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2015年2月25日 (水)

大学教育の現状が問われています

近年歯学部や法科大学院と言った将来的に専門資格取得を目指す学部において、卒業しても国家資格を取得出来ないと言ういわゆる「授業料詐欺」が問題になっていますが、その根本原因としてあまりに学生の定員を増やしすぎ学力の落ちる学生まで入学させていると言うことも挙げられていますよね。
以前にも歯学部定員を増やしすぎて各地の大学で定員割れを起こしている、そして卒業後もコンビニよりも多いと言うほどの歯科乱立で過当競争になりワープア化が著しいと言った状況を紹介しましたけれども、大学側としては相応の学生数も確保しなければ経営が成り立たない理屈ですから、歯学部ばかりではなく大学全入時代と言われる現代では各地の大学で質的低下が顕在化しているようです。

中学生もビックリ!大学授業のレベルの低さ 文科省に名指しされた大学側の言い分とは(2015年2月23日J-CASTニュース)

  「大学教育水準とは見受けられない」「学士課程に相応しい授業内容となるよう見直す」――。文部科学省が大学の新設学部、学科を対象に行った調査報告に厳しい文言が並んだ
   指摘を受けた各校のシラバスを見ると、be動詞や分数表現など中学で学習する内容が英語や数学の基礎科目の学習内容として書かれており、文科省からは早急に是正するよう求められている。

「大学教育水準とは見受けられない授業科目がある」

   2015年2月19日、文科省が発表した「設置計画履行状況等調査」は、大学や短大がこの4年前後で新たに申請、開設した学部や学科などが適切に行われているかを調べたものだ。教員不足や定員確保の努力不足、さらに授業のレベルについて指摘している。
   対象となった502校のうち、授業のレベルに関して指摘を受けたのは千葉科学大(千葉県銚子市)、つくば国際大(茨城県土浦市)、東京福祉大(東京都豊島区)の3校だ。千葉科学大とつくば国際大は一部基礎科目の授業について「大学教育水準とは見受けられない授業科目がある」、東京福祉大は留学生向けの科目に日本語学校と同等の授業があるとして「学士(教育学)を授与するにふさわしい教育課程となっているかどうかについて疑義がある」などと指摘され、「是正意見」を受けた。

   千葉科学大危機管理学部のシラバスを見ると、「英語I」ではbe動詞や一般動詞過去形など「英文法の基礎を確認した上で、英語で書かれた文章を読み解くトレーニングを行う」、「基礎数学」では分数表現や不等式、比例・反比例など、中学で学習する内容が授業計画として記されている。
   つくば国際大も同様で、医療保健学部の物理や化学、生物の基礎授業について「大学教育の質の担保の観点から、学士課程に相応しい授業内容となるよう見直すか、正規外授業のリメディアル教育(補修)で補完すること」と指摘された。

   文科省大学設置室によると、調査は大学側への意見聴取やシラバスの精査、学生へのインタビューをもとに評価を行った。「是正意見」を受けた各校には「早急な是正を求め、改善状況報告を提出してもらう」としている。今回の評価によって認可されている申請の取り消しは行わないが、今後1段階上の「警告」を繰り返し受けた大学には新設申請を認めないなどの処置を行う可能性があるという。

まあしかし学力選抜が絶対的評価ではなく相対的評価である以上、優秀な学生に選ばれない大学ではそれこそ名前さえ書ければ入学出来ると言ったレベルの学生が集まることもやむなしだと思いますが、教養学部であればまだしも歯学部で通分や二次方程式から教えているなどと聞くと、はたして大丈夫なのだろうか?と不安に感じるのも人情ですよね。
大学側としては選抜試験ですからもちろん最低限の学力水準は多くの大学で考慮されているのでしょうが、授業料収入に頼る私学で志願者数が定員の半分以下などと言うことになれば当然経営上も原則全員合格に近くはなるのだろうし、逆に学生側の言い分としても倍率が低くて狙い目だと思ったのに落とされたのでは文句を言いたくなるのかも知れません。
この辺りはそもそも高等教育と言うものの意味づけをどう考えるかにも関係していると思いますが、大学に通ったことが就職資格における当たり前の要件視されると言うのならその質や内容も本来問われるべきなのだろうし、失礼ながら卒業したと言う以上の価値はない大学に奨学金と言う名の学生ローンを組んでまで進学する意味がどこまであるのかと言う検証も必要になるのだろうと思いますね。
ただ国としてもこうした状況に一応の憂慮を示している格好で、先日私学の定員数を抑制していく方針であると言う記事が出ていたのですが、その内容を見ていると必ずしも学生の質的低下を憂慮し云々と言うだけではなさそうだと言う思惑が見えてきます。

<3大都市圏>私大の学生数抑制へ 文科省、定員超過厳格化(2015年2月22日毎日新聞)

 文部科学省は、首都圏など大都市部にある私立大学の学生数を抑制する方針を決めた。入学定員を超えた入学者の割合(定員超過率)を厳しくする。現在、定員8000人以上の大規模大学の場合、定員の120%以上なら私学助成金を交付しないが、これを110~107%まで減らす方針だ。大都市への学生集中を抑制し、地方からの学生流出に歯止めをかける「地方創生」の一環。定員8000人未満の私立大も、現行の130%から120%へ引き下げる。私立大は授業料収入減につながりかねず、反発も予想される。【三木陽介、坂口雄亮、澤圭一郎】

 対象となるのは、首都圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川)▽関西圏(京都、大阪、兵庫)▽中部圏(愛知県)の私立大。2014年度の私大入学者は、首都圏20万4287人▽関西圏7万6677人▽中部圏2万9206人。この3大都市圏で計約31万人に上り、全私立大の入学者の65%、国公私立合わせた入学者のおよそ半数を占める。
 このうち入学定員を超過した人数は、3大都市圏で計約3万3000人。規模別では定員1000人以上の大学に集中している。私立大側は財政を安定させるためにもできるだけ学生を受け入れたいのが本音で「定員超過している大学は基準ぎりぎりまで学生を取っている」(大学関係者)のが現状という。
 日本私立学校振興・共済事業団によると、定員の110%以上の学生がいる大学は全国で約170校あるという。文科省の調べでは、3大都市圏で定員の110%以上の学生数は約2万6000人で、新基準が適用されると、現在の超過人数の多くが不交付対象になるとみられる。

 文科省の方針について、関西圏の大規模私大の担当者は「財政を直撃するだけに深刻だ」と話す。大学財政の根幹は学費収入だ。
 一方、東北地方の私立大幹部は「定員割れしている地方大には一定の効果はある。学生は増えるのではないか」と見る。四国の私立大関係者も「ありがたい話」と歓迎。ただ「それで受験生が地方大を向くかというと、そう単純な話でもないと思う」とも指摘する。

 政府の地方創生総合戦略は今後、大都市圏への集中を解消し、地方の学生が自分の住む県の大学に進学する割合を2020年までに36%(13年度は33%)に引き上げる目標を掲げる。国立大の定員超過率も現行の110%から引き下げを検討する。
 私立大全体を見ると、46%が定員割れ(14年度)状態で、都市部集中が進んでいる状況だ。解消には入学者抑制と同時に、地方大学の機能強化と地方の雇用創出も必要だとして、文科省は地方大学への支援策を来年度から強化。都道府県単位で複数の地方大学が地元の自治体や企業と連携して雇用創出など地元定着率を上げる計画に対し5年間支援する補助事業も始める。

 ◇地方有利な条件必要

 大学の入学定員は国が教育環境上「適正」とする標準規模だ。本来、超過は許されない。それでも一定の幅で認めるのは、受験生が他大学にどの程度流れるかを見極めるのが難しいことや入学後に中退する学生が出ることから、大学は多めに合格者を出さざるを得ないからだ。
 大都市圏の大規模大学の中には、推薦入試などで「入学者数を調整することができる」(大学関係者)ことを利用し、基準ぎりぎりまで学生を受け入れているところも少なくない。授業料など学費収入を増やすための経営戦略でもある。
 定員超過率を厳格化すれば、定員自体を増やす大学や、助成金不交付を覚悟で多めに入学者を取る大学が出る可能性もある。地方創生を狙うのであれば、定員の基準や助成金の交付条件を地方大学に有利になるよう見直したり、大学の地方移転を財政支援する仕組みも必要だろう。【三木陽介】
(略)

ここで注目したいのは学生の定員を削減する対象が全国一律と言うわけではなく、大都市圏から優先的に削っていく方針であると言う点なのですが、昨今では地方創生と言う話が国策としても推進されている中で単に地元に大学と言う選択枝を残すと言うだけではなく、特に地方の小さな自治体にとっては経済効果や税収など様々な面で大学が存在することの意味はありそうですよね。
一方で田舎の一流大学より都会の二流大学と言う声も根強くあるように大都市圏にあるだけで就職時の知名度等でも有利なのだろうし、学生にとってもどうせモラトリアムを満喫するなら田舎町よりも都会の方が楽しいと言うこともあるでしょうから、一般論として言えば都会の大学の方が競争率も高くなり学生の質も地方よりは優れたものになりそうですから、地方から定員を削るべきと言う考え方もあるはずです。
元より優秀な学生が集まり入学辞退者が出ないような大学は定員通りに入学させているとすれば、過大な入学者を出している大学にペナルティーをと言う話にも一定の意味がありそうですが、あまりにレベルが低すぎて定員割れしているような大学にあぶれた学生が流入せざるを得ないともなれば本末転倒な話で、どうも政策的な学生の地方誘導と言う面を最優先で組み立てられた話のような気がしないでもないでしょうか。
本来的に大学は自分の進路に有利なように選択するものだとすると、単に地方に学生を誘導するだけでは進路選択の機会を奪うことにもなりかねないだろうし、むしろ優秀な学生ほど競争率の高くなった都市部の大学に集中すると言うことにもなりかねませんから、単純に定員超過率だけで評価するのではなくもう少し別の基準もあった方がより実のある政策になるのかも知れませんね。

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コメント

大学の定員を決めればいい
定員外は補助金ゼロ

投稿: | 2015年2月25日 (水) 07時31分

3大都市圏の私立大学でも、聞いたこともない大学って半分以上ある。
少なくとも小中学生レベルの授業を補修としてやらないといけないレベルの学生が集まるような
大学は、存在価値なんて限りなくゼロなんだから、つぶしてしまったらいいのにね。

投稿: | 2015年2月25日 (水) 10時18分

全くもって同意!無くせば良いと思います、ただ つぶそうとして
田中さんちのお嬢さんは逆に潰されましたよね…
国民的なコンセンサスにまで昇華させないと難しいかも ですね。

投稿: | 2015年2月25日 (水) 10時53分

大学出を採用等で必須条件にしている企業がある限りは、教育内容程度を問わず肩書きとしての大学の価値はあるものと思います。
ただ国もこの辺りに関しては厳しいことを言っている一方で、大学入試に関しては学力を厳しく問わない方向での改革をしようとしているようですからよく判らないですよね。

投稿: 管理人nobu | 2015年2月25日 (水) 11時58分

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