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2014年9月22日 (月)

医師と製薬会社との関係も情報開示が進む

医療と製薬との癒着が言われる中で近年相次いでこれらの是正を図るべく業界自主規制と言ったものが改訂されている最中ですが、今年から講演料、原稿料と言った製薬会社から医師への金の流れが大幅に透明化されることになったのはすでに周知の通りですよね。
ただ当然ながらこのことによって医師と製薬会社との関係も従来から変化せずにはいられないと言うことなのですが、本日まずはこちらの記事を紹介してみましょう。

医師の原稿料、金額や個人名の開示で問題露呈(2014年9月18日日経メディカル)

 製薬企業が医師に支払った講演料や原稿料などの金額が、今年から開示されるようになった。企業から医師への資金提供の流れを透明にすることを目的とした「透明性ガイドライン」に基づく情報開示の一環だ。だが、開示を嫌がる医師が講演や原稿の執筆を断るケースも出てきている。情報開示を進めるには、利益相反(COI)に対する世間の認識も変えていく必要がありそうだ。
 製薬企業による情報開示は、日本製薬工業協会(製薬協)が2011年に策定した「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」(以下、透明性ガイドライン)に基づくもの。透明性ガイドラインは、製薬企業から医師や医療機関、大学などへの資金提供の流れを透明にすることを目的に作られた。製薬企業が医師や医療機関、大学などに支払った研究開発費や原稿執筆料をA~Eの5項目に分け、2012年度分から開示している(表1)。2013年度分から、C項目の「原稿執筆料等」については支払った医師の個人名に加えて金額も開示されるようになった。
 情報開示は前年度分の決算終了後に行うことになっており、2013年度分については9月16日までに13社が開示した。医師1人への1社からの講師謝金が計1300万円を超えるケースも明らかになっている。

「産学連携の停滞招く」と開示内容の変更求める声も

 こうした情報開示に対し、医師からは「金額まで開示する必要があるのか」「開示方法は適切か」――といった声が上がっている
「COIの開示は製薬企業と医師の間に関係があることを明らかにするものであり、支払い額の開示までは必要ない」と話す川崎医大の加来浩平氏。
 金額の開示については、マスコミがセンセーショナルに取り上げ、世間の好奇の目にさらされることが危惧されている。川崎医科大学総合内科学1特任教授の加来浩平氏は、「お金のためにやっていると取られかねず、個々の医師が萎縮して講演や原稿執筆などを控える動きが広がり、産学連携の停滞を招く。医師への支払い額をメディアが面白おかしく取り上げれば、医療界への信頼低下につながる可能性もある」と話す。
 実際、日経メディカル Onlineが行った「製薬企業の透明性ガイドラインに関するアンケート」では、支払い額と個人名が開示されることを理由に原稿の執筆や講演などの依頼を断った医師がいた。断った医師は、「患者や他の医師に偏見を持たれる」「あえて公開するものでもないと思うし、面倒なことには関わりたくない」といった理由を挙げている。
 日本医師会も支払い額の開示自体は容認しているものの、情報の取り扱いには慎重な運用を求めている。日医常任理事の鈴木邦彦氏は「興味本位で収入の多い医師のランキングのような形で取り上げられたり、収入の多い医師が製薬企業と癒着関係にあるような見方をされれば、産学連携にとってマイナスだ」と言う。
 川崎医大の加来氏は、「COIの開示は、製薬企業と医師の間に関係があることを明らかにするものであり、個人情報の詳細開示とは一線を画すべきものだ。従って、2012年度分の開示内容で十分だった。2012年度分の開示内容に戻した上で、製薬協だけでなく医療界や法曹界なども参加して透明性ガイドラインを作り直すべきだ」と主張する。
 一方、日本医学会利益相反委員会の委員長を務める曽根三郎氏(徳島市病院事業管理者)は、「支払い額によって、企業と医師の間に生じるCOI状態の深刻さは異なる。COIの深刻度の指標として、金額の開示は必要だ」と話す。支払い額が高額になるほど不正や疑惑を招きやすく、説明責任を果たすためのCOIマネジメントがより重要になるとの考えだ。
(略)
 さらに、情報開示の範囲を広げる動きもある。日本医師会や日本医学会は、A項目の「研究費開発費等」についても、個別の支払い先、支払い額などの詳細開示を求めており、製薬協が検討を進めている。「そもそも支払い総額に占める割合としては『研究費開発費等』が最も大きく、昨今の臨床研究での不正を鑑みても、こうした研究にかかる費用や奨学寄付金こそ開示して透明化を図るべきだ」と日医の鈴木氏は話す。

 ただし、情報開示を進める一方で、世間のCOIに対する認識も改めていく必要がありそうだ。既に一部のメディアにより、「○○社が○○大学の○○氏に○○万円の講師謝金」といった報道がなされている。
 日本医学会の曽根氏は、「開示すべきCOI項目の多い医師は、企業からの依頼が多く、それだけ産学連携に貢献しているとも言える。批判ではなく、高い評価が与えられるべきだ」と強調する。
講演料などの収入が多い医師は、専門知識があるからこそ、企業の依頼も多いと言える。金額の多寡だけに注目して騒ぐのはおかしい」と話す日本製薬医学会の今村恭子氏。
 日本製薬医学会理事長の今村恭子氏は、「多額の講演料や原稿料を受け取っている医師は、多くの専門知識を持っているからこそ、依頼も多いのだろう。総額の多寡だけに注目して騒ぐのはおかしい。金額が妥当かどうかを第三者が客観的に判断できるよう、講演や原稿の件数だけでなく、その内容についても開示するようにしてはどうか」と話す。
 世間では今も“COI=癒着”のように見る向きが少なからずある。専門知識や技術に対する正当な報酬であっても、製薬企業から金銭を受け取っていると、特定の企業に便宜を図っているように受け取られがちだ。製薬企業が情報開示を進める一方で、COIや産学連携の現状などについて世間に正しく認識されるような啓発も必要だろう。メディアにも、講演料や原稿料などの金額だけが独り歩きしないような報道が求められている。

まあしかし、講演会などでも露骨に「特定の企業に便宜を図っている」ような内容のものがあるのは周知の事実ですから、その意味では金額の多寡を云々するだけではなく講演の内容こそが重要であると言う指摘はもっともだし、逆にそうしたチェックを受けることで講演内容がより客観的なものとなり洗練されていくと言う可能性はあるのかもですね。
ともかくこの開示方法を巡ってもどのような方式がよいのかと議論が別れるのは当然で、実際各社で方式が異なっていたことがまた余計なトラブルを招いていたようですが、製薬協によれば2015年から書式を統一しウェブ公開方式一本で行っていくと言うことで、今後は名前や金額などの個人情報も含めてネット上でオープンに誰にでも閲覧できる形で提供されることになるようです。
政治家なども個人情報をどんどん暴かれているのが社会的に当然の義務であるかのような考えがすっかり定着しましたが、講演を行う医師という立場が果たしてそうした公職にある者と同等の扱いを受けるべきなのかどうかは議論が別れそうなところで、実際にすでに講演拒否と言った事例も出ているらしいと言いますから今後講演会等では何かしらの演者勢力図の激変も起こり得るのかも知れません。
ただ記事に出ている加来先生のような大学教授ともなれば世間的には十分公人と言っていい立場ですからこれは仕方のないことと納得していただくしかないのかなとも思うところで、むしろ若手の先生などが地域の小さな勉強会でちょっとした講演をする、その見返りにちょっとした謝礼をスポンサー企業からいただくと言ったことの方が今後やりにくくなってくるのかなと言う気がしますがどうでしょうね?
ともかくも賛否両論あるのは当然と言う話でありますが、少なくとも「情報公開が嫌なら講演を断る」と言う選択肢も一応は用意されていると言うことで完全な情報開示ではないと言う考え方もあって、公開賛成派、反対派双方にとってこの辺りもまた気に入らないところなのかも知れませんけれども、実際にその対象となる立場の医師達に訊ねてみるとこんな反応だったと言います。

原稿料の金額や個人名の開示、「賛成」が4割(2014年9月18日日経メディカル)

 2014年から、製薬企業が医師に支払った講演料や原稿料などの金額が、個人名とともに開示されることになった。日本製薬工業協会(製薬協)の「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」(以下、透明性ガイドライン)に基づくもので、2013年度分については既に13社が情報を開示している(関連記事:医師の原稿料、金額や個人名の開示で問題露呈)。
 開示対象となるのは「原稿執筆料等」に分類される講演会の講師謝金や原稿執筆料・監修料、コンサルティングなどの業務委託費だ。これらについては、医師の所属機関、個人名、件数に加えて金額が開示される。

 こうした詳細開示が始まったことを知っているかどうか、日経メディカル Onlineが医師1890人に聞いたところ、65.0%が「知っている」と答えた(図1)。医師にとって影響は小さくないものだが、3割以上の医師が「知らない」という結果となった。
 透明性ガイドラインは、製薬企業から医師や医療機関、大学などへの資金提供の流れを透明にすることを目的に作られている。だが、金額が開示され、世間の好奇の目にさらされることを嫌がり、医師が企業が後援・協賛する勉強会などでの講演を控える可能性があると指摘する声もある。最近、企業が後援・協賛する講演会や勉強会が減っていると感じるかどうかを聞いたところ、「感じる」が50.2%、「感じない」が49.8%と、真っ二つに分かれた(図2)。「感じる」と答えた医師が約半数に上ることから、影響は少なからずあると言えそうだ。
 製薬企業と医療機関・医師の関係の透明性を保つために、講演料や原稿料などの金額や個人名を開示することについては「賛成」が41.9%、「反対」が22.6%、「分からない」が35.6%だった(図3)。「賛成」が「反対」を倍近く上回る結果となったが、「分からない」も3分の1以上となり、医師の間でかなり考えが異なることがうかがえる。

 賛成と答えた医師の意見で多かったのは、「不透明な金銭の流れは時代にそぐわない」(40歳代男性、小児科勤務医)、「時代の流れとして、やむを得ないと考える」(30歳代男性、循環器内科勤務医)に代表されるように、社会から情報開示が求められているというものだ。昨年から医師と製薬企業による臨床研究不正が相次ぎ発覚していることもあり、「製薬会社と医師との癒着がないことを説明するためにも必要だ」(40歳代男性、内科勤務医)という意見もあった。
 一方、反対と答えた医師の意見としては、「大した額でもないのに、悪意を持って報道されることがある」(30歳代男性、小児科勤務医)、「あらぬ疑いを受ける可能性がある」(40歳代男性、内科勤務医)など、世間から誤解を受けることを危惧する声が目立った。
 また、「研究費や寄附金は公表すべきだが、原稿料や講演料は当然の対価であり、開示は不要だと思う」(50歳代男性、外科勤務医)というように、研究開発費などこそ情報開示が必要という意見もあった。日本医師会や日本医学会は共同研究費や委託研究費、臨床試験費などで構成される「研究費開発費等」についても個別の支払い先や支払い額などの詳細開示を求めており、現在製薬協が検討している。
(略)

注目したいのは反対意見としてはやはり理念として反対と言うよりも、個人情報を公開されて思わぬ迷惑を被ることを危惧すると言う声がほとんどである点で、要するにこれも世に言う総論賛成各論反対とも言えることなのかもですが、そうした個人的な理由での反発であると自覚しているからこそ反対票が伸びなかったと言うことかも知れませんね。
企業との癒着を懸念して公開するのであればせいぜいどの医師がどこの会社とどれくらい関わっているかと言う件数情報で十分だと言う考えはそれなりに頷く部分もあるのですが、やはり世間的には実際どれだけの金の流れがあるのかが気になるところでもあるのだろうし、名前まで出していることに比べると受け取った金額を出すかどうかはもはや大きな問題ではないと言う考え方もあるでしょう。
このあたりは情報開示の必要性は理解出来ているとしても、各個人で何を是とし何を非とするか、あるいは何を許容し何を拒否するかと言う基準が異なる以上世間におけるそれを指標として行わざるを得ないのかなとは思うのですが、注目していただきたいのは医師全般と言うくくりの中では開示反対派が決して多数派と言うわけでもなく、むしろ賛成する立場の方が優位に立っていると言うことでしょうか。
もちろんネット調査である以上対象のバイアスがあって、はっきり言えば講演料だけで毎年何百万以上も稼ぐような超有名な先生ではなくせいぜいたまにローカルな講演会を頼まれる程度の先生が大多数だろうと考えると、仮に公開されたにしても「どうせ誰も自分なんかには注目しないし」と気楽な立場でいられると言う点は無視出来ないと思いますね。
逆に金額を知られてちょっとドキドキするような大家の先生は確かにあちらこちらでコメントを求められるなど目立つのは確かですが、全体の中での数として見れば決して多くはないだけに、製薬会社としては今までの付き合いを壊しかねない対応をするに当たっても「いや先生、他の先生方はもう納得していただいているんですよ」と言い訳はしやすいと言うことはあるでしょう。

公職にある人間がその職務外で大金を稼ぐと言うことは一般的にはあまりいい目で見られる行為ではないようで、講演料なども公立病院における兼業禁止ルールなどとの関係でしばしば議論されるところですが、やはり講演を聞きに行くその他大勢の側にしてみればどこの誰とも知らない講師よりは、全国に名が知られている有名人の話を聞きたいと言うのが当然でしょう。
その意味では講演も地位に伴い果たすべき責任ある公務の一環であると言う考え方も出来ると思いますが、それなら同じ公務で同じ時間働いているのに講演に行った奴だけがお金をもらえるのはおかしいんじゃないか?と言う声が職場に残った同僚から出てきてもおかしくない理屈で、その意味では公人が勤務時間内に行う業務で得た収入は個人ではなく公に還元されるべきだと言う考えもあるでしょうね。
医師個人への報酬ではなく所属組織への寄付金なり研究費なりで還元されると言うのであれば少なくとも「地位を利用して不当な特権を得ている」云々と世間から批判される余地は少ないだろうと思いますが、そもそも大学に製薬会社が大金を出すこと自体が癒着ではないか?と言われかねない危惧に加えて、当然ながら少なからぬ時間を使って準備もし遠くまで出かけて行った当の本人が納得出来るかどうかです。
しかし企業からの報酬は個人ではなく大学として受け取るものとする、一方で大学内部では講演等の実績に応じて相応のボーナスを支給すると行った形にすればただ働きにはならないんですが、講演料を支払った先としては医師個人名ではなく大学名がずらずらと並ぶだけと言う形になるわけですから、これはこれで情報開示ルールの抜け道だと世間としては納得し難いのかも知れません。

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コメント

後ろめたいことがなけりゃ公開して困ることもないだろ

投稿: | 2014年9月22日 (月) 09時01分

この程度の公開は当然のことと思います。
ただ、癒着というのはどの業界でも起こりうることなので、特に三権に関わる方々と、第4の権力と呼ばれるマスコミ関係者も同様の情報開示をすべきかなと考えます。

投稿: クマ | 2014年9月22日 (月) 09時31分

後ろめたいことがないからこそ個人情報さらされたくないって気持ちもわかるんですけどね。
でも仕事上の付き合いが癒着につながるならどんな仕事でも情報開示は必要になりますけどいいんでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2014年9月22日 (月) 10時16分

大学教員などは公職についていると言うことで、個人的に企業と利害関係でつながること自体が微妙な問題をはらんでいるのだろうと思いますが、私的病院の医師などはそういう面では微妙でしょうか。
ただどちらにせよ公開が嫌なら逃げ道はあると言う点で世間的には妥当な措置と言う評価になりそうですし、逆にここで大きな反発の声を上げることで痛くもない腹を探られかねないのかなと言う気はします。
後はこうした措置が知られるようになって講演会などの活動がどれくらい影響を受けるようになるのかですが、関わり合いを断る人が増えると演者の寡占化が進み見解が偏るようになるリスクはあるかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2014年9月22日 (月) 11時05分

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