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2014年12月 2日 (火)

その母乳栄養へのこだわり方は妥当なのか?

本日の本題に入る前に、給食にミ○メー○がつくかどうかで牛乳の価値が激変したと言う経験は誰にでもあるものだと思うのですが、あれも実はまだ脱脂粉乳も残る時代に子供が給食の牛乳を残さないようにと栃木県の学校給食会から依頼されたのが商品開発の発端なんだそうで、紆余曲折を乗り越え販売にこぎ着けたメーカーさんの努力には頭が下がりますね。
とは言え最近ではまたぞろ給食の食べ残しが多いと特に一部地域では問題になっているようなんですが、その理由を探ってみると何ともお役所対応と言うのでしょうか、もう少し工夫する余地はありそうな状況ではあるようです。

「ふりかけはダメなんですか」橋下市長、不評の中学校給食の実情に驚く(2014年11月25日産経新聞)

 「冷たくておいしくない」と不評で食べ残しが問題になっている大阪市立中学校の給食について、橋下徹市長と市教育委員らが25日、生徒が「ふりかけ」を使うことを認めるかどうかをめぐり、熱い議論を交わした。塩分量など栄養バランスを重視して認めないか、ご飯を食べさせる切り札にするか。橋下市長は「校長の裁量に委ねるべきだ」としたが、約10分の議論でも結論は出なかった

 「ご飯を残す子が多くて…。ふりかけがあれば食べるかもしれない」。教育課題について話し合う会合で中学校教諭がこう発言すると、橋下市長は驚いた様子で反応した。
 「ふりかけはダメなんですか
 同市の中学校給食は弁当を配達するデリバリー方式を採用しているが、特におかずが「冷たい」「おいしくない」と不評で、食べ残す生徒が約7割に上る。そこで切り札として浮上してきたのが、ふりかけだ。ただ給食は国の栄養摂取基準に従って作られており、塩分は1食あたり3グラム前後。ふりかけをつけると塩分過多になるため、市教委の事務方は「すすめられない」と意見を述べた
 教諭や教育委員からは「ふりかけを前提にメニューを考えては」「塩分の低いふりかけを開発するのはどうか」などと前向きな意見も出た。

 橋下市長は「ふりかけの判断ぐらい学校現場に委ねられなければ、中央集権そのものだ」と主張。専門家の意見を踏まえて協議を続けることになった。

いやまあ、もちろん公式決定ともなればそれなりに資料を基にした検討も必要なんでしょうが、正直そこまで引っ張るネタなのか?と感じたのは自分だけでしょうか?
さすがにあまりに馬鹿馬鹿しいと悟ったのか、橋下市長の発言を受けてか大阪市教委でも生徒が「ふりかけ」を持ち込むことを学校判断で許可できるようにしたそうなんですが、これまたふりかけ持ち込みを巡って教室内でどのようなドラマが展開されるのか気になるところで、ふりかけの小袋をつけてみるくらいの事はむしろトータルでおかず代を節約出来る可能性もあり、一部ででも試験的にやってみてはどうでしょうね?
ちなみに市販のふりかけと言うものはメーカーサイトによれば一食分で塩分相当量にしておよそ0.2~0.4g程度なんだそうですが、その程度であればメニューや味付けの工夫でいくらでも補えそうなものですし、給食用に塩分や栄養価を工夫したふりかけを開発し教育委員会推奨!なんてお墨付きを得れば商売にも宣伝にもなりそうですので、ここは是非メーカーさんも一肌脱いでみていただけないものかなとも思います。
ふりかけの話はともかくとして、冒頭の牛乳の話について言えばひと頃給食で出ているような高温殺菌の牛乳ではカルシウム等の吸収効率が悪くなると言う説があって、極端な人はまずいだけで栄養にもならない給食の牛乳など飲む価値なしとまで叫んでいたようですが、あれも実はカルシウムの吸収は加熱しても変わらないしビタミンなどはむしろ短時間高温殺菌の方が残ると言う意見もあるようです。
もちろん殺菌方法によって少なくとも味は変わるわけですから好みの問題も含めて各人の判断で選べばいいのかなと思うのですが、どうも近ごろ各人の判断でやってくださいで済まなくなってきているのが「母乳保育vs人工乳保育」の問題で、このところ「一体何が起こっているのか?」と思うような不可思議なニュースも出ています。

「母乳より粉ミルクを」 イタリアの小児科医、収賄容疑(2014年11月26日朝日新聞)

 イタリア警察当局は25日までに、収賄容疑で公立病院の小児科医12人を自宅軟禁にしたと発表した。新生児の母親に対し、母乳ではなく粉ミルクなど調合乳を飲ませるよう指示した疑いが持たれている。

 ロイター通信などが報じた。粉ミルクメーカー3社の営業責任者たち計5人も贈賄容疑で自宅軟禁にされたという。小児科医たちは最新式のスマートフォンやテレビを贈られたり、外国旅行や豪華クルーズなどでもてなされたりしていたという。

 イタリアの保健相は「こうした事態の深刻さには言葉もない」と述べた。(ローマ=石田博士)

「もらい乳」32施設で実施、無殺菌で感染例も…厚労省研究班調査(2014年11月6日読売新聞)

 母親の母乳の出の悪さや病気などで母乳をもらえない早産児らに、病気の予防のため、別の女性の母乳を与えるもらい乳を、全国の新生児集中治療室(NICU)の25%が実施していることが、厚生労働省研究班による初の実態調査で分かった。
 殺菌していないもらい乳を通じ、早産児が感染症にかかったとみられる例もあり、研究班は今年度中に殺菌の手順などをまとめた運用基準を策定する。
 松山市で10日から始まる日本未熟児新生児学会で発表される。

 小さく生まれた早産児の場合、母乳は人工乳と比べて、命にも関わる腸炎の発症を減らしたり、消化吸収機能の発達を促したりする効果が高いため、なるべく早くから母乳を与えるのが望ましい。
 調査は今年7月、NICUがある全国179施設に実施した。回答した126施設中、32施設(25%)がもらい乳を使っていた。
 もらい乳は、冷凍保存したものが早産児に提供されるが、低温殺菌していないため、早産児にウイルスや細菌が感染する危険性がある。今回の調査では、もらい乳が原因と考えられる感染症の有無を尋ねたところ、早産児が感染すると重症化するサイトメガロウイルスと、薬が効きにくいタイプの大腸菌の2件が報告された。

 米国や英国など多くの国では、専用装置で低温殺菌し、感染の危険がない母乳を提供する母乳バンクが専門組織や病院単位で整備されている。しかし、国内の取り組みは遅れており、専用装置を備えた施設は昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)のみだという。
 調査をまとめた同病院の水野克己小児内科教授は、「早産児は年々増えており、母乳バンクの需要は高まっている。安全な母乳を提供できるシステムを広めたい」と話している。

まあしかし何事も過ぎたるは及ばざるが如しと言うのでしょうか、どちらもそれぞれにメリット、デメリットがあるからこそ未だに優劣決せず論争が続いているんだと思うのですが、最近は特に一部で見られるようにあまりに完全母乳栄養にこだわりすぎると問題が多いのでは?と言う意見もあって、一部施設では完全母乳にこだわるあまり新生児が低栄養で深刻な後遺症を負ってしまうと言うケースもあるようです。
基本母乳保育であっても母乳の出が悪いなど事情があれば随時人工乳で補えばよさそうなものなんですが、どうも完全母乳と言うことが宗教化しているのでしょうか、一滴たりとも人工乳は入れさせないと言う強い信念の元で指導をされている施設もあるようで、詳しい情報を持たない親とすれば専門家がそう言うのだから…と従うしかないですよね。
この辺りはすでに裁判沙汰になっているケースもあるようなんですが、一部関係者の口ぶりでは日本に限らず世界的にも母乳保育=絶対善的な風潮があって、それに反するような研究をしたり発表することも憚られる空気すらあるとも言うのですが、素人目には少なくとも母乳が出ないのに人工乳の一時的使用すら断固拒否すると言うのもあまり頭が良いことのようには思えません。
逆にときどき風邪等で見るからに具合が悪そうなのに「母乳保育だから薬はいりません!」と断固言い張るお母さんもいて、母乳を介した母子感染で有名な成人T細胞白血病ウイルスを始め母乳中にウイルスが排泄されている場合も少なくないのですから、母親が具合の悪いときくらいは母乳を飲ませることに慎重になってもいいのかなと言う気がするのですけれどもね。

もちろん数々のデータで母乳保育には大いにメリットがあると言うデータは出ているようですし、基本的に母乳中心でと言うのであれば大いに首肯できる話なんですが、どうしても疑問に感じるのは一部に見られるような完全母乳にこだわることのメリットがあるのか?と言う点で、このあたりのメリットを示すデータと言うのは今だに見たことがない気がしますがどうなんでしょう?
もう一つ気になるのが母乳栄養がしばしばカンガルーケアとセットで推進され、母乳を吸わせることで母子のスキンシップを促進するのだと盛んに喧伝されるように見えるのですが、部分的にででも人工乳保育も併用すれば父子のスキンシップも同時に推進出来そうなものなのに、敢えてジェンダー間の格差をいたずらに拡大する方向で話を進めようとしているように見えるのも今どき興味深い話ですよね。
ひと頃お隣中国などでは国産ミルクによる深刻な健康被害が頻発し、外国に出かけてミルクを買い漁る人が続出して周辺国が困っているとニュースになっていましたが、もちろん人工乳の品質担保と言う余計な作業が増えるのが面倒くさい、それなら安心安全な母乳の方が楽だと言う考え方で母乳にこだわると言う人も当然いてもいいとは思います。
ただ母乳がそうまで安心安全なのか?と言う議論は抜きにしても、人間が哺乳に頼って暮らす期間など人生の中でも限りなく短い一瞬ではあるわけで、むしろその後の長い期間に何を食べるか?と言うことの方がよほど子供の将来にとって重要になってくる可能性を考えると、完全母乳にこだわって育てた挙げ句に週末には家族みんなでファーストフードのドライブスルーと言うのでは何やら釈然としない気もしないものでしょうか。

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コメント

乳児の「お腹すいた」アピールはいつも突然だ。自宅や授乳施設のある店に
いたなら問題ないが、公共の場所で泣かれて困ってしまったという経験を持つ
お母さんは多いのではないだろうか。カナダ・オタワのスターバックスで起こった
授乳にまつわる事の顛末に注目が集まっている。

ジュリア・ワイクスという若い母親が5か月になる男児を連れてスターバックスに
入店した。そのうち息子が泣き出したため、ワイクスはカウンターで授乳を始めた。
その日の気温は39度に達しており、窒息の危険性を考慮してケープなどで覆う
ことはしなかったという。それを見咎めた中年女性が、店員に向かって「何なのよ
あれ! 気分が悪いわ! ちょっと何とかしなさいよ! やめさせて!」と大声で
わめいたとか。

文句を言われた男性店員(19)は、女性にニッコリと微笑み「かしこまりました」と返答。
追い出されるのかと戦々恐々としていたワイクスのそばへ近づくと、コーヒーを
一杯サービスし、「次回、ご来店の際にお使いいただけるチケットです。今日はこんな
不愉快な目に遭わせてしまって本当に申し訳ありません」と謝罪したという。

ワイクスが帰宅後、この出来事をHuffingtong Postの育児ブログに投稿すると、
24時間後には全世界にシェアされる人気の話題となった。大量に寄せられたコメントには、
10代でありながらスマートな対応をした店員の対応を称賛するものが多かったが、
意外な反応も見られたという。「私を応援してくれる声もありましたが、多くは私を非難
するものでした。衝撃的だったのは、そのほとんどすべてが女性から発信されたという
ことです。大人の女性が、授乳に対して侮蔑的な視線を向け、見下していることを心から
恐ろしく思います。女性に胸があり、それを使うのは自然なことなのでは」とワイクスは言う。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140704-00010008-jisin-soci

投稿: | 2014年12月 2日 (火) 08時17分

…アメジョ?

http://yellow.ribbon.to/~joke/discrimination.html
ちょっとスチュワーデスさん!席を変えてちょうだい」
ヨハネスブルグ発の混んだ飛行機の中で、白人中年女性の乗客が叫んだ。
「何かありましたか?」
「あなたわからないの?黒人なんかの隣には座りたくないのよ!こんな人迷惑だわ」
女性の隣では、黒人男性が憮然とした顔で座っている。
「お客様、少々お待ち下さいませ。空いている席を確認してきます」
乗務員は足早に立ち去り、周囲の乗客はざわざわと不穏な空気。
しばらくして乗務員が戻って来た。
「お待たせしました。ファーストクラスにひとつ空きがありますので、どうぞそちら
へ。本来ならこういうことはできないんですが、隣の席がこんな人では確かに迷惑
でしょうと、機長が特別に許可しました。さ、どうぞ」

周囲の乗客は、にこやかに黒人男性を見送った。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年12月 2日 (火) 09時20分

ネタのようなホントの話?
こういうのって好きです。

投稿: ぽん太 | 2014年12月 2日 (火) 09時37分

これはなかなかに面白い記事で、あるいは元ネタ?の方を知っていてそういう対応をとったのかも知れませんが、こういうトンチと機転の利くスタッフを雇用しているだけで企業イメージにも有利でしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2014年12月 2日 (火) 11時21分

内服治療を続ける必要がある患者さんの場合、「出産したら母乳を与えるのはやめて人工乳にしてください」っていつも言っているのですが、
助産師が母乳哺育がいいとか吹き込んで内服治療を中断してしまい、精神症状が悪化して入院に至ったケースを3例経験しています。
こちらから産婦人科の先生に母乳哺育を勧めないで欲しいといつも伝えているのですが、聞く耳持たない助産師がやたらと多くて困ります。
何かいい方法はないでしょうかね・・・

投稿: クマ | 2014年12月 2日 (火) 23時28分

助産師って宗教入ってるからムリムリ

投稿: | 2014年12月 3日 (水) 06時24分

>何かいい方法

患者の家族(←ここ重要)煽って助産師を訴えさせるw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年12月 3日 (水) 09時46分

>患者の家族(←ここ重要)煽って助産師を訴えさせるw

もちろん訴訟沙汰になるとすればそういったやり方も必要でしょうが、まあ正直誰にとっても不毛な話だなと言う気がしてしまいます。
ちなみに先日出ていたこちらの記事、こちらは服薬と授乳に関して薬剤師視点でのものなのですが、これまた個人の立場や職種による考え方などなかなか興味深く感じるところ多々でしたので参考までに紹介しておきます。

添付文書上の「授乳を避けさせることが望ましい」は本当に授乳回避か?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/hirano/201412/539690.html

投稿: 管理人nobu | 2014年12月 3日 (水) 10時14分

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