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2014年11月 6日 (木)

子供は無駄に賑やかだと言うのは確かですが

本日の本題に入る前に先日ニューヨークタイムズ紙が企画したものですが、子供達を高級レストランで食事させると言うだけの動画がなかなかに傑作なので紹介しておきましょう。

【参考】料理のフルコース、子どもの反応が最高!(2014年10月30日カンパネラ)

まあしかし子供達は好き放題と言う感じで賑やかなものですけれども、あくまでも真面目な顔でサーブするスタッフや始終顔が崩れっぱなしのダニエル・ボウルド氏など、周囲の大人達の反応が何とも面白い動画に仕上がっていますよね。
その昔に聞いた話ですが食べちゃいけないと言われたケーキを子供が食べてしまって叱られると言う状況で、口の周りにべったりクリームをつけて「たべてないよ!ほんとだよ!」と言い張る子供を見てかわいらしいと思うか憎たらしいと思うかが子供好きかそうでないかの境目だと言うのですけれども、実際に自分が高いお金を払って高級レストランに行ったとして隣のテーブルがこんな状況であったとしたらどう考えるかです。
もちろん高級店は子供が来るべき場所ではないし親も連れてくるべきではない、ましてや好き放題騒ぐなど論外と言うのも全くの正論なんですが、まことに御説ごもっともと言う正論ばかりでは世の中暮らしにくくなると言う声もあると言うもので、最近全国各地でこんなトラブルが増えていると言います。

子どもの声=騒音? トラブル増え、都条例改正へ(2014年10月30日東京新聞)

 騒音防止を定めた東京都の「環境確保条例」について、現在は規制対象になっている子どもの声を対象から除外するなど見直しの検討を、都が始めた。都内の自治体と協議し、早ければ来春に条例を改正する。保育所などの子どもの声を「騒音」と扱うことに、都議会や自治体から違和感を指摘する声が出ていた。 (松村裕子)

 「何人(なんぴと)も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」。条例の条文はこう明記し、子どもの声も規制対象に含まれると解釈されてきた。
 見直しの背景には近年、各地で「子どもの声がうるさい」と住民が保育所建設に反対するケースが増えたことがある。中には騒音差し止め訴訟に発展した例もあり、今年三月には都議が「子どもの声を工場騒音と同列に扱うのはおかしい」と都に指摘。これを受け都は三~九月、都内六十二区市町村にアンケートした。
 結果、七割が「子どもの声に関して住民から苦情を受けた」と答え、二自治体は保育施設の建設が住民の反対で延期や中止になったとした。一方で、子どもの声を規制対象外とするか、規制基準を緩和すべきだとの意見は四十自治体に上った。「何人も」としている条例が、保育所を訴える根拠とされる可能性があるためだ。

 声の規制が子どもの健全な発達を妨げる恐れもあり、都は規制の対象外とするか規制基準を緩和する条例改正を検討することにした。早ければ来年二月の都議会に条例改正案を出し、来年度から施行する。一方で「子どもの声であっても、受忍限度を超えるような場合は対応が必要」とし、実際に声に悩まされる住民への配慮も盛り込む考えだ。
 子どもの声をめぐっては、練馬区で二〇一二年に、私立保育所の近隣住民が「平穏に生活する権利を侵害された」と、騒音差し止めや慰謝料を求めて提訴。神戸市でも今年、住民が保育所の運営者を相手に、防音設備設置などを求める訴訟を起こした
 横浜市副市長として保育施設の充実などに取り組んだ前田正子・甲南大教授(社会保障論)は「子どもの声を工場と同じ騒音として扱うのは、思い切り遊ぶ子どもの権利を大人が奪うことになる。保育所側も遊ぶ時間などのルールを決めて住民に説明し、譲り合って地域と共存を探る必要がある」と話している。

<東京都の環境確保条例> 1969年にできた公害防止条例を改正し、2000年に制定。騒音のほか排ガスや水質汚染の防止などを規定している。「何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」との条文は、69年の条例当時のまま残した。


浜松の生活環境苦情 絆薄れ増える  (2014年11月2日中日新聞)

 天竜川のせせらぎ、うなぎのかば焼きの香り、浜名湖の夕日…。地域を潤すこれらの五感に訴える「地域資源」を守ろうと、浜松市が二〇〇四年に「音・かおり・光環境創造条例」を施行して、十年を迎えた。名称も理念も麗しい条例に思えるが、一転、生活環境に絡む苦情件数は年々増加し、昨年度は初めて四百件を突破した。浜松に何が起きているのか-。現場を探った。

◆運動会の声も許せず

 トルルルル…。浜松市環境保全課の電話が鳴る。「運動会の子どもの声がうるさい。やめさせろ」。担当者は「子どもの声を騒音というのはちょっと…。運動会は一時的なものですし、ご勘弁を」と、苦しそうに言い返した。
 担当者は吐露する。「こういう電話は最近、多い。特に、秋は野焼きや運動会シーズンで、騒音や悪臭の苦情はひっきりなしです」
 この他にも、「畑で焼いた煙が臭くて呼吸できない」「ブルペンのキャッチャーのミットの音がうるさい」など多種多様だ。
 苦情件数は、条例を施行した〇四年度は二百五十件だったが年々増加し、一一年度は三百七十五件、一三年度は四百十件と過去最高に達した。四百十件のうち、悪臭が百八十九件と最も多く、騒音が九十六件、水質汚濁が八十件と続く。
 市によると、騒音や悪臭の基準値を超えた苦情も多いが、基準を超えるまでには至らないこれまでの一般常識から離れた苦情が件数を底上げしているようだ。

 条例は、国の騒音規制法や悪臭防止法など「規制」を前面に押し出したものではなく、地域生活から生じる音や香りを守ることで、騒音や悪臭をなくしていこうとの狙いがある。条例に基づき定めた市の計画は〇七年、日本計画行政学会から優秀賞を受賞するなど、全国的にも評価が高い。
 市環境保全課の進士一男課長は「苦情の内容によっては、地域の関係が希薄になっている証拠ともいえるものがある。誰もが暮らしやすい社会を皆で目指していけたらいい」と話している。
 前田正子・甲南大教授(社会保障論)は「騒音に限らず、ストレスに起因した攻撃性を外に向ける傾向にある。特に第一線から退き、社会からの役割を失った団塊世代からの苦情が多い。子どもの声=騒音問題は、少子化で子どもの声が異端となり聞き慣れていない証拠ともいえる。全ての住民に百パーセント良い環境などない。公共性の理解をあらためて進める必要がある」と指摘する。
(略)

記事にもある保育所の問題は以前に当「ぐり研」でも取り上げたところですし、「騒音がうるさいから高校野球をやめさせろ」と言ったクレームが市当局に舞い込んだなどと言う話もあるやに聞くところなんですが、基本的にはこうした苦情の類は昔から一部の方々は熱心に訴えて来たところであるし、それがちょっとどうかな…?と思うような内容であれば近隣の住民も「あの人は難しいから」と適当に聞き流していたのだと思います。
ただ今はこういう時代で世間がそれなりに反応し対応する、そしてその成功体験がますますクレームを増やすと言うポジティブフィードバックが成立していると言う気がしますが、騒音がうるさい、何とかしろと責任者に言う事自体は何らおかしな訴えではないし、基本的には騒音を出す側が配慮しなるべく静かな環境を守る責任がある立場なのは言うまでもありませんよね。
ただ一般論として単なる音量が大きい、小さいと言うだけで不快さの程度は決まらないものであるし、それが世間的に良い音源だと認識されていれば「賑やかでよい」で済む話なんですが、お祭りの音がうるさいと何百年続いた伝統行事にもクレームをつける人がいると言う現実を考えると、どうも世間の常識と言った曖昧なものを判断基準にして特別の「おめこぼし」を期待すると言うのも無理になってきているのかも知れません。
当然ながら子供であっても時と場所によって守るべきマナーはあり、それをわきまえさせることがしつけ・教育の第一歩であると考えるならば、子供だからと聖域視し何でもありとして扱うこともまたおかしな話であって、この点で親を始め子を守ろうとする側のあり方もまた問われているんじゃないかと言う気はしますでしょうか。

他方で何であれ社会的活動に参加している・していた人はその活動自体によって発生する各種被害には寛容な傾向があって、子供を持つ人は子供の騒音には鈍感だし野球経験者は野球の騒音は気にならないと言うことも考えると「どうせクレームつけて来る人間は世間付き合いもない偏屈者なんだろ?」などとレッテル貼りをしてしまいがちなんですが、もちろんそう決めつけられるものではないはずですよね。
例えば夜勤残業続きで明け方からようやく寝られたのに、今度は朝早くから子供の騒音に悩まされると言う人もいるはずですから、子供の騒音だから世間は受け入れて当然と言う論調もまたいささか公平性を欠くと言え、保育所や学校など常習的に騒音が出ることが明らかな施設であれば工場などが課せられている各種公害対策の義務と同様に、何らかの物理的対策くらいは講じる義務はあるだろうと言う気はします。
また団塊の世代からの苦情が多いと言う前田教授のコメントが事実であるとすれば世代的な特徴と言うものもあるのだろうし、少なくとも昨今話題の引きこもり諸氏達がわざわざ世間に出てクレームをつけて回ると言うのも考えにくいのは事実ですが、現役時代に仕事一筋で明るいうちに家にいたことがないと言うタイプであれば、定年後改めて自宅周辺の日常的騒音に気がつくと言うこともあるのでしょう。
ただまあ、これだけ少子化が言われることに加え子供が外で遊ばず家にこもってゲームばかりしていると言われる世の中で、昔と比べて子供の発する騒音が増えていると言うのは考えにくいのだろうし、住宅自体もかつての開放的な日本家屋と違って密閉構造で防音性は高まっていることからすると、事実として問題は徐々に改善に向かっていると言う言い方は出来るのかも知れませんね。

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コメント

どんなカオスかと思ったら、皆おりこうさんで服装もしっかりしているし、
私は全然平気ですね。>フルコースを食べる子供たち。

投稿: JSJ | 2014年11月 6日 (木) 08時56分

服装もしっかりしているし ×
服装もきちんとしているし ○

投稿: JSJ | 2014年11月 6日 (木) 09時02分

騒音の限度ってほんとに人それぞれで難しいですよね。
うちも近所に放課後専門の託児施設があっていつも賑やかにしてます。
うるさくて困ったら耳栓使ってもいいんですが今のところ使わずすんでます。
機械音は気になりますけど人の声なら我慢できるタイプなんでしょう。

投稿: たま | 2014年11月 6日 (木) 09時13分

自分の子の大声は元気さの証明で他人の子の大声は単なる騒音ですからw

投稿: aaa | 2014年11月 6日 (木) 09時59分

動画に関しては企画の詳細を承知していないのでどのようなバックグラウンドがある子供達なのか何とも言いかねるのですが、もっともっと大騒ぎしている子供も全く珍しくはないようには思いますね。
親の性格や家庭内におけるしつけや教育が子供の行動にどう反映されるかを推察する意味で、どうせなら隣のテーブルで親も一緒に会食させてみるともっと面白かったかも知れないと言う気もします。

投稿: 管理人nobu | 2014年11月 6日 (木) 11時15分

すみません大騒ぎして近所のおじさんに怒鳴り込まれたクチでした…
これまた近所のおじいさんが怒鳴り返してくれて事なきをえたんですが…

投稿: てんてん | 2014年11月 6日 (木) 11時48分

私の個人的な体験ですが、
自分の子供ができるまでは、子供は嫌いというほどじゃないけどかわいくも感じないしどう扱ったらいいか分からないし、と遠ざけておきたい存在でしたが、
自分の子をだっこした瞬間から世界中の子供(一応未就学児が上限みたいですが)がかわいく思えるようになりました。
少子化がすすむとますます子供に冷淡な社会になるのかもなぁ、と危惧しています。

投稿: JSJ | 2014年11月 6日 (木) 12時27分

私はむしろ、子供が大きくなってから他所の小さいお子さんがかわいく思えるようになりました。
…昔はウチのもあんなに可愛かったのになぁ…(遠い眼)

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年11月 8日 (土) 09時48分

それを言っちゃあr

投稿: | 2014年11月 8日 (土) 10時43分

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