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2014年8月22日 (金)

今年の夏最大の話題はおにぎりマネージャーなんだそうです

ちょうど夏の甲子園の真っ最中で、新聞等の紙面では試合で活躍した選手以外にも様々な周辺の人々も取り上げられることがあるのは毎年恒例なんですけれども、その一回戦のとある試合後にこんな小さな記事が出ていたことをご記憶でしょうか?

春日部共栄 おにぎり作り“女神”マネ(2014年8月12日日刊スポーツ)

 春日部共栄(埼玉)が、開幕戦で今春センバツ王者の龍谷大平安(京都)を破る金星を挙げた。1回に3番守屋元気捕手(3年)の先制犠飛など、打者10人の猛攻で5点を奪い、5-1で勝利した。

 チーム内で“まみタス”と呼ばれ親しまれる三宅麻未マネジャーは、記録員としてベンチに入った。おにぎり作り集中のため、最難関校受験の選抜クラスから普通クラスに転籍したほどで、「頑張っておにぎりを作ってきたことが報われて、本当にうれしい」と勝利にニッコリ。守屋は「いつも気を使ってくれる。まみタスを日本一の女子マネにしてあげたい」と誓った。

マネージャーながら記録員としてベンチ入りしたくらいですからチーム内での信望も厚いのでしょうが、優勝候補をいきなり撃破したこともあって各社が写真入りで大きく取り上げたせいか、一躍日本一有名な女子高生マネージャーとも言うべき立場になってしまったようです。
ちなみに春日部共栄高校と言えば何度も全国大会に出場している野球部以外にも各種スポーツが盛んなんだそうですが、同時に埼玉県内でも指折りの偏差値を誇る進学校でもあるのだそうで、その中でも一番レベルが高いと言う選抜クラスで入学したくらいですからずいぶんと勉強家でもあったのでしょうね。
ともかくもある意味では強豪野球部そのものよりも有名になったくらいですから、先日春日部共栄高校が惜しくも敗退した際にも彼女の泣く姿の方がよほど大々的に取り上げられたと言うくらいで、高校野球の報道でこういう裏方の子が何度も紙面に登場するのも珍しいことだなと思っていましたら、何故かこの「おにぎりマネージャー」の話題が妙な方向に延焼が続いていると言います。

おにぎり作りで選抜クラスから転籍とスポーツ紙報道 春日部共栄野球部女子マネ、これは美談か?大議論に(2014年8月14日J-CASTニュース)

 埼玉・春日部共栄高校の野球部の女子マネージャーが、部員へのおにぎり作りに集中するため選抜クラスから普通クラスに転籍した――。こう報じたスポーツ紙の記事を巡って、ネット上で賛否が分かれる議論になっている。
 「春日部共栄 おにぎり作り『女神』マネ」。日刊スポーツが野球部マネージャーの3年生女子生徒(17)について2014年8月12日に書いた記事は、こんなタイトルになっていた。
(略)
 この記事が日刊のサイトでも掲載されると、ツイッターなどでは、「今の日本にこんな美しい青春があったとは?」「いやぁ久しぶりにこういう熱血青春ガールを見たわ~」と感心する声が上がった。
 しかし、「おにぎりの為に将来を棒に振るなんて全く良い話ではない」などと、次第に批判的な声も多くなった。その後は、「周りの大人が止めてやれよ…」「なぜこの部活はおにぎりを外注しないんだろう」「どう考えても、これは女子生徒がやるマネージメントの範囲を超えている」といった意見が相次いだ。また、記事は、典型的な性別役割分業を前提にしているのではないかとの指摘が出て、「美談として報道すべきではない」とマスコミ批判にも発展している。

「話が広がっており、戸惑っています」

 春日部共栄高校野球部の女子マネージャーについては、2013年8月15日にBS朝日の番組「スポーツクロス」で特集が組まれていた。
 番組では、当時2年生だった女子生徒も出演し、選手らにはご飯にふりかけをかけて出していたが、前年冬ぐらいから「部員が食べやすい」とおにぎりに変えたと説明していた。もともとは、栄養士のアドバイスから夏場に選手が体重を落とさないようにするのが目的だったそうだ。
 映像を見ると、おにぎりを手で握っていたわけではなく、プラスチック製の型にしゃもじでご飯を詰めて作っていた。また、当時は、女子マネージャーが計8人もおり、1人で作っていたわけではなかった
 ほかの新聞報道によると、現在のマネージャーは、生徒のほかに、下級生6人がいる。生徒だけに負担がかかっているわけではないらしい。とはいえ、部員120人もがおにぎりを食べるため、多いときは1日で1000個も作るといい、かなりの重労働であることに変わりはないようだ。

 春日部共栄高校の教頭は、取材に対し、生徒がクラスを転籍したことは学校側からの働きかけではないと説明する。
 「野球部のマネージャーに専念してほしいから、クラスを変えてほしいと言ったということはありえません。クラスは、基本的に本人の希望で学年が上がるときに変えることができます」
 ネット上で出ている様々な意見については、こう言う。
  「何ともコメントしようがありませんが、おにぎり作りは女性の仕事だと、性的差別をしていることはないと思います。マネージャーは、ほかの学校でも一般的に行われていることをしているのでは。もちろん男性でもよく、現在は男性がいませんが、以前はいたことがあります」
 報道で騒ぎが過熱することを懸念しているといい、「本人の意思とは関係なく話が広がっており、戸惑っています」と漏らした。今後については、「野球部でどう考えるかは分かりませんが、間違ったことをしたわけではないので、マネージャーのすることは特に変えていかないと思います」と言っている。

「おにぎり2万個」握った女子マネージャーの美談に賛否両論! 「夏の甲子園」は本当に必要なのか?(2014年8月19日ダイアモンドオンライン)

(略)
●教育の視点から覚える「美談」への違和感

 そもそも、高野連は高校野球を教育の一環だと主張している。では、「教育」とは何かというと色々な意見があるだろうが、いわゆる教養も含めた「広義のキャリア教育」こそが、教育の本質だと思っている。途上国の少女に教育が必要なのも、その少女が大人になったときに自立して生きていけるようにするためで、つまり、初等教育における読み書きから、高等教育にいたるまで、すべてがキャリア教育である。

 日本の高校教育もこの文脈で語られるべきだし、実際、先進的な高校はその路線で突き進んでいる。無責任な大人は、教育とキャリアを結びつけて考えることを嫌うが、それで将来、苦しむのは子どもや若者たちだ。大人は、子どもや若者の将来的なキャリアを見据えて教育を提供すべきだ。

 もちろん、教育は勉強だけではない。すべての高校生は勉強だけやれとは言わない。高校野球に関して言えば、将来、プロ野球の選手をめざす野球部員が、勉強よりも野球の練習を優先させるのは、キャリア教育という意味でも正しい。将来はJリーガーになりたいというなら、学校の勉強よりサッカーの練習のほうが重要だ。世界的に偉大な音楽アーティストになりたいというなら、自宅での勉強より曲作りに励んだ方が正解だ。

 しかし、では、「おにぎり2万個」の女子生徒はどうなのか。勉学を犠牲にして、おにぎりを2万個握ることが、彼女のキャリア形成にどのように役立つのか。彼女の行為を賛美する人たちは、その視点が決定的に欠けている。

ざっとネット上で見ていた範疇では意外とフェミな方々の声が聞こえてこない気がすると言いますか、もちろん昔ながらのジェンダーに由来する差別論に絡めて云々する声もないではないようなんですが、それよりも何よりも根強いのはわざわざ難関高校の最難関コースに進学したのに勉強と言う「本分」の部分で妥協してまでおにぎりを握る意味があるのか?と言う疑問であるようです。
実際のおにぎり作りの負担がどれくらいなのかと言うことなんですが、休日練習のように長時間に及ぶ場合には記事にもあるように最大1000個、通常の練習で200~300個を数人で準備する、それも当然ながら今の時代ですから濡らした軍手で握るなんてわけではなく型にご飯を詰めてポンと出すと言う今風のやり方ですから、練習時間中の他の作業の合間に十分こなせる仕事の一つではあったようです。
一部で言われている通りそもそもマネージャーがおにぎりを用意するのがいいのかどうかですが、暑い中でも練習をするわけですから家から持ってくると言うのも衛生上不可能でしょうし、トレーニング効果を最大限高めるためにも運動後30分以内には栄養補給をすべきだとされているわけですから、日々のコスト面も含めて考えても練習後に飯を食いに行くよりはよほどに安上がりかつ効率的ではあるんだろうとは思います。
部活の時間外にまでしわ寄せが来ていると言うのであればともかくですが、練習時間内で終わることであれば部活動に参加する時点で覚悟しておくべき範疇のことですし、実際に当の本人も別に部活動のために勉強を犠牲にしたと言うわけでは全くないと言っているわけですから、あるいは問題の発端となった当初の記事そのものが取材する側の想像による補足込みであったのか?と言う気もしないでもありませんね。

「おにぎりなど幾ら作ってもキャリア形成に何の役にも立たない」と言う批判もありますが、本人は昔から幼稚園の先生になることが夢だそうですからこうした他人へのサポートの経験は将来大いに生きているでしょうし、今後進学をするにあたっても就職するにしても全国区でこれだけ大きく取り上げられた以上は大いに有利になるだろうと妬む声すらあるくらいで、むしろキャリア形成上は予想外に大きな成果があったと言うべきでしょう。
もちろん学生生活と言うものもきっちりと人生マネージメントの一部として隙なく組み上げておくべきものだと考える人はいるでしょうし、今後さらにマネージャーの業務負担が増えて後輩達が人生設計に支障が出てくると言うことであればまた別の問題ですが、こと今回のことに関しては外野の大きなお世話と言えば言い過ぎでしょうけれども、本人にとっては少なくとも無駄な努力ではなかったとは言えそうです。
実際のところほとんどに人にとっては「ここまで引っ張るほどのネタなのか?」と言う程度の話でしょうし、本人達はごく普通に部活をやっているのに部外者が考えすぎるのも迷惑な話だと思いますが、しかしこういう議論にあたってそれぞれの論者のスタンスとどのような学生時代を送ってきたかと言う相関関係を調べて見ると結構面白いと言いますか、体育会系経験者とそれ以外で捉え方に違いが出るものなのかも知れませんね。
ちなみに本人は甲子園を去るに当たって「全く後悔はありません」と言い切ったのだそうで、思わぬ騒動になったことにも今後進学をがんばって「たたいてきた人を見返してやらなきゃ」と力強く宣言したそうですから頼もしいですが、個人的にはむしろ学生時代なんてもっともっと馬鹿やってもよかったんじゃないかと言いますか、幾らでも失敗できるうちにさんざん失敗の経験値を積み上げておくことにも大いに意味があると思いますけれどもね。

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コメント

学生時代に馬鹿をやるのは否定しませんが、今の時代、今回のように実名でマスコミに報道されてしまうのは本人にとってデメリットが多いような気がします。

投稿: クマ | 2014年8月22日 (金) 08時50分

ぶっちゃけちょっとカワイイから話題になっただけと言うw

投稿: aaa | 2014年8月22日 (金) 09時08分

マネージャーと言いながら何一つ自分じゃマネージしてない不思議な日本のマネージャー

投稿: | 2014年8月22日 (金) 09時41分

えーと
おにぎりを握ることを自分の作業にしちまった時点で、マネージメント能力ないってことじゃ

投稿: | 2014年8月22日 (金) 10時43分

まあ日本の部活で言うところのマネージャーと言う呼び名がどこが起源なのか、以前から調べて見てはいるのですが未だに謎なんですよね(大昔には本当に練習内容等の管理もしていたのかも知れませんが)。
それはともかく好き放題やるにしても反社会的行動というのはもちろん論外であって、見る者を唖然とさせ次いでちょいとニヤリとさせるような方向性でないといけませんでしょうね。
良く言えば真面目なんでしょうが、その辺りのしゃれっ気の境界線みたいなものが判らないまま大きくなってる学生が増えてる気はしています。

投稿: 管理人nobu | 2014年8月22日 (金) 11時23分

マスコミさんはまだまだやる気満々みたいよ
なにが彼らをこうまで焚きつけたのか?

夏の甲子園 「おにぎり女子マネ」は美談なのか
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140822/art14082208150002-n1.htm

投稿: | 2014年8月22日 (金) 11時28分

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