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2014年12月19日 (金)

扱いの難しいものの扱い方についての話題

本日の本題に入る前に、先日こういう記事が出ていたことをご存知でしょうか。

銃許可の規制緩和=診断書、かかりつけ医も-佐世保乱射で限定・警察庁(2014年12月11日時事ドットコム)

 銃所持の許可や更新を受ける際に提出する医師の診断書について、警察庁は11日、精神科医に限定している現行の規制を緩和し、かかりつけ医も認めることを決めた。2007年に長崎県佐世保市で8人が死傷した散弾銃乱射事件を受けた銃刀法の改正で強化された規制だが、鳥獣駆除に携わる人の負担軽減策として、大日本猟友会や自民党の議員連盟が緩和を求めていた。

 警察庁は関連する規則の改正案を公表。12日から30日間、一般の意見を募集した上で来年3月に施行する予定だ。

薬物中毒かどうかなど医師の診断を必要とする資格は登録販売者や調理師など少なからずあって、資格を取った人にしても一体そんな診断書をどこで書いてもらうべきか?と悩ましいところなのでしょうが、書く側にしてもいきなり目の前にやってきた人に「問題ないと診断書を書いてください」等々と言われてもちょっとどうしたものかと迷わしいものがありますよね。
特に近年ではてんかん患者による交通事故多発などにより運転免許においても意識消失発作の可能性がある疾患について規制が強化されているわけですが、病気の管理が十分でない患者が事故を起こした場合担当医の責任が問われるかと言う問題が議論されていたように、医学的にお墨付きを与えると言う行為は何かあった場合に一定の責任をも覚悟する必要があると言えそうです。
この点でようやく利用現場も危機意識が芽生えてきているのか、この種の診断書作成に当たっては顧問弁護士と相談し病院独自の但し書きをつけている施設もあるようですが、特に銃刀法の場合精神科での診断書が必要なせいか、警視庁のHPにすら「依頼により必ず診断書を作成してくれるものではありません」「複数回通院して診断を受けなければ診断書を取得できない場合もあります」等と書かれている始末です。
この場合問題視される方々と言うのは日頃から親しく接しているかかりつけの方が承知していることだろうし、厳密な医学的診断よりも専門外であっても常識的判断が行われればそれでいいと言うことなのでしょうが、精神科の先生が医学的に厳密な対応をし過ぎるものだからかかりつけ医にしかるべき(あるいはまあ、なあなあと言っていいのかも知れませんが)対応をしていただきたいと言う気持ちも見え隠れしているようですね。
近年ハンターの高齢化と減少に歯止めがかからず、有害鳥獣駆除にも困っていると言う現象面が制度改定を後押しした側面が多々あるんじゃないかと思いますが、精神科入院歴のある人が重大事件を起こすたびに「何故退院させたんだ!?」と言われる世の中である限りは、精神科の先生にしても責任の取り方に対して慎重に対応するしかないんだろうなと言う気がします。

さてここから話は変わりますが、昨今何でもネットで出来る時代で特にいわゆるネットオークションの類はちょっとした小遣い稼ぎや不要品処分と言った範疇に留まらず、実質それで生活をしていると言う人も相当数に登っているようで、もちろん需要と供給が合致して双方にメリットのある取引が出来ればいいのですが、中にはほとんど詐欺と言っていいレベルの行為も行われているようですよね。
とかく需要があるところ商売のネタになると言う点でネットと言う環境はどんな少数派の需要であっても掘り出せると言うメリットがありますが、同時に顔を合わせないで取引できる気楽さが怪しげな商品に手を出しやすい環境を作りがちなのは古のアングラビデオ通販などと同じ理屈で、先日はこういう記事が出ていたことを紹介してみましょう。

フリマアプリに残薬を出品しないで(2014年12月15日日経メディカル)

(略)
 2014年6月、一般用医薬品のインターネット販売が解禁されるのと一緒に、ネットオークションでの医薬品の販売が明確に禁止された。厚生労働省は、「薬事法違反の疑いがあるインターネットサイトの情報をお寄せください」と呼び掛けている。フリマアプリで医薬品を見つけてしまった場合、どうしたらよいのかについて自治体の担当部署に問い合わせたところ、「自治体あるいは厚労省の窓口と、サイトの運営管理者の両方に情報提供するのがよい」とのことだった。

 経皮消炎鎮痛薬を出品している人が他に売っているものを見ると、中古の衣類や子供の玩具などであり、恐らく普通の家庭の主婦が規制を知らずに出品している。フリマアプリやオークションの利用規約に「医薬品の出品禁止」が書かれていても、利用者が気付かなければ意味がない。とはいえ、私の通報によってアパートの一室に捜査が入り、若い母親はおろおろし子どもは泣き叫ぶ、という状態になるのはできれば避けたい。この可能性については、自治体の担当者は「悪質であれば追及される可能性があるが……」と言葉を濁した

 湿布のような外用薬だと、つい家族の残薬を流用しがちであり、その延長の感覚でフリマに出しているのかもしれないが、法に反する。アプリの運営者は、規約違反の通報があれば当該出品をすぐに削除してくれるようだ。ただ、削除された理由に関する説明が運営者側からきちんとなされているかはよく分からない。なぜダメなのかの説明がなければ、出品者は再び医薬品を出品してしまう可能性が大きい。薬を出す側、病院や薬局などの医療機関も、残薬の扱い(例えば、ネットでの転売禁止)についてポスターなどを用いてきちんと説明すべきではないだろうか。ちょっとした注意喚起で大きく改善できるような問題である気はする。

まあしかし記事には善意のと言うのでしょうか、そういうルールがあることを知らないまま気軽にやってしまったと言うケースが紹介されているわけですが、当然ながら過失ではなく故意に行われる悪質な事例と言うものもあるわけですし、本来的に取り締まるべきなのはそちらの方であるはずですが、しかしその辺りの悪質度の区別や線引きと言うのはなかなかに難しいところもあるのだろうとは思います。
昭和の時代に何であれ病院にかかると大量の薬を処方されていた時代があって、お爺ちゃんが大袋一杯もらってきた薬をお婆ちゃんがやれやれとゴミ箱に捨てていた、などと言う笑い話のような話があったと言いますが、今でも余った薬を家族で使い回すなどと言う行為は(もちろん本当はいけないのですが)結構やられているのだろうし、その流れで「それなら売ったらいんじゃね?」と考えることもまあありそうな話ではありますよね。
ただもちろん薬品類を売り買いするのは法に触れる行為であって、この辺りは本来オークションサイトの側がきちんと管理監督をしておかなければならないはずなんですが、何しろ何でもかんでも売られていると言う時代にあって全数チェックと言うものも難しいものでしょうし、その結果あたら知らずに犯罪者になってしまうと言うのは悲しむべきだとは思います。
ただ禁止されていてもやりようさえ知っていれば今でもやり方はあるし、色々な方法論で薬に限らず禁止のはずの品物をやり取りしている方々も事実いらっしゃるわけですが、特に昔から大人気の向精神薬などは犯罪や事故にも直結しかねないだけに、警察など関係各方面としても流通システムの簡易化には頭が痛いところでしょうね。

先日はレセプトの分析によって生保受給者への向精神薬他剤処方の地域差が実に11倍にも及ぶと言う結果が出ていて、地域毎の有病率や重症度にそこまで差が出るとはちょっと思えませんんから何かしら医学的理由以外の原因があるのだと思うのですが、今春にも複数医療機関を受診し向精神薬の多重処方を受けていた生保受給者の記事が出ていたのも思い出されるところです。
当然ながら自己負担がなく処方を受けられるので丸儲けなんですが、昔から生保受給者に限らずこの種の薬物を転売して稼ぐ人間と言うのは一定数いたもので、近年ではネットの大手掲示板やSNSがその取引の場になっているとも言い、時々逮捕者も報じられるものの様々な手段で取り締まりを回避すると言ういたちごっこが続いているようですよね。
個人と個人が簡単につながれるようになればこうした取引も楽なんだろうなと誰しも思うところですが、当然手段が簡便化してくればそれだけ気軽に売ってみよう、買ってみようと考える人も増えてくる道理で、こうなりますと個人を対象に通信の傍受も必要になるのか?と色々な余波も想像出来るんですが、とりあえず確信犯の方々はともかく無知なるが故に犯罪者になってしまうことは避けて頂きたいところですよね。
ちなみにオークションサイトなどを介した取引の場合、違法取引は当然禁止されているのですから利用者側からは「サイトが出品を認めているのだから合法だと思った」と言う言い訳は成り立つ余地があるのかですが、法律的に売り買いしてはならないものは決まっているのだし、ネット上での取引では何を売るかを明示して売っているわけですから、当然にこうした言い訳は通用しない理屈ですのでご注意ください。

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コメント

猟銃の診断書については、私のいる自治体の警察署が「精神保健指定医の在籍している病院・診療所一覧表」を渡して、問い合わせをするよう促している模様です。関係団体に協力のお願いもあったようで、今のところ大きなトラブルにはなっておりません。
じゃあ一見さんをどういう風に診断するかといいますと・・・私の場合は勘ですね。怪しいとおもったケースは、家族を連れてもう一度来院するよう説明しています。それを拒否される場合は心理検査をきっちりやることになりますが、そこまでしたことは今のところありません。

薬の横流しについても気をつけてはいますが、生活保護よりも自立支援医療制度が優先であるがために複数の病院を受診することが困難ですし、
その手の方が喜びそうな薬剤の処方自体が減っています。

投稿: クマ | 2014年12月19日 (金) 08時14分

うちの場合診断書には「あくまでも診察時の所見であり…」って断り書きを貼ってるらしいです。
書式が決まってるものなら勝手に改変していいのかしら?と思うのですけど。
専門外の医師が何をどうみたらいいのかガイドラインみたいなものってあるんですかね?

投稿: ぽん太 | 2014年12月19日 (金) 09時06分

 出品品の説明文に「薬」とかの文字が含まれていれば、出品時に、自動的に医薬品出品禁止を知らせるページに飛ぶようにする、そもそも受け付けなくするなんて、簡単にできると思うけどねぇ。

投稿: うう | 2014年12月19日 (金) 10時39分

ネット文化的にその種の検索避けのテクニックはかなり一般化していますのでなかなか根絶は難しいと思いますが、逆に隠蔽工作をしている=犯意があると言う傍証にはなるのでしょうね。
いずれにしても利用者側も犯罪に荷担していると言う認識が必要なんですが、ただこのあたり法律の文言を見ると実は大きな抜け道があるのか?と言う気もしていて実際どうなんだろうと思って見ています。

投稿: 管理人nobu | 2014年12月19日 (金) 10時46分

うちの病院では精神科のドクターから、相談されたら当院では数日入院してもらって調べます。と答えてください。という通達が・・・

投稿: | 2014年12月24日 (水) 20時16分

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