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2014年8月14日 (木)

大きな声では言えない?女医増加の裏側

大学にもよりますが医学部の男女学生比率が限りなく50対50に近づきつつある今日この頃、医療の世界もかつてのように男医師が指示し女看護師が従うと言う単純な構図では語れなくなってきていますが、そうは言っても未だに田舎などに行きますと女医の肩が狭いと言う話も聞きますよね。
女医の増加に伴って必然的に発生するもう一つの問題として生涯労働力として女医は男医よりも劣るのではないかと言う考え方があって、確かに結婚、出産を機に医療の最前線を離れると言うことはままあるのでしょうが、一方で結婚出産には目もくれず男医に混じってバリバリ働いている女医も多いわけです(これはこれで社会的再生産と言う観点からも問題ではありますが)。
最近ではこうした女医の戦力化と言うことが注目されるようになり、例えば医療現場を離れた女医の復帰支援のため再トレーニングの場を設けようと言った各種の取り組みが行われているところですが、そもそも一般的な社会人として当たり前レベルの働き方では許容されないと言う医療現場の異常性の方が根本的な問題なのではないか?と言う意見も増えてきています。

女性医師支援「課題は男性含めた働き方に」- 厚労省懇談会が初会合(2014年8月8日CBニュース)

男性を含めた医師の働き方を考えなくてはいけない」-。厚生労働省が8日に開催した「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」の初会合では、こういった趣旨の発言が委員から聞かれた。同省は、この懇談会での議論を通じ、年内に女性医師がライフステージに応じて活躍するのに必要な制度改正などを整理する。また、すでに環境整備を進めている施設や自治体などの取り組みを先進事例集としてまとめる。【君塚靖】

この懇談会は、大学の医学部の学生の3分の1が女性となり、これからの医療現場で女性医師が増えていくことが予想され、働き続けやすい環境整備が急務であることから発足。村木厚子厚労事務次官が主催する。初会合の冒頭にあいさつした田村憲久厚労相は、「安倍内閣は女性の力を活用し、女性の社会への参画を推進することこそ、強い日本の経済を取り戻すのに不可欠だと認識している。女性医師の活躍は、日本の医療の発展に欠かせない」と述べた。

この日の会合では早速、先進事例が紹介された。木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長)は働き方の工夫が女性医師支援につながった事例として、同センター産婦人科が2009年6月に導入した交代勤務制を説明。導入前に連続勤務が30時間以上になったり、帰宅前後は家事・育児に追われ、心身が休まる間もなかったりしたのが、導入後には、夜勤帯は業務に集中し、自宅などでは自由な時間ができ、家事・育児だけでなく、自己研さんや健康管理ができるようになったとした。

続いて、片岡仁美委員(岡山大大学院教授)は、同大を中心とした女性医師キャリア支援制度「MUSCATプロジェクト」を紹介。同プロジェクトは、オーダーメードの柔軟な勤務体系の構築や、シミュレーション教育を活用した復帰前のスキルトレーニングを提供することなどで、離職防止や復職支援を狙ったもの。片岡委員は、「(プロジェクトは)単に、大学病院だけでやるのでは足りないと思っている。県内で参加施設を募集することで、大学病院に戻るだけでなく、地域の施設に復職するケースも出てきている」と説明した。

事例紹介後には、委員間で意見交換が行われた。高橋政代委員(理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダー)は、「結局、行き着くところは、男性の働き方も併せて考えなくてはいけない。男性も働きやすい交代勤務が必要」と述べた。安田あゆ子委員(名大医学部附属病院、医療の質・安全管理部副部長)は、「医療のアウトカムを考えると、医療の質を向上させないといけない。最近、取り上げられているのが、人と人のつなぎ目のところで問題が起きていること。医者と医者の間、同じ診療科内でのつなぎ目でインシデントが起きている」などと、交代勤務やチーム医療の体制を検討する上での留意点を指摘した。

先の台風被害にあっては各地で寝食を忘れて奮闘された方々が数多くいらっしゃったと思いますけれども、それも日頃は十分休養も取れ体力的精神力的に余力があるからこそいざと言う時のもう一踏ん張りが出来ると言うものであって、日常的に24時間365日限度一杯やっていたのでは何かあってもそれ以上何も出来ないと言うのは当然のことです。
その意味で女医に限らず昨今多いドロップアウトのケースであるとか、いわゆるフリーター医師の存在なども含めて「あいつら楽しやがって」といつまでも否定的に見るばかりでは意味がないことで、当たり前の体力、精神力を備えたごく普通の労働者としての医師が継続的に勤務を続けられる環境を整える指針と言うくらいに捉えておく方がいいのかも知れません。
ともかくも医療業界内部ではこの10年ほどの間に、ネットでの他業種交流、一般人も含めたディスカッションなどを通じてかつての「医療の常識は世間の非常識」と言われた時代から次第に脱しつつあり、いつまでも旧態依然とした「非常識な医師」像に縛られていても仕方ないと言うゼロベースの議論が出来る時代になってきていますが、興味深いのは世間では必ずしもそれを歓迎しているわけでもなさそうだと言うことですね。
夜間休日にアポもなしに突然やってきて「主治医を出せ!今すぐ説明しろ!」などと要求する非常識な「遠い親戚」などはさすがに相手にされなくなってきましたが、世間的には女医の増加と言う現象は必ずしも歓迎される現象と言うわけでもないのか、先日はこんな記事が出ていました。

大学を震撼させた「婚活女子」 医学部で伝説に(2014年8月10日dot.)

 大学医学部に女子学生が増えている。厚生労働省と文部科学省の調査によると、1980年には15%足らずだった女子は、95年には30%を超え、近年は33%前後で推移している。そして、最近は同じ医学部内で将来の伴侶を探そうとする“婚活女子”も増えているのだという。

 大きな声では言えませんが、と話すのは、ある私大医学部関係者。

「うちは学費が高いので、学生に病院関係者の子弟が多いんです。大学入学と同時に、一部女子の間では、あの手この手を使って男子の争奪戦が始まります。裕福な開業医の息子をつかまえたら、院長夫人になれますから。逆に、大病院の令嬢が入り婿を探して大学に来ている、というケースも珍しくありません

 極端な場合、こんなケースも。ある女子医学部生は5年生の時、交際していた医学部の男子生徒との結婚が決まった。すると、直後になんと、彼女は医学部を中退してしまったのだ。現在は医師の妻にちゃっかり納まっている。この「寿退学」伝説は学内外を駆け巡り、周囲を震撼させた。彼女の先輩女医は嘆く。

「意味不明の一言ですよね。4千万近いそれまでの学費をドブに捨てるのかって話ですよ」

まあ全てがネタでないとしても、この種の「極端な話」の一例報告などエヴィデンスとしてさしたる価値がないのは当たり前なのですが、大学関係者がわざわざマスコミのところに出かけて行ってこんな話を売り込むと言うのも考えられない話ですから、マスコミの方から取材に行って取材意図に合うような話を足を棒にして探し回ったと言うことですし、そうしたネタが記事として価値があると考える記者氏がいると言うことなのでしょう。
実質的な医師養成専門学校化している国公立と違って、私学などは大学それぞれのカラーに合わせて色々な学生がいていいんじゃないかと思うのですが、しかし世間でこういう記事が出てくると言う程度には女医の増加と言う現象が社会的に認知されている、それもこういう伝説ネタが売れると思われるほど何やら妙な方向で捉えられているとすれば、ちょっと実態や現場感覚と違うんじゃないかなと言う気がしますでしょうか。
しかし昔から医学部と言うところはちょっと(かなり?)非常識な人間の集まる巣窟だったようで、この程度のネタなど鼻先で笑われるほどあの手この手のネタがどこの大学にも山積していると思いますけれども、残念ながらそれらエピソードの当事者が今や結構偉くなっていたりしますから、あまりおいそれと表に出せなくなってきているのは残念と言えば残念ですよね。
余談はともかく、AERAと言えば朝日系列の低俗雑誌として知られていて、先の震災においては風評被害を広げるために大活躍していたと言う先例もありますから、これまた何かしらの深慮遠謀に基づいた炎上を目指しての活動の一環と言うことなのかも知れませんけれども、ここはその深慮遠謀の行く先がどのあたりなのかを生暖かく見守っていくべきなんですかね。

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コメント

女医が増えたから男は減ってるってこと?
定員増やしたからどっちも増えてる?

投稿: tama | 2014年8月14日 (木) 08時58分

>女医が増えたから男は減ってるってこと?

つhttp://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001116230

投稿: | 2014年8月14日 (木) 09時44分

定員数増加に伴い男女とも医師総数は増加傾向が続いていますが、当然ながら増加率ということに関しては女医の方がずっと高い状態であると言うことですね。
より以上に注目すべきなのは政府と文科省により医学部定員は今も増え続けているのですが、すでにしばらく前から国試合格者数では減少に転じていると言う点で、このあたりに厚労省側の本音があるのかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2014年8月14日 (木) 10時34分

>すでにしばらく前から国試合格者数では減少に転じている

            受験者数 合格者数
第99回 2005(平成17) 8,495 7,568 89.1%
第100回 2006(平成18) 8,602 7,742 90.0%
第101回 2007(平成19) 8,573 7,535 87.9%
第102回 2008(平成20) 8,535 7,733 90.6%
第103回 2009(平成21) 8,428 7,668 91.0%
第104回 2010(平成22) 8,447 7,538 89.2%
第105回 2011(平成23) 8,611 7,686 89.3%
第106回 2012(平成24) 8,521 7,688 90.2%
第107回 2013(平成25) 8,569 7,696 89.8%
第108回 2014(平成26) 8,632 7,820 90.6%

出典はwikiですが「減少に転じている」とは言い難いのでは。。。?

投稿: | 2014年8月16日 (土) 16時12分

数だけでいったら今だって実は平成前半期のレベルにぜんぜん及んでないんだよね
http://pediatrics.news.coocan.jp/kokushi.pdf
せっかく順調に増えてたのにわざわざ定員減らしたバカは責任取ったのかね?

投稿: | 2014年8月16日 (土) 18時26分

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