« 介護の人材不足解消に外国人が必要? | トップページ | 日本女性はいいカモ? »

2014年11月11日 (火)

相次ぐエボラ疑い症例が問いかける課題

先日またエボラ疑いの患者が複数出たと言うことで大騒ぎになり、結局いずれもエボラではなさそうだと言うことで安堵した方も多かったと思いますが、どうもこの際の一連の経緯がいささか問題あるではないか?と各方面から注目されているようです。

エボラ疑いの男性の行動に「無責任」批判 医師に渡航歴告げず、厚労省への報告も怠っていた(2014年11月8日J-CASTニュース)

  エボラ出血熱が大流行している西アフリカ・リベリアから帰国した男性(60)に、エボラ出血熱感染の疑いがあると報じられた。
   一夜明けて「陰性」と判明したが、男性が検疫所への報告を怠っていたことや診察を受けた医師に渡航歴を告げなかったことなどが判明。ネットでは男性や、厚生労働省の認識の甘さに批判が出ている。

21日間の「健康監視」義務

   各社の報道によると、男性は2014年9月30日~10月26日、リベリアに滞在していた。11月4日に羽田空港から帰国。検疫で異常は見られなかったが、6日夜になって39度の高熱が出て、7日午前に自宅近くの医療機関(東京都町田市)を受診し、扁桃腺(へんとうせん)炎と診断された。
   受診後の11時ごろ、男性は発熱を検疫所へメール連絡。検疫所が男性に連絡を取ろうとしたが、所在確認が難航。夕方になって自宅で就寝していたと確認され、指定医療機関である国立国際医療研究センター(新宿区)へと搬送された。
   しかし、国立感染症研究所村山庁舎(武蔵村山市)で陰性が確認されたため、男性は熱が下がり次第、8日中にも退院するとみられる。

   男性には、健康状態を報告する「健康監視」が求められている。以前はエボラ患者との接触者のみが対象だったが、感染拡大を受けて厚労省は10月21日、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航もしくは滞在が確認された場合でも対象になるとの通達を出している。
   健康監視により、男性は到着後504時間(21日間)、体温や健康状態について1日2回(朝・夕)報告することを求められている。男性は7日朝の報告をしないまま、町田市内の医療機関を受診した。
   男性を診断した医師は、11月7日夜の「ニュースJAPAN」(フジテレビ系)インタビューで、「その後(処方を終えて帰宅後)になってから、いろんなことが発覚してきたわけですよね。うちとしては」と話している。男性はリベリア渡航歴を医師に伝えていなかったからだ。

「性善説で対処してたらもうだめ」

   ツイッターなどでは、男性が陰性だったことに安心する声も一部ある。しかし、男性が近所の医療機関へ行ったこと、医師に詳細を伝えなかったこと、検疫所への報告を怠っていたこと、帰宅により一時所在不明だったことなどが重なり、厳しい意見は多い
    「当該地域からの帰国なら、保健所に電話して指示を仰ぐべきで、60にもなってそんなことも考えないのでしょうか...」
    「町田の60歳男性は周りの全てに無責任に恐怖をばらまいた。実際に感染していても保健所行く人はごく僅かで、こういう人が今後も多いと予想される方が問題」
    「エボラのリスクを抱えていることを知りながら、普通の医療機関に行って具合が悪くて寝てたなんて、感染者が出たらなんと言い訳できるのか?」
   厚労省の水際作戦について、「性善説で対処してたらもうだめだと思う」「そんな自己申告とか人がいちいち聞き出さないと、みたいなのに頼るとろくなことないよ」と、認識の甘さを指摘する声もある。

   厚労省のウェブサイトは、エボラ出血熱について、塩崎恭久厚労相からのメッセージを掲載している。そこでは、
    「もし流行国に渡航し帰国した後、1か月程度の間に、発熱した場合には、万一の場合を疑い、地域の医療機関を受診することは控えていただきたい。まず、保健所に連絡をし、その指示に従っていただきたい
と、赤字で強調して書かれているが、徹底周知にはほど遠いようだ。

エボラ疑い…その時、厚労省担当者つかまらず(2014年11月09日読売新聞)

 関西空港で発熱してエボラ出血熱の可能性が疑われたギニア国籍の20代女性は、8日の検査で、陰性と判明した。
 エボラ出血熱の疑い例が出たのは関西で初めてで、厚生労働省は「手順通りに進められた」と評価。ただ、地元の大阪府には情報が入りにくく、府は「陽性だった場合に対応が遅れかねない」として、今後、厚労省に情報提供のあり方の改善を求める。

 7日夕に関西空港に到着した女性は、検疫官の呼び掛けに応じ、滞在歴を申告。搬送先のりんくう総合医療センターで採取した血液などの検体を東京の国立感染症研究所に送り、8日午後、厚労省がエボラ出血熱のウイルスが検出されなかったと発表した。
 この間、厚労省は女性が乗っていた飛行機の便名の発表や機内の消毒などを実施。同省担当者は「スムーズに対応できた」と話した。

 一方、大阪府医療対策課では、女性が空港からセンターに搬送された7日夜、同課職員らが厚労省に繰り返し電話しても担当者がなかなかつかまらず、女性に関する情報を確認できなかった。感染症法では、感染が確定するまで医療機関から自治体への連絡義務はなく、国も「疑い」の段階では自治体への連絡方法を決めていなかったという。
 仮に女性が「陽性」だった場合、府は機内で患者の近くに座っていた人への健康調査などを行う必要があり、担当者は「初動態勢を整えるためには、疑いが生じた段階で一刻も早く情報がほしかった」と強調。府は、13日に厚労省で開かれる各都道府県の担当者を集めた会議で、地元自治体との連絡窓口となる職員の配置などを要望する。

しかしやってみて不具合があれば手直ししていくと言うのも当然なんですが、どうも見ていますと不安を感じる部分が多いと言いますか、水際対応をうたいながらこれで本当に国内流入が阻止出来るのか、いざ流入させてしまった場合にさっさと拡散してしまわないかと心配になるような話ではありますよね。
世界的にこのエボラ流入阻止に様々な対応策を模索しているのは先日もお伝えした通りなのですが、アメリカなどは相当に厳重に対応していて接触歴がある人に関しては毎日二回スタッフが検診をし行動制限もしていると言い、CDCから出されたガイドラインによっても高リスク者に対する積極的かつ直接的な監視を行うべきだとされているわけです。
ひるがえって日本でも現地滞在者には21日間の検温等の体調チェックを行ってもらうよう依頼しているのだそうですが、面白いのはこれらが完全に自己申告であると言うことで、一般に患者と言うものは自分が悪い病気にかかっていると認めたくない性質があるものだし、ましてや罹患が疑われれば強制隔離もされかねないとなれば果たして皆が皆正直なことを申告してくれるのかどうか微妙な気もします。
先日も国内疑い第一例で当事者からは現地渡航歴の自己申告がなかったと言いますが、今回の場合も東京のケースでは渡航歴の申告無しにごく普通に身近な医療機関を受診している(そしてどうやらその後電車に乗って都内をあちこち回っていたそうですが)と言う事実を前にするとき、果たして現在のような自主性を尊重する?やり方が妥当なのかどうかと言う検討は早急に求められることになりそうです。

もう一つ、いずれどこかで患者が確認されると言うことは近い将来かなり高い確率で起こり得るシナリオだと思いますが、そうなったときに治療を引き受けることになっているのが指定医療機関で、エボラなど第一種感染症を引き受ける医療機関はおおむね各県一つと言う計算で大学病院を中心に全国45施設が認定されています。
ただ当然ながら指定医療機関の中でも特に厳重な対応が可能なベッド数は限られているわけで、実際にどの施設も第一種に対応できるのは1~2病床、全国でわずかに88病床しかないと言う現実を考えると、本当に国内に患者が相次いで発生するような状況にでもなればあっさりと引き受け不能になることが目に見えていますよね。
特に気になるのが現地アフリカでもエボラ患者の家族が家の中に閉じ込められ餓死させられている、などと言う悲惨な話も伝え聞くように、患者はとにかく隔離しなければと言う意識が過敏反応のように広まってくるとどうなるのかで、例えば疑い患者が発見されたがすでに最寄り指定施設のベッドが塞がっているため他県に搬送すると言った場合に、下手をすると受け入れ反対運動めいたことにもなりかねない恐れもあります。
この辺りは本来的には患者の個人情報保護や医療従事者の守秘義務とも関わる問題で、いつどんな患者を受け入れたと言った話は軽々に口外すべきではないと言う考え方もあるだろうし、もちろん重大な結果をもたらす伝染病である以上国民は知る権利を持つと言う考え方もあるはずですが、今のように疑い患者の動向に国民がリアルタイムで息を詰めて注目すると言う状況が正しいのかどうかの議論もあってしかるべきなのかも知れません。

|

« 介護の人材不足解消に外国人が必要? | トップページ | 日本女性はいいカモ? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

>同課職員らが厚労省に繰り返し電話しても担当者がなかなかつかまらず

ひょっとして、担当者は1人しかいないということなのか。
厚労省には危機管理っていう言葉がないんでしょうか。信じられない部署だ。

投稿: | 2014年11月11日 (火) 08時54分

いまどき携帯電話も持ち歩かずに出かけていたとか?
もっと怖いのは問い合わせが殺到でつながらなかった可能性ですが。
厚労省が全部判断する仕組みなら人員の手当はちゃんとしてほしいです。

投稿: ぽん太 | 2014年11月11日 (火) 08時57分

ちょい訂正

担当者は1人
 ↓
対応できる人は1人

投稿: | 2014年11月11日 (火) 08時58分

まずは、水際での流入阻止など不可能、という前提で制度設計する必要はあるかと。

投稿: JSJ | 2014年11月11日 (火) 09時10分

パスポートの渡航歴はノーマークで良いんですかね?

投稿: | 2014年11月11日 (火) 10時58分

>パスポートの渡航歴はノーマークで良いんですかね?

記事を読んでいてその点が気になったのですが、当然どこの国に行っても出入国の記録は残るはずなのに自己申告が中心であると言うのには違和感を感じますね。
ただ疑い症例として取り上げられたケースでは当該地域に行った後で他国を幾つか回ってから日本にと言う状況であったようで、何カ国も渡り歩いているものを全部きちんとチェックするのは困難なのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2014年11月11日 (火) 11時13分

パスポート、ハンコは時系列にならんでもないので、渡航歴がたくさんある人は全数もれなくチェックは厳しいかも知れませんね。

投稿: おちゃ | 2014年11月11日 (火) 11時41分

ところでとっくに日本にも入ってきてる可能性ってないんでしょうか?
インフルエンザも出始めたら判らなくなってしまうんじゃないかって心配です。

投稿: てんてん | 2014年11月11日 (火) 11時52分

9.11以前のアメリカ合衆国は、出国時にはパスポートコントロールなんてありませんでした。

投稿: JSJ | 2014年11月11日 (火) 12時10分

>ところでとっくに日本にも入ってきてる可能性ってないんでしょうか?
感染者が何人入国しようと、発症者さえいなければ何の問題もないです。
そして潜伏期間が最大で21日もある感染症の感染者の入国を阻止するなど現実性のある対策では無理な話です。

比較の対象としては地震とか火山の噴火とかがいいのではないでしょうか。
日本国内でのエボラ熱の発生自体を人間の努力で防ぐのは不可能です。
やるべきは、その時の被害を最小限にくいとめる対策。

投稿: JSJ | 2014年11月11日 (火) 12時26分

>発症者さえいなければ何の問題もないです。
老婆心ながら、
発症者が入国しなければ、という意味ではなく
国内で発症者がでなければ、という意味ですからお間違いなきよう。
感染しても不顕性感染で終れば(エボラでそれがあるのかどうかは知りませんが)問題ない、という意味でもあります。

投稿: JSJ | 2014年11月11日 (火) 12時40分

ありがとうございます。
とは言え被害拡大を防ぐのもたいへんそうなのですけれど…

投稿: てんてん | 2014年11月11日 (火) 12時57分

エボラ疑いの発熱、厚労省「絶対に医療機関行かないで」
http://www.asahi.com/articles/ASGCC36SZGCCULBJ001.html
朝日新聞  2014年11月11日16時27分


 エボラ出血熱を疑われる男性が一般の医療機関を受診し、陽性ならば感染を
広げる恐れがあったことを受け、厚生労働省は、検疫で流行国からの入国者に
配る指示書に受診しないよう明記するなど対策を強化することを決めた。塩崎
恭久厚労相が11日の閣議後会見で明らかにした。

 厚労省は、流行国滞在者が帰国後に発熱があった場合、検疫所や保健所に連
絡して一般の医療機関を受診しないように呼びかけているが、口頭で伝えるの
みだった。リベリアから帰国後に発熱した東京都の60代男性が、7日に自宅
近くの医療機関を直接訪れ、医療機関も渡航歴を把握しなかった。その後、男
性は検査でエボラウイルス陰性と判明した。

 厚労省は、発熱しても「絶対に直接医療機関に行かないで下さい」などと指
示書に記す。これまでの指示書は、発熱に加え、頭痛などの症状が出た場合に
検疫所にすぐに連絡するように求めていた。

 男性は受診後にメールで発熱を検疫所に伝えたが、検疫所はすぐに連絡をと
れなかった。そのため、厚労省は、流行国滞在者に義務づける朝夕の連絡はメ
ールだけでなく、電話でも必ずするように求める。家族の連絡先も届けてもら
う。流行国滞在者の情報を、住まいなどがある保健所に事前に伝える。

 また、厚労省は発熱患者が受診する際に渡航歴を確認するための資料をウェ
ブサイトに掲示し、全国の医療機関に利用するよう呼びかける。

 厚労省は、エボラ出血熱患者を治療する指定医療機関がない8県に対し、早
急に整備するよう求めることも明らかにした。

投稿: | 2014年11月12日 (水) 05時52分

>エボラ疑いの発熱、厚労省「絶対に医療機関行かないで」
厚労省のお役人は、通達さえしておけば自分の責任は果たしたと考えている節がありますからな。

投稿: JSJ | 2014年11月12日 (水) 08時30分

厚労省も手が足りないなら自治体にああしろこうしろと指示出せばいいだろうに
どこだってエボラ阻止で何かやりたいのにやり方知らないでオロオロしてるんだから

投稿: 丈 | 2014年11月12日 (水) 09時31分

エボラ熱感染と偽の通報疑い「リベリアに行ったかも」埼玉の男逮捕
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/11/13/kiji/K20141113009278190.html
 エボラ出血熱感染を疑わせる通報をしたとして、埼玉県警西入間署は13日、偽計業務妨害の疑いで
同県毛呂山町、職業不詳清水春輝容疑者(24)を逮捕した。

 県などによると、保健所職員6人が防護服を着用して町中に出動するなど、一時騒然となったという。

 逮捕容疑は11日夕、119番して「外国から昨日帰ったが熱が38度ある。リベリアに行ったかも
しれない」などとうそをつき、連絡を受けた坂戸保健所職員6人の業務を妨害した疑い。「知人が通報
した」と容疑を否認しているという。

 西入間署によると、6人は防護服を着て、119番で伝えられた毛呂山町の住所に向かったが番地が
実在せず、同署が捜査した。県や病院は職員を呼び出すなど、11日深夜まで対応に追われたという。
2014年11月13日 13:38

投稿: | 2014年11月14日 (金) 07時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/60629232

この記事へのトラックバック一覧です: 相次ぐエボラ疑い症例が問いかける課題:

« 介護の人材不足解消に外国人が必要? | トップページ | 日本女性はいいカモ? »