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2014年11月20日 (木)

マナーの悪いのは誰なのか?

今日の本題に入る前に、昨今の日本社会で流行語的に使われる「ブラック」「モンスター」と言う二つの言葉ですが、これら二つの言葉を関連づけた記事が出ていました。

ブラック企業衰退で…モンスター消費者横行の“負の連鎖” (2014年11月14日日刊ゲンダイ)

 いわゆる「ブラック企業」が追い詰められている。深夜バイトの「ワンオペ」(1人体制)で猛批判を浴びた「すき家」のゼンショーHDは、15年3月期連結決算の純損失が75億円の赤字になる見通しと発表。
 居酒屋チェーン「ワタミ」も、人手不足や経営不振で今年度中に102店舗閉鎖する方針だ。こちらは「365日24時間死ぬまで働け」の“社訓”で、新入社員の過労自殺を招いたことが非難された。

 ブラック企業が排除されて「これにて一件落着」かといえばそうではない。代わりに横行するのが、「モンスター消費者」だ。
 特に飲食店は、モンスターたちの格好のターゲットらしい。社会保険労務士の野崎大輔氏が言う。
「客の滞在時間も長く、日本の従業員は“おもてなし”を重んじた低姿勢。だから、モンスターたちがツケ上がる。『従業員は会社や家庭での不満を晴らすハケ口』と勘違いする人々が増えるのです。そもそも『ブラック企業』という言葉が独り歩きしている状況で、実態にかかわらず、気に食わないことがあれば、モンスターはすぐ“認定”する。たとえ、ブラック企業が衰退しても、日本人のモラルが低下しきった今、モンスター消費者は減るどころか増え続けるでしょう」

 最近ネット上では、業績が上がり店舗拡大中の某飲食フランチャイズが、「ブラックだ」とヤリ玉に挙げられている。その理由は「料理業界はすべて基本的にブラック」などと根拠のない書き込みが目立つ。
「過酷な労働環境の店ほど、従業員はスキルを身に付ける前に辞めるので、常に、未熟な店員しかいない状況です。そこにモンスター消費者が付け入るスキが生じる。ちょっとしたミスで文句を言うから、従業員は耐えられず辞めてしまう。飲食業界はこの負のループから抜け出せないのです」(野崎大輔氏)
 このままだと、日本では飲食チェーンそのものが成り立たなくなるんじゃないか。

今ひとつ論旨不明と言いますか看板に偽りありと言いますか、要するに現場の労働者にとっては雇用主からの暴虐だけでなく顧客からの横暴にも苦労させられると言う趣旨なんだと思うのですが、実際のところアルバイト市場においても特に外食産業で人材不足が目立っているとはしばしば話題になるところで、確かに特別給料がいいと言うのでもなければわざわざストレスの多い職場に関わりたいとは思えませんよね。
いわゆるブラック企業問題に関しては記事にも軒並み「有名処」が業績を落としたり労働環境改善に動いていると言う報道があるように、ネットによる批判やバッシングと言うものもそれなりに存在意義があるようには感じられる一方で、別にブラックでもないのにごく一部の書き込みによってブラック認定されてしまったと不満に感じている企業も少なからずだそうで、実際に求人において支障を来すと言った実害も出ているようです。
一般的にネット環境においては声の大きさが数の多さを反映しないと言う「ノイジーマイノリティ」の問題が指摘されていて、先日も記事に批判殺到で炎上したと思ったらIPアドレスを見るとたった4人が書き込んでいるだけだった、などと言う笑い話のような記事が出ていましたが、基本的にこう言う炎上好きな人々はさっさと飽きて他所に行ってしまうので、やはりある程度長期的な経過を見てからでないと評価は定めがたいですよね。
もちろん就職などは日本の場合、基本的に新卒年単位の一発勝負と言う新卒一括採用になっている以上時系列を追うのも難しいところはありますが、転職や再就職などである程度時間的に余裕があると言う場合はリアルタイムでの好評悪評の書き込みに一喜一憂するのではなく、少し距離を置いて経過を眺めてみてから決断した方がまだしも後悔が少ないと言う可能性もあるのでしょうか。
少しばかりブラックと言うものに関して余計な前置きが長くなりましたけれども、本日はもう一方の雄たるモンスターと言うものに関して先日意外なことで激論が交わされたと言う、こちらのニュースを取り上げてみることにしましょう。

「マナーがなってない」のは中高年の方だ! 「若者擁護」の新聞投書めぐりネットでバトル(2014年11月15日J-CASTニュース)

   「最近の若者はマナーや礼儀がなっていない」とよく批判されているが、むしろマナーや礼儀がなっていないのは中高年の方である――朝日新聞に寄せられた、そんな読者の「本音」がネットで話題になっている。
   投稿したのは「牛丼店でアルバイトをしている」という40代の女性で、これを読んだ人たちは、「接客業をしているとこういう結論になる」といった賛同や、マナーや礼儀を知らない人は一定数いて少子高齢化で数の多い中高年が目立っているだけ、などといった反論が出ている。

「店でキレて騒いでるのは、おっさんおばさんばかりだよ」

   話題になっているのは2014年11月14日付けの生活面「職場のホ・ン・ネ」への投稿だ。題は「お金投げ置く中高年」となっていて、内容は、若い人は食事を終えた後に「ごちそうさまでした」と言って料金を払ってくれるけれども、レジで言葉もなく、投げるようにお金を置くのは中高年の男性ばかりだ、と書いている。「お金を払って食べてやっている」という感覚なのかもしれないが、そんな親に育てられた子供があいさつしない大人に育つのだと思う、とし、
    「嘆くべきは常識のない若者ではなく、お手本にならない大人たちではないでしょうか」
と疑問を投げかけた。
   この投稿は、この欄に11月7日付けで掲載された投書への反論で、11月7日付けでは大手企業の社員寮で清掃をしている60代の女性が、「150人程いる20代の独身男性のうち約半数がろくにあいさつもしない」と嘆いていた。

   この投書を巡ってネット上では、マナーや礼儀がなっていないのは若者なのか、中高年なのか、といった議論が起きていて、ツイッターや掲示板には、
    「私も接客業で働いたことあるけど、中高年のおじさんって本当にタチ悪い。何であの年代って横柄なんだろ」
    「若い人にもクズはいるのはあたりまえだが、実際に店でキレて騒いでるのはおっさんおばさんばかりだよ」
    「カスタマーサポートでもクレーマーは大抵40代以降のやつだったなw若い子はおどおどして慣れてない感じだけど敬語だったり謙虚な子がほとんど」
などといった意見が出ている。
   一方で、少子高齢化社会だから数の多い中高年が目立っているだけであり、若者はマナーや礼儀を知らないばかりか狂暴化しているとし、東京・渋谷での、サッカーやハロウィンの際のバカ騒ぎぶりを挙げる人もいる。

「近頃の若者」よりも「近頃の年寄り」を検討すべき

   ただし、「近頃の若い奴らは・・・」と語られ、若者の将来を憂う事はいつの時代にもあったわけだが、ここのところ、若者だけでなく中高年のマナーや礼儀、モラルの低下を指摘する声が大きくなって来ているのも確かだ。
   国際政治学者で慶應義塾大学法学部の田所昌幸教授が13年11月3日付けの読売新聞に『「昔はよかった」と言うけれど』(大倉幸宏著)の書評を書いていて、
    「近年の若者は一般に礼儀正しく、公共の場所でのマナーもよいのに対して、むしろ傍若無人なのは、親父世代に多いように思えてならない」
と論じている。いろんな窓口で若い担当者に苦情を言っているのは比較的年配の女性が多い印象だし、電車内で田所教授にいつも絡んでくるのは団塊の世代の男性なのだそうだ。この団塊の世代も「最近の若い者は」というセリフをさんざん聞かされた。若者のマナーやモラルの低下について識者は、都市化や近代化が原因だと結論付けてきたが、果たしてそうなのか、と疑問を投げかけ、
    「元気のいい高齢者が増えた現代では、『近頃の若者』より、むしろ『近頃の年寄り』の方を検討してはどうかしら」
などと提案していた。今回の投書をめぐる議論を通し、田所氏の提案や指摘にあらためて注目が集まりそうだ。

マナーと言うものも時代時代によって変化していくものであるし、かつてはこれが正しかったと言う行為が後の時代になって駄目出しされたりその逆もあったりと言うこともあり得るわけですが、基本的には人間多くの場合自分達と流儀が異なっている相手をマナーが悪いと断ずる傾向があるのだとすれば、世代間でお互いにマナーが悪いと非難し合うのはごく当たり前の現象であるとも言えそうですよね。
ただ一般的に年長者は年少者に対して上から目線で応対しがちであり、また年少者からそれなりの節度と敬意を伴った応対を期待しがちなものですけれども、年少者にすれば直接的な上下関係もない赤の他人に水平的な態度を取ってしまうのも必ずしも間違いと言うわけではなく、むしろ場合によっては彼らのコミュニティ内での常識に従ってフランクでフレンドリーな態度を示したつもりであったのかも知れません。
この種の認識のギャップとしてしばしば聞くところですが、常連の顧客に対して親しさを演出する意味で敬語対応からタメ口に切り替えたところ「客を何だと思っているんだ!」と激怒されたり、逆にいつも丁寧な口調を心がけていると「ここの人は冷たい。突き放されている感じがする」と嘆かれたりと難しいところがあると言いますし、見ず知らずのご老人にお爺ちゃんお婆ちゃんと呼びかけただけでトラブルに発展したと言う話もありますよね。

率直に申し上げて世代間のこうした反発、反目はそれこそ有史以来延々と繰り返されてきた話で特に新味がないとは言えるのですが、むしろここでは団塊のモンスター化などと年長世代に対する批判をメディアなども取り上げるようになったことの方が重要で、選挙にも行かずスポンサーとして投下すべき金も持っていない若者層などかつてであれば、あることないこと一方的に叩かれて当然と言うヒエラルキー最下層であったわけです。
ネット経由でこうした「サイレントマジョリティー」の声が世に出るようになってきた結果、彼らも一方的に叩かれる立場を(控えめに言っても)快いものと甘受しているわけではないと言うことが知られるようになってきた、そして時には一部のアクティブな方々が「ノイジーマイノリティ」などと言われながら反撃に出る場合も出てきたり、あるいはスポンサー電突など社会に影響力を行使するようにもなってきたのが現代社会であると言えます。
高齢者からすれば今までは社会の規範と見なされるべき年長者として学べ見習えと奉られてきたものが、突然世の若造から反撃を喰らうわマスコミには耳の痛い意見が出るわで踏んだり蹴ったりと言う気持ちかも知れませんが、公平に見てどの世代であれ数や比率の差はあっても問題行動を起こす「モンスター」は一定数存在するのですから、それに対する批判は甘受しなければならないでしょうね。
もちろん一部のレアケースを針小棒大に取り上げて非難合戦と言うのも不毛なものですが、「あいつらの方が悪い」と言う側の立場に立ってみればまさかに「あいつら」よりもタチの悪い行動に率先して走るわけにはいかないでしょうから、案外こうした世代間の反発が日本人全体のマナー向上と言う面では良い方向に作用すると言うこともいくらか期待は出来るのかも知れません。

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コメント

若造のマナーも最低だが団塊DQNはタチが悪いから

投稿: | 2014年11月20日 (木) 08時59分

若いのはまだしつけの余地があるけど年寄りはもう・・・

投稿: | 2014年11月20日 (木) 10時28分

逆にどこに切れるか判らない若い人に比べると、老人の切れ方には一定のパターンがあるので対応は難しくないと言う考え方もあると思います。

投稿: 管理人nobu | 2014年11月20日 (木) 10時45分

先日、駅に続く細い道(駐車場の出入り程度だが車も通る)を自転車で通行してると歩こう会だかなんだかの旗持った老人の大群が道幅一杯に拡がってちんたら歩いておりました。いつもなら「すいませ~ん」と小声で言って避けてもらうんですがその時は幼児を自転車に乗せた若いお母さんが困惑顔で立ち往生していたので

「すいませ~ん!!!(怒号)」

慌てて飛び退く老害どもを「一列になって歩けマナーを守らんかまったく近頃の年寄ときたら!!!!」と怒鳴りつつ蹴散らしてやりました。朝からイイコトをすると気分がいいぜw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年11月21日 (金) 12時02分

慌てて飛び退いた年寄りが転倒骨折で賠償金ウマーですな

投稿: | 2014年11月21日 (金) 13時04分

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