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2014年10月24日 (金)

医療に関わる奇妙な騒動

今日は医療に絡んで少しばかり馬鹿馬鹿しいような気もするニュースを取り上げてみたいと思いますが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

麻酔から覚めたらピンクの婦人下着、米男性が病院を提訴(2014年10月17日AFP)

【10月17日 AFP】大腸内視鏡検査を受けて麻酔から目覚めたらピンク色の女性用下着をはかされていたとして、米国人男性が病院を相手取り、精神的苦痛や収入喪失などに対する損害賠償を求めて訴訟を起こした。

 地元メディアによると、デラウエア(Delaware)州の裁判所に訴えを起こしたのはアンドリュー・ウォールズ(Andrew Walls)さん(32)。同州ドーバー(Dover)にあるデラウェア外科センター(Delaware Surgery Center)で2年前に受けた検査をめぐり、陪審裁判を求めている。

 訴状によると、原告は2012年10月12日に大腸内視鏡検査を受けた際、麻酔をかけられた。「目が覚めると、意識がない間に女性用のピンク色の下着をはかされていたことに気付いた」という。訴状は、病院の処置を「あらゆる良識の範囲を超えたもの」だと非難するとともに、原告には自発的または意図的にピンク色の婦人下着を自ら着用する時間はなかったと主張している。

極度に常軌を逸した処置により、被告は未必の故意ないし故意に原告に精神的苦痛を負わせた」と訴状は述べ、この精神的苦痛の結果、原告は職を失ったとして、極度の苦痛状態、困惑、屈辱、精神的苦痛、収入喪失、所得獲得能力の喪失に対し、損害賠償を求めている。

 この訴訟は、ゲーリー・ニッチェ(Gary Nitsche)弁護士により先週、デラウェア州ニューキャッスル(New Castle)郡にある州裁判所に提起された。

いきなり職を失い云々などと話が飛ぶことからも一体何が起こったのか?と思うような話ではあるのですが、アメリカでは大腸内視鏡も全麻で行うと言いますからこういう奇妙な騒動も発生し得る一方で、少なくとも日本においては全麻下の患者のパンツをわざわざ履き替えさせることはないと言うことから考えるに、記事を読む限りでは色々と想像出来る話ではあるかと思います。
ただ別ソースによればもう少し複雑な事情があるようで、もともとこの男性は同病院の職員であった、そしてどうやら当時の同僚達がいたずら目的でこのような行為に及んだと考えていると言うことで、事実そうであるならば「常に真剣であるべき医療現場に従事する者として、彼らのモラルはあまりにも低い」と憤慨するのももっともであるし、病院側が一切のコメントを拒否していると言う点も意味深に感じられますよね。
いずれにしても誰が行ったにせよそれが医療現場の関係者が故意に行ったことだとすれば不謹慎な事件ではあるのだろうし、裁判を通じて事実関係を明確にしていくことにはそれなりの意味はあるとも思うのですが、医療と言えば何かと非日常的状況もあり得るだけに時にどうしても解釈困難な騒動もあり得るのは洋の東西を問わないようで、先日こんな不思議な記事が掲載されていました。

AED、女性に使ったら痴漢で事情聴取 正しい使い方は?消防庁に確認してみた(2014年10月16日ハフィントンポスト)

女性にAED(自動体外式除細動器)を使う際にハサミで服を切ったら、痴漢として警察に通報されたというツイートが話題になっている。

たまたま交通事故の現場に居合わせた際にAEDを使ったが、そのときにハサミを使って服を切ったら、側にいる人に警察に通報されたという。その後、警察が実情を把握すると痴漢としての聴取はなくなったということだが、実際にAEDを使うような状況になったら、どのように対処すべきなのだろうか。

AEDは電極のついたパッドを裸の胸の上に貼ることで自動的に心臓の状態を判断し、もし心臓が細かくふるえて血液を全身に送ることができないようであれば(心室細動)、電気ショックを与えて心臓を正常に戻す機能を持つ小型の医療器具だ。

消防庁にハフポスト日本版が問い合わせたところ、AEDを使う際には「パッドと肌を密着させる」ことが正しく、衣服の上からパッドを貼ってしまうと、衣服が燃えてしまう可能性もあるという。

消防庁が一般向けに用意している応急処置マニュアルでは、「電極パッドは、肌との間にすき間を作らないよう、しっかりと貼り付けます。アクセサリーなどの上から貼らないように注意します」と案内している。また、胸が濡れている場合には、タオル等で水分をふき取ったあとに、電極パッドを貼る必要もあるという。

しかし、衣服を脱がせているから密着しているということにはならない場合もある。石川県の津幡町では、パッド装着時に隙間がある悪い例を写真で紹介している。

横浜市では、パッドを貼るときには、公衆の面前であっても胸をはだけることも救命のためにはやむをえないとしながらも、「できるだけ人目にさらさないような配慮が望まれます」としている。AED販売企業の中には、オプションとして目隠しとなるような「仕切役」を販売するところもあるが、日本赤十字社では広げて隠せるように、AEDを設置する際には毛布やタオルも常備しておいてほしいと呼びかけている。

まあしかし言われてみれば人前で胸をはだけて好き放題触り放題と言うのも特殊な状況ではあるし、やっていることとしては外見的に世間一般におけるタブーに触れる行為だと言う解釈も出来るのだろうと思うのですが、もちろん事実心肺停止の状況に遭遇し救命目的でAEDを使うと言うのであれば、これは法的には何ら問題のない行為ではあると言うことです。
件のツイートが事実であるかどうかは何とも言いようがないところですけれども、むしろここで注目すべきなのは横浜市等のマニュアルにも示されているようにこうしたトラブルが起こり得ると言うことが認識され対策も記載されていると言う点で、実際にAEDを使うような局面にあってもこうしたことを気にする向きがそれなりに存在している(あるいは事実、していた)と言うことを想像させる話ですよね。
ツイートの方もなかなかリアリティーがあると思うのは当の本人に訴えられたと言うのではなく側にいる人に通報されたと言う点で、もちろん本人はAEDを使うような状況であれば意識もなく事態の重大性は理解せざるを得ないだろうと思いますけれども、倒れている女性の服をはぎ取る怪しい男に遭遇した日には「ちょっとあんた!何してんの!」と通報する人がいてもまあ、おかしくはないのかなと言う気はします。
医療関係者は基本的にこうした装備は病院内で使うわけですから命の保全が最優先されるのは当然と言う認識で、救急外来で搬入されてきた患者の衣服を必要に応じてジョキジョキ切ってしまうのは当然視されているし、患者も当然にそれを是とするだろうと言う認識でやっていますけれども、考えてみると「大事なブランドものの一張羅を台無しにされた!弁償しろ!」と言われてもおかしくはないわけです。

もともと日本の医療現場は患者のプライバシーに対する配慮が不足しているとは指摘されてきたところで、かつて皆保険制度導入を目指して日本の医療現場を視察に来たヒラリーさんも日本の病院環境に関してはとても自分たちアメリカ人には耐えられないだろうと低評価だったと言いますけれども、物理的制約に留まらずスタッフの認識の点でもこの辺りはまだまだ及ばぬところがあるようには感じます。
他人を裸にひん剥くと言うことへの心理的ハードルの低さもあってか、医療現場におけるセクハラや痴漢的行為に関してはたびたび訴訟沙汰にもなっているくらいで、実際にそうと意識して行われる故意犯がそのうちどれくらいの割合になるのかは判りませんけれども、今ではようやく学生教育においても「疑われないように患者と密室で二人きりになるのは避けましょう」等々の対策が講じられるようになってきていますよね。
逆に医療従事者にしてみれば長年患者側からの不当なセクハラに耐えてきたと言う気持ちもあるようで、日本でもさすがに今は院内で患者からセクハラを受けたと言えば「あなたに隙があるからです」と逆に上司から叱責を受ける時代ではなくなったとは言え、病人が絡むことでもある以上なかなか対応が難しい面もあってトラブル即診療契約打ち切り、強制退院ともいかないようです。
比較的この面で被害者の立場に立つことが少ない(その一方で加害者扱いはたびたびあるようですが)医師などは、ただでさえ多忙な医療現場に余計な面倒事は持ち込まないで欲しいと事なかれ主義に流れたくもなるのかも知れませんが、職場防衛と言う観点からしても余計な誤解を招かないよう組織としてそれなりのルール作りは必要な時代ではあるのでしょう。

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コメント

ネタにマジレスw

投稿: aaa | 2014年10月24日 (金) 09時00分

ぼけたふりして若い新人(女性)看護士においたをするじいちゃんがいますね。看護師長も慣れたモンで担当を男性看護師とか
年長の看護師にしてますね。不思議と男性とか年配の女性看護師には手をだしませんね。

投稿: 浪速の勤務医 | 2014年10月24日 (金) 10時30分

昨今ではさすがに社会的入院患者などはこれを良い機会にと追い出しにかかる場合もままあるようですが、患者のみならず医師や看護師にしろ未だに古い感覚の方もいらっしゃいますからね。

投稿: 管理人nobu | 2014年10月24日 (金) 11時44分

知人の母上80代が盲腸で入院して、同室がおじいちゃんだったとか
老人とはいえ、男女同室ってありですかーと驚愕

投稿: | 2014年10月24日 (金) 13時25分

救急されて、普通に女物の下着つけてた外見は、エリートビジネスマン風のスーツのおっさんや、
性別は男だけでど、お椀型のおっぱいと、くびれた腰、高級女性下着をつけてたおかまの姐さんたちを、
しょっちゅう、診療してました。
東京都心の某巨大基幹病院勤務中にね。

投稿: | 2014年10月25日 (土) 01時04分

どう見ても男なのにカルテは女と書いてあって
「あれ?すみません間違えてますよねこれ」
「いいえ女ですよ!」
って断言された時は地雷踏んだと思ったわ

投稿: | 2014年10月25日 (土) 06時18分

診察偽装:患者を「職員」 法人理事長、逮捕へ 奈良
http://mainichi.jp/select/news/20141024k0000e040228000c.html

まさに笑い話だなこれはw

投稿: | 2014年10月26日 (日) 15時17分

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