« 今日のぐり:「健康美食 豆の畑 新神戸店」 | トップページ | 現実となった11月1日の予告 »

2014年11月 4日 (火)

エボラ対策、その妥当性を問われる

ひと頃の感染拡大ぶりが少し落ち着き始めているのか?と言う声もあるエボラ熱ですが、当然ながらひとたび一線を越えれば一気に拡大しかねない恐ろしさは変わらずであって、一部専門家からは「死者500万人」などと言う物騒な予測も出されているようです。
感染拡大の阻止に向けて各国共に様々な対策を講じていますけれども、オーストラリアがビザ発給停止など流行地域からの入国を厳しく制限する方針を打ち出したことに内外から批判の声が出るなど、防疫と人権との間でなかなかに難しい舵取りが行われているようです。
こうした状況下で入国拒否とまでは言わないまでも、エボラ流行国から入国した方々にどの程度の対応をするか各国で意見が分かれているようで、フィリピンなどは帰国者全員を軍施設で3週間の隔離を行うと発表したそうですが、人的交流の規模が大きい国々においてはやはり無差別に全員を隔離と言うのは現実的に難しいところだと思います。
その一方で現地で治療に当たるなど直接的に患者に接触した専門家グループに対しては人数が少ないこと、疾患に対する理解が深いと考えられること等からかなり厳しい隔離を行なう傾向にあるようですが、これに対して一部当事者の行動が大きな波紋を呼んでいるようです。

エボラ治療の米看護師外出=自宅待機破る-州は法的措置も(2014年10月31日時事ドットコム)

 【ニューヨーク時事】西アフリカでエボラ出血熱患者の治療に当たった後、米国に帰国した北東部メーン州の女性看護師が30日、州政府の自宅待機要請に反する形で外出した。ルパージュ州知事はこれを受けて声明を出し、公衆衛生の維持のため、法的措置も辞さない考えを示した。強制的な自宅待機令などを裁判所に求める可能性がある。

 この看護師はカシ・ヒコックスさん(33)。先週、帰国と同時に病院に隔離され、その後自宅待機を続けていたが、この日、同居する男性の友人と共に自転車で自宅周辺を走った
 ヒコックスさんにエボラ熱の症状はないが、州当局は患者との接触から発症までの最長潜伏期間である21日が経過するまでは自宅に待機するよう求めていた。
 知事の声明によれば、州側は外出は可能でも、公共の場所を訪れたり、人と約1メートル以内の距離に近づいたりしないよう要請。だがヒコックスさんの同意は得られなかったという。ヒコックスさん側も提訴を辞さない構え。

<エボラ出血熱>陰性看護師に「外出制限」米州地裁が命令(2014年11月1日毎日新聞)

【ワシントン及川正也】米北東部メーン州オーガスタの裁判所は10月31日までに、西アフリカでエボラ出血熱患者を治療して帰国した女性看護師、ケーシー・ヒコックスさん(33)に対し、人が集まる場所への立ち入り禁止など外出を制限するよう求める暫定的な命令を出した。州がヒコックスさんに要請していた「自宅隔離」は求めていない。ヒコックスさん側の対応を待ち、同日中に新たな命令を出すという。AP通信などが伝えた。

 米メディアが伝えた命令は(1)州衛生当局による定期的な体温測定(2)旅行について衛生当局の許可を得る(3)ショッピングセンターなど人が集まる場所への立ち入り禁止(4)外出する場合は他人の1メートル以内に近づかない--など。強制的な「自宅隔離」は命じていない。エボラ熱の潜伏期間は21日で、ヒコックスさんの場合は11月10日までという。

 ヒコックスさんは10月24日にシエラレオネから帰国した際にニュージャージー州で隔離された。2度の検査で陰性と判明した後、27日に自宅のあるメーン州に戻ったが、同州から「自宅隔離」を要請されていた。ヒコックスさんは、体調に異常がないのに隔離されるのは人権侵害だとして撤回を求め、30日には友人と自転車で外出していた。

 裁判所の命令内容は、エボラ熱感染流行国で治療に携わった医療従事者に関する米疾病対策センター(CDC)の統一指針を準用したもの。ただ、感染の兆候がない場合の外出の制限は「特定の所見」が認められる場合に限られ、「体調に異常はない」としているヒコックスさん側の反発も予想される。

米NY州、エボラ対策の強制隔離を緩和 オバマ政権が圧力(2014年10月27日AFP)

【10月27日 AFP】米ニューヨーク(New York)州当局は26日、エボラ出血熱が猛威を振るう西アフリカから到着する人の扱いに関する新施策を緩和し、強制的な隔離措置の対象を感染者への接触があった人に限定すると発表した。

 ニューヨーク、ニュージャージー(New Jersey)、イリノイ(Illinois)の3州は、ニューヨーク市で先週、ギニアでエボラ出血熱患者の治療に携わり帰国した医師にエボラウイルスの陽性反応が出たことを受け、西アフリカから帰国する医療従事者全員を3週間隔離する措置を導入。さらにフロリダ(Florida)州も、同期間の毎日2回の検診を命じた。
 だが、これら厳格な隔離措置には批判が集中。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、バラク・オバマ(Barack Obama)政権の高官らは、ニューヨークとニュージャージー両州の知事らに対し隔離措置を撤回するよう働き掛けていた
 高まる圧力を受け、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)知事は26日夜、西アフリカのエボラ熱流行国から同州に入る全ての人を対象とした一律の隔離措置の撤回を表明。症状がなく、エボラ熱患者と直接接触していない人については今後、外出禁止の対象とはせず、エボラ熱の潜伏期間が過ぎるまでの21日間にわたり毎日2回の検温と症状の有無の確認を実施すると発表した。同期間中は、保健当局の職員らが対象者を移送し、日々の観察を行うという。

 24日に導入された隔離措置については、医療従事者や保健当局からの批判が起きていた。隔離された初の米医療従事者となったケーシー・ヒコックス(Kaci Hickox)さんは、自身に症状がなく検査でも陰性反応が出ているとした上で、水洗式ではないトイレとベッドのみが置かれ、シャワーもない病室に隔離されている状況を「刑務所に入れられている」ようだと非難。新措置は「非人道的」だと訴えた。
 また、米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases、NIAID)のアンソニー・フォーシ(Anthony Fauci)所長は、米CNNテレビに「(エボラ出血熱から)われわれを守る最良の手段は、アフリカでのエボラ流行を止めること。そして流行防止への最良の手段は、アフリカに赴き現地の人々を支援する医療従事者を確保することだ」と述べたうえで、帰国した医療従事者たちからアフリカを再訪する意欲をそがないよう扱うべきだと指摘。体調を崩していたりエボラ出血熱の症状が現れたりしていない人たちは脅威ではないと強調した。

この「1メートル以内立ち入り禁止」と言うルールもまた様々な議論を呼んでいるようですが、エボラ熱の場合感染者の体液を介して感染することから近くを通りかかっただけで感染すると言うことはないものの、不慮の接触や咳・くしゃみ等による体液の拡散による万一の感染のリスクを考えると、人混みを避け1メートルは距離を置くべきだと言う考え方であるようです。
留意いただきたいのは当該看護師は患者接触歴があるとは言え今のところ何ら症状を呈していないと言うことで、潜伏期間中は感染力はなく発症後に初めて感染力を示すとされていることから厳しい隔離は感染確認後でも十分と言う考えもある一方で、初期段階では典型的な症状を示さない場合もあり得ることを考えるとそもそも発症者を確実に見分けることが出来るのか?と言う懸念の声もありそうですよね。
また社会的に見れば現場に出向いて治療に従事するような専門家は一般人より厳しい義務をも負うべきだと言う声もあって、この辺りは一般人に対する対応と差異を設けるべきかどうか判断の難しいところではあるのですが、当事者にとってみればただでさえリスクを負ってまで他人のために頑張ってきたのに帰国後も差別的な取り扱いをされるのでは、誰もリスクを負う気にならなくなるだろうとは考えられます。
日本でもやっている空港で発熱している人だけを隔離すると言うやり方も平熱だったのに何故か空港でずっと放置され怒りで熱が出たなどと言う笑い話のような声もあるそうですが、一部州が取り入れている熱も症状もないのに当該地域からの帰国者は3週間の強制隔離と言う方法論には国連事務総長やオバマ大統領などから反対声明も出ているし、当事者によってすでに裁判沙汰にもなっているほど異論も多いとは言えるようです。

こうした様々な議論も受けてと言うことでしょう、CDCから先頃新しい指針が公表されましたが強制隔離は推奨せず、高リスク者に対する積極的かつ直接的な監視を行うべきだと言う内容になったのですが、この「監視」の内容も21日間にわたる毎日の検温や保健当局者による健康状態や行動予定のチェック、ウイルスの潜伏期間に相当する間の移動や公的活動の制限など、なかなか微妙なものとなっているようです。
見ていて難しいところだなと思うのがもちろんエボラが人類に脅威を与える深刻な感染症であることは確かで、専門家も「過剰なくらいに準備する方が、初動の対応が遅れるよりも良い」等々その脅威を強調しがちなのですが、では実社会においてその理念をどうシステム的に還元すべきかと言うと、現実的に感染リスクがあり隔離されそうな人とその他大多数の一般国民との間でも大いに見解は分かれそうですよね。
先日も日本で初の患者か?と話題になった例のように飛行機等で患者が見つかった場合にどうするかと言う問題もあって、封じ込めをするなら早い段階で情報を公開し接触者を囲い込んだ方がいいのだろうし、アメリカなどでは実際に患者の顔や氏名まで公表されていると言いますが、日本では厚労省の役人が接触の可能性のある人一人一人に電話で確認していく方針であるそうで、正直それで防げるのか?と言う気もします。
いずれにしても患者が出るかどうかと言う状況であるから隔離だ何だと言っていられるので、現地のように患者や接触者が多すぎて隔離も何もないと言う状況になったのではそれも物理的に不可能ですから、どこかで方針を切り替えることを見越した対策のシミュレートはしておかなければならないだろうし、当面社会防衛のために隔離を受け入れてくれた方々にはきちんと補償を行っていく必要もあるだろうと思います。

|

« 今日のぐり:「健康美食 豆の畑 新神戸店」 | トップページ | 現実となった11月1日の予告 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

国内に入ってくるまでは危うきは厳重隔離しかないんじゃないかな

投稿: | 2014年11月 4日 (火) 09時27分

各種対策が奏功しつつあるのか感染拡大傾向が続く中でやや鈍化も見られつつあると言うことですが、感染者数のピークはまだ先ですので当面厳重な監視が必要なことは言うまでもありません。
もともとエボラなどは一部発展途上国のローカルな病気だから先進国は真面目に治療法を研究しないんだと言う意見もあって、今回の騒動を契機に各国で治療法開発が進むのであればいいのですけれどもね。

投稿: 管理人nobu | 2014年11月 4日 (火) 10時56分

>危うきは厳重隔離
無名氏の節穴で「危うき」の判断w 制限される身はたまったものではない。そういうもろもろを回避するにも自制自粛。

投稿: | 2014年11月 5日 (水) 10時10分

医学的エヴィデンスがない隔離政策は批判されても仕方ない気はしますが。
特に今隔離されている医療関係者は隔離のデメリットの方が大きいはずですし。

投稿: ぽん太 | 2014年11月 5日 (水) 10時27分

 西アフリカで流行するエボラ出血熱で、流行国のリベリアから帰国した
都内の男性が発熱などの症状を訴えたため、国立感染症研究所(感染研)
で検査が行われることが7日、分かった。

 関係者によると、男性は都内に住む60代の男性で、4日にリベリア
から帰国していた。7日、町田市内の病院を受診し、念のため検査を受け
ることになった。

投稿: | 2014年11月 7日 (金) 15時52分

何これ怖い

エボラ出血熱が流行しているリベリアから4日に帰国した都内在住の60代の男性が発熱し、
男性は、エボラ出血熱に感染していないか検査を受ける予定となっている。
7日、男性を診察した医師が、診察の様子を語った。
医師は「アフリカ、当該地域に渡航歴のある方なんですがという話で、いきなり電話がきて。
え、そうなんですかという話です。本人は言わないから、わからないです」と話した。
診察した医師によると、男性は、午前に診察に来た際、39度の熱があり、薬を出し、帰宅させたという。
その後、検疫所などから連絡があり、初めて男性がリベリアからの帰国者と知ったという。
医師はその後、病院を閉め、8日も休診するとしている。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00280331.html

投稿: | 2014年11月 7日 (金) 20時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/60583373

この記事へのトラックバック一覧です: エボラ対策、その妥当性を問われる:

« 今日のぐり:「健康美食 豆の畑 新神戸店」 | トップページ | 現実となった11月1日の予告 »