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2015年2月 3日 (火)

医療費抑制で薬局がターゲットに?

本日の本題に入る前に、昨今では社会保障費増大は日本の将来に関わる大きな課題であると認識されてきていて、マスコミ諸社も以前のようにとにかく社会保障はどんどん充実させろと言った財源なき無想は必ずしも語らなくなってきた感がありますが、そうした危機感増大の裏付けになる話の一つとして先日もこんな記事が出ていました。

国民健康保険、拠出金増え3139億円の赤字(2015年1月29日読売新聞)

 厚生労働省は28日、自営業者らが加入し、市町村が運営する国民健康保険(国保)の2013年度の財政状況(速報)を発表した。

 一般会計からの繰入金を除く実質収支の赤字額は、3139億円(前年度比85億円増)となった。高齢化で、医療費や後期高齢者医療制度への拠出金が増えているためだ。

 保険料を納めた人の割合(収納率)は、徴収体制を強化したこともあり、90・42%(前年度比0・55ポイント増)と改善した。90%台を回復したのは6年ぶり。

 厚労省は国保の厳しい財政を支援するため、15年度から約1700億円の公的資金を投入することを決めている。

 一方、都道府県単位の広域連合が運営する後期高齢者医療制度の13年度財政状況(速報)は、前年度比178億円増となる457億円の黒字だった。

ご存知のように国保と言えば自営業者は元より定まった収入のない方々も加入するもので、その意味ではマスコミが盛んにその保護を訴える社会的弱者に相当すると言えますけれども、支出自体の増加もさることながら保険料収入の不足から公費繰り入れ分が年々増加していることも問題になっていて、その穴埋めをどうするのかと言う点も大きな課題ですよね。
一方で後期高齢者医療制度は意外にもと言っていいのかどうか、黒字を計上していると言うことが昨今言われる高齢者の様々な特例あるいは特権の廃止を正当化する根拠になると言うことなのでしょうが、国保にしろ後期高齢者医療制度にしろサービスの利用者とそのコストの負担者とが食い違っていると言うことがあるわけで、こうした話を聞けばお金を出している側からすると「どこかに無駄な出費があるのでは?」と言う気にもなるでしょう。
その意味で近年国が音頭を取って高齢者の終末期医療はほどほどのところでやめておきなさいよと言う話に持っていこうとしているのは、やはり支出抑制と言う側面もあることは否定出来ないんだろうと思うのですが、今までどちらかと言えばあまり厳しい監視の目が及んでいなかった気配のあった領域にも急激に支出削減の圧力がかかっていると思わせるのがこちらの記事です。

保険薬局に対する個別指導は前年度比3.3%増の1437件に(2015年2月2日DIオンライン)

 2013年度の保険薬局に対する個別指導は、前年度比3.3%増の1437件となり、5年前に比べ約3割増えていることが明らかになった。

 厚生労働省が1月30日に公表した「2013年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」によると、保険薬局・保険薬剤師に対する13年度の指導・監査の件数は、個別指導1437件、新規個別指導2509件、集団的個別指導3967件、監査10件、取消1件だった。個別指導は前年度比46件、3.3%増、集団的個別指導は同265件、7.2%増で、増加傾向にある(表1)

 保険指定の取り消しを受けたのは、架空請求をした後藤薬局下郡店(大分市)の1件。返還額は152万9000円。
(略)

記事を見る限りでも相当な急増ぶりと言ってよさそうで、これまで乾いた雑巾を絞るように厳しい査定監査を受けてきた各病院からすれば、ついに薬局も同じような厳しいチェックにさらされることになったかと感じるような話でもあると思うのですが、一見すると今年度は指導の増加率が鈍ったように見えるのは11年度に関しては震災を考慮しかなり甘いチェックを行った結果、12年度には例年以上に厳しく対応したと言う事情もあるようです。
医薬分業で医師と薬局との間に直接的つながりがなくなった結果、例えば薬剤指導管理料を算定するかどうかで医師と薬局の間で解釈の違いが発生していたとしても分かりにくかっただろうものが、このところのレセプト電子化等の影響でチェックはかけやすくなったのかな?とも思ったんですが、個別の指導内容を見るとコストを取ったにも関わらずそれにふさわしい対応をしていないと言うものが多いようです。
もちろん実際には行っていない服薬指導等を行ったように偽ると言うことは論外ですけれども、考えてみますと病院においてもレセプトチェックと言うのは非常に細かく経験も必要な作業であり、そうであっても必ず相当の部分が着られてしまうことを考えると、零細な調剤薬局がどこまで厳密に保険診療のルールに則っての対応が出来るものか?と言う気はするでしょうか。

将来的にはある程度経験を積んだ薬局側もほどほどのところで対応が出来るようになり、査定率も横ばいになってくる可能性もあると思いますが、現状では高齢になった薬剤師が長年地域の顧客を相手にやってきたようなごく小さな調剤薬局などは猫の目のように変わる医療制度についていけないでしょうから、その生殺与奪はお上のさじ加減次第と言ってもいいのかも知れません。
2014年度の診療報酬改定に当たって、日医会長が診療報酬の本体部分はせめて消費税値上げ分は上げてもらわなければ困る、その分の財源に薬価引き下げ分を回すべきだと言い出して注目された経緯がありますが、ともかく各地の病院が経営難に陥っている間にも薬局は高い黒字率を誇り、薬剤師会で講演した日医の理事がこれを評して「母屋ではおかゆをすすっているのに、離れではすき焼きを食べている」とまで言ったと言う話もありました。
別に日医が言ったからどうこうと言う話ではないにせよ、国としても医科に対しては厳しいチェックをしてきた一方で、薬科に関してはどうもそこまでではなかったと言う認識はあるのでしょう、今後さらに薬科に対して厳しく突っ込んでくるようだと、さて次はいよいよ柔整問題にもメスが?と考えてしまいますね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

削るなら公平に削って欲しいですね

投稿: | 2015年2月 3日 (火) 07時57分

 製薬会社ノバルティスファーマ(東京都港区)が3000例以上の薬の副作用情報を国に報告していなかった問題で、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反にあたるとして、
厚生労働省が同社を業務停止処分とする方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。停止期間は15日前後で検討している。ノ社に対する行政処分は2回目で、
製薬会社が副作用の報告義務違反で業務停止処分を受けるのは初めて。

 医薬品医療機器法は製薬会社が重い副作用を把握した場合、30日以内に国に報告することを義務付けている。ノ社は白血病治療薬を巡る16例の副作用を報告しなかったとして、昨年7月に業務改善命令を受けた。

 その後も同社の全医薬品について社内調査を続けた結果、26種類の薬で3264例の重い副作用情報を国に報告していなかったことが分かり、昨年12月に同省に報告していた。

 ノ社側は3264例の中には医師向けの添付文書の変更が必要になるような新たな重大症例はなかったとしているものの、厚労省は件数が膨大なことから業務停止が妥当と判断した模様だ。
ノ社以外に類似薬の製造元がない医薬品については、患者への影響を考慮して販売継続を認める方針。

 ノ社を巡っては、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の虚偽広告事件で元社員が起訴されている。厚労省はこの虚偽広告についても業務停止を視野に行政処分を慎重に検討している。【桐野耕一】

http://mainichi.jp/select/news/20150203k0000m040137000c.html

投稿: | 2015年2月 3日 (火) 10時07分

医療費抑制の答えは、安楽死制度導入である。

投稿: | 2015年2月 3日 (火) 11時35分

しかし上に紹介いただいた記事、卸しや薬局にも在庫があるでしょうから直ちに大きな問題はないのかも知れませんが、製薬会社等医療に関わる業種においてはペナルティーをどう与えるかにも判断が難しそうですね。
薬局にしても今までの緩い監査の状況であったからこそ採算性の怪しい小薬局も存続を許されてきた面はあったでしょうから、国民の利益も考えれば単純に厳しく締め上げればいいと言うものでもないはずですが。

投稿: 管理人nobu | 2015年2月 3日 (火) 11時51分

ところで自殺って保険診療にならないんだっけ?
これだけ数が増えたらお金もかかってるのかな

投稿: やっさん | 2015年2月 3日 (火) 19時15分

ディオバンについては、もし薬効に根拠が無いと言う理由で発売中止なんてことになったら後発品はどうなるんだろうという余計な心配をしたくなります。

投稿: クマ | 2015年2月 4日 (水) 00時42分

 薬効が無いのに認可したならPMDAの責任で、営業停止ではなく薬価収載取り消し。その時はゾロもみんなこけるだろうけど 今回はそのレベルじゃない。
 ほかのARBより優れているわけではないのに、虚偽データで優れていると誇大宣伝した件は、まだ処分の決定がおりていない。副作用を報告しなかった件が、より悪質とされて先に処分決定がおりた。早々と公表するのは、エンドユーザーに迷惑かけぬようにせよ、と関係者に準備をうながしているのだろう。流通の独占する代わりにこういう時に汗を流す義務も負う、ということ。と薬事法に書いてある。

 個人経営の薬局は消えつつある内情はともかく、大手のチェーン薬局はもうけすぎているらしいことに世間の目は厳しい。

【規制改革会議】医薬分業テーマに公開討論 薬事日報 2015年2月2日(月) 配信 以下要約
 規制改革会議は1月28日、国民の関心が高い分野の検討課題をめぐり、世論喚起を目指す「公開ディスカッション」のテーマに、医薬分業における規制の見直しを取り上げることを決めた。
 院内処方よりも、院外処方として保険薬局で薬を受け取る方が患者の負担額が大きくなることに対して、医療費の負担増に見合ったサービスを患者が受けられているのか、医薬分業の効果が本当に出ているのかという疑問について患者視点に立った議論をする。 3月12日に予定。

投稿: 余計な心配? | 2015年2月 4日 (水) 14時31分

薬のカルテ17万件未記載 調剤薬局「くすりの福太郎」朝日新聞デジタル 沢伸也、風間直樹、丸山ひかり 2015年2月10日05時45分

>
〈薬剤服用歴(薬歴)〉 薬剤師が患者ごとに作成する「薬のカルテ」。アレルギーなどの体質や過去の副作用▽服薬中の体調の変化▽副作用が疑われる症状の有無▽併用薬▽残薬状況▽処方薬や服薬指導の内容――などを記録する。調剤するときに点検し、健康被害を防ぐ。日本薬剤師会によれば、高脂血症治療薬を処方された患者が、別の医師に処方されていた薬と一緒に併用すると肝機能障害などの副作用が起きる危険が高いことが薬歴からわかり、医師に連絡した事例があった。

 しばらく410円つけてやるから、電子化でもクラウド化でもして役に立つように立ち上げて見せろ、が、画餅のままで期限切れになったってことだ。

 >福太郎では、薬を渡す時に薬剤師が患者の状況を紙にメモし、後でパソコンで管理されている薬歴に詳しい情報を打ち込む手順になっていた。しかしパソコンに入力されないまま、メモが大量に放置されていた。福太郎関係者は「薬剤師が足りず、薬歴を書く余裕がなかった」と話している。

 410円は時給2000円でも12分に相当。人手がないのは、結局、薬局が喰っちまったからだ。 

投稿: 管理料410円 | 2015年2月10日 (火) 17時01分

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