« 今日のぐり:「おんまく寿司 青江店」 | トップページ | 御嶽山噴火に伴い炎上してしまった人 »

2014年9月29日 (月)

少子化対策が叫ばれる時代に

本日の本題に入る前に、先日の内閣改造で初入閣した有村治子氏がこんなことを語ったと報じられていましたが、御覧になりましたでしょうか。

有村女性活躍相「高齢出産、情報提供など強化」(2014年9月12日日本経済新聞)

 有村治子女性活躍相は12日、日本経済新聞などのインタビューで、働く女性の高齢出産の増加に対応し、情報提供などを強化する方針を明らかにした。女性の活躍を後押しする政策の企画立案に向け政府の組織体制を拡充する考えも示した。

 有村氏は「妊娠、出産、子育ての段階での有益な情報発信が十分になされてこなかった。てこ入れしたい」と述べた。厚生労働省の人口動態統計によると、2013年に40歳以上の出産は4万7662人。前年より5000人近く増えた

 出産後の母体の健康回復には時間がかかることを踏まえ、医療情報などの発信を強化する。有村氏は自身の出産経験を踏まえ、「リスクをわかった上で生涯設計することが本人たちの幸せにつながる」と語った。

 有村氏は「すべての政策に横串をさしてやっていく。新たな組織体制を考えている」と表明した。内閣府の男女共同参画局の拡充などを念頭に組織体制の拡充を検討する。
(略)

先日は「50歳以上の出産であっても国内での出生証明書さえあれば法務局の審査が不要になる」と言うニュースが出ていて何の事やら?と感じた人も多いかと思いますが、従来は50歳以上の出産を届けるとなると本当に出産したかどうか疑わしいと言うことで審査が必要だったのが不要になったと言う制度改正は、医学の進歩と共にそれだけ高齢出産が増えてきたと言うことの裏返しでもあると思いますね。
今回の内閣改造では女性の活用と言うこともポイントに挙げられているのだそうで、社会的にも今後女性の積極的なキャリアアップを支援する方策を各種講じていくのだと言いますが、やはりその点において妊娠、出産という女性に特有の生理に関しても思いを致さないわけにはいきませんが、短くても数ヶ月単位、下手をすれば数年単位で職場を離れざるを得ないと言うのは単純に男に対するハンデだとは言えそうです。
ともかくも今やご存知のように年々初産年齢が上昇し2011年には平均初産年齢が30歳を超え、さらには生涯未婚率が男性の2割、女性の1割に達すると言う時代ですから人口再生産と言う観点からもどうなのかですが、結婚もし妊娠・出産もする意志はあってもキャリア形成上のタイミングから今直ちには難しいと言う女性もまた相当に多いのだと思いますね。

実際に昨今では著名人を中心に仕事が一段落ついたところでの高齢出産の話題が相次いでいて、まるで年齢がいっても変わらず妊娠・出産が出来るかのように感じている方も少なくないとも言い、また一方では高齢出産危険論の蔓延に他人の人生に対してリスクばかり強調するのもどうなのだと言う反発の声もありで、ともかくも知った上で各人が各人なりの価値観に従って判断するしかないこれは問題ではあるのでしょう。
ただやはり高齢出産は生物学的なリスクはあり、妊娠中毒症や流早産、さらには各種先天的異常の発症率が劇的に高まることは医学的事実ではあり、また高齢出産を目指すとしても多くの場合で自然妊娠が成立せず各種生殖医療の助力を必要とすると言う点では、それに要する費用や手間などを考えるだけでも「今はまだ無理」と意図的に出産を送らせることに見合うかどうか微妙ではあるかも知れません。
特に若い時期には何かと視野も狭くなりがちなもので、本来幾らでも選択枝があるはずなのに華麗にスルーしてしまうと言うもったいないことがままありがちだと思いますが、社会的にはなるべく若い人達の選択枝を幅広く確保出来るような支援策が必要なのだろうし、各種の意識調査結果を見る限りでも真っ先に手を付けるべきなのは経済的安定だと言うことは言えそうで、この辺りに行政の出番は少なからずありそうですよね。

いささか余計な前置きが長くなりましたけれども、本日の本題として先日出ていましたこちらの記事をまずは引用させていただきましょう。

<赤ちゃんポスト>7年間に受け入れ101人 11人に障害(2014年9月26日毎日新聞)

 熊本市の慈恵病院が運営する「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」の運用を検証する市の専門部会(部会長=山縣文治・関西大学教授)は26日、2007年5月の運用開始から約7年間に受け入れた101人のうち約1割にあたる11人に何らかの障害があることを明らかにした。専門部会が幸山政史市長に提出した検証報告書は、障害が預け入れの理由かは不明としながらも「新たな課題となる懸念がある」としている。

 報告書によると、ゆりかごが受け入れた人数は、運用開始から最初の2年半(第1期)が51人で、次の2年(第2期)は30人、今回(第3期)は20人と徐々に減少している。このうち障害のある子供は▽第1期5人▽第2期3人▽第3期3人--だった。
 また、101人のうち身元が分からない子供は26人。特に第3期は受け入れた20人のうち4割(8人)の身元が分からず、改めて匿名での預け入れを「容認できない」と指摘した。慈恵病院に対しては「預け入れに来た者と積極的に接触しない病院側の姿勢も増加に影響している」として、子供の出自を知る権利を守るために努力を払うよう求めた
 一方、低体温などで医療措置を必要とした子供が第3期は9人に上り、第1期(4人)や第2期(2人)に比べて増えていた。車中を含む自宅出産を経て預けられた子供も第2期から増加し、ゆりかごの扉の外側に子供を置く事例も1件あった。

 幸山市長は「報告書の内容は重く受け止めなければならない。身元の確認について病院には最大限の努力をしてほしい」と述べた。
 報告書提出を受けて記者会見した慈恵病院の蓮田太二理事長は「預けた人への接触には限界がある。(身元を確認される)恐怖感から、親が病院の近くに子供を捨てることになってもいいのか。そこまで踏み込んで考えてほしい」と反論した。【井川加菜美、松田栄二郎】

 ◇匿名か実名か…熊本市と病院、平行線のまま

 「子供の命」と「出自を知る権利」のどちらを優先するべきか--。「こうのとりのゆりかご」を巡る専門部会は検証報告書で匿名での利用を容認しない姿勢を改めて強調し、慈恵病院に出自に関する情報確保の努力を求めた。逆に慈恵病院は「預け入れ数低迷の背景には匿名性が保たれない恐れがあるのでは」と指摘するなど、利用者と積極的に接触しない姿勢を崩さない。報告書に強制力はなく、両者の主張は平行線で着地点は見えない。
 一方、ゆりかごを設置する慈恵病院に設置された相談窓口への妊娠・出産に関する相談件数は急増しており、今年4~6月は3カ月間の件数で運用開始から最多となる712件に上った。県外からの相談が大半で、自治体での相談受け付けなど公的支援が機能しておらず、慈恵病院の負担は増すばかりだ。
 ゆりかご設置の参考にされたドイツでは今年、出産前に相談機関に実名を明かし、仮名のまま医療機関で出産する「内密出産法」が施行された。匿名性を維持しながら出自を知る権利も担保しようと、行政が真剣に取り組む姿勢がうかがえる。日本でも行政が主導し、足踏みが続くゆりかごを巡る状況を打開すべきではないか。【井川加菜美】

ちなみに望まずに産まれた子供も不幸なのですが、これだけ少子化だ、人口減少だと騒がしく言われる一方で日本では今もかなりの人口妊娠中絶が行われていて、この点で日本は(伝統的な方法論ではない)適切なやり方に基づく避妊法実施率がやや低く、なおかつそのほとんどがコンドームと言う産まない性である男性側の実施意欲に依存していると言う点でいささか独特な環境ではあるかと思います。
こうした事情が望まない出産を増加させ中絶件数を増やしていることにつながっているのではないかと言う考え方は当然にあって、特に女性の人生設計における自主性を重んじる方々にとっては歯がゆいところなんだと思いますけれども、それでも昭和の時代に比べれば低用量ピルの承認など取り得る手段は確実に増えているわけですから、産んで拒否するくらいなら是非積極的に主体性と計画性を発揮していただきたいと思いますね。
それはさておき、正直匿名か実名かと言う議論についてはこうした場合親の正体が知れたところでどれほど子供にメリットがあるのかと言う気もしないでもないのですが、ただ知って望ましい結果にはならずとも知らずにいるよりはいいと言う人もいるでしょうから、この辺りは運用上の改善点として検討すべきは検討していけばよい話だと思うのですが、やはり目につくのが「約1割にあたる11人に何らかの障害」と言う点ですよね。

ポスト利用者の実態が見えない限り何とも言い難いのですが、仮に障害があるから(言葉は悪いですが)捨てられたのだとすればやはりいい気分はしないですし、匿名で置いていくケースで特に障害児が多いと言うことにでもなれば改めて身元確認の必要性が議論されることにもなりかねませんが、一方で身元不明が問題なら出産から一貫して子供のその後をフォローアップできないものか?と言う気もします。
昨今では時に死にも至るほどの小児の虐待事例が社会問題化していて、こうしたケースでは子供が順調に生育しているか、学校には通わせてもらっているかと言った折々のチェックが為されていれば防げたかも知れないものも少なからずあるようなんですが、誰にも知られず密かに産んだと言う場合はともかく正規の分娩施設で産んだのであればここを起点に何らかのチェックは可能でありそうに思います。
この辺りは従来は保護者が主体的に様々な手続きを行っていくと言う性善説的運用で、もちろん大多数はそれで何の問題もないだけに手間やコストを考えても当然そうなるのですが、マイナンバー制度の導入など国民の個体管理が今まで以上に一元的に可能な時代になってくればくるほど、少数であってもトラブルの原因になるのなら子供の育成状況への公的チェック体制くらい用意しろよと言う声も出てくるかも知れませんね。

本質的には特に障害児が忌避されているらしいと言う話も含めてこれも経済的問題であると言う考え方もあって、子供がいる、障害児がいると言うことがデメリットではなくメリットになると言うことなら欲しい人はもちろん、あまり出産に乗り気でなかった人でも産む気になるかも知れませんが、少子化対策と言われて久しいにも関わらずこの種の公的支援に関してもう少し実効性ある政策が乏しいようには感じますね。
低賃金時代でもあるだけに妊娠・子育て世代の女性に少子化対策をたずねたところ各種の経済的支援を求める声が多かったと言うのも頷けるところですが、ダブルインカムでしか生活が出来ない状況で夫婦の一方が長期休業状態になるのではおちおち妊娠もしていられないのは当然ですから、ひとまず妊婦や子育て中の親に対する収入担保策などから考えていくべきなのかとも思います。
子供に対する支援策と言えば若い人に関係することであって、この年代の方々はもともと選挙などにも熱心でなく今を生きるに精一杯だから政治に声が届いていないのだとすれば悲しいことですが、高齢者にとっても将来的に自分達の老後を支えてくれる若年世代が増えることは大きなメリットがあるわけですから、目先の出費が増えるとしても表立って反対する声は上げにくいんじゃないかと言う気はしますがどうでしょうね。

|

« 今日のぐり:「おんまく寿司 青江店」 | トップページ | 御嶽山噴火に伴い炎上してしまった人 »

心と体」カテゴリの記事

コメント

周りを見回しても子供いらないって人が増えてるのは感じるんですよね。
欲しい人や作りたい人がたくさん持てるようにするしかないんですかね。

投稿: ぽん太 | 2014年9月29日 (月) 09時55分

フランス式に大勢の子供を持つほど公的支援が大きくなる制度は検討に値すると思いますが、日本の現状では子供が一人だけではメリットがないのでは少し厳しい気がします。
純粋に社会的な人口再生産と言う観点から言えば血縁関係にはそこまでこだわる必要もない場合も多いのだろうし、歴史的にも活用されてきただけに養子制度はもう少し改善の余地があるようには感じますね。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月29日 (月) 11時05分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/60383473

この記事へのトラックバック一覧です: 少子化対策が叫ばれる時代に:

« 今日のぐり:「おんまく寿司 青江店」 | トップページ | 御嶽山噴火に伴い炎上してしまった人 »