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2014年9月10日 (水)

介護領域の最近の話題から

最近出てきた介護ということに関わるニュースの中で、本日まずはこちらの記事を取り上げてみることにしましょう。

知的障害の長女殺害、介護の母に無罪…大阪地裁(2014年9月3日読売新聞)

 難病で知的障害の長女(当時29歳)を殺害したとして殺人罪に問われた母親(58)(大阪府吹田市)の裁判員裁判判決が3日、大阪地裁であり、田口直樹裁判長は無罪(求刑・懲役4年)を言い渡した
 田口裁判長は「介護の負担から重いうつ病となり、犯行時は心神喪失状態で刑事責任能力はなかった」と述べた。

 母親は昨年10月、自宅の浴槽に長女を沈めて殺害後、池で入水自殺を図ったところを発見され、逮捕、起訴された。精神鑑定でうつ病だったと診断され、責任能力の有無などが争点となっていた。
 田口裁判長は判決で、母親にとって介護の負担は大きかったが、夫が休職して介護に協力するなど無理心中するほどの絶望的な状況にはなかったとし、「動機の説明は難しく、うつ病の影響で突発的に犯行に及んだ」と判断した。

何ともやりきれないと言うしかないニュースで、もちろん客観的には他に幾らでも道はあっただろうに…と思わされる部分もないわけではないのですが、当事者としては何かと思い詰めてしまった結果こうした結果に至ってしまったと言うことなのでしょうか、ともかくも亡くなられた方のご冥福を祈りたいと思いますね。
介護と言えばどうしても高齢者と考えてしまいがちですが、当然ながら弱年時から心身の障害を負うなど様々な事情で介護やケアが必要となる場合もあり、家族としては老人介護よりもはるかに長い期間をこうした状態で過ごされるともなれば、こちらの負担も相当なものになるとは言えるかと思います。
もちろん家族の負担をなるべく軽減すべく社会的なサポートシステムが整備されるべきなのだろうし、年齢がいって要介護となるのはほとんどの方々が人生の一時期に経験することですから事前の準備も心がけておくべきはずなんですが、どうももう一つこの方面での体制整備がうまくいっていないのでは?と不安に感じさせられるような報道も相次いでいます。

介護職を敬遠?専門学校が定員割れ 人材不足が深刻(2014年9月5日岩手日報)

 県内の介護施設で、スタッフ不足が深刻化している。厳しい労働環境が敬遠されているとみられ、介護福祉士などの専門職を目指す若者は減少傾向だ。復旧した被災地の施設では、人材不足でフル稼働できないケースもある。県などが対策を講じているが、課題解決にはほど遠いのが現状だ。高齢化で施設の需要が増す中、サービスの低下にもつながりかねず、関係者は危機感を強めている。

 国家資格の介護福祉士を養成する県内4専門学校の学生は、2010年度から5年連続で減少。14年度の4校の入学者は定員計252人に対し、計168人にとどまった。盛岡市の専門学校は14年度、定員42人に入学者は37人で、初めて定員割れした。教務主任は「介護への偏った印象や他職種との待遇差から、敬遠する学生が増えている」と分析する。

 震災で被災し、今年4月に高台で一部業務を再開した大船渡市三陸町越喜来の特別養護老人ホーム「さんりくの園」。58床のうち個室ユニット型に整備された30床が再開できていない。入居希望の待機者は100人を超えるという。
 施設では約80人の職員が働く。フル回転させるにはあと十数人が必要で、常に求人を出しているが、確保のめどは立っていない。

 【介護福祉士】社会福祉士及び介護福祉士法に基づく介護・福祉分野の国家資格。社会福祉振興・試験センターによると、14年3月末時点の本県の介護福祉士の累計登録者数は1万5150人。資格を持ちながら介護分野以外への就職や仕事をしていない人が多いことが課題で、全国で見ると12年度は21・0%に達する。仕事をしない理由で最も多かったのは、出産・子育てが34・9%、病気、体調不良が15・9%、家族などの介護、看護が14・3%だった。

半数が介護準備「なし」 単身高齢者アンケート(2014年9月2日産経ニュース)

 1人暮らしの高齢者の約半数が、自分に介護が必要になったときの特別な準備をしておらず、4人に1人は将来的に介護を受けたい場所を自宅か施設か決めていないことが、第一生命経済研究所の意識調査で分かった。単身高齢者の多くに介護への備えが不足している実態が浮かび上がるが、介護を頼むつもりだった夫や妻に先立たれ、将来を決めかねている人も少なくないとみられる。同研究所の北村安樹子(あきこ)研究員は「介護に必要なお金を計算したり、親族に希望を伝えたりする備えが大事だ」と話す。

 調査は昨年12月、要介護認定を受けていない単身の65~79歳の男女527人を対象に実施。自分の介護を見越した準備状況を複数回答で聞くと「特にしていない」が48%で最も多かった。準備している人では、預貯金(31%)、介護保険制度の情報収集(22%)、介護施設の見学(17%)-などだった。

介護職に関しては3Kだ、4Kだとすっかり悪評が定着した感があって、特に昨今の学生や若年労働者の間に広がるブラック企業忌避の流れからすればおいそれとイメージ向上も図りがたいのは確かなんですが、現実問題として全職種中でも最低水準に留まる金銭的待遇と言う事実を前にすると必ずしもイメージの問題とばかりも言えないものがあります。
ある程度規模の大きな職場においては基本的には交替勤務制が敷かれているはずですから、きちんとスタッフの数が揃えば激務の解消は期待出来るはずなんですが、人員不足から金銭的報酬で高止まりしてでも求人をかけていたような施設にすれば人が集まれば待遇を切り下げたくなるものかも知れずで、経営側の判断如何で今後勝ち組と負け組に大きく差がついてくるかも知れませんね。
看護師においても同様な傾向が見られますが有資格者の離職率が高いことも大きな課題で、もちろん女性の多い職場ですから子育てや介護も含めた家族の世話と言うことが大変な事情は理解出来るのですが、社会的に相互に助け合うことで効率が高められれば労働生産性も向上するはずですから、保育や介護など様々な業種をどう公共サービスとして連動させていくか行政の音頭取りも重要になりそうです。

ただ利用者自身が自身の将来像を明確に描き切れていないと言うのも問題で、急にそうした状況になった場合に周囲も困るだろうし、本人にしても意に沿わぬ決定を下されてもすでに意志表示が出来ないと言うこともありますから、特に普段から意志表示を継続的に行うことが難しい独居者ほど場合によっては文書等による用意を行っておくことも必要でしょう。
現状でもしばしば行われている簡単な方法としてきちんとかかりつけ医を決めておき普段からいざと言う時どうするかを伝えておくと言うやり方がありますが、かかりつけ医がしっかりした方であればいいのですが遠い親戚が出てきてあれやこれやと言い出した時についそちらの意志を優先してしまうと言うのはありがちな事であり、後日の訴訟対策としてもやむを得ざるところではあるとは思います。
先日は2017年度末をもって廃止が決まっていたはずの介護療養病床が存続されることになったと言う報道があり、その理由として自宅で世話が出来ない高齢者の方々が長期に渡って社会的入院をしていると言う現実もあるようですが、その中には本来であればずっと以前に自然な経過で看取られていたはずの方々も少なからずいらっしゃるかも知れません。
いざ急変となり医師や看護師が一生懸命がんばって救命したのに本当は本人も家族も無意味な延命は望んでいなかった、そしてどこに行く当てもなくババ抜きのババのような扱いをされていると言うことであれば目もあてられないと言うもので、少なくともある程度歳のいった方々は「その時になったら考える」ではなく、普段から十分にその時の方針を考え尽くした上で家族親族ともコンセンサスを得ておくべきでしょうね。

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コメント

入所者に熱湯かけた疑い 介護施設元職員再逮捕へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140908-00000000-kobenext-l28

こんなレベルで金とるなよ

投稿: | 2014年9月10日 (水) 09時01分

お金をいただく水準にないことは自覚しておりますので入所者様はお返しいたします。

投稿: 透 | 2014年9月10日 (水) 09時44分

>調査は昨年12月、要介護認定を受けていない単身の65~79歳の男女

60代なんかピンピンしてるのに、こら対象がまだまだ若いわ。
後期高齢者の75歳(まけて70歳)以降を対象にしないと、
なんのいみもないですねぇ。
働き盛りの40代に定年後の計画を立てているかの質問に近い。

投稿: | 2014年9月10日 (水) 10時02分

心神喪失無罪だと、釈放と同時に措置入院になって、しばらくしたら医療観察法のための鑑定入院が始まります。入院が必要と判断されたらその後1年半の医療観察法入院、その後数年間の医療観察法通院となります。
懲役3年程度であれば実刑判決を受けた方がましではないかと愚考しますが・・・

投稿: クマ | 2014年9月10日 (水) 10時50分

まあしかし世間の見る目としてはやはり犯罪者として刑に服するのと、病気として治療を受けるのとでは意味合いもその後の取り扱いも全く変わってきますので。
ところで、

>働き盛りの40代に定年後の計画を立てているかの質問に近い。

定年後に備えた個人年金保険などは30代40代の頃から計画的に積み立てていくものだと思っていたのですが、違うと言うことでしょうか?

投稿: 管理人nobu | 2014年9月10日 (水) 11時06分

>まあしかし世間の見る目としてはやはり犯罪者として刑に服するのと、病気として治療を受けるのとでは意味合いもその後の取り扱いも全く変わってきますので。

世間の見る目だったら人殺しもキチガ…精神障碍者もどっちもイヤでしょうに人殺しな上基地外とか心証サイアクかと…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年9月10日 (水) 16時19分

>定年後に備えた個人年金保険などは30代40代の頃から計画的に積み立てていくものだと思っていたのですが

言葉足らずですみません。

この年代で、計画的に老後にこれだけいるから貯めるとか年金保険をかけている人ってどれだけいるんでしょうね。
漠然と、周り(保険のおばちゃん)とかに言われて、まあやっておこうかという人が多いのでは?
まあお金に関しては、老後に関わらず、万が一用にこの程度はというのは、年代問わずあるはずですよね。

言いたかったのは、仮に60歳定年とすれば、定年後どこに住むとか、何をするとかといったことを考えだすのは、
早くて50歳過ぎてからでしょ?ということです。

投稿: | 2014年9月11日 (木) 09時52分

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