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2014年9月25日 (木)

「危ないことはやっちゃいけません」も教育上どうなのかですが

いずれも状況を想像せず記事だけを読んでいるとびっくりするようなと言っていいのでしょうか、ともかくも格闘技絡みで相次いで思いがけない形での死亡事故が報告されています。

ブラジリアン柔術の稽古で倒れ死亡 豊橋で日系ブラジル人(2014年9月20日中日新聞)

 愛知県警豊橋署は20日、豊橋市中岩田5のブラジリアン柔術道場「ROCK’S TEAM(ロックス チーム)」で17日夜の稽古中に倒れ、意識不明だった日系ブラジル人の会社員マルセロ・オキヤマさん(36)=豊橋市多米中町=が死亡したと発表した。

 オキヤマさんは17日午後8時半から稽古を開始。午後9時25分ごろ、他の男性受講生と2人組で乱取りをしていた時に意識を喪失。搬送先の病院で低酸素脳症の疑いがあると診断された。その後も意識は戻らず、20日午後6時25分ごろ死亡した。死因は不明。署は遺体を司法解剖し、現場の詳しい状況を調べる。

 署によると、オキヤマさんが倒れた際、道場内には経営者の男性師範(26)やコーチ、受講生ら計14人がいた。オキヤマさんは柔術を習い始めて2カ月ほどだった。

キックボクシング 顔正面パンチで死亡(2014年9月21日日刊スポーツ)

 パンチが命中し、友人を死亡させてしまった。大阪府警生野署は20日、公園でキックボクシングの練習中に友人の顔面を殴打し死なせたとして、傷害致死の疑いで大阪市の無職の男(27)を逮捕した。「パンチが顔の正面に入ってしまった」と容疑を認めている。2人にトラブルはないとみられ、同署では詳しい死因を調べている。

 生野署は傷害致死の疑いで大阪市の無職、福元盛弥容疑者(27=生野区巽南)を逮捕した。同署によると、「私の左ストレートパンチが顔の正面に入った。致命傷を負わせた」と容疑を認めているという。福元容疑者は約4年前、キックボクシングジムに数回通った程度の経験者で、手にグローブを着けていた

 死亡したのは友人のアルバイト従業員松本健嗣さん(20=同区巽東)。頭部を保護するヘッドギアとグローブを借りて着けていたが、競技は未経験だった。死因は頭部の内出血などとみられる。

 逮捕容疑は19日午後11時35分ごろ、同区巽南3丁目の公園で、左手で松本さんの顔面を殴り死亡させた疑い。約10分前に近所に住む女性から「けんかで一方的に男性が殴られているようだ」と110番通報があり、署員が駆け付けると、松本さんがあおむけに倒れていた。意識はなかった。約1時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。

 福元容疑者は左利き。顔に右ジャブを何回か当てた後、左ストレートが正面に入った。松本さんは鼻血を出して前かがみになったが、「痛いよ」と言葉を発して意識があったという。その後、福元容疑者があおむけに寝かせた。

 2人は5月に知り合った友人同士。トラブルのようなものはなかったという。太めだった松本さんのダイエット目的で、細身の福元容疑者が練習に誘ったとみられる。この日の練習は4回目で、容疑者の方から呼び出した。同日午後5時まで約2時間ほど一緒に飲酒しており、同署では死因との関係も調べている。

基本的に格闘技と言うものはそれが人体に対して有害だからこそ有効な技として体系づけられているのであって、まともに入ってしまえば大変なことになりかねない危険性を自ずから内包しているものであることは確かなんですが、ともかくも今回事故を起こしたケースはいずれも素人同然と言っていい方々であったと言う点にはご注意ください。
素人同士で危険なことをやると言うのはもちろんあってはならないことなのですが、きちんと指導者が同席している場所であってもこうした死亡事故が起こってしまったことは非常に問題で、指導者による監視体制がどうだったか確認が必要であることはもちろんですが、練習内容に関しても習熟度に対して適切なものであったのかどうかも問われそうです。
こうした格闘技に起因する深刻な事故と言えば近年の格技必修化とも関連して学校現場における柔道の事故率の高さが何かと注目されてきた経緯があり、全柔連なども指導体制に関して今までよりも厳しく踏み込んでの指導を行っているようですが、その全柔連自体の関係する不祥事頻発は置くとしても、結果的にほとんど経験もない体育教師が指導者となっている日本の現場の異常性も明らかになってきたようです。
こうした状況ですから格技必修化そのものに関しても賛否両論あり、当然ながら必修化する以上は指導者を調える義務もあり、また場合によっては経験の少ない者にも安全に行えるようルールの制限を設けるなども必要なんだろうと思いますが、最近こうした格闘技よりももっと危険なものが学校現場で野放しになっているのではないかと言う警鐘が話題になっているようです。

組み体操」事故で後遺症20件(2014年9月22日NHK)

各地で運動会や体育祭のシーズンを迎えていますが、多くの学校で行われている子どもたちが積み上がる「組み体操」による事故で後遺症が残ったケースが10年間で20件に上ることが名古屋大学の調査で明らかになりました。
専門家は「組み体操は最近、巨大化しているが、子どもの安全を最優先で対応を考えてほしい」と注意を呼びかけています。

この調査は名古屋大学教育学部の内田良准教授が日本スポーツ振興センターの資料を基にまとめたものです。
それによりますと、平成24年度の1年間に全国の小学校でけが人が出た組み体操の事故は6533件に上り、とび箱とバスケットボールに次いで3番目に多くなっていました。
さらに平成24年度までの10年間に組み体操で後遺症が残った事故を調べたところ、20件に上りました。
中には、ピラミッドのように積み上がった子どもたちが途中で崩れ、一番上にいた子どもの膝が一番下の子どもの腰に当たって、脊柱に障害が残った事故なども報告されています。
ことし5月には、熊本県内の中学校で生徒140人が参加して10段のピラミッドを作る練習をしていたところ、バランスが崩れて上の段の生徒が転落し、一番下の段にいた生徒が腰の骨を折る大けがをした事故も起きています。
内田准教授の試算では、10段のピラミッドを作ると、一番下の段の子どもには最大で4人分に近い体重がかかるということです。
内田准教授は「組み体操中の事故は頭や首、背骨などに関係するケースが多く、かなり重い障害が残っている。今は、組み体操が巨大化し、アクロバティックになっているが、リスクがかなり高まるので、子どもたちの安全を最優先で対応を考えてほしい」と話しています。

巨大化する組体操ピラミッド、最大200キロの負荷 大学准教授「これのどこが『教育』なのか」と指摘(2014年9月16日J-CASTニュース)

   「組体操はいま、見世物としての性格を強め、巨大化・高度化、さらには低年齢化が進んでいる」――。名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授が2014年9月16日、「Yahoo!個人」に寄稿した記事が波紋を広げている。
   内田氏は組体操の大型ピラミッドは、1人当たり最大200キロ近い負荷がかかっていることを独自に算出し、「これのどこが『教育』というのだろうか」と警鐘を鳴らしている。

高さ7メートルの10段ピラミッドも

   組体操は今も運動会の花形演目として全国の学校で行われている。内田氏は各地の小中学校で10段ピラミッドを事例に、組体操は巨大化・高度化が進んでいるという。
   100人以上の生徒が参加する大型ピラミッドは壮観で、地元紙に取り上げられたり、動画サイトで紹介されたりしている。中学生の日本記録は10段ピラミッドで、高さは7メートル近い。すぐそばに教員たちが補助として備えているが、大事故につながりかねないことは容易に想像ができる。
   内田氏の算出によると、「10段(計151人)の場合、土台の生徒のなかでもっとも負担が大きいのは、背面から2列目の中央部にいる生徒であり、3.9人分の負荷がかかる」という。その重量は中学2年生男子の平均体重であれば190キロ、3年生なら211キロにも達する。「そんな無謀なことが『教育』という名の下、中学校や高校で取り入れられているのである」として、「かりに負傷者がゼロで済んだとしても、許されるべきことではない」と厳しく批判する。
   内田氏はこれまでも組体操の危険性を指摘してきた。独自の統計によると、2012年度の小学校の体育的活動(授業だけではなく、行事を含む)の中で、組体操は跳箱運動、バスケットボールに続いて3番目に負傷事故件数が多い。1年生から6年生まで行うマット運動や鉄棒以上に事故が報告され、そもそも学習指導要領に記載がない組体操について、「そこまでのリスクを冒して、いったい何を目指しているのかということも考えなければならない」という。

各地でかなりの事故、訴訟が起きている

   実際にどのような事故が起きているのだろうか。2004年兵庫県の中学校では、練習中に10段ピラミッドが崩れ、下敷きになった生徒4人が軽傷を負い、2人が経過入院した。14年にも熊本県の中学で、10段ピラミッドの練習中、8段目まで組み上がった時にバランスが崩れ、最下段の中央にいた生徒が第一腰椎(ようつい)を骨折した。
   また、事故が訴訟に至ったケースもある。1990年、福岡県の県立高校で練習中のピラミッドが崩れ、最下段の中央にいた男子生徒がほかの生徒の下敷きになった。男子生徒は首の骨を折り、全身マヒの後遺症を負った。県は両親から損害賠償を訴えられ、福岡高裁から総額約1億1150万円の支払いを命じられた。
   そのほか、静岡県の中学では下敷きになった生徒が頚椎骨折し、両親が学校を相手に訴訟を起こした。ピラミッド以外の事故でも、福岡の県立高校の男子生徒が肩車された際に後頭部から落下して首の骨を折り障害を負ったケースなど、各地で学校側の安全対策をめぐる裁判が行われた。
   内田氏の議論には、「組体操は百害あって一利なし」「もはや教育ではありません。怪我人が出る前に禁止を」「悲劇的な事故(=死)が起きないと、気づけないのであろうか」と賛同する声が多い
   一方で、生徒にとって思い出や達成感を得る機会になるというメリットを指摘する意見もある。
   こうした反論に対して、内田氏は「『何でもかんでも危険というのか』あるいは『組体操は一体感が得られる』といった言葉で、組体操の現実を一蹴しないでほしい。賛否を争うのではなく、具体的にいま何が起きているのか、しっかりと見つめることでようやく、組体操の『組み立て』が始まるのである」という。

組体操と言われるものは実はかなり日本独自のものなのだそうで、ご存知のように各種イベントなどで数人で組んで演技を行うと言ったことはもちろん全世界的に行われているし、いわゆるマスゲームなども広まっていますけれども、少なくとも学校教育の現場で未成年の生徒児童に巨大ピラミッドを形作らせると言うスタイルのものに関してはほぼ日本独自のものと言っていいようです。
こうした巨大ピラミッドの類が失敗した、崩れたと言った現場を目撃した方々もそれなりにはいらっしゃると思いますが、当然ながらこれだけの人数が寄せ集まっていたものが一気に崩れればどれほどのダメージになるかは明石の花火大会における死亡事故の惨状を思い出していただいても判ろうと言うもので、実際に各地で事故や訴訟沙汰になっているケースも少なくないと言うことです。
事故が年6千件と言えばかなり多いと思われますが、注意したいのは運動会など学校行事の一環として行われる組体操の場合は当然ながら部活動等と違ってトレーニングされていない一般生徒児童も参加しているわけですから、ある程度の体格的な配慮を行ったとしても生徒児童間の体力差、耐久力差から思いがけぬ崩壊が発生するリスクが高そうだと言うことでしょう。
特にこうした行事では全員参加と言うことがある種目的化しているところがあって、中には能力的、性格的にそれが行えない場合でも居残り練習をしてでも成功させるのが美徳であるように語られてきた経緯もありますが、当然ながらこうした行為もまた当事者にとっては心身に多大なプレッシャーを与えるだろうし、また過度のプレッシャーは往々にして成功率を押し下げると言うこともよく知られるところですよね。

しかし運動会のかけっこで勝ち負けがつかないよう全員で手をつないで同時にゴールさせるほどの配慮を行っているとも聞く現代の教育現場において、行進だの組体操だのと言ったものがよくお目こぼしをいただけたものだなと感じてはいたのですけれども、さすがに各地で組体操はやめようと言う動きも出てきていると言い、行うにしても教師が補助についたりと言った安全面での配慮はなされてはいるようです。
もちろん組体操と言っても常識的な負荷に留まる範囲のことであれば一般的には無理な行為とまでは言えないだろうし、記事にもあるように肩車で事故を起こすと言うのは計画に無理があったと言うより指導のやり方に問題があったのでは?とも感じられるところで、このあたりは負荷200kgとは同列に扱うべきものではないし、直ちに何でもが組体操有害無益論の論拠となるものでもないのかなと言う気はします。
ただ個人の能力の限界を極めるあらゆる競技において一歩間違えば深刻な事故が発生する可能性はありますが、格闘技など相手のある場合においては初心者同士が組んで練習を行うことが一番危険で事故も起こりやすいもので、初心者はきちんと教育の要点を把握しているベテランが相手をするか、あるいは非熟練者同士で行うにあたっては必ず指導者やベテランが直接間近で監視し適宜注意指導を行うことが必要だと思いますね。
その意味では何十人や何百人と言う単位で一斉に演技を行う組体操などはせいぜいわずか数人の教師で監視するにも目が行き届くはずがない上に、そもそも参加者全員が初めて行う行為であると言う点で素人同然であるわけですから、事故に対して非常に脆弱で危なっかしいことをやっているのだと言う自覚は持っていなければならないし、やるならやるで今後は敢えてそれを行うべき理由付けも必要になってくるかも知れません。

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コメント

さすがに素人が10段はやりすぎw

投稿: aaa | 2014年9月25日 (木) 09時10分

一番高いピラミッドは教職員チームがやるってルールにすればいい

投稿: | 2014年9月25日 (木) 10時09分

 すでに体育教師やスポーツ指導者の社会的評価がエンタメ(ショービズ)志向でゆがんでる。そこに彼らは良く適応しているということです。

「余りに」アクロバティックだから問題と主様はおっしゃるが、蔓延していますでしょう。 無月経も当然な体型でないと勝てない女子体操、女子陸上とか、肩やひざを壊しても成績にこだわるスポーツ少年団とか。その頂点に高校野球、プロスポーツ、オリンピックがあるわけで、それをもてはやしている国民性が根本原因。
 博打のような人生をやりたい奴はクラブで自己責任でやればよいが、一般生徒児童も参加している運動会でやられてしまうのは、、、、

 許してしまうのは 親力の低下ですね。

 突っ張る親はモンペととらえられかねない御時勢でしたが、人柱が立っていることがあからさまになるとまた逆に大きく振れるかも。尻馬乗りが幅を利かす節度のない国です。

投稿: 感情的医者 | 2014年9月25日 (木) 10時25分

万年ピラミッド最下段だった身としてはいろいろと思うところはあるのですが(苦笑)、とりあえずリスクもあり負担も大きい高層建築に関しては志願制を原則にしてもいいのでは?と言う気もしています。
やる気も根性もないのに単に身体が大きい等の理由で強いられる者が増えるほど危険だと言うこともありますが、やはり今の時代多少なりとも親対策での言い訳と言うものは用意されていてしかるべきでしょう。
単なるトラブル化ではなく訴訟となってしまった場合には未成年者による自己志願と言うのはあまり大した言い訳にはならないでしょうが、その部分はきちんと保険なりで対応すべきところでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月25日 (木) 10時40分

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