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2014年9月 1日 (月)

世界最大の製薬企業ノバルティス社、たびたび世間をにぎわす

先日大阪市立総合医療センターの臨床工学技師と医療機器メーカーの癒着を報じる記事が出ていてなるほどと拝見したのですが、確かに医療のような専門性の高い世界では同じ職場の中でもどうしてもその道の専門家の判断に委ねるしかない場面は多いもので、その気になれば幾らでも癒着じみたことが出来てしまう状況にはあるのでしょうね。
その点で昔から何かと噂の絶えない製薬業界と医療との関係については以前にも何度か取り上げたことがありますが、ちょうど2年前から製薬業界の自主規制でいわゆる接待の類が大幅に規制強化されたのを受けて、これからはMRなど消えてしまうんじゃないか?とも噂されていたのは周知のとおりですよね。
ただ飲食などの遊行的コストを削っても他の部分で支出を増やせば業界の癒着がささやかれるのは道理で、特に近年降圧薬絡みで製薬会社と複数の医師とが絡んだ大々的な不正があったのではないかと大問題に発展したのはこれまたよく知られているところなんですが、その事件に関して厚労省からも誇大広告だと異例の刑事告発を受けたノバルティスが先日またこんな記事で話題になっているようです。

ノバルティス:学会で医師71人の旅費510万円肩代わり(2014年8月27日毎日新聞)

 製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が4月に開催された日本内科学会に出席した医師71人の旅費計約510万円を不当に肩代わりしたとして、業界団体「医療用医薬品製造販売業公正取引協議会」が27日、指導した。製薬会社が学会参加者の旅費を肩代わりすることは、医師への不当な便宜供与に当たるとして規約で禁止されている。
 協議会が、学会の旅費肩代わりで指導したのは初めて

 ノ社と協議会によると、ノ社は4月13日に東京で自社製品に関する全国講演会を開催。これに出席することを条件に、同じころ東京で開催された日本内科学会総会にも参加した医師71人の宿泊費と交通費を負担した。
 ノ社のダーク・コッシャ社長は「深くおわびする。二度と起こすことがないよう、再発防止を徹底したい」とのコメントを発表した。ノ社は、降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験を巡る虚偽広告事件で、元社員とともに薬事法違反(虚偽広告)で起訴されている。【河内敏康】

ま、これも一昔前であれば旅費を負担して講演会等に医師を集めると言うことはどこの会社でもやっていたことで、業界内部の規制強化が進んだ結果現在ではやってはならないことになってしまったと言うことではあるのでしょうが、しかし今年の春になってもまだこれだけ大々的にやっていると言うのはよほどに金が余っているのか、それともイメージダウンを取り戻そうと躍起になっていたと言うことでしょうか。
患者さんの中でもあれだけディオバンディオバンと連呼されると担当医に処方変更を言い出す方が一定数はいたものと思いますが、それでも大多数の患者は何の薬かくらいは把握していても名前や製薬会社までは知ったことではないでしょうから、処方権を持つ医師の側さえしっかり掴んでおけば多少のスキャンダルも影響はカバーできると言うことなのかも知れません。
昨今では医師への接待が規制強化されたことの反動もあって、調剤薬局への接待攻勢が非常に目立ってきていると言う噂もちらほら聞こえてきますけれども、これなどもゾロ(ジェネリック)推奨の国策の中で医師が商品名ではなく一般名(成分名)で薬を出すようになった、その結果実際にどの薬を出すかの選択が患者と薬局との話し合いで行われるようになったことの反映なのだと思います。
ともかくも今やちょっとしたことで世間の批判が集中し炎上しかねない時代で、いくら一般人と直接取引することの少ない製薬会社と言えどもこうもたびたび名前が出ればイメージダウンも必至ではないかと思うのですが、何と同じノバルティスがまた新聞ネタを提供していて、これまた厚労省からきつくお叱りを受けたと報道されています。

ノバルティス、2500例を放置 重い副作用の報告義務 (2014年8月29日日本経済新聞)

 スイス製薬大手の日本法人ノバルティスファーマ(東京)が薬の副作用を厚生労働省に報告していなかった問題で、同社は29日、自社薬との因果関係が否定できない重い副作用で新たに約2500症例の未報告案件があったと発表した。薬事法では製薬会社は重い副作用を把握した場合、一定期限内に国に報告する義務があるが大量に放置していた。
 同社は29日、厚労省に報告した。厚労省は「薬と副作用の因果関係を精査し、重篤症例の未報告など薬事法違反が確認できれば新たに行政処分を検討する」としている。

 同社は白血病治療薬による重い副作用を16症例21件把握しながら国に報告しなかったなどとして、7月に厚労省から改善命令を受けた。この際、販売するすべての薬で同様の報告漏れがなかったかどうか報告するよう指示され、約1万例を調査していた。
 その結果、同社が販売する薬との因果関係が否定できない重い副作用症例は少なくとも2579例あった。白血病治療薬など抗がん剤が多く、患者の副作用は腎障害などで、死亡した事例もあったという。
 これとは別に自社薬との因果関係を調査中の副作用症例は6118例あるといい、薬事法違反の未報告事案はさらに増える可能性がある。厚労省は9月末までに全ての調査結果を報告するよう指示した。
 厚労省によると、製薬会社から報告のある副作用症例は全体で年間およそ4万例。ノバルティスは2013年に複数の症例で約8千件を報告したという。

 ノバルティスを巡っては、高血圧症治療薬ディオバンを巡る臨床データ操作事件で、法人としての同社と元社員が薬事法違反(誇大広告)罪で起訴されており、厚労省はこの件でも行政処分を検討している。
 大量の副作用症例疑いの未報告について、同社は「深く反省し、再発防止に努める」とのコメントを発表した。

白血病治療ともなればもともとあれやこれやと強烈な薬を何種類も投じて行うもので、何かあると言うことが当たり前だし何かあっても何が原因だったかとはっきりしないこともままあることで、同社に限らず「薬との因果関係を否定」出来る場合の方がむしろ少数派なんじゃないかとも思うのですが、それゆえ保険診療ルール下における監査などと同様ケチをつけようと思えば幾らでもケチのつけようはあるでしょう。
実際に使う側の臨床医にしても効果や副作用など製薬会社の言うことを鵜呑みにするのではなく、自分や同僚等の経験や実感を重視して使っているはずですから直ちに同社の薬が危険だと言う話にもならないでしょうが、ともかくもこうやって相次いで報道されることからしても今やすっかり同社は各方面から注目され厳しくチェックされる立場にあると言うことは言えそうですから、今後も幾らでもマスコミに登場する機会はありそうですよね。
製薬業界も合併等が続いてどんどん巨大化が進行してきていますけれども、その中でもノバルティスと言えば世界最大手とも言われる巨大製薬企業であって、単純にあちらこちら手広く商いをしているからこそ突っ込まれる余地も多々あると言うこともあるのでしょうが、アメリカなどでも医師への接待やリベート支払いで告発されていると言うのは日本法人におけるそれと全く同様の話ですから、企業としてのポリシーであるのかも知れません。
製薬業界も今や世界的巨大企業でなければ開発費負担が出来ず市場の寡占化が進んでいく時代だと言いますが、インドで同社の特許権訴訟が社会的に大きな反発を招いたように利用者である国民からすれば独占企業が医師らと癒着して処方させる高い薬を買うしかない状況に不安を感じるのも当然で、今後も同社に対する世間からの厳しいツッコミはますます増えていくことになるのかも知れませんね。

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コメント

出る杭は打たれると申しまして

投稿: | 2014年9月 1日 (月) 08時55分

チバガイギーって千葉県あたりの会社なんだって思い込んでたの私だけでしょうか

投稿: おばかな人 | 2014年9月 1日 (月) 10時14分

製薬会社の名前もころころ変わりすぎてどこが何だったかなんですが、今後は対等合併よりも吸収合併が増えてくるのかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月 1日 (月) 12時24分

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