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2014年12月22日 (月)

近道のはずがかえって遠い場合もあります

本日の本題に入る前に、先日こういう民事訴訟が始まったと言うニュースを紹介してみましょう。

<特別支援学校>「教諭ミスで食事に窒息し障害」賠償提訴(2014年12月19日毎日新聞)

 給食を喉に詰まらせて窒息し、脳に重い障害を負ったのは給食時の安全確保が不十分だったためなどとして、福岡県久留米市の特別支援学校に通う男子生徒(16)と母親が19日、市などを相手に約1億9000万円の損害賠償を求める訴訟を、福岡地裁久留米支部に起こした。

 訴状などによると、生徒は脳性まひのため体が不自由。車椅子を使い家族が付き添ってバス通学していた。

 2012年9月、とろみを付けた流動食の給食を担任の教員に食べさせてもらっていたところ、食事を喉に詰まらせて窒息、一時心肺停止になった。病院に運ばれて一命は取り留めたが、家族との意思疎通や自発呼吸ができない寝たきりになったという。

 原告側は「教諭の食事介助の仕方が不適切で窒息した」と主張。市側は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【林壮一郎】

全くもって大変な不幸であるとしか言えない不幸な事故なのですが、実際の食事介助の様子がどのようなものであったんか何とも言えないためあくまでも一般論となりますが、この種の訴訟全般が非常に難しい問題をはらんでいるものであることは、ひと頃の医療訴訟頻発がどのような結果をもたらしたかと言うことを振り返っても感じるところではないかと言う気がします。
医療・介護の現場においては嚥下障害のある患者に対してリスクを敢えて負わないと言うことがかなり一般化してきている側面があって、まだ食べられる能力が残っていても肺炎が怖いからと経管栄養にする、あるいは経鼻胃管では対応出来ないと胃瘻患者しか受け入れないと言った場合も少なくなく、リスクマネージメントとしては当然の対応だとしても患者にとってベストなのかと言えば議論の別れるところだと思います。
また何らかの介護を必要とする学童の受け入れに関しては一般学校への進学を希望して拒否されると言うケースがしばしば話題になりますが、設備やマンパワーの問題に加えてこうした訴訟リスクも込みで考えるとやはり無理は出来ないと考えるのも無理からぬところで、この辺り万全の対策を求めると言う一見当たり前の要求が回り回ってかえって当事者の不利益にもなりかねないと言う難しさがありますよね。
それでも日本においては世界的に見てもまだしも恵まれている方であり、世界的には何かしら普通でない人間は社会からハブられて当たり前だと言う考えも未だに根強く残っているところがあって、特に感染症患者などは先日のエボラ騒動においても悲惨な事例が散見されたように集団防衛のためにと排除されるのはやむなしとされているようなんですが、お隣中国でもこんな騒動があったそうです。

HIV陽性の8歳少年を追放せよ、村民200人が署名 中国(2014年12月18日AFP)

【12月18日 AFP】中国南西部、四川(Sichuan)省の村の住民200人が、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した8歳の少年を追放する嘆願書に署名したことが明らかになり、中国のインターネットでは18日、多くの批判や議論が飛び交った
 中国国営英字紙・環球時報(Global Times)によると、少年の保護者だった祖父も、「村人の健康を守るために」少年を追放する合意文書に署名したという。

 同紙によれば少年は2011年に軽いけがを治療した際にHIV陽性と診断された。母子感染だったという。
 これまでの報道によると、中国メディアで「クンクン」という仮名で呼ばれているこの少年は、地元の学校への進学を拒否され、住民からは接触を避けられていた
 17日付の中国共産党機関紙・人民日報(People's Daily)の電子版によれば、クンクン君は「誰も(ぼくと)遊ばない。ぼくは一人で遊んでる」と話していた。また、クンクン君は追放嘆願書の中で「時限爆弾」と表現されていた。
 村の共産党代表者は、「村人は彼に同情している。彼は無実だ。それに小さな子どもだ」と人民日報に語った。「だがHIVとエイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)は恐ろしすぎる
 環球時報によると、少年の母親は2006年に家族のもとから去ったという。父親は、クンクン君がHIV陽性と診断されて以降、連絡が取れなくなった

■「無知とパニック」ネットユーザーらが批判

 中国のマイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」では、この話題が18日午前中に大きく注目され、活発な議論が交わされた。多くの人は少年に対する冷酷な扱いに憤りを感じていた
「どうして少年は情け容赦なく放置されたのか。少年に不公平だ」とあるユーザーは問いかけた。
中国国民に十分な教育を施せていない結果がこれだ。それで無知とパニックが起きる」と別のユーザーは嘆いた。
 中国国家衛生計画出産委員会(National Health and Family Planning Commission)は今月、今年10月末までの統計として、国内で初めてHIVへの感染例が確認された1985年以降、HIVへの感染またはエイズの発症を診断された例は49万7000人に上ると発表した。
 中国ではHIV/AIDSへの偏見は学校や病院、職場などで今もなお残っており、専門家らはそのことがHIVの診断と治療の弊害になっていると指摘している。

これまた色々と考えられる話ですし、当の中国においてすら大多数の国民から批判が集中するケースであることも確かなんですが、それでも小さな共同体で200人が少年追放の嘆願書に署名していると言う事実は重く受け止めなければならないでしょうし、HIVの感染力は非常に弱くて日常生活では感染しません云々と言った「正しい教育」によってこれが変わり得るものなのかどうかです。
もちろん日本で同様の署名活動が繰り広げられたとすればそれを行った側の方が圧倒的な批判にさらされるだろうと思いますが、例えば先年の原発事故後今も続く一部地域産物に対する世間の扱い方などを見ても、必ずしも科学的事実だけによらない排除の理論が働いているように見えることはままありますよね。
先日は山形県酒田市で市長が咽頭癌の手術を受け人口声帯になった、すると市議会の一部会派から「声が聞き取りづらい」と辞職勧告を出す動きがあったと言うびっくりニュースが報じられていて、結局他会派がそこまでせずとも良いと(当然ながら)反対したため見送られたそうですが、言い出した当事者の側では障害者差別だとかそういうつもりではなかったと困惑気味であったと言います。
この種の排除の理論の厄介なところは大抵の場合そこに一部の理が含まれていると言うことで、議会によっては代読での発言は認められていないそうですから声が聞き取れなければ運営に支障を来すだろう?と言われればまあそれはその通りだろうなとは思うのですが、それならさしたる意味がなさそうに思えるルールの方をこの際と改めればいいのでは?と言う気もするところでもありますよね。

近年ではある程度公共性のある場所で新しく整備されるトイレはまず大抵は洋式で、しかも手すりやスペースなどある程度身障者にも対応出来る作りになっているケースが多いですけれども、障害者でなくてもちょっとした怪我や足腰が弱っている人間などにとっても広々とした身障者仕様のトイレの方が楽なのは確かで、今の子供などは昔ながらの和式トイレの使い方が判らないと言う子も多いと言いますね。
ただもともと大勢が使う場所で和式トイレが多かったと言うのは床や壁を防水構造にしておけば全体に放水してブラシで簡単に洗えるからと言う現実的な理由もあったのだそうですし、今も誰が座ったか判らない便座に一緒に座るのは抵抗があると言う人はそれなりにいるようですから、これまた単なる意地悪でやっているわけではなくそれなりに理由はあってしていることだとは言えると思います。
そう考えると世の中何であれかくあるべしと言う考え方は確かにあるのだけれども、それに対して別のかくあるべしと言う考えもまた存在していてこれが絶対的に正しいと言う唯一の正解は見いだしがたい、特に今の時代のようにごく一部から発せられた声であっても大きく取り上げられ一生懸命対応するのが当たり前のようになっている時代になれば、むしろ結果だけを見れば「何故そうなった?」と思うような話は今後かえって増えていく可能性すらあるでしょう。
様々な考え方が存在することを受けて社会の方ではそれなりに収まるべきところに収まっていくとすれば、主張すべき内容の正しさばかりを追求するのではなく、何をどんなふうに主張した方がより良い結果に近づけるのかと言う考えでアプローチをしていった方が、かえって目的達成上の近道になるんじゃないかと感じることもあるのですが、そういう考え方はしばしば目的を同じくするはずの側から批判を受ける傾向にあるような気がします。

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コメント

 倉敷市立小学校で11月、校庭で遊んでいた岡山市、中学3年女子(14)が鉄棒から転落して死亡する事故があり、学校側が安全管理を怠っていたとして、両親が国家賠償法に基づき、倉敷市に慰謝料など約9千万円を求める訴訟を起こすことが17日、関係者への取材で分かった。近く岡山地裁に提訴する。

 訴えなどでは、女子は11月8日午後6時ごろ、友達3人と校庭に入り、1人で鉄棒の棒の上に乗って遊んでいた際、誤って転落。鉄棒の支柱上部で胸を打ち、胸部に衝撃を受けることで心臓が停止する「心臓振とう」のため死亡した。

 支柱上部に突起状のボルトがあったことから、両親側は「鉄棒は多くの子どもが使うという点を重視し、ボルトにゴム製のふたをしていれば死亡に至らなかった」と主張。当日は土曜で教職員が不在だったといい「校庭に子どもが入れる以上、管理者を配置すべきだった」としている。

 父親(53)は「同様の悲劇が二度と起きてほしくないとの思いから訴訟を決断した」、代理人の作花知志弁護士は「学校による現状の安全管理が本当に適切なのか、司法に問いたい」と話している。

 倉敷市教委指導課は「学校の安全管理に問題はなかったと考えているが、訴状が届いていないので詳しいコメントはできない」としている。
http://www.sanyonews.jp/article/110122/1/

投稿: | 2014年12月22日 (月) 08時31分

>>1人で鉄棒の棒の上に乗って遊んでいた際、誤って転落。鉄棒の支柱上部で胸を打ち、

状況がよくわからんがこれは適正な鉄棒の使用法だったんだろうか?

投稿: | 2014年12月22日 (月) 08時51分

うちの小学校には円盤状の台座に乗って回転させて遊ぶ遊具がありました。
悪餓鬼共は競って無茶な回し方をしてたからよく遠心力で吹っ飛ばされてました。
あるとき一人のバカが吹っ飛ばされて怪我してから遊具は撤去されちゃいましたけどね。
鉄棒は授業でも使うから撤去はされないんでしょうけど。

投稿: ぽん太 | 2014年12月22日 (月) 09時08分

前振りの話題について、疑問に感じたこと。
教員は食事介助を業務の一環として行っていたのでしょうか、それとも無償のボランティアとして行っていたのでしょうか。
もし業務として行っていたのなら、身体介護の資格は持っていたのでしょうか。
ちなみに東京都は教員とは別に介護職員を募集してますね。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/gakumu/kaigosyokuin_bosyannai/annai.pdf

投稿: JSJ | 2014年12月22日 (月) 09時12分

その点に関しても非常に気になるところなのですが、義務教育においても給食費は実費徴収と言うことから考えるに、食事介助は学校教育における教員の業務に含まれない可能性があるのでは?と言う気がしました。

投稿: 管理人nobu | 2014年12月22日 (月) 10時09分

この中学3年女子の父親って、自分の娘すら金にしようとしているとしか思えないんですが・・・。
まともな人間じゃないですね。

投稿: | 2014年12月22日 (月) 10時14分

ってよく見たら中学生が勝手に小学校入り込んで勝手に事故ってんのかw
不法侵入も金になる時代ってことかよw

投稿: | 2014年12月22日 (月) 10時43分

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