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2014年12月12日 (金)

特に女性には気になる?リスク

本日の本題に入る前に、以前に一部の方々がマタタビ(マタ旅=妊婦の旅行)なるものを妙にヨイショしていると言う話を取り上げたことがあって、ともかくも医学的リスク以外にも様々なリスクがあると言う自覚は必要だろうと思うのですが、先日日本でもおなじみの観光地であるハワイにおいてこんなショッキングな話があったと言います。

ミリオンダラーベイビー 保険適用されず(2014年11月20日ハワイニュース)

生後11か月のカナダ人の赤ちゃんは、昨年12月ホノルルにある、カピオラニ・メディカル・センターで誕生しましたが、両親の元には保険が適用されない、約95万ドルの請求が届いているということです。

カナダからマウイ島に旅行に来ていた夫妻は、滞在中に破水し、ホノルルにヘリコプターで運ばれた後、カピオラニ・メディカル・センターで6週間にわたる入院を余儀なくされ、結果、帝王切開にて9週早い出産となりました。

夫妻はブルークロスの旅行保険に加入していたものの、加入前に、膀胱感染症による少量の出血があったことを理由に保険金が支払われないことが判明しました。

これに対し夫妻は、カピオラニ・メディカル・センターのドクターからの説明では、膀胱感染症と破水にはっきりとした関連はないと伝えられたと話していますが、ブルークロスでは、今回の救急医療は加入前の既往症により保険適応外と判断され、また新生児への医療も保険適応外の旨が書かれた書類をカピオラニ・メディカル・センターに提出しているということです。

これに関して、ブルークロス・ブルーシールド系列のハワイの最大手保険会社HMSA、カピオラニ・メディカル・センター共にコメントは控える、と述べるにとどまっています。

ちょうど先日とある漫画で似たような話を聞いたことがあるなと思って見ていたのですが、旅行保険と言うものには出産と歯科は対象外と言うものが多いのだそうで改めて注意を要するのも確かだとしても、しかし実際にこうして億単位の請求なんて話が起こってみますとびっくりするのは確かですよね。
カナダの医療制度はイギリスにならったメディケアと言われる国民皆保険制度で、直接的な自己負担がない代わりにアクセスが悪い(家庭医から専門医への紹介待ち時間が平均9.5週)と言う欠点もそのまま受け継いでいるそうですけれども、日本人もそうですがこうした「安い医療」に慣れた人々は海外での医療行為で思わぬ巨額請求を受けて驚くと言うことをまま聞くところですよね。
何にしろアメリカでは何かと言えば医療費の高さに驚く機会も多く、先日聞いた話では手術をすることになって全額保険で対応可能と聞き安心していたものを、担当医がたまたま手術室でちょいと脳外科医にコンサルトしたところ巨額のドクターフィーが後日請求されてきた、しかもその分は保険でカバーできないので途方に暮れていると言った話もあるようで、まあオバマさんが皆保険制度の必要性を説くのも理解は出来ますよね。
今回の保険の契約上出産に関する費用負担がどうだったのかは不明なのですが、ほとんどが一時加入である旅行保険の性質上記事にあるような理由での支払い拒否ををされるのでは意味がないわけで、保険会社にとっても支出を抑えようとしてかえって大きな社会的信用を失う恐れがある行為ではないかと言う気もするのですが、妊婦の方々は医学面以外にこうしたリスクもあると言うことは考えに入れておくべきかと思いますね。

さて、保険の話はそれとして昨今日本でも利用が拡がっているのがスマホ等を利用したタクシー配車サービスと言うもので、いちいち電話をかけずともお望みのままに配車しますと言うアプリが出回っていますけれども、日本の場合白タク禁止や料金等の様々な規制も強力でタクシーの品質は一定程度確保されている方だと言え、むしろ酔客やモンスター顧客による運転手への暴行事件の方が問題視されやすいほどですよね。
ただそんな日本でも時には運転手による様々な犯罪行為が報じられることはありますから、海外ではいつ何時犯罪に巻き込まれるか判ったものではないと言う地域もあって、特に南米では先頃も邦人死亡事件があったように白タクや流しのタクシーはいつ犯罪に巻き込まれるか判らない恐さがあり、ホテル等から呼んでもらう方が安全だと言います。
そうした点でこの配車サービスと言うものは利用者の期待としては一定程度品質も保証するものであるべきだと捉えられていると思うのですが、どうも海外の事例を見ると決してそうではないらしいと言うことが明らかになってきたと報じられています。

運転手による女性客レイプでUberに課せられた重い罰:インド(2014年12月9日WIRED)

インドのデリー当局は、配車サーヴィス「Uber」の運転手が女性客をレイプしたとして逮捕されたことを受けて、同社に営業停止を命じた
この禁止措置について、サンフランシスコを拠点とするUber社はまだコメントを出していない。ただし、今回の事件を受けて、Uber社のトラヴィス・カラニック最高経営責任者(CEO)は12月7日、ウェブサイトに掲載した声明の中で次のように述べている。
「この卑劣な犯罪に遭われた被害者の方に、当社のチーム全員より心からお見舞いを申し上げます。われわれは何でもします。繰り返しますが、この犯罪者を裁き、被害者とその家族を回復に向けて支えるために何でもします
Uber社は、インド政府と協力して運転手の身元調査制度を新たに確立させるとともに、地域の団体と協力して、「デリーを女性にとってより安全な街にするために役立つ技術の進歩に投資していく」と、カラニックCEOは付け加えた。
Uber社が地域の自治体に営業停止を命じられるのはこれが初めてではないが、これまでの禁止措置は多くの場合、地域のタクシー協会との規制をめぐる対立に関係している。しかし、デリーでの禁止措置は、同社のシステム(というよりむしろ、シェアリング・エコノミーと呼ばれるシステム全体)が抱える、はるかに根の深い弱点を反映するものだ。

『WIRED』US版が2014年4月の英文記事で指摘したように、Uberのようなサーヴィスは、まったく見知らぬ人たちへの信頼で成り立っている。そしてその信頼は、時に裏切られることもある。
Uberでは、今回の事件以外にも、同じような事件がいくつも発生しており、こうした信頼が損なわれる危機に瀕している。同性愛者を嫌悪する人や、人種差別主義者による暴言や誘拐などの被害が報じられているほか、2014年9月には、サンフランシスコで乗客が運転手にハンマーで殴られるという、とりわけ恐ろしい事件もあった。

Uber社は2014年2月、ようやく米国における身元調査の方針を改めた。
それまで、一般の人の所有車を活用する「UberX」プログラムの運転手は、Uber社では正社員ではなく契約者と見なしており、複数の州にまたがる犯罪歴を照合するだけでよかった。これらの犯罪歴は不完全な場合もあるため、Uber社では、運転手に郡当局や連邦レヴェルでの身元調査も受けさせるようにしたのだ(今回の事件では、インド側の警察幹部は、初動捜査の結果、義務づけられている運転手の犯罪歴調査が行われていなかったことが明らかになったとして、Uber社を批判している)。
(略)

女性にとっては特に深夜の単独でのタクシー利用には緊張感を覚えると言う局面もあるようで、日本であってもそうなのですから海外ではなるべく避けるべきリスクと言うことになるかと思いますが、そうは言っても一人で道を歩く方が安全だとも言えない以上タクシーに乗るしかない局面も多いでしょうし、ましてや現地の人間にとってはそうした環境であることは仕方のないことですよね。
そのタクシー利用によってこうした犯罪行為に巻き込まれた場合に誰が責任を取るべきなのかですが、これがタクシー会社に所属する正規のタクシーであれば誰しも会社に連絡を取るのは当然なのですが、それではこの種の配車サービスに所属する(多くは日本で言う白タクに相当する)個人タクシーでの事故があった場合、配車サービス側はどこまで責任を取るべきなのかです。
実はインドに限らず本拠地のアメリカにおいても同社登録の運転手による暴行・セクハラ事件が発生している、そして運転手の犯罪歴等チェックがされていなかったと明らかになっていることもさることながら、客待ちをしていた同社配車のタクシーが事故を起こした際に運転手個人の加入する保険では業務時間外だからと支払い対象外となってしまったケースで、同社が「当社に責任はない」と知らぬ顔を決め込んだ事件も注目されます。
運転手からすれば配車サービスに登録すれば余計な手数料を取られる上に価格競争で運賃値下げを強いられる、そして整備や保険等々のコストは自己負担である上に事故でも起こせば自己破産に追い込まれかねないリスクを負うことになるわけで、それだけ条件の悪い仕事にどんな人材が集まるかと言えばまあ、他に真っ当な生業に就けるような人であれば関わり合いにはなりたがらないんだろうなと言う気はしますよね。

ちなみにすでに世界各地で続々とUberに営業禁止命令が出されていると言う状況なのですが、前掲の記事からも伺えるようにその多くは車輛形式がどうだとかドライバーの認可がどうだとか言った理由で、その進出が既存タクシー会社にとって大きな脅威になっていると繰り返し報じられてきたように、やはり商売敵として目の敵にされている、既存のタクシー業者を圧迫すると言う経済的側面からの反発が大きいようです。
もちろん業界の既得権益と言えば昨今打破されるべき旧弊だと相場は決まっているのですが、様々な意味での質を確保するためにはそれなりにコストもかかるのは理屈であり、単純に安さだけを追及して行くのでは結局利用者にとっても損になる局面も多いはずですから、経済的競争によって世の中安かろう悪かろうばかりになってしまうのも困りものですよね。
ただこの点で少しばかり興味深いと思ったのは日本では既存のタクシー会社と組んで空車の配車サービスを行っていると言う点で、配車取り次ぎの手数料等料金の取り分がどれくらいの比率になるのかと言う問題はあるにせよ、白タク配車サービスとして既存タクシー業界と競合しがちな海外と少し風向きが違うように思えるのは、やはり日本では業界そのものへの規制が厳しいと言う事情があるのでしょうか。
規制が誰のためのものかと言う点に関しては様々な議論があり、また規制を緩和した結果コストが下がるなどうまく回っている業界もあるでしょうが、しばしば報道される内外の食品安全の問題を見ても安全管理と言う点では一定の役割を果たしている側面もあるはずですから、ちょうど今話題のTPPなどとの絡みでこの辺りが諸外国並みとなればどうなるかと言う点も想定しておくべきかなと思いますね。

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コメント

日本には「海外療養費」という制度があるから、95万ドルのうちの数千ドルくらいは戻ってくるかと(出産一時金と併せて1万ドルくらい期待してもいい?)。残りの94万ドルはやっぱり自腹だけど。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3120/r138

投稿: JSJ | 2014年12月12日 (金) 08時57分

いざというとき保険の支払い拒否って困るんですよね。
なんでも支払ってたら保険料高くなるんだろうけど。
免責額以上は無条件で支払う保険って無理なのかしらん。

投稿: ぽん太 | 2014年12月12日 (金) 09時17分

1億近く出産に掛かるって凄い
ミリオンダラーベイビーw

投稿: | 2014年12月12日 (金) 09時32分

出産は病気ではないですからね...。
アメリカでは出産にまつわる訴訟トラブルが多く、産婦人科医の支払う保険料が高騰、ある州では産婦人科医がこのままでは破産すると、撤退の動きを示すなどもあります。

こんな異常な保険料を反映した診療費を海外旅行保険なぞであつかったら、善良なケガ・病気の旅行者が著しい損をするわけで、マタタビなどという児童虐待の個人趣味にはつきあってられないというのが本心でしょう。素直に国内旅行にしておけば良いだけです。

投稿: おちゃ | 2014年12月12日 (金) 09時37分

出産専門の保険の方がまだしも可能性はあるのかも知れませんが、どこまでがお産に関連する行為かと言う線引きも難しく、少なくとも妊婦の海外旅行は金銭的ハイリスクと言うしかないと思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2014年12月12日 (金) 10時55分

白タクらしいの見たことある
どこの誰とも知れない車に乗る気にはならない

投稿: | 2014年12月12日 (金) 16時13分

この時期になると妊婦さんから、飛行機に乗って規制してもも大丈夫ですか? 車で移動しても大丈夫ですか?と聞かれます。本人には、大丈夫ですとは口が裂けても言いません。たぶん大丈夫だろうけれど、行った先でどうなるかはわかりません。出血で長期入院になったり、破水して早産になることもありますからね。母子手帳とお金はしっかり持って行ってくださいね。自己責任ですよ。と常に言っています。実際沖縄に遊びに行って切迫流産で長期入院となり、泣きながら電話で何とかしてくれと言われたこともありますが、何もできませんから。

投稿: | 2014年12月15日 (月) 12時03分

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