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2014年10月 3日 (金)

ネット上に広がるデマ、あるいは隠された真相?

「まったく今どきの若い者は」的なフレーズは有史以来人類社会から絶えたことがないらしいのですが、先日こんな記事が出ていたのを御覧になったでしょうか。

デマを簡単に信じる中高生、狭い空間での情報拡散をSNSが増幅(2014年9月24日ITmedia)

 2014年8月に発生した広島土砂災害では、災害現場で外国人が空き巣をしているというデマが出回った。匿名掲示板のまとめサイトやTwitterなどで噂が拡散したが、現地の調査ではそのような証拠も根拠となる情報も見つからず、完全なデマであることが分かっている。
 インターネット上には様々なデマや噂が次々と生まれ広まっている。その中で10代、20代の若者たちの多くは、デマや噂を広める側に回っている(写真1)。なぜ子どもたちはデマや噂を信じて広めてしまうのだろうか。

親の言うことは聞かないが友達なら…

 匿名掲示板に書いてある噂と、SNSでつながっている親しい人から聞いた噂なら、どちらを信じるだろうか。この質問には多くの人が、「SNSでつながっている親しい人」と答えるだろう。たとえ、実際は噂の中味がどちらも眉唾ものだったとしてもだ。
 東京大学情報学環教授橋元良明氏によると、実在の人物から直接発せられた情報の方が信頼される傾向にあることを、「イグゼンプラー効果(exemplar:典型、代表例)」という。テレビニュースで行われる街頭インタビューや、商品などの利用者の声などが入れられるのは、まさにこの効果を狙ったものだ。たとえその相手を知らなくても、実際に顔や名前を出している人が自分の口で言っている方が、真実味が増すからだ。
 SNSのほとんどは実在の人物から発せられた言葉から成り立っている。その上、SNSでつながっているのはほとんどが友人や知人だ。前述した通り、実在の人から聞いた話は信じこみやすいという特性があるため、特にSNSではデマが広まりやすいわけだ。
 さらに、中学生や高校生は友達が一番大事な時期にいる。親の言うことは聞かないが友達の言うことなら聞く。しかも始終SNSでつながり、オフラインでも密に情報を共有し合っている。その上、テレビや新聞などのニュースはほとんど見ていない。こうして友達から聞いた情報を信じて、それをそのまま広めてしまうのだ。

不安、知識のなさでデマ拡散

 広まりやすいデマにはいくつかのパターンがある。「震災後のデマ80件を分類整理して見えて来たパニック時の社会心理」(「絵文録ことのは」http://www.kotono8.com/に掲載)を参考にすると、例えば以下のような時になる。

    科学・医学情報など、専門知識がないと真偽が分かりづらいこと
    正しい情報を得ることが難しいため真偽を確かめづらいこと
    メディアで誤報が流れたこと。その後修正が分かりやすい形で行われていない
    エイプリルフールや企画などネタ元から生まれたもの
    他人や団体、政府などを貶める意図
    外国人などを差別する意図
    他人や団体、政府などに対する好意から生まれたもの

 大きく分けると、知識がないためや不安によって広がるタイプ、元ネタから誤解が広がったタイプ、他人を貶める意図あるいは好意により拡散したタイプがあるというわけだ。他人を貶めたり差別したりする意図を持って噂の元ネタを作った人たちには悪意があるが、実際に広めた人たちには悪意があるとは限らず、単純に信じて広めてしまった可能性が高い。
(略)
狭い世界で特に広がるデマ

 大人の場合、会社や家族、出身校、居住地など様々な場で役割があり、それぞれのつながりがある。普段は会社と家の往復でも、学生時代の友達もいるし、保護者という顔も持つなど、社会との関係に多様性があるものだ。多様な情報源を持ち、ネットを含めた新聞やテレビ、ラジオなどでニュースをチェックする人がほとんどだろう。
 ところが中高生の場合は、学校と家の往復の毎日である場合が多く、大人と比べて関係性が閉じられていて狭い傾向にある(写真5)。それゆえ、空間内で噂が立つと一気に広まり、それが世間の総意であるように感じられてしまう。そこでは偏った意見やデマが増幅してしまい、収集がつかなくなっていく。
(略)
多様な情報源を持ち、確認を

 大人でもデマに引っかかり、振り回されることがある。しかし、情報源をネットやSNSだけに頼るのは少数派だろう。ほとんどの人はまず常識で判断し、テレビや新聞などのニュースも見るという場合が多い。
 ところが、10代の中高生はそのような行動は取らないことが多い。世界が狭く、情報源が友達に限られている。情報の裏は取ることなど考えず、簡単に信じて広めてしまうのだ。
 中高生が噂話レベルのデマに引っかかりやすいのは、世間知らずという理由もある。大人ならば、Twitterには多くのデマが飛び交っていることを知っていて疑うが、彼らはほとんど疑わないようだ。友達だけでなく、もっと違う情報源を持ち、視野を広く持つようにすべきだろう。
 子どもがデマで迷惑や被害を被ったり、広めたりする側となってしまっていたら、疑うことも教えたい。友達が言っていたという理由だけで、噂をほかの人に無責任に広めないよう教えることは大切だろう。

つい先日も大手新聞社が何十年も広めてきたデマが今さら大騒ぎになって国会でも取り上げられるまでになったと言うのに「中高生はデマにひっかかりやすい」も何もないものだと思いますけれども、物理的な性質という点から考えるとかつてのメディアや口コミを通じて広まっていった時代と比べると、今のネット経由で広まっていく時代の方が圧倒的に拡散が速く共有範囲も広いと言うことは言えるでしょうか。
そうした今の時代の速い展開についていけなくなった大人達から見ると「今どきの若い者」は情報に振り回されているように見える部分はあるのかも知れませんが、基本的に情報の拡散が速いのと同等以上に検証速度も速ければ消失していくのも速いですから、それによって与えられるトータルな社会的影響力と言う点では果たして旧来の遅い拡散方式とどちらが大きいのかは未だ何とも言い難いのではないかと言う気がします。
それはさておき、この口コミに対する信頼感と言うのは別にネット時代に特有の現象ではなく、これも古来その実例を挙げることに何ら苦労することがない当たり前の人間心理だと思いますが、その発信元がネット上の仮想的な(少なくとも、実態を確認する手段のない)人格であると言う点が今の時代に特有の現象であるとは言えるでしょうね。
その典型例としてしばしば挙げられるのがいわゆる口コミサイトの類における利用者による評価と言うもので、先日も口コミ情報の削除を求めた店舗側が敗訴したと言う話があったように今の時代どこまで信用していいものか利用者側の見る目も求められる時代だと思いますが、最近こんな形で口コミサイトに反撃を行ったと言う店舗側の行動がちょっとした話題になっています。

「じゃらん」の否定的な評価に温泉宿が逆襲!迷惑客の実態を暴露で騒然(2014年9月26日探偵ファイル)

宿泊予約サイト「じゃらん」への投稿内容が発端となって、騒動に発展した。
群馬県草津町の「十二屋旅館」に対して、「二度と泊りたくない宿」と評する投稿が、今年7月中旬になされていたことが発覚。高額の割に、サービスや食事の内容に失望したという。これに対し、旅館側が反論を展開した。当該の客は「客室を壊した上に会計もせず逃げようとした」というのだ。
さらに、「警察を呼び裁判を起こす、韓国領事館に連絡するなど暴言暴挙を3時間もの間繰り返して他の宿泊客や近隣の住民にまで迷惑をかけた」と暴露。「御自分の都合が悪くなるとハングル語で話し出し会話にならない!」、「サービス云々の前に会計はして下さい!『おもてなし』以前の問題だと思います」と批判した。

この内容について、各種の憶測が飛び交った。一方、旅館のブログにも同様の話題があった。事実無根の口コミを投稿されたとして、じゃらんの運営側に削除を求めたそうだ。だが、証拠がないとの理由で、削除に応じられないと言われたという。「いやなら取引きを辞めて頂いて結構ですなんてまともな企業の言う言葉ではない!」と記している。
旅館のブログでは、過去にも迷惑行為に及んだ複数の客に言及していた。それらの客の在住地域や年齢を記し、激しく批判するなどしている。また、口コミサイトのサクラを請け負う業者から電話があったそうで、その内情を暴露したこともあった。こうした点についても、ネット上の反応は様々である。
当サイトでは、当該の旅館に連絡を取った。ネット上で騒ぎになっていることは、全く知らなかったそうだ。この件については、「答える義務はありませんので」と述べた。旅館側の主張への批判もあることを伝えると、「盛り上がるのは結構なことですので、どうぞご自由に書いてください」とのことだった。

実際にどのようなやり取りがあったのかは元記事から辿って頂きたいと思いますが、まあ客商売の常識的な一線と言うものから考えるとずいぶんと踏み込んだことを書いているものだなとも感じる一方で、宿泊業界などでは宿帳という形で個人情報を握っているわけですからこういう時代にあってはある意味顧客の弱みを握っているとも言えるんだろうなと言う気はします。
これだけ誰の書き込みかと言うことも特定されていると言う状況は書き込んだ個人にとっても予想外だったのかも知れずですし、もしも事実この通りの状況であったのだとすればそれこそ警察を呼ばれたり民事賠償請求が行われても不思議ではない状況であったとも言えるわけですが、個人情報を握られている利用者側としては実は案外立場が弱いと言うことでもあるのかも知れませんですね。
個別の事情に関しては双方どちらにも言い分があるのでしょうが、一般論として考えるとここまで公開の場でぶっちゃけてしまうことは客商売として相応にデメリットもあるでしょうから、それだけ憤りも激しかったのだと考えるべきか後先考えずについ書き込んでしまったと受け取るべきか微妙なんだと思いますが、この騒動に関してはさらに思いがけず斜め上方向に発展した続報が出ています。

続報・否定的な口コミに反論で炎上の温泉旅館、取材で新事実が発覚!(2014年9月30日探偵ファイル)

「じゃらん」での否定的な口コミへの反論が発端となった、群馬県草津町の「十二屋旅館」の炎上騒動について、続報を配信する。
騒動の過程で、じゃらんや「楽天トラベル」に掲載された口コミに対する、旅館側の返答の一部が削除された。一例として、旅館の経営者の子供が館内をうろついているという口コミがあった。これに対し、「子供の笑顔は皆を幸せにします!」と旅館は返答。だが、この旅館は「大人の宿」を掲げ、子供の宿泊を認めていない
部屋で香水をつけると宿泊費が倍になると口コミに書いた人物に対して、旅館は理由を説明。予約時に注意事項を確認してほしいという。だが、喫煙の禁止はHPや予約サイトに記載があったが、香水の禁止に関しては言及がなかった。この点が指摘されると、上記の返答も削除された。

当サイトでは、草津温泉旅館協同組合に取材した。組合には、非常に多くの問い合わせが来ているそうだ。十二屋旅館に予約を申し込んだという、客からの相談もあったらしい。心配ならば予約を取り消した方がよいと組合が勧めると、「取り消したらブログ等でネット上に晒されそうで、怖くてどうしたらよいか困っている」と客は述べたという。
炎上の原因になった、じゃらんへの口コミの件が最終的にどうなったかということは、把握していないそうだ。しかし、当事者間での解決が困難であったため、警察が仲介したことで一応話がついたと聞いていると、担当者は述べた。香水禁止の件や、昨年にブログで別の客を晒し者にしたことは、把握していなかった模様だ。
禁止事項は、HP等に明確に記載することが基本であるという。客個人を特定され得るような形で晒す行為は、地域全体のイメージや信頼にも関わり、組合員としてふさわしくない行為と判断するとのことだ。

これまた一般論として考えると先日の大手マスコミ(以下略)でもそうなんですが、他人に対して偉そうなことを言うならまず自分を正せと言われてしまいがちなのは世の常ですから、公の場であれだけのことを言い切ってしまえばそれなりのリアクションもあるだろうなと言う気はしますけれども、記事から見る限りではそれなりに突っ込みどころはある旅館であったと言うことなのでしょうか。
ただここで注目していただきたいのが予約をしてしまったのだがどうすればいいかと言う顧客が「取り消したらブログ等でネット上に晒されそうで、怖くてどうしたらよいか困っている」と不安視していると言うことで、先にも書きましたように旅館側は一定の個人情報をすでに握っているわけですから、その意味では実はネット上において強い立場に立っていると言う見方も出来ますよね。
もちろん実際にこんなトラブルの最中に個人情報を暴露でもしようものならそれこそ客商売として大炎上必至と言うもので、これは抜くに抜けない伝家の宝刀と言うものですけれども、およそ脅迫ネタと言うのは実際にそれが使われないからこそ脅迫ネタになり得るのだと考えると、利用者側が不安視することももっともだとは思います。

ネット上ではもちろん真偽を確認しようがない情報が飛び交っているのは常識であり、それに対してこれは嘘なのだからと色々と言いたくなる気持ちももちろん理解出来ないわけではないのですが、少なくとも過去の実例から判断する限りでは当事者が反応を示すことで世間の注目を集めかえって嘘情報が拡散してしまう、あるいは思いがけない二次的な情報が発掘され火に油を注ぐと言うことの方が多い印象ですよね。
この点では基本的にはスルーが一番だと言う意見も(心情的には正直承伏しがたい部分はあるのですが)現実的には妥当なのかなと言う気がしますし、行うにしても個別にどうこうと反論するよりはシンプルに民事で賠償請求なりを行うくらいの方がダメージが少なそうなのですが、ただこれも勝訴する確率と必要なコストから考えるとまず確実に赤字を覚悟してと言うことになりそうです。
ネット上のいわゆる誤情報に関してはもちろん単純な事実誤認や誤解に基づくものである場合も多い一方、時として何らかの理由によって行われる意図的なデマの流布も少なくないのでは?とも言われていて、明らかに事実に反する書き込みに対しては少なくともそれが事実ではないと言う証拠があるのであれば、書き込みの場所を提供したサイト側にも対応する責任があってよさそうには思います。

もちろん意図的に為されるデマであるほど事実かどうか確認出来るようなことは書かない場合がほとんどだろうし、そもそも気に入る気に入らないの主観的評価に嘘も何もないと言う話ですが、唯一店舗側にとって有利と思えるのはこの種の口コミを基準に選ぶ顧客は基本的には流行に左右された一見客であって、多くはあちらこちらとネット評価の高い場所を巡るばかりで馴染み客になる者は少ないと言われる点でしょうか。
ただ飲食店などについては地道に馴染み客を獲得していった店舗が結局は勝ち残っていくのだろうなとは思うのですが、宿泊業などそうそう何度も繰り返し利用する顧客が多くない業界では口コミの評判も馬鹿にはならないだろうし、そもそも口コミを基準に選ぶ側にとっても嘘やデマの情報に踊らされて間違った選択を強いられるのは不本意と言うものですよね。
口コミサイトを提供する側としても昨今こうした問題に対して、例えば利用者評価の単純平均で点数を付けると言うのではなくきちんとした評価を行っているとされるコテハンの方々を優先していく方針で対応しているところもあるようですが、そうなったらそうなったで既存のガイドブックの類と何が違うのか?と言う話にもなってしまいますから、万人参加が売りのこの種のサイトの位置づけ自体なかなかに難しいところではあるのだと思います。

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コメント

でもあからさまな自作自演の宣伝カキコもあるからお互いさまだよ

投稿: | 2014年10月 3日 (金) 08時37分

旅館の件ですが、一般良識を持っていれば何にも心配することはないんだけどなぁ。
不安がる人たちって??
自覚があるくらいだったら、常識的な行動はやればできるでしょうからね。

投稿: | 2014年10月 3日 (金) 09時52分

香水禁止を明記せず、
そんで香水を使ったら宿泊料金は倍取る、みたいな相手に
一般良識が通用するとはおもえんけど

投稿: | 2014年10月 3日 (金) 10時06分

この種の口コミサイトでは気に入らなかった店(施設)に仕返しをする的な気持ちがどうしても入りやすいので、特に接遇面に対しては公平な評価より辛口方向へのバイアスが入ってしまうのだと思います。
ただ口コミサイト自体の本旨としてはそうした感情発散の場ではないので、客観性のない感情論が目立ち過ぎる場合には主催者側もチェックする必要があるでしょう。
民事訴訟で相手の実名を出してサイトに経緯を記載している人がいますが、こうしたケースで仮に旅館などが同様のことを行った場合には大きな話題になりそうですね(法的にはかなり微妙なところらしいですが)。

投稿: 管理人nobu | 2014年10月 3日 (金) 11時29分

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