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2014年9月 8日 (月)

ネットを介して専門家がより身近なものに

ネットを通じての人と人とのつながりが当たり前の世の中になってきますと、一つにはしばしば「馬鹿発見器」などとも言われるSNSを介しての炎上騒動など今までになく大規模かつ破滅的なトラブルが発生すると言う恐さもある一方で、個人や集団の上に発生した厄介なトラブルがネット上で知恵を持ち合うことで解決したなどと言う非常にありがたい話もあるわけです。
三人寄れば文殊の知恵などと言うくらいですから、ネットで数多の数が集まればどれだけの知恵が発揮出来るのかと言うことですけれども、当然ながらこうしたネットの良い面をもっと積極的に活用することは新たな商機を産み出すことにもなるわけで、先日こんなサービスが始まったと言う記事が出ていました。

月額2980円で士業に相談し放題の法人向けQ&Aサービス「Bizer」、登記用の書類も自動作成(2014年6月30日TechCrunch)

(略)
Bizerは、会社運営に関する手続きについて税理士や社労士、行政書士、司法書士といった士業の人々にオンラインで相談できるサービスだ。価格は月額2980円で、相談回数は無制限となっている。

サービスを開始したのは5月。現在はユーザーの8割が10人以下のスタートアップだそうだが、数十名規模の中小企業まで約100社がサービスを利用している。相談は基本的に24時間以内に回答するとしているが、現在1〜2時間程度で回答が来ることがほとんどだという。回答する士業の人数は30人程度。現在のリソースで1000社程度のユーザーまでカバーできるそうだ。ビズグラウンドで実際に自社の登記変更を依頼するなどしてテストをして、信頼できる人物のみを採用するという徹底ぶりだという。

Bizerはユーザーと士業の相談に加えて、士業への仕事の発注までをサポートする。Bizer上で金銭のやりとりは発生しないが、士業はユーザーから発注された金額の20%を利用料としてBizerに支払っている。「個別具体的な話が多い。また地域によっては業種を理解している士業の人にリーチするのが難しかったりもする。そういった課題を解決したい」(ビズグラウンド代表取締役の畠山友一氏)。

これを聞いてしっくりきたのだけれど、最近地方発のあるスタートアップが、起業の際にあった課題の1つとして「ITを理解している税理士が近所に居なかった」と話していたことがあった。Bizerでも、実際に地方のITスタートアップとITを理解している都内の税理士が仕事をするといった事例が出てきているそうだ。

そんなBizerが7月1日、役所提出書類の自動生成機能を公開する(編集部注:当初6月30日としていたが、7月1日からの誤りだったため修正している)。この機能を利用すると、あらかじめBizerに登録しておいた情報をもとに、公証役場の委任状、法務局の登記申請書など、会社設立時や設立後に必要な16の書類を自動で作成できるようになる。

ただこれを聞いて疑問に思ったのだけれども、この機能、士業の仕事を奪うようなものではないのだろうか?畠山氏はその可能性を認めた上で、「書類作成はあくまで単純労働のようなもの。そういったものではなく、士業でないとできない付加価値のある仕事に集中できるようにしてほしい」と語る。2013年の株式会社の登記件数は約8万件とのことだが、Bizerでは今度その1割に当たる8000社の利用を目指すとしている。また、Bizerは登録された情報などをもとに、新たなサービスも提供していけそうだ。
(略)

当然ながら田舎に行くほど細かい専門分野を熟知している士業の方々が揃っていることなど望み薄となってきますから需要は大いにありそうだと想像出来ますが、直接顔を合わせるでもない相手をきちんと信頼できるかと言うことも問題で、本サービスにおいてはその辺りの見極めを行うべく採用テストにも工夫しているようですが、サービス普及には利用する側の意識改革も必要になってくるかも知れませんね。
面白いのは記事にもありますように書類作成を自動化していると言う点ですが、企業情報を見ず知らずの相手に提供するリスクに対するインセンティブと言う考え方も出来るでしょうし、記事にもあるようにこの種の単純作業はそれを行う側においても心身の労ばかり多く利益の少ないものであると言うことなのでしょう。
この場合は法人向けですが個人においても何かと専門家に相談したいことはままあるもので、例えばよくお世話になっている「弁護士ドットコム」などはその典型例だと思いますけれども、先日医療の世界においてもこんなサービスが始まっていると言う報道があったようです。

気軽に相談「ネットのかかりつけ医」 症状検索も(2014年9月4日日本経済新聞)

 夏もそろそろ終わり、これから徐々に過ごしやすい気候になっていく時期だが、気温の変化で体調を崩すことも多くなる。少し体調が悪いくらいだと病院に行くのはためらわれるもの。ただ、そのままにしておくのも心配だ。そんなとき、気軽に現役の医師に相談できるネットサービスや病気の症状を検索できるアプリが便利だ。
 医療関係者向けのサイトを運営するエムスリーが手掛ける会員制サ-ビス「アスクドクターズ」は月額300円(税別)で現役医師に体の不調を相談できる。2005年12月にサービスを開始し、現在の登録者数は約30万人に上る。同サイトを担当するコンシューマーマーケティンググループの熊野整グループリーダーは「かかりつけ医がいれば気軽に相談できるが、そういう関係になければ難しい。そうした人たちが気軽に相談できるサービスを目指した」と話す。

■写真付けて具体的に

 利用者が相談内容を投稿すると、サイトに登録しているボランティアの医師が回答する仕組みになっている。写真を添付できるので、患部の状態が具体的に伝わる。投稿は24時間受け付け、匿名での相談も可能だ。医師の登録数は様々な専門分野の約2000人に上り、回答率は1時間以内に40%、12時間以内に90%となっており、素早い回答が期待できる。
 医療行為ではないため、相談内容から病名を診断されることはないが、どこの診療科に行った方がいいなどのアドバイスを受けられる。利用者の83%が女性で妊娠や出産、子どもの体調不良に関する相談が多いという。
 病院で一度受けた診断が正しいかどうか、相談をするケースもある。同社によると、病院でがんと診断された利用者が症状や診断内容を投稿したところ、回答した医師が「診断は間違っているのでは」と疑問を投げかけた。利用者が再検査したところ、最初の診断結果に誤りがあると分かったという。
 過去の相談内容はQ&A形式でまとめられており、相談しなくても検索できる。件数は1千万超といい、「ほとんどの症状に対応できるはず」(熊野氏)という。

 「Yahoo!家庭の医学」はかつて家の本棚に置かれていた「家庭の医学」がスマートフォンで利用できる無料アプリだ。インフルエンザや子どもがかかりやすい病気など約570件の症状や治療法が載っている。
 「首・肩」「おなか」といった体の部位や「子供の病気」などに分類された16種類のカテゴリーの中から気になるものを選ぶと、該当する症状から可能性がある病気を探せる。ある程度病名が分かっている場合はキーワード検索も可能だ。
 書籍版との最大の違いは病院検索機能だ。現在地周辺で該当する病気に対応する診療科がある病院が表示される。なじみのない初めての病院に行くのは不安だが、口コミが掲載されているのである程度の目安になる。

■メールでもやりとり

 サイバーエージェント子会社のサイバー・バズが運営する「ドクターズミー」は、現役医師や薬剤師などのアドバイスを受けることができる月額300円(税別)の有料アプリ。相談1回につき100円(同)の都度課金プランもある。医師は女医が中心で、平均30分程度で回答が得られるのが特徴だ。
 「子供の病気・育児の悩み」や「妊娠・出産」など9分野から相談内容を選べるほか、Q&A方式の公開掲示板に書き込むかメールで非公開のやりとりをするかを選べる
 紹介した以外にも病気の相談や内容検索ができるサイトやアプリはある。気になる症状を早めに調べることで大きな病気を早期に発見できるかもしれない。思い込みや自己判断は禁物だが、健康管理の良きガイドとして活用してはどうだろうか。

こうしたサービスを提供するにあたって必ず問題になるのが「ネット上での回答にどこまで責任を持たせられるか」と言う点で、どんな名医ですら誤診はする以上ネット上で顔も合わせない相手からの情報によって100%の正解に到達することなどあり得ず、むしろ大部分ははっきりこれとは言えない程度の答えや一般論に終始してしまうものなのかも知れません。
ただ「その症状なら○○科に」「ただちに救急受診を」などと言った程度のアドバイスであっても一定の振り分け機能を発揮出来るのも確かで、実際に各地の自治体が類似の電話相談を試験的に開始しているケースもあるわけですから、多忙な外来に飛び込みで受診して混乱を招くくらいならまずは相談し整理をしてからと言うだけでも意味があることなのだと思います。
興味深いと思ったのは回答する者として女医が中心と言うサービスもあると言う点で、もちろん育児や出産など女性の方が相談しやすい内容と言うものも多々あるのでしょうが、しばしばあるように結婚や出産を契機に現場を離れた女医と言う戦力の再活用策としてもそれなりに期待出来るものなのかも知れません。

ただ気になるのは実際に回答をする医師がボランティアである場合がある、あるいは報酬を得られるにしても一回100円(しかもそれが丸々医師の手取りになるとはちょっと考えにくいでしょう)と言う初診料にも満たないような金額設定になっていると言うのは、専門職が一定の手間ひまや時間を費やして参加するにはいささか気になるところですよね。
ネット業界では小さく産んで大きく育てると言うやり方が一般的で、最初は無料ないしは冷やかし避けになる程度の破格値でまず集客をしておき、実際に設けるのはサービスとして定着してからと言う戦略を描いているのかも知れませんが、真っ当に働いている先生ほど「こんな金にもならないことをやるほど暇ではない」と思わせてしまうと回答者の偏りからくるバイアスが発生してくるかも知れません。
もちろん回答内容の質的担保も重要で、とりあえず最低限偽医者は排除するシステムは必要だと思いますけれども、医療の場合はっきりと正解がないと言うケースも少なくなく、その意味では特定の医師からメールで回答が来るようなやり方よりも、ある程度オープンな場で様々な異論反論も有りと言うディスカッション形式の方が合っているのかも知れませんね。
参加する医師にとってもその方が他医から得られた様々な意見を実臨床に還元出来るチャンスがあると言う点で意義があるかと思いますが、この場合あまり医師同士で熱くなって議論してしまっても相談者が置いてきぼりと言うことにもなりかねませんから一般向けサービスとして行うには少し工夫が欲しいところでしょうか。

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コメント

1時間以内に4割が回答ってすごいレスポンスの早さですね。
これくらいだったら病院に行く前にまず相談って気になるのかも。

投稿: ぽん太 | 2014年9月 8日 (月) 08時54分

>この場合あまり医師同士で熱くなって議論してしまっても相談者が置いてきぼり

以前、ある恐竜展で専門家に質問出来るコーナーがあったんですがある質問に喧々諤々、子供達完全置いてきぼりで時間切れって事がありました。
…すいませんその質問出したのオレですw
*ちなみに「最近の復元図では見なくなりましたが草食恐竜に「頬」はなかったんですか?」って質問

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年9月 8日 (月) 11時30分

ちなみにm3.comの提供するサービス「アスクドクターズ」についてですが、サイトトップにこうした記載があります。

「本サイトのサービスは医学・医療情報の提供を目的としているものであり、診療行為またはこれに準ずる行為を目的として利用することはできません。このサービスにおける医師による返答は治療行為ではありません。
 ユーザーはこのことを十分認識した上で自己の責任においてこのサービスを利用し、必要ならば適切な医療機関の受診等、自身の判断で行ってください。(略)
 本サイトの利用、相談に対する返答やアドバイスにより何らかの不都合、不利益が発生し、また、損害を被った場合でもエムスリー株式会社はその一切の責任を負いませんので予めご了承ください。」

これだけ多数の利用者がサービスを利用している中で、個人的に注目している点として仮に今後何かしらのトラブルが起こった場合にこうした文言が訴訟回避上有効なのかどうかですね。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月 8日 (月) 11時38分

実際に回答してるのが本当に医師なら、その人らはどういうつもりで回答してるんだかな

投稿: | 2014年9月 8日 (月) 16時06分

お○くだマ○アと呼ばれるような方々はえてして知識を披露せずにはいられない性分ではあるようですな

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年9月 8日 (月) 16時32分

https://www.askdoctors.jp/qa/ranking/best-doctor.do

温泉医者に不信感を感じます。特定の分野であれば理解できる。回答してほしい分野からの回答がない。温泉医者から回答をもらっても役にたたない。

投稿: なんでもできるはなにもできない | 2015年5月19日 (火) 05時34分

月額300円で、全ての分野に役に立つ回答をしろとはwww

投稿: | 2015年5月19日 (火) 10時45分

アウクドクターで温泉医者みたいにすべての分野で回答しているやつはハンドルネームを借りて何人もその下にいるのではないか。

投稿: サクラはもうやめろよ | 2015年5月25日 (月) 19時11分

従業員がなりすましで回答しているんだよ

投稿: アスクドクターは役立たず | 2015年6月 9日 (火) 12時58分

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