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2014年11月10日 (月)

介護の人材不足解消に外国人が必要?

消費税再増税の行方が注目されている中で、先日こんな記事が出ていました。

消費増税容認派、昨年から半減- オリックス・リビング調(2014年11月7日CBニュース)

今年4月の社会保障制度充実のための消費税率の引き上げについて、容認派の人は2割に満たず、増税前に調査した昨年に比べて半減したことが、オリックス・リビングが行った介護に関する意識調査で明らかになった。実際の増税から約半年が経ち、増税に否定的な考えが広がりつつある現状が浮き彫りとなった。【真田悠司】

オリックス・リビングでは9月、40代以上の男女を対象にアンケート調査を実施。1238人(男性737人、女性501人)から有効回答を得た。
社会保障制度を充実させるための消費増税についての質問では、容認派は18.9%にとどまり、昨年9月の調査の42.7%を大きく下回った。また、否定的な回答をした人は、昨年から10ポイント上昇し、46.5%となった。
消費税率の引き上げを容認する人が半減した理由について、オリックス・リビングの担当者は、「実際に8%分の支払いを経験したことが、否定的な回答の増加につながったのではないか。また増税後、サービスの充実が実感できないと考える人が多いことも、回答に影響したのかもしれない」としている。

■外国人による介護、約7割が受ける考え
また、外国人労働者による介護サービスを受けたいかとの問いに対しては、「積極的に受けたい」が19.1%、「外国人労働者が今よりも普及していれば受ける」が22.0%、「受け入れたくはないが、人材不足は顕著なので受ける」は27.4%だった。一方で、「受けたくない」と答えた人は14.1%にとどまった

ひと頃は消費税増税容認と言う世論が妙に多数派になってしまい、何となくその場の勢いで一気に増税が成立してしまったかのようにも見えるのですが、さすがに冷静になってみると何かがおかしいと気付き始めたと言うところなのでしょうか、昨今ではむしろ増税にも関わらず社会保障の削減ばかりが議論されているようにも見えますよね。
元より社会保障充実にあてるとは言っても基本的に大赤字なのですから借金返済だけでも手一杯なのは当然で、むしろ今後どうやって給付を抑制し収支の均衡を図っていくべきかが最重要の課題であることを考えると、増税とサービス拡充がセットなどと言う甘い夢が見ていられる時代でもないはずなんですが、そこをはっきり言わずにやってきたのは政治の怠惰だと言えるかも知れません。
ただここで注目いただきたいのは外国人による介護サービスと言う話が同列で語られていると言うことで、積極的であれ消極的であれ国民の多数派はそれを受け入れる意志があると言う既成事実作りのようにも思える調査結果なんですが、先の厚労省で開かれた福祉人材確保専門委員会でも今後介護に就労する人材をどうやって確保していくかが議論され、特に新規参入促進が重要とされたと言います。
興味深いのは昨今相次いでこの介護人材不足に関する発信が増えている、そしてそのいずれにおいても外国人参入こそが重要であると言う論調であることで、何やら首尾一貫したシナリオが存在していると言うことなのでしょうか。

介護人材があと100万人足りない!ケアの現場で待ったなし「移民」への道(2014年10月29日ダイヤモンドオンライン)より抜粋

(略)
 団塊世代が75歳に達する2025年には、今よりも看護職で50万人、介護職で100万人の増員が必要と政府は見ている。2012年度の介護職の総数は約168万人で、2025年には249万人の就業が欠かせない。増加分が100万人と言うわけだ。その対策にやっと視野が向いてきたが、まだ政策として確固とした肉付けがされていない。
 打開策として議論され出したのが外国人への門戸開放策である。政府は6月24日にアベノミクスの第3の矢として骨太の方針と新成長戦略を決め、外国人の大幅な雇用拡大策を盛り込んだ。
(略)
 スウェーデンやドイツでは成長する経済の現場での人手不足から外国人に頼らざるを得なかった。北欧の介護現場に視察に行くと、東欧やアフリカ系、アジア出身者たちが働いている光景に出くわすことが多い。
 ドイツではトルコや南東欧からのなし崩しの移民が増え、政府は学校や社会保障政策を充実させることで、実質的な多文化主義を取り入れだした。定住外国人にドイツ語や文化を教える講座の受講を義務付けたり、スポーツなどを通じてドイツ人との交流機会を増やすなど「統合政策」を推進。定住を前提に社会に溶け込んでもらう施策を05年に移民法として結実させ、「移民国家」へと転換した。
(略)
 日本の介護業界にも「究極の成長戦略は移民の受け入れ」と明言する経営者がいる(7月28日付日本経済新聞)。サービス付き高齢者住宅(サ高住)の最大手、メッセージの創業者、橋本俊明会長である。
「技能実習制度の拡充は小手先の対応に過ぎない。移民としてきちんと受け入れ処遇する道を開くべきだ。移民を受け入れることで労働力が確保できるだけでなく、日本社会に多様性が生まれる。それはイノベーションにもつながり成長に大きく寄与するのではないだろうか。一方で日本社会も変わるだろう。そういう変化を受け入れる勇気、覚悟を持てるかどうかどうかが問われている」
 真にもっともな考えである。

 ワールドカップで優勝したドイツチームで外国の出身者が活躍した姿が目に浮かぶ。米国のワールドシリーズでもカリブ海諸国からの選手が目を引く。
 最近の欧州諸国やEU議会などの選挙で「移民反対」を唱える右翼政党が躍進しているが、大局的にみると振り子の揺れに過ぎないだろう。歴史の歩みの中では、一時的な反動勢力が現れることはよくあること。一歩後退二歩前進の歩みは変わらないだろう。


医療鎖国体制で被害を受けるのは日本国民 (2014年10月30日ダイヤモンドオンライン)より抜粋

(略)
 日本では人口高齢化が先進国でもっとも進んでいることを考えると、日本における医師や看護師の数は、他国と比較して非常に少ないことになる。しかも、その問題は、将来に向かってさらに深刻化する。
 このように医師の不足が大問題である以上、外国人医師や外国人看護師の活用は重要な課題だ。
(略)
 アメリカが受け入れている外国人医師は、表にあげた国の出身者を合計するだけでも12.8万人いる。これは、アメリカの医師総数87.2万人の14.7%にも上る。1000人以上の医師を出している国の出身者を合計すると、22.2万人になる。これは、アメリカの医師総数の25.4%だ。
 外国人医師を受け入れる比率は、オーストラリア14.0%、カナダ12.3%も高い。イギリスでは31.7%にもなっている。
(略)
 ところが、日本では、外国人の医師は事実上ゼロだ。世銀の前記データにも、受け入れ国に、日本の欄はない。日本は世界の潮流からまったく外れてしまっている。
(略)
 世界的に見れば、医師についても、上で見たように国際間移動は普通の現象なのだが、日本はその動きを拒否している。日本では、医師の国際化は議論にすらなっていない
 それは、「外国の医師を入れると水準が下がる」という理由によってだ。しかし、本当に水準が下がるのかどうかは、きわめて疑問だ。多数の外国人医師を受け入れてきたアメリカやイギリスの医療水準が下がったとは思えない。
 日本で「医療国際化」と言われる場合に強調されるのは、新興国からの患者を日本で診断する「メディカルツーリズム」だ。それを否定しようとは思わないが、ここには供給者の論理はあっても、患者の視点は少しも感じられない
(略)
 今後、高齢化の進展に伴って、需要側からの声はさらに強まるだろう。日本国内の看護師不足はますます深刻化するだろう。しかし、「日本は事実上外国人を受け入れない」と認識されてしまえば、いかに日本との所得格差があっても、日本行きを希望する外国の看護師はいなくなるだろう。そのときに困るのは、十分な看護サービスを受けられない日本国民である。
 さらに、医療・介護分野で労働力を確保できれば、それでよいというわけではない。なぜなら、あまりに大量の労働力が医療・介護部門にとられてしまえば、他産業での労働不足が深刻化するからだ。
医療・介護分野で行なわれる議論には、経済全体の視点がない。医療・介護で増えるとするだけであって、経済全体と整合的な形でそれができるのかどうかについての検討がない。経済全体を見据えての議論が求められる。

まあしかし今や医療における人材鎖国を続けるのは国全体の経済を見ていない者の妄言であるかのような言われようなんですが、確かにそんなことは毛ほどにも考えてなさそうな方々が熱心に反対論を唱えていそうな気配ではありますけれどもね。
思い出せば何やら二昔ほど前にもこんな感じで国際化だ、島国根性脱却だ、それに反対する旧弊は打破されるべきだと騒がれていた時代があったような気がしますが、その後どうなったかと言えば幾ら旗を振ったところで別に大きく社会が動くと言うわけでもなく、むしろインターネットの発達で世界中ボーダーレスにつながったと言うことの方がよほど国民認識の国際化を推進したようにも思います。
冒頭の調査に戻っても外国人労働者が今よりも普及していれば(介護サービスを)受けると言う人が多かったことを思い出していただきたいと思いますが、歴史的に見ても別に日本人は変化を望まない保守主義者なのではなく、むしろ折々にとんでもない大変革を行いながら今の日本を作ってきた、ただその変革を俺が私がと個人が先導していくトップランナーにはなりたがらない習性があると言うことなのかも知れません。
そう考えると別にお上が旗を振って人材開国だ何だと大きな話にするよりはまず試験的に入れてみる、そしてその評判がよければそれが自然に全国的に広まっていくんじゃないかと思いますし、「開国したところでどうせ日本に大勢来るはずがない」などと言った反論はあまり意味が無いだろうし、むしろ希望者殺到で一度に大勢来られたところで日本人が急な変化を受け入れる確率の方が低いんだろうと思いますね。
しかし東京などは外国人も大勢いるわけですから逆に外国語に堪能なスタッフに対する需要も高いはずだし、実際に医療特区と言う形で外国人を入れようと言う計画もあるようですが、誰であれ外国で暮らしていれば自然とその国の言葉や風俗習慣にも慣れていくものですから、いきなり地方の介護施設に送り込むなんてことを考えるよりはそのままの形で需要がある場を入り口にした方がいいのかも知れません。

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コメント

介護の人材不足を喧伝するのはあくまで手段でしょ
欧州で移民受け入れてどうなったか知らないはずはないのに

投稿: | 2014年11月10日 (月) 10時03分

医師や看護師が大挙として押しかけて....くるわけない。ワープア奴隷労働の介護職も...。同じ異国語圏でつとめるなら、英語が通じて、医療介護の待遇が日本より遙かに良い他の先進国に行きますわな、普通。

投稿: おちゃ | 2014年11月10日 (月) 10時59分

 「動き出しています、社会保障!」

 「子育て、医療、介護、年金──消費税率の引き上げ分は社会保障に着実に使われています」

 黄色のワンピースを着た人気子役の芦田愛菜が画面の右から左に歩きながら、“消費税増税の効果”をハキハキとアピールする
CMが10月25日から31日にかけて全国39のテレビ局で放映された。

 このCM制作費用は政府広報費という税金から捻出された。「安心をずっと! 元気をもっと!」──子役に罪はないが、国民は
安心もできないし元気にもならない。

 テレビだけではない。同25日付の全国70紙に掲載された新聞広告では、やはりニッコリ微笑む子役の横に〈消費税率の引き上げ分は、
すべて、社会保障(子育て・医療・介護・年金)の充実と安定化のために使われています〉という言葉が躍った。

 テレビも新聞も発注元は内閣府政府広報室だ。政府の広報活動や世論調査などを通じた広聴活動全般を取り仕切る部署である。

 前述のCMで、テレビに計約7000万円(1局あたり平均約180万円)、新聞各紙には計約9000万円(1紙あたり同約130万円)の
計1億6000万円が支払われた。

 広告は他にもウェブ・サイト(ヤフー、アマゾンなど4社)やラジオ(ニッポン放送系列のAM全国33局)、雑誌(週刊文春など5誌)にも
掲載または掲載予定で、総額は約2億6000万円にのぼった。
http://www.news-postseven.com/archives/20141110_286075.html

投稿: | 2014年11月10日 (月) 11時01分

外国人労働者を入れるのであれば市中の職場に供給する安価な労働力としてよりも、専門教育を受けた人間から入ってもらった方が何かあっても周囲の対応能力は高いのではないか?と言う気はします。

投稿: 管理人nobu | 2014年11月10日 (月) 11時36分

医師の移動は普通ってのミスリードですね
アメリカやカナダで正規のレジデントになる大変さを知らないバカが記事書いたんでしょう。
まぁ介護で人手不足なのはそうですが
安易に移民ってのは業者と高齢者の都合でしかない
移民の子供だから学校も苦労するだろうしそういうフォローを業者がやるならいいですけど

投稿: | 2014年11月10日 (月) 12時10分

>まず試験的に入れてみる、そしてその評判がよければそれが自然に全国的に広まっていくんじゃないかと思います。
>誰であれ外国で暮らしていれば自然とその国の言葉や風俗習慣にも慣れていくものですから、いきなり地方の介護施設に送り込むなんてことを考えるよりはそのままの形で需要がある場を入り口にした方がいいのかも知れません。
 そうですね。
 看護はなかなか苦戦していますが、全然ふえていないというわけでもないようで、来てくださる方がいらっしゃるなら医者も介護もやってみればよいと思いますよ。必要なところに充当されればよいので全国に広がるかどうかも問題ではないですし、介護の低賃金はまた別のお題ということで。 
 

投稿: 感情的な医者 | 2014年11月10日 (月) 19時36分

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