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2014年8月30日 (土)

久しぶりの医学部新設は東北薬科大に決定

震災復興を錦の御旗に東北地方に例外的に医学部新設を認めると言うことでかねてどこがその主体になるのかが注目されていましたが、先日28日に東北薬科大に決まったと言う知らせが出たと言うことです。

東北医学部新設、東北薬科大に決定- 文科省審査会、総合診療医育成など条件(2014年8月28日CBニュース)

東北地方での医学部新設をめぐり、文部科学省の構想審査会(座長=遠藤久夫・学習院大経済学部長)は28日、応募のあった3陣営の中から、東北薬科大(仙台市青葉区)を選定した。同大が構想で示した、きめ細かなカリキュラム内容や附属病院を含めた財政の安定性などが決め手となった。構想審査会は同大に対し、今後、地元医療関係者などの協力の下に運営協議会(仮称)を立ち上げ、医師定着策の協議を開始することや、総合診療医の育成に取り組むことなどの条件を付けた。【君塚靖】

東北薬科大は、「東北医科薬科大」に改称し、2016年4月の開学を目指す。この日の会合後に記者会見した遠藤座長は、選定された同大に対し、「復興はもちろん、東北地方の医師不足、医師偏在は重要なテーマと思っている。これらは1大学でできることではないので、いろいろな知恵を使って解消する方向に持っていってほしい」と期待感を示した。
構想審査会は、東北薬科大が医学部を新設するに当たり、運営協議会の設置や総合診療医育成のほか、東北大をはじめとする既存の大学の教育面や卒後の医師確保における役割分担と連携を整理し、東北6県全体の医師偏在解消につなげる枠組みを確立させることや、教員、医師・看護師などを確保するために、地域医療に支障を来さないよう具体的な基準・指針を定めることなどを条件にした。

■宮城県は準備不足、脳神経疾患研究所は財務面がマイナスに

東北薬科大が選ばれた要因としては、教育上必要な症例数や患者数の確保などで有利な仙台市内に附属病院を持っていることのほか、被災地である宮城県石巻市で再建予定の石巻市立病院へのサテライト設置などが高く評価された。また、被災地の地域医療・災害医療に配慮した6年間のカリキュラム内容が充実していることを評価する意見があった。
一方、選出されなかった宮城県については、同県知事の総合診療医を育成・確保し、地域医療を立て直したいという熱意が感じられたという意見があったものの、構想で示した教育内容や教育体制に具体性が欠けるなど、準備不足が影響した。もう1つの候補だった脳神経疾患研究所(福島県郡山市)は、同県や既存の医学部を有する大学との連携関係が構築されていないことや、宮城県が支援を約束している東北薬科大に比べ、財務面の確実性に欠けるなどと指摘された。

東北薬科大に医学部 地域・災害医療の構想評価(2014年8月29日読売新聞)

 東北への医学部新設を巡り、文部科学省の構想審査会は28日、東北薬科大(仙台市)への設置を決めた。医師不足の解消や、災害医療に対応できる医師の育成などの構想が評価され、大学側は喜びに沸いた。一方、審査会は県の構想について「準備不足」と指摘、関係者の間には落胆が広がった。

 「これまでの実績が認められた。大きな喜びを感じるとともに、身の引き締まる思いだ」
 薬科大の高柳元明学長は28日夜、同大で記者会見し、感慨深げに語った。「震災復興のための設置で、今までの医学部とは違う」とも述べ、地域・災害医療に対応できる総合診療医の養成を目標に掲げた。
 同大によると、大学名を「東北医科薬科大」に改称し、2016年4月の開設を目指す。キャンパスは仙台市宮城野区福室の付属病院などを使う方向で調整。薬学の知識がある医師の育成のほか、臨床教育拠点として石巻市立病院と連携する方針だ。初年度の定員は120人としていたが、審査会の指摘を受け、100人前後にすることを検討するという。

 審査会の座長で、学習院大の遠藤久夫教授は会合終了後の会見で、薬科大を選んだ理由について「地域医療や災害医療を含む6年間の教育内容に具体性がある。設備経費を自己資金で確保できるなど、財政面でも安定している」と説明した。
 ただ、委員からは「東北大とのネットワークを意識しており、既存の医学部の延長線上にある」との意見も出たといい、審査会は、卒業生が仙台市に集中しないよう取り組むことを薬科大に求めた。

 一方、県は文科省への申請期限前日の5月29日に名乗りを上げた。宮城大に医学部を設置する方針を決め、全学生に修学資金を貸し付けたり、栗原中央病院(栗原市)にある病床を臨床教育に活用したりする運営方法を打ち出したものの、遠藤教授は「知事の熱意に期待感は高かったが、準備不足は否めなかった。開設予定時期までに計画通りの医学部を作るのは困難だと判断した」と指摘した。
 審査会の決定を受け、村井知事は「選定されず、大変残念。県としても、東北地方の医師不足解消に貢献できるよう新設医学部を支援していきたい」とのコメントを出した。
 県の構想でキャンパス予定地となっていた栗原市は、栗原中央病院の隣接地にキャンパス用地として約6ヘクタールの土地を買収する同意を地権者から取り付けていた。地元の商工団体なども、のぼりやポスターを作成して誘致運動を盛り上げてきただけに、佐藤勇市長は「残念としか言いようがない。みんなで頑張ってきたのに……」と肩を落とした。
(略)

東北薬科大に医学部、教育実績と財政評価(2014年8月29日華北新報)

 新医学部の設置者を選定するに当たり、文部科学省の構想審査会は、構想の「具体性」と「確実性」を重視。この点で東北薬科大はポイントを稼ぎ、宮城県と脳神経疾患研究所を突き放した。

 審査会は(1)東日本大震災後の医療ニーズへの対応(2)教員医師の確保策(3)卒業生の東北への定着策(4)医師需給に対応した定員調整の仕組み-の4点で3者を比較考量した。
 東北薬科大は(1)患者や教職員の確保に有利な仙台市内に付属病院を保有(2)最大被災地の石巻市に地域医療教育のサテライトを設置(3)最大70人分の奨学金を確保-など「一通りの具体策を示し、具体的な連携先を設定している」と評された。
 確実性についても審査会は「東北で70年以上の医療教育実績があり、設置経費を自己資金で確保できる一定のめどがあり、財政面でも安定している」と分析した。
 東北各県との連携不足などの課題も挙がったが、審査会は「具体的な準備が進んでいるから具体的な問題を指摘できる」と、むしろ肯定的な評価を与えた。

 宮城県は、村井嘉浩知事が「宮城大医学部」設置の検討に着手してから申請まで3日間という短兵急があだとなった。教育内容などについて審査会は「具体的に示されず、実習などに必要な連携先との協議も未着手」「総じて準備不足が否めない」と断じた。
 あえて医療過疎地の栗原市へのキャンパス進出を目指した野心的構想も裏目に出た。審査会は(1)付属病院の経営(2)教員医師や看護師の人材確保(3)教育環境の構築-などについて強い懸念を表明している。
 審査会内には、東北薬科大と宮城県のどちらを選定すべきか両論があった。ただ「東北薬科大と宮城県は連携すべきだ」という点で委員の意見はおおむね一致。最後は宮城県に、奨学金制度などで東北薬科大をバックアップするよう求めた。
(略)

関係者各々にいろいろな思いがあるところでしょうし、宮城県が直接関与し「宮城大医学部」構想まで立ち上げたのが無駄になったと言うのは少しばかり意外性もありますが、そもそも東北福祉大と仙台厚生病院のタッグが破綻したのも栗原市への大学立地を巡る対立が端緒であったと言い、今回の薬科大の決定理由としても仙台市内に大学病院を持つことが挙げられていますから、まあ病院の立地と言うのも難しい問題ではあるのでしょう。
もちろん敢えて田舎に大学病院を作ると言う考え方も有りだとは思うのですが、そうであるなら東北にはさらに医療過疎のど田舎は幾らでもあるのに何故そこでなければならないのか?と言う話ですし、今まで医師などいなかった田舎に他所から数多くの医療スタッフを連れてきて常駐させることのデメリットの大きさも考えた場合に、やはりここは少しでもリスクは避け現実路線でやるのが妥当だと言う判断なのでしょうか。
ともかくも何がメリットで何がデメリットかと言うことに関しては判断のさじ加減一つでどちらにでも転がり得るものであって、後付けで優れている理由など幾らでも見つけられるだろうと考えた場合に、やはり財政面での不安が最も少なく万一失敗しても国や自治体にとっての負担が少ないと言う点も決め手になったのかも知れませんね。

新たに大学が出来ることで既存の医療体制に与える影響がどうなのかですが、薬科大病院はすでに仙台市内で466床を有する基幹病院としての実績もあるわけですから医療面では大学病院に相応しい診療科を整えるだけで対応可能だろうし、教育機関としてももともと薬学部学生に対する教育機能を持っていたはずですからある程度ノウハウはあるのだろうと思います。
各科スタッフに関して新たにゼロから公募することになるのか、そもそも既存の各診療科スタッフの処遇はどうなるのか等々様々な決め事も必要になってくるはずですが、特に近隣諸県も含めた医療現場の関係者にとっては医師や看護師の引き抜きが発生するかどうかが気になるところで、日医なども「引き抜きで地域医療に支障を来たさない配慮を」と早速釘をさしていますよね。
今回の選定に当たって審査会からも地域医療への配慮や東北地方への将来的な医師還元策など7項目の要求が突きつけられたそうですが、もともと東北地方各医学部の地元定着率は全国的に見てもごく低いもので、地元に残りたい地元学生の需要に対しては実は全く定員は不足していないと言う見方も出来ますから、学生の頭数は集まっても果たしてどの程度の学生が地元に残るのか疑問なしとはしません。
医師不足解消のための新設であったはずなのに審査会から定員に関して「教育環境の確保や地域定着策の有効性などの観点から、適切な規模となるよう見直しをすること」と敢えて減員を求められ、また宮城県の定員60人と言うごく小規模な構想が高く評価されたのもこのあたりの理由かとも思うのですが、学力的に多少問題があっても地元定着率を考慮し過ぎての選抜が行われれば入学後の学習面で支障が出ると言うこともあるかも知れませんね。

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コメント

この程度の人数だったら東北各大学で定員ちょっとずつ増やしても同じことなんじゃ?

投稿: | 2014年8月30日 (土) 09時53分

大学医学部新設、喜ぶ人ばかりではない重大理由
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140829-OYT1T50036.html

投稿: | 2014年8月31日 (日) 07時14分

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