵子による妊娠率は1~2割にとどまる。浦安市は、少子化対策の一環として市民を対象に凍結保存費用の助成などを計画する。

 健康な女性の卵子の凍結保存については、日本生殖医学会が2013年に指針をつくり、「40歳以上は推奨しない」など条件付きで容認。日産婦は昨年、がんなどの治療を受ける女性患者について、実施施設に報告を義務付けるなどの指針をまとめた。【下桐実雅子】

先日関西で開かれた日本医学会総会においても高齢出産のリスクに関する講演会があったそうで、「いくつになっても産めると男女ともに思い違いがあるのではないか?」と産科医自身が今まで教育をきちんとしてこなかったことへの反省も聞かれたそうですが、ただ生殖医療を行っている先生方と、実際に妊娠、出産を扱う先生方とでいささか立場に違いもありそうに感じますがどうなのでしょうね?
昨今ではご存知のように受精卵検査なども簡便に行えるようになった結果、「子供の産み分けにつながる」「いや妊娠確率を上げるためにも必要だ」と専門家の間でもその活用を巡って意見が分かれているようですが、これまた利用する当事者目線で考えると「高齢妊娠、出産にはリスクがあるとあれだけ強調しているのに、そのリスクを少しでも下げる方法を禁じようと言うのは何故?」と素朴な疑問も抱くところかも知れません。
分娩施設によっては不妊治療を受けていた方の出産はお断りしていると言うところもあるようですし、これに対して妊婦側も不妊治療を受けていたことを隠して出産に臨んだり、中には(施設側の受け入れがないことが原因でしょうが)いわゆる飛び込み出産のような形で産もうとする人もいるとかいないとかですが、ただでさえリスクある妊娠であるのに肝心な段階でリスクをさらに高めるようなことではもったいない話ですよね。
これもまた生命倫理などと言うもの以前に、少しでも高い確率で妊娠させるために努力している側とその結果を受けて子供を取り上げる側との考え方の違いも関係しているのかとも思いますが、一生懸命努力してお金と時間を使ってようやく妊娠にたどり着いたにも関わらずそれが祝福される出産につながらないのであれば不幸な話ですから、理想的には終始同じ施設や同じ考え方の元で対応されるのがいいのだろうとは思います。

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コメント

自分の金でやるんだから好きにさせてやればいいだろうに
なんでも自分も好みどうりでないといやな人がいるんだろうなあ

投稿: | 2015年2月18日 (水) 07時37分

将来に対する保険としちゃ成功率が低すぎる気が。>卵子凍結
それでも何もしないよりは気持ち的に違うんでしょうけどねえ。
今のとこ事実を説明して慎重に利用してもらうってとこなんでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2015年2月18日 (水) 08時30分

>浦安市は、少子化対策の一環として市民を対象に凍結保存費用の助成などを計画する。
そんな成功率の低いことに税金を投入することの是非については議論あって当然でしょう。
たぶん浦安市としては、希望者はそんなに多くなく従って支出総額も大したものにならないと踏んでの計画なのでしょうけど。
若い母親への養育費助成をするとしたら桁がいくつか違うんじゃないかしらん。

投稿: JSJ | 2015年2月18日 (水) 09時27分

>そんな成功率の低いことに税金を投入することの是非については議論あって当然

不妊治療の助成ってありますが42歳までだの39歳までだの高齢まで助成される
成功率の低い不妊治療を、諦めずに繰り返す人に助成を続けるのと天秤にかけたら
卵子凍結の助成の方がまだマシかも?どうなんでしょうね

投稿: | 2015年2月18日 (水) 10時28分

税金でやる以上は文句言われても仕方ない
実際成功率も微妙だしそれより結婚しなくても子供がいる人にお金渡す方がいいでしょ

投稿: | 2015年2月18日 (水) 11時30分

いわゆる費用対効果を考えた場合に、例えば将来的に予想される納税額と出産養育コストの比較といった話になるとまた話が難しくなるかも知れずで、行政的にはざっくり少子化対策で済ませておくのが無難なのでしょうけれどもね。

投稿: 管理人nobu | 2015年2月18日 (水) 12時35分

>精子の『本人確認』がないんです

自分の大切な精子を、自分で持ち込む労力をサボって、何を他人のせいにしてんだか

投稿: | 2015年2月18日 (水) 13時20分

つか精子って出したてのフレッシュなの使うんじゃないのか

投稿: | 2015年2月18日 (水) 18時56分

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