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2014年9月19日 (金)

糖尿病に関連しての雑談

今日は糖尿病に関連してはいるがあまり直接的でもない話を少しばかり取り上げてみたいと思いますが、世界に冠たる肥満大国として知られるアメリカで、かねて知られていた食事内容の格差がさらに絶讚拡大中であると言う気になるニュースが出ていました。

米国、食事の質の格差が2倍に拡大(2014年9月2日ナショナルジオグラフィック)

 過去10年間で米国における低所得層の食事の質が悪化した一方で、富裕層の食事は改善しているという新たな研究報告が発表された。しかし、米国全体では依然として貧しい食事情にあるようだ。
 2005年から2010年にかけて食事の質が平均的に改善されたものの、貧困層では悪化する傾向にあり、富裕層と貧困層で食事の質の格差が2倍に開く結果となった。
 研究者らは、便利で健康的な食品の価格が高くなったことや、貧困層が集まる地域に質の良いスパーマーケットが少ないことが原因であるとしている。

 研究の著者でハーバード公衆衛生大学院の肥満疫学および防止プログラムの共同ディレクター、フランク・フー(Frank Hu)氏は、「全体的に改善されたことは朗報だが、まだ健全な状態とは言えない」と話している。
 低所得層の健康促進を図る議員たちは、「補助的栄養支援プログラム(SNAP、フードスタンプとも呼ばれる)」を通して販売される食品の種類を制限することを提案している。また、ミシェル・オバマ大統領夫人は子供の肥満を減らすため、健康的な食習慣の促進をキャンペーンの中心に据えている。今日、全所得層の実に3分の2が体重超過あるいは肥満とされ、その割合は低所得者層になるほど高くなる
 米国の食事情が改善された主な理由は、トランス脂肪酸の消費が着実に減少したことや、甘味料が入った飲料水の消費減少にあると研究者らは述べる。一方で、果物や野菜、全粒穀物などの消費は相変わらず少ない状況だ。
 昨秋、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、加工食品にトランス脂肪酸の使用を禁止する意向を発表した。加工食品の包装にトランス脂肪酸の有無を明確に表示する法律が定められてから実に10年後の動きである。また、果物や野菜、全粒穀物の消費を促す運動は、教育機関や公共サービスによる呼びかけに限られている

「アメリカの食事情を変えるには、政策を変える必要がある」と、イェール大学のラッド食料政策・肥満対策センターの所長を務めるマーリーン・シュワルツ(Marlene Schwartz)氏は語る。
 食育と言っても、教育を受ける余裕がある人々にだけ有効であるため、「食料自体の品質を改善し、肥満を引き起こすような食べ物を提供しないことが重要である」と同氏は指摘する。
 全米で活動する非営利組織、クッキング・マターズ(Cooking Matters)で栄養管理と調理の指導をしているジェシカ・カウエット(Jessica Caouette)氏は、「すべての親は健康的な食事を家族に与えたいと思っていますが、低所得の家庭では食品の価格が優先されます」と話している。
 2012年にクッキング・マターの受講者を対象に調査したところ、彼らの85%が健康的な食事を望んでいるが、そのような食事が摂れている人はわずか半数であった。さらに、フードバンクの傘下組織であるフィーディング・アメリカ(Feeding America)が実施した調査では、利用者のおよそ80%が健康に良くないと知りながらも一番安い食料を購入していると答えた。
「食に関わる環境やシステムが変わらなければ、食育だけでは効果はありません」とフー氏は述べる。
 研究結果は、9月1日付で「Journal of the American Medical Association Internal Medicine」誌に掲載された。

ここで言う食事の悪化とは貧乏な人が飢えて命に関わると言う話と違って、肥満から糖尿病など各種生活習慣病を招きやすいと言う意味でのリスクの高さを持った食事の質に関する話題であること、それが経済的事情に密接に関係していることに留意ください。
記事中にも出ているトランス脂肪酸の禁止令とはかなり話題になった出来事で、いわゆる悪玉コレステロールを増やし心疾患を増加させると言う点では確かに不健康なものではあると思いますが、一部市民団体や週刊誌なども巻き込んで「こんな危険なものを何故野放しにするのか!日本も直ちに規制すべきだ!」と目の敵にされる一方、もともと摂取量が少ない日本では規制による別な弊害の方が大きくなると言う声もあります。
この辺りはアメリカ人の食生活は日本人のそれとはずいぶんと違っていて、彼らにとって有効な規制が我々にとっても有効とは直ちに言い難いのだと知った上で考えるべき問題だと思いますけれども、一方で昔からアメリカでは低所得者層ほど脂質とエネルギーばかり過多で不健康な食事を取っていて過度に太っている、一方知的エリートやセレブなどはオーガニック信仰が強く実はそうまで肥満ではないと言う傾向が指摘されています。
過度の肥満は自己管理能力の不足と言う点から社会的信用を失わせるもので、ある程度以上の社会的地位を目指そうと思えば必然的に食生活にこだわらざるを得ない部分があると言う話もありますが、現実的に低所得者層が日常的に口にする安価な食事ほど不健康となり、健康的食生活を続けようと思えばそれなりに収入的裏付けを必要とすると言う点は日本とはむしろ逆の傾向とも言えるかも知れませんね。
よくこの辺りの事情を端的に示す話として野球のマイナーリーグや地域リーグなどレベルが下のチームに所属するほど食事の質も下がり、ハンバーガーやフライドチキンくらいしか食べられないと言う伝説?がありますが(もっとも実際はそこまでひどくはないと言う声もあるようです)、ともかくもご飯に味噌汁、おかずは魚の干物に野菜の煮付けなどと言う「貧しい食事」が食べられる日本はその点では恵まれているとも言えそうです。

ともかくも糖尿病と言うものの直接的バックグラウンドになる粗悪な食生活と言うものがお金のかかった贅沢な食事を意味しているのではなく、場合によってはむしろ逆の意味を持っていることもあるのだと言うことなんですが、他方で過去10年で患者数が倍増したと言われるほど急増している世界の糖尿病患者をみてみますと、今まさに経済成長をしている中国やインドなどの中所得国での深刻化が目立つと言います。
先進国ではむしろ贅沢病的な意味での糖尿病は一回りしてしまって、お金があっても贅沢に回すのではなく健康を得るために使うと言う考え方がごく普通に受け入れられるようになっている、しかしまだまだ貧しかった時代を直接体験した人々も多いだろう国々で豊かになればその実感を得られる果実として豪勢な食事に手を出してしまい贅沢病としての糖尿病になるのも、まあ心情的に理解出来ることではありますよね。
特に所得増加に伴い伝統的食生活からハンバーガーにコーラと言ったアメリカ的食文化の流入にさらされるようになれば危ないと誰でも思うところでしょうが、この点で近年本家アメリカなどではダイエットコークなど低カロリー飲料の方が当たり前になってきて見かけのカロリーではずいぶんとお得になっている一方、以前からダイエット飲料を飲んでいる人の方がむしろ肥満が多いのでは?と言う逆説が各方面から指摘されていました。
その理由についても諸説あって、例のダディクールなバーベキューのコピペのごとく「カロリーゼロだから大丈夫さ」とばかりにかえって暴食してしまうからでは?と言った説もそれなりに説得力をもって語られていたわけですが、どうももう少し生物学的に原因が解明できるかも知れないと言う興味深いニュースが出ていたので紹介しておきます。

人工甘味料で代謝異常 腸内細菌のバランス崩す(2014年9月18日47ニュース)

 【ワシントン共同】菓子や清涼飲料に広く使われているサッカリンなどの人工甘味料には、代謝に関わる腸内細菌のバランスを崩して血糖値が下がりにくい状態にする作用があるとする研究結果を、イスラエルの研究チームが英科学誌ネイチャー電子版に17日発表した。

 虫歯予防やカロリー摂取量を抑えるのに役立つ一方で、糖尿病や肥満といった生活習慣病のリスクが高まる可能性を指摘。別の人工甘味料のスクラロースやアスパルテームにも同じ作用があることをマウスの実験で示した。チームの研究者は「大量に使われている人工甘味料の影響について再評価する必要がある」と警告している。

ちなみに元論文に興味がある方はこちらNatureのページから参照いただきたいと思いますが、もちろん未だ動物実験の段階でごくごくとっかかりと言ったレベルの話とは言え、過去にも人工甘味料であるチクロサッカリンなどで何度か騒動になった例があるように、食品安全性に関しては実際の人間に対する有害性とは別な次元で評価されてしまう場合がままあります。
もちろん結果として何の心配もなかったと言うことであれば万々歳ですけれども、有害であると言う証明に比べて無害であると言う証明は限りなく難しいのが世の常ですから、自分の健康に関して敢えて未知のリスクを負いたくないと言う人は人体への安全性が完全に実証されるほど利用歴が長くない人工添加物よりも、カロリーも与える有害性も概ね知られている昔ながらのものを採るようにした方が安心ではあるかも知れません。
もちろんその結果肥満などすでに知られている有害な効果を得てしまうリスクもまた自己責任の一環であると言うことなんですが、そちらのリスクに関してはすでに長年の研究によってある程度対処法も明らかになっているわけですから、きちんと健康管理をする気があって生活を自らコントロールする限りにおいてはそこまで恐れるリスクではないはず、ですよね。

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コメント

糖尿病患者の性格は馴染めんなあ

投稿: | 2014年9月19日 (金) 08時48分

疾患特異的な性格と言うものがあると多くの先生方が感じていらっしゃるでしょうが、病気だから性格に変化が起こるものなのか、そういう性格の人がその病気になっているのかですよね。
糖尿病に関しては長く患うほど患者さんのキャラクターもどんどん固定化していく印象もあって、前者の方が主体なのかなと言う印象を持つところですが。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月19日 (金) 11時28分

人工甘味料が糖代謝を乱すとしたNature論文、専門家からは批判的意見が噴出
http://ggsoku.com/tech/saccharin-could-cause-glucose-tolerance-abnormality/

投稿: | 2014年9月24日 (水) 18時49分

 世(日本)は飽食の時代。今更氷河期や戦時下に戻れといわれても、、「グリフロジン系を服用してでも、食ってて痩せたい」が本音。魔人ドールよりなんぼかまし。
「糖尿病患者の性格」変なストレスなしに痩せさせたら(血糖値下げたら)消えるんじゃないかと期待。

 南米のどっかの国は廉価版の糖尿病薬(メトホル、グリベンクラミドあたりか?)をほとんど捨て値で供給させる代わりに、お高い新薬の販売を許可する、なんてことをしたらしい。生き延びる人が増えたら先にいって高い薬を使うからメーカーもそれでよいらしい。

 国民の幸福度からしたら、特許切れ後にグリフロジンをばらまくとよいかも。  

投稿: 典型的糖尿病患者的思考 | 2014年9月24日 (水) 21時56分

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