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2015年1月13日 (火)

社会補償制度改革で給付削減が絶讚進行中

最近入院患者の給食費を値上げするだとか一連の医療制度改革案に関する報道が続いていて、いずれも利用者の負担増加と言うことが一つのキーワードになっているように感じますが、かねてその解消が言われいずれ解消されるとされながら長年続いてきた懸案の「特権」がいよいよ解消が図られていきそうだと言うニュースが出ていました。

75歳以上保険料軽減、原則廃止へ=医療制度改革骨子案が判明-厚労省(2015年1月7日時事ドットコム)

 厚生労働省が検討している医療制度改革の骨子案が7日、明らかになった。75歳以上の後期高齢者の保険料を軽減する特例措置を、2017年度から原則廃止する方針を打ち出した。加入者の給与水準が高い大企業健康保険組合や公務員共済組合などを対象に、後期高齢者医療制度への支援金負担を増やす改革も盛り込んだ。支援金は15年度からの3年で段階的に引き上げる計画で、加入者の保険料アップにつながる可能性がある。

 厚労省は8日の自民党特命委員会に骨子案を提示。13日の政府の社会保障制度改革推進本部での決定を目指す。

 後期高齢者医療制度の保険料特例は、制度が発足した08年度にスタート。現行ルールでは、年収80万円以下の人は、保険料の7割軽減を受けられるが、特例的に軽減割合を9割に拡大している。しかし、現役世代などとの負担の公平性確保のため廃止に踏み切ることにした。

医療制度改革 75歳以上負担増(2015年1月8日東京新聞)

 厚生労働省は八日午前、自民党社会保障特命委員会の会合で、医療制度改革の骨子案を提示した。七十五歳以上の保険料を軽減する特例について、二〇一七年度から原則廃止する方針を打ち出すなど、負担増メニューが並ぶ。了承を得られれば、十三日に予定される政府の社会保障制度改革推進本部での決定を目指す。

 七十五歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、低所得者対策として、年収に応じて保険料軽減特例が導入されている。

 例えば年収八十万円以下の人は、保険料の七割軽減を受けられるのが本来の決まりだが、特例的に軽減割合を九割に拡大している。この特例を廃止し、現役世代などとの負担の公平性確保を図る。ただ一部の高齢者に関しては、保険料が急増するケースもあるため、段階的に特例を縮小するなどの激変緩和を検討する。

 この他の負担増メニューとして、かかりつけ医の紹介状なしで大病院を受診する患者を対象に定額負担を求める。入院時の食事代の自己負担引き上げも検討中だが、具体案は調整中としている。加入者の給与水準が高い大企業健保組合や公務員共済組合などを対象に、後期高齢者医療制度への支援金負担を増やすことや、財政悪化している国民健康保険を立て直すため、一八年度に財政運営責任を市町村から都道府県に移管することも盛り込んだ。

自己負担1割の特権が未だ残っているだとか、段階的に特例縮小と言う名目でまだまだ特権を維持するのかとか色々と意見はあるのでしょうが、やはりこれ以上現役世代にばかり負担増を押しつけると言うのは制度の永続性上も無理がありますから、長い目で見れば高齢者自身にとっても悪い話ではないとは思いますね。
元々何故こんな特例が出来て長年続いてきたのかと言えばひらたく言えば政治家先生方の選挙対策であることは言うまでもありませんが、皆保険制度における自己負担比率が段階的に高まっていく中で「高齢者は収入が少ないから社会的弱者だ」と言う理屈の元で、高齢者に対する負担が低く抑えられてきた経緯は周知の通りです。
ただワープア化進む現役世代から見れば長年好景気の元で稼いできて多くの資産を持ち年金も満額もらえる高齢者のどこが弱者だ?と言う感覚はあるのだろうし、これが働く必要もないほど裕福な資産家は収入の少ない社会的弱者だから保護しましょうなんて話であれば誰も賛同はしないだろうに、高齢者だけただ年齢が高いと言うだけで一律に保護されるのはどうなのかと疑問視されるのもまあ当然と言えば当然なのでしょう。
財政的に見ても少数の困窮している人々がいるからとその他大勢も含めて投網のように広範な保護を行える時代はすでに無理があると言え、今後は個別の経済状況を見て本当に困窮している人に限って保護していく個別的保護策に切り替えていくことになるかと思いますが、この点においては特に現役貧困世代に対する一層の保護強化も併せて必要になってくると思いますね。
いずれにしても画一的な高齢者特権廃止に関しては以前から総論賛成は得られていた問題ですからいい機会ではあったと思いますが、むしろ医療費抑制と言うことで国が本気になってきているのだなと感じさせられるニュースとしてこんな記事が出ていました。

過剰な急性期病床、「徹底した合理化を」財政制度等審議会、2015年度予算で建議(2014年12月26日m3.com)

 財務省の財政制度等審議会は12月25日、「2015年度予算の編成等に関する建議」を公表、後期高齢者の医療給付費が2025年に向けて年約6%伸びるものの、うち3%は「医療の高度化等」によるものとし、「制度の持続可能性担保のため、改革の対象とする」との方針を打ち出した。残る3%は高齢者人口の増加による(資料は、(財務省のホームページに掲載)。

 改革の具体的施策として、過剰な急性期病床の削減や平均在院日数の短縮などの医療提供体制の改革、診療報酬の抑制や薬価引き下げ、後発医薬品の使用促進などの保険給付の範囲の見直し・重点化などを挙げ、「徹底した合理化・効率化」を進めるべきとしている。患者が後発医薬品を選択するインセンティブが働くよう、参照価格制、つまり「後発医薬品が存在する先発医薬品の保険給付額は、後発医薬品の薬価とし、それを上回る部分は患者負担とする」仕組みの導入も提言。
(略)
 「病床数の多さが需要を生む」

 建議では、医療提供体制について、「病床数の多さという供給が需要を生む」と問題提起。人口10 万人当たり病床数は、都道府県単位で最大3倍の開きがあり、病床数が多いほど、1人当たりの医療費が高いと指摘している。

 その上で、4つの改革の実現を提言した。第一は、医療介護総合確保推進法に基づく、「地域医療構想」の策定(『「高度急性期」「急性期」、今も6年後も6割強』を参照)。「地域差の分析を踏まえて認められる不合理な差異(例えば入院受療率)を解消した医療提供体制」の提示を求めている。2015年度中に、遅くとも2015年度の構想策定が必要とした。

 第二は、地域医療構想と整合的な医療費適正化計画の一体的な策定だ。医療費の水準に関する目標や、平均在院日数や後発医薬品の使用割合などの目標を設定し、PCDAサイクルを回し、実効性のある取り組みを求めている。

 第三は、保険者を市町村から都道府県に移行する、国民健康保険制度の改革。第四として、病床の機能分化・連携や医療費の適正化等に向けた保険者(都道府県)の努力の必要性を指摘している。2014年度からスタートした医療介護総合確保基金は、「医療構想を早期に策定し、病床の機能分化・連携を積極的に進める都道府県に対して優先的に配分することが不可欠」とした。
(略)

例の地域医療構想に従って病床の再編が行われると言うことはすでに以前から報じられているところで、ちょうど昨年初めに厚労省が重症者向けの急性期病床数を2015年度末までに全体の1/4に当たる9万床削減の方針に転じたと報じられていましたが、一つには精神科病床削減などと同じ文脈で実際には適正な入院適応とは認められない社会的入院が多かったと言う背景事情があります。
そんな患者は療養型病床や施設等の妥当なベッドに移るべきだ、それを理由に重症者を扱う大事な急性期病床を減らすのはおかしいではないかと言う批判も当然あるのでしょうが、そもそも何故急性期の病床がそんな患者を抱え込むことになったかと言えば急性期医療充実のためとして7対1の看護基準を満たした施設に手厚い報酬を支払うことにした、その結果各施設が少しずつ背伸びして急性期認定を受けてきた経緯があるわけです。
その結果各地で看護師不足が顕在化したりと様々な弊害が発生したこともさることながら、実際には亜急性期~慢性期を主に扱っていたような地域の病院でさえ無理に急性期を名乗ってしまえば本来的な急性期の患者ばかりではベッドが埋まらないのは当然で、空けておくよりはと病床を埋めることを優先した結果がこうした事態をもたらした一因と言えそうです。
国としても昨年度の診療報酬改定で施設基準の厳格化を行い是正を図っているところですが、結局は経済的側面からの政策誘導がもたらした歪みである以上は妥当な政策誘導がなければ改善は進まない理屈で、病床削減や基準の厳格化などムチばかりではなくきちんとしたアメも用意していかなければ効果は上がらないでしょう。

財政的な観点から言えば高額な医療費を消費する患者の多い急性期のベッド数削減は大いに意味があることなのでしょうが、不適切な患者を転院させ急性期医療が本当に必要な患者だけを入院させるためには単なる病床数削減だけでなく、地域内できちんと重症度別に公平な病床割り振りが機能していると言う前提に立って初めて成り立つことだと思いますね。
しかし現状でそのような管理を行なうシステムは全く存在せず、単純に早い者勝ちでベッドが占有されているのが現状だと思いますが、今後は自治体がこの種の患者割り振りに関しても主体的な役割を期待されるようになるのだろうし、それが出来ず不適切な医療費の「浪費」があると見なされれば様々なペナルティ(とは公には言わないでしょうが)が課されていくことにもなるのだと思います。
自治体にしても医療現場にしても単なる数字合わせでやってしまうと非常に混乱が予想されるところで、きちんと現場の状況を理解した上で実効性ある対策を講じられるかどうかで大きく今後の行方が左右されそうなのですが、今まで医療政策に関しては国任せで行っていただろう都道府県レベル以下の各地自治体でそうした医療政策を包括的に判断出来る人材がいるかと言えば大いに疑問ですよね。
中央省庁から天下りを期待するのもどうなのかで、現実的には基幹病院トップや地区の医師会あたりが今後関与を強めていくことになるのでしょうが、大都市圏では今後相対的病床数不足が予想され地方への老人移住も検討が求められるようになるなど自治体の壁を越えた政策も求められるだけに、医療現場任せではなく政治や行政の側からも大いに工夫と努力が求められる時代になっていくようには感じます。

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コメント

年齢のみが基準なのでフリーターの若者から取って大企業を退職した高齢者に分配するみたいな
変な事になってるんですよね。
マイナンバーで資産把握は容易になるので年齢のみが基準の現制度は改めてもらいたい
本当は高齢者への支出は4割程は減らさなきゃ駄目だけど絶対数が多く投票率も高いので難しいですね。
ただ現行制度を維持するだけでもどんどん負担は増えるってのは理解して欲しいです。
医療もどんどん病院や医師や看護士等の集約化は進むでしょうね。

投稿: | 2015年1月13日 (火) 08時10分

経済成長時代の負の遺産ってとこですね。
金が続かないので最低限のところだけ何とか死守するしかないでしょ。
でもその最低限のラインがどこにあるかってのがまた問題なんだろうけど。

投稿: ぽん太 | 2015年1月13日 (火) 09時08分

安倍さん老人いじめはやめてください

投稿: | 2015年1月13日 (火) 10時40分

財政的な観点から支出の緊縮を進めているのは、主に自称元気な老人である麻生さんあたりが中心であるように思うのですがどうでしょうね?

投稿: 管理人nobu | 2015年1月13日 (火) 12時00分

ハイペースな物価上昇に加え、年金保険料や健康保険料などの社会保険料引き上げが家計に思い負担となってのしかかっている。
さらに、今後の社会保障費負担はますます重くなることが予想されている。家計の見直し相談センター・藤川太氏が、近未来の医療制度のイメージについて解説する。

 * * *

2013年に成立した社会保障プログラム法で決まった通り、2014年4月から70~74歳の高齢者の窓口負担が1割から2割に引き上げられました。
2015年1月には限度額を超えた医療費を補助する「高額療養費制度」の所得区分が見直され、
それまで年収770万円以上の高所得者は一律約15万円だった上限額が、年収770万以上~1160万円未満は約17万円、1160万円以上は約25万円へと引き上げられます。

こうした高齢者や高所得者の負担が増すだけでなく、病院から患者を引き離そうという動きも高強まっています。

ひとつが医療機関へのアクセス制限です。紹介状なしで大病院を訪れる患者に自己負担を強いる方針が出ています。
さらに、欧州で普及しているゲートキーパー(門番)の導入も検討されるかもしれません。これは病院などを受診する前にゲートキーパーが患者の容体を診て、
診療の必要性があるかどうかを決める仕組みです。医師に診てもらうことができなくなれば、市販薬を使うことが増えるでしょうから自己負担は増す一方になります。

もうひとつ想定されるのが平均入院日数を従来の32日程度から欧米並みの8日程度にまで大幅短縮するという動き。
無理やり退院させてまた悪化すれば再入院となり、病院側はもちろん、患者側にも余計に負担がかかるといった本末転倒な事態も予想されます。

また、年金同様、これまで保険料を実質負担してこなかったパートなど短時間労働者に健康保険料の徴収範囲を拡大する動きも起こってくるでしょう。

1月12日(月)7時6分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150112-00000000-pseven-bus_all

投稿: | 2015年1月13日 (火) 13時05分

医療、年金、増税ってな将来の不安を煽って、投資という名の丁半博打を案内する人がおりますな…

投稿: | 2015年1月13日 (火) 13時53分

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