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2014年9月 4日 (木)

今や大活躍の迷惑防止条例の意外な効能

最近では全く珍しくないことですので「またか」ですけれども、最近報道されたこういうニュースをご覧になりましたでしょうか。

iPadで隠し撮り、容疑の53歳医師逮捕 「女性、きれいだったので」(2014年8月15日産経ニュース)

 札幌・西署は15日、電車内で女性を隠し撮りしたとして、北海道迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで、札幌市西区発寒6条、独立行政法人国立病院機構の北海道がんセンター乳腺外科医長、渡辺健一容疑者(53)を現行犯逮捕した。

 渡辺容疑者は「きれいだったので撮った」と容疑を認めているという。

 逮捕容疑は、15日午前7時半ごろ、札幌市営地下鉄東西線宮の沢-琴似間の車内でタブレット端末「iPad(アイパッド)」を使い、前に座った女性会社員(28)の姿を動画で撮影した疑い。

 西署によると、近くにいた乗客の男性が不審な行動に気づき、琴似駅員に引き渡した。

いい歳をして何をやっているんだと言うものですが、わざわざ撮影しようと言う気になるくらいですからさぞやきれいな人だったのだろうとちょっとした話題になったものですけれども、ともかくも近頃この種の報道は連日のようにありふれたものになっていて、また同じような不逞の輩が出たかと言う程度のものですよね。
まあ実際には何やらお向かいに座った美女の見えてはいけないものが見えてしまっていた、などと言うこともあったりなかったりしたのかも知れずで、こうした場合公共の場で見せる方もどうなんだ、ワイセツでケシカランじゃないか!と逆切れしているおじさんもいらっしゃるそうなんですが、ともかくもこの種の撮影行為を取り締まる迷惑防止条例と言うものが今や全国自治体で整備されていると言う状況には留意ください。
ただこうした行為で逮捕されると言う話がいつの間にか当たり前になっている一方で、何やら冷静になって考えて見るとあれれ?それでいいの?と言う疑問も湧く人もいたと言うことなのでしょう、先日こんな記事が出てちょっとした議論を呼んでいました。

「着衣の全身撮影」で逮捕 不用意に女性を撮影してはいけない(2014年8月31日日刊ゲンダイ)

 下着を盗撮したわけでもないのに逮捕─―。こんな事件が川崎市で起きた。神奈川県警に捕まったのは同市環境局に勤める40歳の男。28日の夕方、東急田園都市線の車内で隣に座った女子大生(21)を撮ったのだ。
「男はUSBメモリーの形をしたカメラで動画を撮影。気づいた女子大生が警察を呼び、県迷惑行為防止条例違反で逮捕されました。撮った映像は女性の顔から足までの全身で、パンティーやブラジャーは写っていなかった。警察によるとスマホやカメラで撮っても捕まるそうです」(捜査事情通)
 過去にも類似の事件が起きている。08年には通行中の女性の後ろ姿を撮った自衛官の有罪が最高裁で確定。11年には千葉県で電車内の女性の寝顔を撮った男が逮捕。いずれも迷惑行為防止条例違反。ちなみに神奈川県の同条例違反の罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金だ。

■シャッターを切らなくてもアウト

不用意に他人を撮影すると誰もが捕まりかねません」とは弁護士の山口宏氏。
「迷惑行為防止条例は女性の下着や身体を写して恥ずかしい思いをさせたり不安を抱かせた場合に適用されます。『身体』とは洋服を着た状態も指すので街で通行人の女性を撮り、警察を呼ばれたらアウト。カメラやスマホを向けただけ、シャッターを切らなくても捕まります
 秋祭りなどで法被を着ている女性や公園でしゃべっている主婦、駅のベンチで居眠りをしている女性などを無断で撮るのも危険。すべての年齢の女性にあてはまるので、老婆を撮って「恥ずかしい思いをさせられた」と抗議されたら、警察沙汰になりかねない。
見知らぬ女性を撮ってしまい騒がれたら、速やかに立ち去り、時間的、場所的に間隔を取ること。現行犯逮捕が原則だから警察もしつこく追ってこないものです。『すぐに逃げる』を心がけてください」(山口宏氏)
 生きにくい世の中だ。

しかし「騒がれたらさっさと立ち去れ」なんてアドバイスもどうなんだと思うのですけれども、この辺りは電車内での痴漢問題などでもたびたび議論になっているように、少なくとも身に覚えのない方にとっては厄介事に巻き込まれるリスクはかなり高いものと見ておくべきなのでしょうか。
勝手に撮影されるのは嫌だと言う人がまあ社会の多数派ではあると思う一方で、誰であれ恥ずかしいと思うと言う非常に主観的な判断基準で逮捕の理由になると言うのもどうなのかと言う気もしますが、ちなみに問題となっている神奈川県の例で見ますと、もともと昭和38年に施行され本年改正された同県迷惑防止条例の第三条にはこんな記載がされています。

(卑わい行為の禁止)
第3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない
(略)
(2) 人の下着若しくは身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)を見、又は人の下着等を見、若しくはその映像を記録する目的で写真機その他これに類する機器(以下「写真機等」という。)を設置し、若しくは人に向けること。
(略)

ちなみに大阪府の条例では「人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所又は公共の乗物における衣服等で覆われている人の身体又は下着を見、又は撮影すること」とされていて、こちらの方がストレートで判りやすいかなとも思うのですが、確かに一般的に言って見てはならない部分でなくとも相手の感じ方次第によって違反になると言うことですよね。
写真や動画を撮影しなくてもその構えを見せる、あるいはカメラを向けるだけでも条例違反だと言うことなんですが、恐らくは逮捕されそうになった際に記録メディアを破棄したりと証拠隠滅を図る先人たちが多かった結果もあってこうした改正がなされたのではないかと言う気もします。
法律は門外漢なので何とも言いがたいのですが、神奈川の条文を文字通りに解釈する限りではごく普通の公共の場所において他人を撮影する目的ではなく風景その他を撮影する目的でカメラを向け、たまたまそこに誰かしら他人が映りこんでしまったと言った場合には処罰の対象外になるようにも思うのですが、この辺りは実際には前後に撮影されている写真などを見て総合的に判断するしかないと言うことなのでしょうか。

しかしともかくも注意しておくべきなのは本人の意図しないところで勝手に撮影されるのは困ると言われればまあ了解出来るところかも知れませんが、撮影をしなくても見るだけでも条例違反に問われると言うのは考えて見ればかなり物騒な話で、世の中他人の姿を何気なく目線で追ったことのない人はまずいないでしょうし、仮にその時相手が羞恥を感じさえすれば逮捕理由になってしまうわけです。
実際この辺りが世間的にも大いに関心が集まる領域ではあるようで、「本人が公共の場所に出てくるにあたってそれでいいと判断した格好でいるのを見て何が悪い?」などと言われれば確かにそうかなとも思うし、下手をすると面と向かって口論になった際に激高した相手から「この人がイヤラシイ目で見た!」と訴えられれば逮捕される理由にもなり得るのでしょうか(ちなみに条例では相手の年齢容姿はおろか、性別も問われるところではありません)。
もちろん実際にはこんなことで仮におまわりさんが呼ばれたところでせいぜいちょっと一言あるくらいで終わりなのでしょうが、これまた会社の服務規程なども場合によっては逮捕や起訴に至らずとも警察沙汰になったと言うだけで信用を損なう行為だと処分されるよう規定されている場合もあるのかも知れずで、こうして見ると身近な法律条例などもちょっと使い方を工夫すれば色々と予想外の応用が利く部分も多いのかも知れませんね。
とりあえず意図してやってしまった結果逮捕された方々は仕方ないとして、そうでないのに冤罪に巻き込まれることがないよう注意しなければならないですが、少なくとも相手が嫌がっているのに無遠慮にじろじろ眺めるような露骨な行為は一般的な社会通念からしても迷惑な行為ではあると思います。

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コメント

ところでこういうのどう思います?

公園の禁止事項増加 「談笑」「ダンス」「漫才の練習」など
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140901-00000000-pseven-soci

投稿: yuu | 2014年9月 4日 (木) 09時09分

ほとんどのケースじゃ公園が先にあったんでしょう。
うるさいなんてただのクレーマーですよね。
一番どうしようもないのは、少数のクレーマーの言いなりになる役所。

投稿: hisa | 2014年9月 4日 (木) 09時54分

当市の市民球場にも近隣住民から応援がうるさいから高校野球を禁止しろとクレームがあるそうです。
何十年も昔から建ってる古い球場で何十年も変わらず野球やってるだけなんですけど。

投稿: ぽん太 | 2014年9月 4日 (木) 10時31分

自治体側とすれば声の大きい方々からクレームをつけられた場合、その通りに対処しておいた方が手間暇もかからず面倒も少ないと言う判断はあるかと思います。
これに対してその他大多数の声なき市民としてはさらに大きな声を上げて主張を押し通すか、あるいは地域内で自ら管理を行うと言う方向で自治体と交渉すると言った手があるでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月 4日 (木) 12時00分

発光ダイオード(LED)を使った照明の明るさをわずかに変化させてスマートフォンのカメラ機能を使えなくする
システムを立命館大のチームが開発し、3日発表した。駅や書店などの照明に応用し、盗撮防止に役立てたいという。

光を利用し、一定の空間で盗撮を防ぐ技術は世界初としている。

熊木武志講師(電子情報工学)のチームは、光の強弱を自動制御する回路を搭載したLED照明と、
この光のパターンを認識してカメラ機能を止めるスマホのアプリを作製した。

3日のデモンストレーションでは、LED照明の光を受けた状態でスマホのカメラを起動したが、数秒でカメラが使えなくなった。

http://www.47news.jp/smp/CN/201409/CN2014090301001896.html

投稿: | 2014年9月 4日 (木) 22時37分

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