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2015年1月 7日 (水)

医療・介護の労働環境改善は未だ途上

最近では介護報酬の切り下げなどそろそろアメの打ち切りも始まっている介護領域ですけれども、未だその雇用状況は改善が進んでいないようだと言う記事が出ていました。

大都市の介護施設、求人難深刻 職員定数割れで閉鎖も(2015年1月5日朝日新聞)

 特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設の職員不足が大都市を中心に深刻になっている。東京では職員が定数に満たない特養が続出し、新たな入居者の受け入れをやめたり部屋を一部閉鎖したりするところが出始めた。介護職員の有効求人倍率は全国平均で2倍を超えており、東京都が4・34倍、愛知県が3・96倍、大阪府が2・77倍など大都市を中心に高い。施設が職員を募ってもなり手が少ないという状況が広がりつつある。

 東京都内で特養などを運営する社会福祉法人でつくる東京都高齢者福祉施設協議会は昨年12月、加盟法人が運営する特養445施設に職員の状況などを尋ねた。都内の特養の多くが対象になっている。

 回答があった305施設のうち、それぞれが定めている職員の定数に満たないところが半数近い145施設あった。このなかには、国の基準で最低限必要とされる職員数にも満たないところも9施設あった。

未だに雇用状況の改善が進まないとも言われる中でこれだけの人材難があると言うのは労働者にとっては好機であるとも言えるはずですが、一方でどんなに就職難でも介護だけは勘弁してくれと言う声も未だに根強くあるほど、介護に関しては勤務がキツく給料が安いブラック産業であると言う定評があって、しかも客観的データからもそれが否定出来ない状況にあると言うのは問題ですよね。
3Kだ、4Kだと言われる状況が必ずしも改善していないと言われる中で報酬切り下げをすることがどうなのかですが、考え方として未だに介護施設不足が全国的にこれだけ言われる中で報酬切り下げに舵を切ると言うのは、国としては老人介護に関して今後在宅へ軸足を移行させていく方針をこうした出口の絞り込みにおいても促進させる方針であるとも言えそうです。
いずれにしても医療や介護も報酬切り下げで崩壊が叫ばれ、かと言って無制限に手厚い報酬をとなれば財政危機が言われで近年そのバランス感覚が問われていると言えますが、当然ながら常時需要が供給を上回っている現場としてはスタッフの労働管理にも気を遣わなければ離職逃散を招きかねずで、先日神奈川ではこんなサービスが始まったと言います。

医療機関の勤務環境改善、無料相談へ- 社労士などが対応、神奈川県が5日から(2015年1月4日CBニュース)

神奈川県は、県内の病院や診療所に対して勤務環境を改善するための無料相談を、5日から開始する。社会保険労務士や医業経営コンサルタントといった専門家が対応に当たる。同県の担当者は、「多くの医療機関に利用してもらい、労務環境の改善によって医療の質の向上や安全の確保につなげてほしい」と話している。【松村秀士】

昨年3月に開かれた同県の医療対策協議会では、委員から、「病院の管理者側は職員の勤務環境改善にものすごくエネルギーを使っている」との指摘があったほか、事務局も各医療機関の労務環境改善への取り組みを支援する必要があるとしていた。

こうした課題を踏まえ、同県は5日、県庁内に「神奈川県医療勤務環境改善支援センター」を開設し、県内の医療機関からの労務管理や労働安全管理、組織マネジメントなどに関する相談を無料で受け付ける。社会保険労務士や医業経営コンサルタントが電話で相談に応じたり、医療機関を訪問してアドバイスしたりする。同センターの相談時間は、平日の午前8時半から午後5時15分まで(正午―午後1時を除く)。相談専用の電話(045―664―2522)で受け付ける。

医療機関の勤務環境をめぐっては、医療の質の向上や医療従事者の定着などの観点から、改善に向けた取り組みが喫緊の課題となっている。こうした中、昨年10月に施行された改正医療法では、医療機関の管理者による医療従事者の勤務環境の改善などが努力義務とされており、各自治体で医療機関の労務環境改善を支援する必要性が指摘されていた。

この相談業務の実施主体が医療団体ではなく神奈川県であることに留意いただきたいと思うのですが、もちろん公立のみならず私立病院の職員も関わる話であるとは言え、地域医療機関の破綻が地域医療そのものの崩壊にも直結しかねないと言う現実を考えると、自治体にとっても医療現場の労働環境改善が重要な課題となり得ると言うことを示していると言えそうです。
かつては職場環境の酷さについて労基署などに相談をしてもこちらが医師と判った途端に電話を切られた、などと言う本当か嘘かよく判らない都市伝説も流布していましたが、近年では病院に対しても労基署が手を入れるようになってきたと言うのも一つには厚生省と労働省が厚労省として一体化した結果、労働省側が以前よりも医療現場に踏み込んで来るようになったと言う話もあります。
また医療崩壊と言う現象の大きな要員として医療スタッフの逃散(集団離職)と言うものが注目され、結局職員をきちんと遇することが離職を防ぎ経営的にも大きなメリットがあると言うことが認識された結果、かつてのように「医者など毎年医局から送られてくるもの、だから来た医者は使い潰さなければ損」とばかりのひどい仕打ちはさすがに減ってきたし、そうした旧態依然とした施設は人材が確保出来ず衰退していったわけですよね。
そしてもちろん医師らスタッフの過重労働による医療リスクも注目されるようになった結果、やはり労働管理はきちんとした方が利用者利益にもなると理解されてきたわけで、要するに誰しもが労働管理は大事であると言う点では総論合意に達している、一方で需給バランス崩壊で慢性的過重労働を強いられる中でそれをどう実現していくかと言う部分で未だに課題が残ると言うのが現状であると言えそうです。

介護において在宅移行によって施設入所者を減らすことが国策化しているのと同様、かつては医療においてもかかりつけ医を持ち在宅看取りを推進しましょうとか、いきなり大病院にかからずまずかかりつけ医に相談しましょうと言った話が盛んに言われていた時期もありましたが、近年では効率重視なのかむしろ基幹病院への医師集約化の方が議論され、あまりかかりつけ医と言うことが言われなくなりましたよね。
この点に関連して興味深いのは2014年度の診療報酬改定でいわゆるかかりつけ医への報酬として設定された「地域包括診療料」「地域包括診療加算」について、24時間態勢での医療提供が求められることから算定要件として常勤医3人以上の在籍が算定要件とされたわけですが、先日日医が会員に調査したところ診療所トップの9割以上が常勤3人の要件は重要ではないと答えたと言います。
ただこれもよく記事を読んでみれば重要な要件として常勤医3人条件を挙げる人が少なかった一方、達成困難な要件として同条件を挙げる人が多かったと言うことなんですが、本来365日24時間の対応と言えばまあ3人くらいは医者もいるだろうと勤務医ならば考えるところでしょうが、雇用する側としてはこういう縛りはなるべくない方がありがたいと言うのも当然と言えば当然です。
そして医師団体としての日医が同条件を撤廃すべきものと見なしているらしいのが同団体の立ち位置を示しているとも言えますが、現場スタッフの労働環境改善と言うものは経営的視点と相反すると言うことはままあることで、この問題に関しても誰がどんな立場から話しているのかと言う点も注意していかなければ話が混乱するのだろうとは思いますね。

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コメント

ブラック病院からはさっさと退職しよう!!

投稿: | 2015年1月 7日 (水) 09時01分

↑話が終わってしまったではないですか。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2015年1月 7日 (水) 09時26分

けっきょくそれが永遠の真理かも知れませんね。

投稿: ぽん太 | 2015年1月 7日 (水) 09時38分

資格職で売り手市場が続いている限り「辞めます」は有効な交渉術ですが、現状の医療の世界では交渉し職場を変えるよりは悪い職場は潰した方が早いと言うことでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2015年1月 7日 (水) 10時32分

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