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2015年1月14日 (水)

絶讚流行中のインフルエンザとその事後対応

このところ全国的に猛烈な勢いでインフルエンザが流行していて院内においてすら死者が出ていると言い、外来や時間外も大混雑で医療機関はどこもてんてこ舞いだと言いますが、あわせてノロウイルスを始めとする感染性胃腸炎も流行していることから特に施設内での集団発生には要注意ですよね。
昨シーズンに懸念されたタミフル耐性株はその後ほぼ消失しているそうで、今のところ各抗ウイルス薬とも良好な効果を示していると言うことですから多少なりとも安心ですけれども、熱がほとんど出ない患者さんも見られるなどやや診断において苦慮するケースもあるのかなと考えられる中で、先日少しばかり気になる記事が出ていたので紹介してみましょう。

「風邪で休むなんてダメ」が2割超(2015年1月4日web R25)

どんなに気を付けていても、かかる時はあっけなくかかってしまうのが風邪。忙しい社会人の大敵ですが、風邪を引いたとき、人によって分かれるのが「すぐに病院に行くか?自力で治そうとするか?」という点。さらに「会社を休むか否か?」についても、「風邪くらいで仕事を休むなんて!」という体育会気質の人もいれば、「周囲に迷惑だから休め」という人も…。はたしてどっちが多数派なのか、20~30代の社会人男女200人(男女100人ずつ)に聞いてみました(調査協力:アイリサーチ)。

〈風邪を引いた時、あなたはどうする?〉
「すぐに病院に行く」派 21%
「自力で治す」派 79%

〈同僚が風邪で休んだらどう思う?〉
「風邪で休むなんてだらしない」派 23%
「風邪を引いたなら仕方ない」派 77%

みなさん思いのほか(?)「自力で治す」派が多いんですね。それぞれを選択した方が挙げた理由は、以下の通り。

●「すぐに病院に行く」派 21%
「自力で治そうとしても長引いたり、治らないのは何度も経験しているので」(36歳・女性)
「病院にいったほうが安心する」(38歳・女性)
「早めに病院行った方が、安くて早く治る」(38歳・女性)
「自力は限界がある」(39歳・男性)
「専門家に見てもらったほうが良い」(28歳・男性)

●「自力で直す」派 79%
「かぜぐらいなら、ほっといてもなおる 薬がきいたかどうかわからない」(33歳・女性)
「病院に行くのが面倒だし、病院で病気を拾うリスクを減らすため」(37歳・男性)
「病院は時間の金もかかって面倒だから」(39歳・男性)
「病院で待つ時間、寝た方が良い」(38歳・女性)
「病院に行っても暖かくして安静にしろ、と言われるだけで風邪は治らないことを知っているから」(35歳・男性)

〈同僚が風邪で休んだらどう思う?〉
●「風邪で休むなんてだらしない」派 23%
「自分なら風邪でも会社にいくから」(36歳・女性)
「風邪をひいても仕事ぐらいできるだろう」(36歳・男性)
「風邪で休むくらいなら、遊ぶために有休を使う」(36歳・男性)
「体調管理も仕事です」(32歳・女性)
インフルエンザ以外は行かないといけない」(29歳・男性)

●「風邪を引いたなら仕方ない」派 77%
「自分も同じように休む可能性があるから」(28歳・女性)
「パフォーマンスが落ちるからできれば休んだほうがいい」(28歳・男性)
「休めるチャンスなので」(35歳・女性)
他の社員へうつされるのも良くないし、無理に出勤するより早く治して挽回する方が効率的」(39歳・女性)
「労働者に与えられた権利だから」(36歳・男性)

聞いてみれば、どちらも理解できる理由がほとんど。特に熱がさほどなかったり、本人的にはたいしたことがなかったりする場合は出社すべきかどうか、迷うところですね。風邪で休んだら迷惑、風邪を押して出社しても迷惑。整えておくべきは、体調を崩した時に心配してもらえる、同僚との人間関係、なのかもしれません。

ここで風邪風邪と気軽に言っていますけれども、当然ながら風邪だろうが何だろうが感染症である以上、他人にうつすリスクはあると言うことは最低限押さえておかなければならないとは思いますけれども、その上で何をどう考えるかですよね。
風邪をひいたとなれば即座に病院に押しかけて「一発で治る注射を打ってくれ」などと無理難題を要求する人もいたりで、基本的に医療従事者にとっては不要不急の過剰受診の方が問題に感じられるケースが多いと思いますが、基本的に風邪と言えば特別の治療法がなく対症的に対応する場合がほとんどで、その意味で安静療養か昨今政策的にも充実が図られているOTC薬で十分だろうと言う考え方もあると思います。
ただ前述のようにインフルエンザであっても非典型的な症状を示し風邪と区別がつかない場合もあり、もちろん絶対に抗ウイルス薬を使用しなければいけないと言うこともないのですから治療自体は症状が軽度なら安静等で十分なのだと思うのですけれども、インフルエンザの場合通常の風邪以上に感染防御に気を遣わないと職場でもあっと言う間に皆が発症と言うことになりかねないし、事実そうした職場も多いようです。
また昨今特に問題になるのが病院等の施設入所者における集団感染のケースで、どこから入ったのかはっきりしない場合が大部分ですが中には軽度の風邪症状を呈しながら仕事を続けていたスタッフからの感染が疑われるケースがあって、特に医療従事者の場合多くは予防接種をしていることから発熱等の症状も軽度で済み、「この程度の風邪なら仕事にいかなければ」と言う義務感が時に周囲の迷惑になっている場合もありそうですね。
また特にインフルエンザと診断された場合には休業期間等の事後対応をどうしたらいいのかと言う悩みもあって、会社によっては未だに社員に治癒証明書なるものを要求しているところもあると言いますからどう対応したらいいのか迷わしいものですが、先日はインフルエンザ罹患後の対応について日医理事がこういうことを書いていました。

インフル解熱後しばらく「おうちで休んで」- 日医・石川常任理事(2015年1月7日CBニュース)

日本医師会(日医)の石川広己常任理事は7日に記者会見し、インフルエンザに感染した場合、服薬などで熱が下がっても、発症後5日が経過し、かつ解熱後2日(幼児の場合3日)が経過するまでの期間は「おうちで休んでほしい」と呼び掛けた。【佐藤貴彦】

石川常任理事は、「抗インフルエンザ薬を飲むと、次の日に熱が下がる人もいる」と指摘。ただ、発症後しばらくは鼻やのどからウイルスを排出するとされていることから、感染力が弱まるとされる期間が経過するまでは外出を控えるよう促した。
(略)

どの程度と言う部分に関しては異論もまたあるかと思いますが、ここで理解頂きたいのは個人が感染症にどう対処すべきかと言う話ではなく、あくまでも周囲の迷惑を考えてどう行動すべきなのかと言う点であることです。
ご存知のように学童に関しては2012年春の学校保健安全法改正に伴い、それまでの「解熱後2日」と言う出席停止基準が「解熱後2日」かつ「発症後5日」と言う新基準に改められたわけですが、その背景には抗ウイルス薬の普及で発症早期から解熱するケースが増え、まだウイルスを排泄しているにも関わらず登校し新たな感染源となってしまう可能性が出てきたと言う事情があったわけです。
社会人の場合は特に法的なルールがなく各職場毎のルールで対応することになるかと思いますが、やはり同様に周囲への感染源となるリスクに加え、職場によっては顧客に対しても感染させてしまう可能性もあるわけですから少なくとも十分な感染防御策は講じられるべきだろうし、インフルエンザはもちろん単なる風邪だとしても場合によってはやはり一定程度の休業も考慮すべきかと言う気がします。
注意すべき点としてはインフルエンザであると診断することは可能でもインフルエンザでないと診断することは厳密には困難であり、またインフルエンザでなかろうが咳をしているような人は周囲にうつすリスクを考えマスク等の対応をするのは当然だろうと言うことなんですが、感染症に罹患後どの程度の期間他人にうつす可能性があるのかは個人差も大きく、確実にここからは安全無害だと言い切ることは難しいようでしょう。
ただ一般にはインフルエンザの場合発症初期の三日間程度が最も感染力も強いとされ、またその期間の隔離を行うことで院内感染を防げたと言う報告もあるようですから、後は各職場毎にインフルエンザを持ち込むリスクをどの程度忌避するべきなのかを判断して対処すると言うことになろうかと思いますが、ともかく個人での対応と集団としての対応とは分けて考えるのが感染症対策の基本だと言うことですよね。

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コメント

うちも最近高感度検査の機械を入れて発症早期から診断できるようになりました。
希望もあって片っ端から検査してんですが熱もなく咽頭不快程度の人でもfluが出ますね。
他の先生の話を聞いても軽症例まで含めて風邪症状全般の8割以上はfluのようです。
症状だけでfluかどうかを区別するのは不可能でしょう。

投稿: ぽん太 | 2015年1月14日 (水) 09時06分

10年以上前だと医者がインフルエンザに感染していても働いている人が多かったですからね。
昔話ですが、私の同期でインフルエンザにほぼ同時に2名感染したのですが、
一人はボルタレンを飲みながらきっちり外来をこなして評価され、
もう一人は月曜から金曜まで5日間きっちり休んで、土曜日に友人の結婚式に行って総スカンを食らってました。
私は当時から「インフルエンザに感染したなら患者さんに感染させたらいけないから休んだら?」って言っちゃう空気の読めない人だったので、
私まで総スカンでしたが・・・

投稿: クマ | 2015年1月14日 (水) 09時42分

病棟でインフルエンザ絶讚大流行中なので、検査で出たら強制的に休み取らされます....

投稿: | 2015年1月14日 (水) 09時49分

感染拡大阻止のために早期診断には一定の意味があると思いますが、マスクの正しい使用法など実際の感染防御の方法論に関してはもう少し改善の余地がありそうで、この辺りの啓蒙活動も必要かと思います。

投稿: 管理人nobu | 2015年1月14日 (水) 10時11分

まつもと医療センター松本病院でインフル集団発生
看護師含めて二人死亡したらしい

投稿: | 2015年1月21日 (水) 10時40分

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