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2015年2月10日 (火)

たいていの場合に偽医者は名医な不思議

またぞろ無資格者の医療行為が見つかったと話題になっていましたが、これがなかなか大がかりな話であったようなので紹介してみましょう。

無資格で医療行為の疑い、3人逮捕 7人に血管手術か(2015年2月4日朝日新聞)

 医師免許がないのに手術などの医療行為をしたとして、千葉県警は4日、同県松戸市にあった診療所「東葛整形外科・内科」に勤めていた男(67)=同市=ら3人を医師法違反(無資格医業)容疑で逮捕した。捜査関係者が明らかにした。

 捜査関係者によると、男らは昨年3~7月、いずれも同市内にあった診療所の本院と分院の計2カ所で、医師免許がないにもかかわらず、市内の50~80代の患者7人に血管の手術などをした疑いがある。血液がたまって血管が浮き出る「静脈瘤(じょうみゃくりゅう)」の治療で皮膚を切開するなどしていたとみられる。

 患者は昨年1~8月で延べ数百人おり、男は診療報酬を詐取した疑いもあるという。

 千葉県によると、診療所は今年1月に廃院になった。

無資格医、延べ700人診療…報酬不正請求か(2015年2月5日読売新聞)

 千葉県松戸市の診療所で、経営者らが医師免許がないのに手術や注射をしていたとされる事件で、この診療所では、昨年だけで延べ約700人が診療を受けていたことがわかった。

 県警は診療報酬を不正請求した詐欺の疑いでも捜査する。

 医師法違反(無資格医業)容疑で4日に逮捕されたのは、診療所「東葛整形外科・内科」の経営者山本武男容疑者(67)(松戸市西馬橋)ら3人。発表によると、3人は昨年3?7月、医師免許がないのに53?82歳の7人に手術や注射、リハビリ方針の決定などの医療行為をした疑い。

 県警によると、山本容疑者は同診療所で2012年1月頃から医療行為を行っていたという。県警は昨年9月、診療所を捜索し、カルテや偽造された山本容疑者名義の医師免許証を押収。診療報酬明細書から、昨年1?8月に延べ約700人が診療を受け、診療報酬として約6800万円が県国民健康保険団体連合会などに請求されていた。

無資格医療事件、経営者数十件手術か(2015年02月05日読売新聞)

 無資格で医療行為をしたとして経営者らが逮捕された松戸市の診療所は、「雰囲気がいい」と患者から思われていた。県警が4日、3人を逮捕した医師法違反事件。経営者は医師免許を一度も取得したことがないのに、どのように医療技術を学んだのか。県警は全容解明を進める。

 逮捕されたのは、診療所「東葛整形外科・内科」の経営者山本武男容疑者(67)(松戸市西馬橋)のほか、同診療所を運営する医療法人社団「東洋医心会」の元理事川村祐一郎(60)(愛知県半田市)、理事上杉和弘(52)(松戸市上本郷)両容疑者。

 県警生活経済課の発表では、同診療所に勤務していた看護師や非常勤医師らは山本容疑者について、「医師だと思っていた」「技術が高い」などと証言したという。

 昨年9月まで約3か月間、腰痛治療で通っていたという80歳代の女性は取材に対し、「病院の雰囲気は良く、『おかしい』と思うようなことは何もなかった」と話した。

 県警は2014年3月、松戸保健所から「医師不在で診療している」と相談を受け、捜査を開始。同年9月に本院(同市上本郷)や分院(同市馬橋)を同法違反容疑で捜索した。女性(53)と男性(64)は4月、切開や縫合が必要な足の静脈瘤(りゅう)の手術を受け、女性は手術から約半年後、別の病院で再手術を受けていた。

 同課によると、山本容疑者は柔道整復師や鍼灸(しんきゅう)師の資格を持つが、医師免許は一度も取得したことがない。しかし、静脈瘤の手術を少なくとも数十件行っていた疑いがあるほか、神経へのブロック注射もしていたという。

 山本容疑者の同診療所での医療行為は12年1月から始まった。同課はこれ以前にも山本容疑者が別の医療機関で医療行為をしていた可能性もあるとみて捜査する方針だ。

ここで注目いただきたいのは逮捕されたのが経営者や理事と言うクリニックのトップであり、通常であれば被雇用者の免許の有無をチェックする立場にある者が自ら無免許診療行為に励んでいたと言う点ですが、確かにこれでは偽造免許証であっても発覚しないのも当然で、そもそも保健所がどうやってこうした事情を把握したのかも気になるところですよね。
しかし今どき医師免許も原本の確認でなければならない時代に無資格の偽医者を雇用すると言うのは、仮に容疑者が以前に勤務していたと言う医療機関の存在が明らかになればチェック体制の甘さを指摘されても仕方ないとは思うのですが、経営者自身が無資格の偽医者であったとするとこれはなかなか確認作業も何もないのだと計算に入れて、自らクリニックを開設までしたと言うのであれば非常に大がかりな偽医者騒動と言うことになります。
素人に血管手術が出来るのか?と言う素朴な疑問もありますが、学生向けのテキストなども医学部界隈の本屋やネットで幾らでも手に入る時代ですし、そもそも今の時代医療従事者自身が様々なソースから自習し新たな技術を身につけていくのが当然であって、やる気のある人間であれば誰であれ知識や技術を身につけられるだけのものが世の中幾らでもあふれているのは確かでしょう。

ところで今のところ大きな医療事故が発覚していないらしいと言うのは幸いであったとして、例によって患者からは評判が良かったようだと言うのが良いのか悪いのかですが、当然ながら医療技術や知識水準では本物の医者には劣る(と思われる)ならば、何かしら衆に優れた売りでもないことには経営が立ちゆかない道理ですから、患者の評判を高めるために接遇面において工夫を凝らしていると言ったことがあったのかも知れませんね。
この点で先日阪大で外国人患者の目線で見た日本の医療に関するシンポがあったと言いますが、CTを始めとする画像診断機器が豊富で無保険の外国人にとってもコストも決して高くない等々様々な面で国際的競争力があるとしながらも、一方でベッドサイドでの医師の説明が不十分であり「AからZまで説明をしてほしいと考える外国人には不満に感じる」と言う指摘があったようです。
この辺りは諸外国の2~4倍の患者数をこなしている日本の臨床医の多忙さももちろん影響を与えていると思いますが、一般的に顧客が明らかに不満を感じる水準の対応と言うのは余計な悪感情を抱かせ、後々かえって手間暇がかかると言うこともあるわけですから、少なくとも標準的な顧客が「まあここまでしてもらえたなら」と納得出来る程度の対応は普段から心がけておいた方がよさそうです。
ただこれも地域性や顧客によってもベストな対応は異なると言うことがあって、懇切丁寧に分かりやすく説明したつもりでも「そういうことは私達には判断出来ませんから先生が決めてください」と言われガックリ来たりだとか、「余計な時間をかけないでさっさと薬を出してくれ」と急かされたりと言ったこともあるわけですから、原理原則に反しない範囲で相手を見ての柔軟な対応が求められるのでしょうね。

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コメント

どこから開業資金が出たんだろ?と不思議だったけど
銀行は融資するのに医師免チェックまではしないんだろうな

投稿: | 2015年2月10日 (火) 07時52分

>偽造された山本容疑者名義の医師免許証を押収

あの精巧なすかしの偽造はやはり一筋縄ではね…

投稿: ぽん太 | 2015年2月10日 (火) 09時08分

21世紀にもなったのですからもう少しスマートな資格確認の方法があって欲しいですが、電子化が進めば診療報酬請求と同時にオンラインでのチェックも可能になるのでしょうか。
ただ本物の医師もいた様子なので、本物の医師名義で全てのレセプトを出していれば未だ発覚していなかったのかも知れません(幾ら何でも点数が多すぎるといずれは引っかかりそうですが)。

投稿: 管理人nobu | 2015年2月10日 (火) 11時21分

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