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2014年9月18日 (木)

「職業選択の自由~あはは~ん♪」

とまあ古い話はともかくとして、ソースが今をときめく朝日新聞なのがいささかアレなのですが、先日こういう記事が出ていたのを御覧になったでしょうか?

スポーツ推薦で挫折、算数からやり直し キャリアも分断(2014年9月6日朝日新聞)

 「練習がある」と言って家を出たものの、中学時代の友人と遊ぶ日々。東京都の私立高校に野球のスポーツ推薦で入学した昨年、ユウヤ(仮名)は悩んでいた。
 小学1年で始めた野球。甲子園を目指す高校の厳しい練習は覚悟していた。公立中時代も、ぬるい練習をしていたわけではない。だが、野球に関係ない理不尽さは受け入れがたかった
 5月に足を負傷し、練習では道具運びなどのサポート役をしていた。ある日、先輩から部室に呼び出された。上級生に囲まれ、「おまえ、ちゃんとやってねえんだよ」と、けがした足を竹刀で殴られた。理由のわからない「拷問」は、その後も続いた。
 部をやめよう。先輩たちと会わないように退学しよう。自分の中での踏ん切りは早々についた。でも、親には言えなかった。「自分を応援し、期待してくれている。私学に行く経済面も準備してくれた。これ以上は迷惑をかけられない」。ユニホームが汚れていないのは、けがで説明できたが、うそをついて外出しても楽しくなかった。悩みを友人が心底から分かってくれたのが支えだった。

 ある日、親同士のつながりから、ユウヤの練習不参加は親の知るところになった。実情を余すところなく話した。親は戸惑った様子だったが、時間をかけて話し込むと、「おまえの人生だ。自分たちはそれを支える」と言ってくれた。1学期で退学した。
 2学期に都立高編入を目指したが、壁になったのが学力。英語は中学1年で学ぶbe動詞が使えなかった。小学校の算数で習う分数の計算も怪しかった。スポーツ推薦の進学を前提とし、勉強してこなかったつけが回ってきた。
 高校中退の相談や、転校・編入の支援を東京都内で続けるNPO高卒支援会に相談した。そこで基礎から勉強を教えてもらい、学力を上げて今年4月、都立高に再入学し、1年生からやり直している。
 支援を始めて30年目になる同会の杉浦孝宣代表は「スポーツ推薦で入った子は、指導者の暴力や先輩のいじめを受けても、自分の希望で入ったので親にSOSをなかなか出せない傾向がある」と語る。昨年度は面談を行った相談のうち、7%がスポーツ推薦で高校に進んだケースだった。

何事にもリスクとリターンがあるのは世の常とは言え、幼小児から特定のスポーツに特化した生活を送っているといざ何かあった時に高いリスクを否応なく背負うことになるもので、近年では高校野球で活躍した選手がそれが元で身体を壊してしまい、結局その後の人生を一からやり直さざるを得なくなった事例がたびたび取り上げられては高校野球改革といった話も議論されていますよね。
それでも野球などはハイリターンが見込めるだけにまだマシな方だと言う声もあって、マイナースポーツであれば仮にその競技で成功し名を為してもそれだけで食っていけないと言う場合もままあるようで、アマチュアスポーツでありながら柔道などが未だお家芸として続いているのも引退後にきちんと食べていけるルートが確保されているからだと聞きます。
親にしろ当の子供達にしろあれやこれやと将来に希望も不安もある幼小児の一時期から、この道で一生食べていくと決め打ちしてたった一つの領域に全ての情熱を傾けると言うのも大変だろうなと思うところですし、その意味で全ての子供が学力と言うある程度努力に応じて結果も期待出来る尺度で評価される学歴社会と言うものも、キャリア形成と言う上では比較的自由度が高い方だと言えるのかも知れません。
とは言えどうせならこの道に進めば食っていくのに不足はないと言う堅い進路を選んで欲しいと考えるのも親心なら、今の時代変に冒険せず身の丈相応の仕事につきたいと言う若者も増えているとも言いますが、とりあえず食っていけると言う点では鉄板とも思われている医療系資格職の中でも筆頭に位置する医師という職業について、こんな調査結果があります。

医師の3割「我が子も医者になってほしい」、大変だが「他の職業より良いかも」(2014年9月7日財務新聞)

 医師の子供は医師になりやすい、と言われるが、実際の医師たちは、子供の将来にどれくらい期待しているのか。医師専門サイトを運営する株式会社メドピアが、自社サイトに登録する医師約4000名にアンケートを取ったところ、「どちらかというと医師になって欲しい」(23.4%)「強く医師になって欲しい」(5.7%)と、合わせて29.1%が「子供に医師を目指して欲しい」と考えていることが分かった。最多は「どちらでもよい(本人次第)」で63.6%。「進路の強要はしたくない」という意見が多いが、医師ならではの良さを強調する声も目立つ

 調査は今年7月、メドピアが運営する医師専用サイト内の調査フォームで実施。3894件の回答があった。6割を占めた「どちらでもよい」の中には、「ちゃんと飯が食えるようになってさえくれれば、仕事は、やりたいことをやったらよいと思います(40代)」など、子供の意思に任せたいとの声が多い。ただ、「女の子ならなっておいて損はないかなと思います。企業で同じ所得を稼ごうと思うと女の子は大変かもしれません(50代)」など、資格の安定性をメリットに挙げる人もいた。

 「医師になって欲しい」と答えた3割の中には、「自分の働きぶりをみて『医師になりたい』と言ってくれたら嬉しい」、「自分自身が父親をみて医師になりたいと思い、日々医師になって良かったと感じているから(ともに40代)」と、家庭環境の中で、自然に将来を意識して欲しいと望む声が多いようだ。「なんだかんだで、まだ職業としては良い点があると思うので、就職活動で苦しむよりいいのでは?(40代)」という意見もあった。

 もちろん、「家業を継いでもらわなければ(50代)」などの事情もあるが、「無理やり医師を継がせようとして崩壊した家族を何件も見る。子供の意志に任せる(60代)」という人もいる。進路を押しつけるのは好まない医師が多いようだ。「子供の人生はあくまで子供が決めること。医者は安定した職だとは思うが、一方でやはり大変(30代)」。どんな職業にも一長一短はある。親としては、医療業界を含め、できるだけ多くの選択肢を用意してあげたいということだろう。(編集担当:北条かや)

この種の調査と言えば「医師の多くは子供には同じ仕事をしてもらいたくないと思っている」的な内容のものがしばしば話題になっているのは周知の通りで、もちろん「それだけ医師という仕事が過酷で魅力のないものになっている」と言った文脈で引用されることが多いからでもありますけれども、さてこの3割と言う数字が多いのか少ないのかです。
内閣府の国民に対して行った意識調査によれば子供に親と同じ職業について欲しいと考える親は実はわずか5%ほどしかおらず95%はそうは思わないと答えている、そして自分も将来親と同じ仕事をしているだろうと考える子供も1割強しかいないと言うことですから、それから比べるとこの医師における子供への後継願望はずいぶん高いと言えるかも知れません。
面白いのは親が○○の仕事をしていると言う場合に、その子供に「将来あなたも○○の仕事をするの?」と言ったことを問う人は一般的にそう多いものではないと思うのですが、何故か医師という職業に関しては昔からこうした問いかけが始終周囲から為される傾向にあるらしく、またその繰り返しの中で子供の方も次第に医師を目指すという決意を固めていく子が多いらしいと言う点です。
この医師という仕事は親の望む子供に就いて欲しい仕事ランキングではトップ争いに食い込むほど人気なのだそうで、話の接ぎ穂にこういうことを聞く近所のおじさん叔母さんにしてもまああまり世間的に人気のない仕事を継ぐかどうかと訊ねるよりは、こういう人気の仕事を継ぐかどうかと訊ねる方が単純に訊ねやすいと言うことはあるのかも知れませんね。

ただ最近ではこういう話も昔ほどにはされなくなってきたようで、一つには個人情報保護法などと言うものが出来る時代にあってあまり個人の立ち入ったことを聞くのはよろしくないと言う遠慮もあるのでしょうし、また昔のように医師と言えば昔から家業的にやっている開業医と言う図式が壊れ、むしろ勉強が出来るからと勤務医になったはいいが過酷な労働環境に悲鳴を上げている人も多いと知られてきた事情もあるかも知れません。
これまた面白いと思うのはこういう「親の職業を子が継ぐ」と言う行為は世襲と言われますけれども、政治家の世界などではマスコミによって盛んに二世批判、世襲批判が繰り返され基本的に悪いことであるように言われている、一方で日本の国全体を見ると先祖代々の家業と言えばむしろ称讚される傾向が強くて、実際に古くから家業として続いている企業が多いのが社会的特徴ともされているわけです。
医者などは基本的に親が医者であろうがなかろうが子はまた一から努力して医者にならなければならない(ことになっている)、一方で政治家の場合は地盤をそのまま引き継いで後継者になる方が圧倒的に有利なんだから当然じゃないかと言われるかも知れませんが、それを言うなら「うちは創業ウン百年で」なんて老舗の世継ぎは生まれた時から将来の社長の座は安泰でずるいと言う話ですよね。
結局のところは世間の共通感覚としてこの仕事の世襲はずるい、この仕事の世襲はすばらしいと言った基準がある程度あると言うことなのでしょうが、世襲願望が強い上に有形無形の親の資産を継承して有利にやっている人も少なくないのにそれに対する批判があまりない医者という職業も、ありがたいことに世間の見る目的にはまだそれなりに恵まれた仕事だと言えるのかも知れません。

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コメント

憲法第22条の歌ってすごい名前だったんですねあれ。
でも職業選択の自由が進んでよかったんだかわるかったんだか。

投稿: ぽん太 | 2014年9月18日 (木) 08時37分

>スポーツ推薦の進学を前提とし、勉強してこなかった

小学校・中学校卒業レベルにない子が高校に入学できることが
根本的に問題なんじゃない?
スポーツ推薦であろうと分数すら怪しいなんて、そこまで程度が低いと
ごくごく単純なスポーツ以外、将来性も無いと思うけどなぁ

投稿: hisa | 2014年9月18日 (木) 10時32分

いわゆる一芸入試に見られるように、何かしらのストロングポイントがあればそれでいいと言う考え方もありますから、その上で義務教育である小中学生レベルの知識教養を万人の絶対的必要条件とすべきかどうかでしょうね。
ただ読み書きそろばん的能力よりも、ネット利用法や詐欺への対処法と言ったものの方が今や社会生活上必要なスキルかなとも思うのですが、初等教育のカリキュラムに組み込めればいいのですけれどもね。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月18日 (木) 11時01分

少し前、私立大学で学生の分数が怪しいというのが問題になってたことを思えば、
スポーツ推薦どうのじゃなく、珍しくもないんじゃないの?

投稿: | 2014年9月18日 (木) 13時02分

子供時代から全てを投げうって一つのスポーツにのめり込むのもいいのかどうかですな
ピッチャーなど高校までに使い減りしていない方がプロで長持ちしてお得だとも言うそうですが
こういうのは実績重視の選抜のしかたが変わらんことにはどうにもならんのでしょうか

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年9月18日 (木) 15時38分

大学入試改革、見えぬ着地点 「一定の学力必要」「人物重視」 根強い反対論
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140917/edc14091714300005-n1.htm
 私案では、高校生の基礎学力を測る「達成度テスト・基礎レベル(仮称)」
について、入試にも活用できるよう難易度を幅広く設定することを提案した。

 センター試験に代わる「達成度テスト・発展レベル」は、知識の活用力を測
るため、教科の枠にとらわれない「合科目型」「総合型」を出題する。「両テ
ストを一体的に運用すれば受験生の学力保証は担保できる」として、各大学は
教科型試験を廃止して面接や討論など「人物重視」に転換するよう求めた。

 安西部会長は「これからの時代に必要なのは、主体的に考える力や他者と協
働する力。大学入試は多面的な評価に変えなければいけない」と説明する。

主体的に考えられるんだったらテストでもそこそこ点取れるんじゃないの?
デタラメな答えばっかり書いてたら独創性があるって高く評価されんのか?

投稿: たもやん | 2014年9月19日 (金) 09時02分

「医師はいいぞぉパパみたいに好き放題生きられるゾw」と子供には常々言ってますが長女は文系コースを選択した模様w

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年9月19日 (金) 12時09分

そこで「パパみたいにはなりたくないから」って言われなかっただけよかったですよ
知り合いのお医者さんはそれに近いこと言われて泣いたらしいです

投稿: てんてん | 2014年9月19日 (金) 13時16分

言外の真意を正しく解釈したんじゃないのっ

投稿: | 2014年9月19日 (金) 17時53分

>「パパみたいにはなりたくないから」

そらあ家庭を顧みず奴隷医やってりゃそうなるわなwとか、想像でモノを言ってみるてすつ。
ちなみに私は子供のイベントはほぼ皆勤ですが、似たようなこと言われましたっw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年9月20日 (土) 09時56分

子供が純真だって誰が決めたんだろ
奴ら平気でクリティカルに傷口えぐってくるんだけど

投稿: amon | 2014年9月20日 (土) 10時22分

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