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2014年8月 9日 (土)

著作物の二次利用で大手同士の法廷闘争勃発

ブリ的紳士ともなれば苦みの利いたジョークも飛ばせるようでなければとても一人前とは呼ばれないそうですが、そのブリからこんなニュースが出ています。

英国で「パロディ権」が認められる(2014年8月4日slashdot)

英国で「パロディを作る権利」を認める形で著作権法が改正されられたそうだ(TheDrum、GIZMODO UK)。

英国の著作権法が改正され、パロディ作品を作るために既存作品を適切に利用することが認められるという話のようだ。もちろんパロディ元の権利者の許諾やライセンス料は不要で、その成果物の配布も許される

英国では数年前より著作権に関連する規制を緩和する動きがあり、9年前から「パロディ権」を認めるような活動が行われていたという。なお、フランスではすでにパロディを創作する権利が認められており、日本でもパロディ権についての議論が一部で出てきている(NHK:クローズアップ現代、日経新聞)。

まあしかし著作物の二次利用と言うことになりますと著作権者の思っても見なかった方向性での利用が必ず問題になるものですが、この場合著作権者の意図に対して真逆な方向性での利用しか考えてなさそうな気配が濃厚であるのに、こうした法が成立すると言うのはやはり著作権者も立派なブリ的紳士であったと言うことなのでしょうか?
ともかくも世界的にこのところ同種の法整備が進んでいて、記事にもありますように先日から日本でもようやくパロディーあるいは二次創作に関する法的な立場の議論が始まったところですが、以前にもTPP推進によって二次創作が消える?などと言う話を取り上げましたように、国によって著作権者の権利と言うものの捉え方が大きく異なることもあってどこまでを認めるかと言う議論はなかなか難しいところがあると思います。
ネットなどの無料動画配信なども以前は徹底的に削除を要請する著作権者が多かったものですが、それによって知名度が上がることが長期的なビジネスの利益にもつながると言うことが知られてきたせいでしょうか、最近では芸能活動などむしろ積極的に無料動画配信を行ってPRをすると言う方針に転じたケースも少なくないですよね。
現実的に考えてもマスコミ等を動員して大々的なPR活動を行っていくとなるとお金も手間もかかるわけで、同等以上の効果がほとんど手間賃レベルであげられるとなればそちらの方が金銭的にもメリットがあると言うものですが、当然ながら逆に言えば業界的に落ちてくるお金が減ると言うことにもなるわけですから、この種の著作権者と消費者が直結する動きと言うものは両者の中間部に位置する方々にとっては痛し痒しでしょう。
いささか話が飛びましたけれども、この未だ議論山積という日本の著作物二次利用に関して新たな一石を投じかねない事件が発生したと話題になっていますが、こちらの記事から紹介してみましょう。

スク・エニに家宅捜索 人気漫画「ハイスコアガール」がゲームキャラ無断使用・著作権侵害の疑い(2014年8月6日産経新聞)

 コミック誌で連載されている漫画の作中で、別会社の人気ゲームのキャラクターを無断で使用していたとして、大阪府警生活経済課は5日、著作権法違反容疑で、ドラゴンクエストやファイナルファンタジー(FF)シリーズなど人気ゲームソフトの製作で知られる発行元の「スクウェア・エニックス」(東京都新宿区)の本社など関係先を家宅捜索した。

 捜査関係者らによると、著作権侵害の疑いが持たれているのは「月刊ビッグガンガン」誌上で押切蓮介氏が連載している「ハイスコアガール」。府警は押収資料の分析を進め、会社の担当者や作者らから今後任意で事情を聴く方針。
 スクウェア・エニックスはこの漫画の中で、ゲームソフト販売・開発会社「SNKプレイモア」(大阪府吹田市)が著作権を持つ対戦型格闘ゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)」や「サムライスピリッツ」などのキャラクターを、許諾なしに勝手に使用したとしている。

 ハイスコアガールは1990年代を舞台にしたラブコメディー作品。主人公がゲームマニアで、作中で当時ブームになったさまざまな格闘ゲームをプレーする。その中でKOFやサムライスピリッツのキャラクターが100カ所以上にわたって登場していたという。
 単行本の巻末には、著作権表示によく使われる(C)マークとともにSNK社の名前が他の複数のゲーム会社とともに記され、あたかも許諾を得たような体裁になっていた

 ハイスコアガールのアニメ化にあたって、関東地方の映像製作会社が昨年夏ごろ、SNK社にキャラクターや音楽の使用許諾について問い合わせたことがきっかけで、漫画に無断使用されていたことが発覚。SNK社が今年5月、大阪府警に告訴していた。
 スクウェア・エニックスは人気ゲームソフトの製作のほか、複数の漫画誌を発行している。

この事件に関して興味深いこととして、記事にもありますがコミックスには各社の著作権表示がずらずらと記載されている、そして名前が挙がっている他社も正式に契約を締結し何ら問題ないと言っている中でただ一社だけが「事前に何も話がなかったし、事後にも誠意ある対応もしない」と言っていると言う状況なのですが、スクエニ側は著作権侵害ではないと言い、コミックスは回収するものの連載は続けると言っているようです。
考えてみると「お騒がせしたから回収した」と言うのもファンからすればおかしな話ですし、事実著作権を巡って法的トラブルがあるのであれば連載を続けることも問題だろうと思うのですが、単純に著作権侵害と言うことに関して解釈が違っていると言うことなのかどうか、ともかく一連の時系列を見るとどうも編集と法務の連携もよくなかったことが問題を大きくしたのか?などとも想像されるところです。
いずれにしてもこうした出版物における著作権の扱いはなかなかグレーゾーンが大きいようで、そうであるからこそ業界内では相互に黙認している部分と言うのも多かったようなのですが、その意味で法的には正しい行動をしているとしても業界の流儀には反すると言うことになるのかどうか、世間的には意外に「まあ手続きを踏んでなかったのなら仕方ない」と冷静な声が多いのに反して関連業界内部からの反発の方が強い様子もあるようです。

スクウェア・エニックスの家宅捜索に、ゲーム開発者らが「スクエニ擁護」のコメントをTwitterに投稿(2014年8月7日トピックニュース)

ゲーム会社大手のスクウェア・エニックス(スクエニ)が5日、著作権法違反の疑いで大阪府警の家宅捜索を受けた問題で、ゲーム開発者からスクエニを擁護するツイートが続出している。

著作権侵害の疑いが持たれているのは押切蓮介氏が連載している「ハイスコアガール」で、「当社の許諾を受けることなく、当社が著作権を有する多数のゲームプログラムのキャラクターを複製使用した」として、SNKプレイモアがスクエニを刑事告発した。
この問題について、ゲーム制作会社フライトユニットの松本浩幸代表は自身のTwitterアカウント(アカウント名は安堂ひろゆき)で「スクエニ側の非が無いわけじゃないけど、普通はここまでこじれる事は無いし、そもそもこじれるような内容でも無いんで面倒臭いねえ、、、ゲームファンとしても」「『販売の即時停止を求めたが、なんら誠意ある対応がなかった』ってスタート時点からSNK側の要求が頭おかしい」と6日に投稿し、スクエニを擁護した。

また、ネット掲示板「2ちゃんねる」上で、ソニー・コンピュータエンタテインメントSCE第1事業部ソフトウェア開発部の西野元章氏ではないかと言われている、仁志野六八氏のTwittterアカウントでは、5日の午後6時頃に「この程度で家宅捜査とか訳がわからん…」と投稿されたが、6日になって「この程度」という表現が不適切な発言であったとし、謝罪の投稿と、該当するツイートを削除した。
さらに、前述の松本浩幸氏の投稿に対して「SNKも困ったことをしてくれましたよね…」と返信している。

ま、法に従って厳密に杓子定規に解釈が進んでしまうと色々と困ると言う現実があることは容易に想像出来るのですが、要するに著作物の二次利用によって一時的に何らかの不利益を被ることがあっても別の部分で逆に儲けられることもあり、全体としては互いにwin-winの関係でやっていられるものなのだと言う共通認識が業界内にはあると言うことでしょうか。
確かに今回話題になった格闘ゲームの世界に関してもかつては開発元の垣根を越えた対決!なんてことが話題になったり、アニメやコミックスなど公式の二次利用に留まらず各種同人活動など様々な方面で人気が広がったことが往年の格ゲーブームを呼んだことは間違いないと思いますけれども、同時に同人誌などではそれこそ著作権者の意図に反した(だろう)二次利用なども盛んであったのは事実です。
格ゲーなどはキャラの人格付けがそれほど重要でもなく問題になることも少ないのかも知れませんが、漫画やアニメのキャラなどになりますと不適切利用と言うことに関してファン同士でも議論の別れる部分があって、当然ながら著作権者においても同人活動では著作権料が入らないと言った現実的な不利益を別としても、心情的にも面白からぬ思いをすることもあったのだろうと思いますね。
この辺りは二次利用者に広範な自由を担保する方がファン層を広げ全体として皆が潤うと言う考え方にも一理あれば、著作権者が得るべきものは当然きちんと得られるようにするのが筋だと言う考え方にも一理あると思いますが、少なくとも営利企業が公的な出版物等として二次利用をする場合にはきちんと決まり切った手順は踏んでおくべきだろうとは思います。
業界内においてもその辺りのルールが未だ明確でないのかも知れませんが、関係各社が羮に懲りて膾を吹くような対応に一斉に走り出せばそれこそ各方面への影響は甚大なものになるわけで、自由を担保するにはその前提となる相応のルールは必要だろうと言うことでしょうね。

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コメント

他ならぬパクリの帝王SNKが何いってんだネタですかw

投稿: | 2014年8月 9日 (土) 08時33分

カプコン、セガ、バンダイは了解を取っていたようですが、コナミデジタルエンタテインメントは微妙ですよね。ハドソン(桃鉄)は事後に謝罪文。

「この件に関しては、コメントを控えさせて下さい」と取材に話した。許諾の有無については把握しているものの、その話が外部に出ると様々なところに影響が出るからだと理由を説明している。
http://www.j-cast.com/2014/08/06212527.html?p=all

たぶん告発受けたからだと思うけど、少し前にウチにも謝罪文来てるので、他のメーカーも軒並み無許諾だと思う。編集部は何をしてたのかしらね。
https://twitter.com/sakumariko/status/496839664410435585

カプコンのようにコラボ企画を行っている会社しか事前に許可を取らなかったのでは?

投稿: | 2014年8月 9日 (土) 08時38分

クソ編集部のせいで作者涙目w

投稿: aaa | 2014年8月 9日 (土) 09時40分

>他のメーカーも軒並み無許諾だと思う。

これっていっそ完全な無断引用だったら騒ぎになってなかったんじゃ?
話通してもないのにウソの許諾表示してたら怒られますよそれは。

投稿: ぽん太 | 2014年8月 9日 (土) 09時55分

ヒット作を連発するゲームメーカーでありながら、なぜこんな事態に…。「ドラゴンクエスト」や
「ファイナルファンタジー」などの製作で知られる大手ゲームソフト開発会社「スクウェア・エニックス」(東京)が
8月5日、大阪府警の家宅捜索を受けた。発行する月刊誌で連載中の漫画「ハイスコアガール」(押切蓮介氏著)の中で、
他社のゲームキャラクターを無断使用したとされる著作権法違反容疑だ。魅力的なキャラクターが活躍するゲームを
製作・販売しているスクエニ社だけに、著作権には敏感な気がするのだが、無断使用は100カ所以上とされ、
使われた側は「極めて悪質な行為」と怒り心頭だ。スクエニ社は「違反の認識はない」との立場を取り、
府警の捜査もこれからだが、「お騒がせした」とのことでスクエニ社は単行本などを回収。ハイスコアガールは書店の本棚から姿を消した。

ハイスコアガールの単行本では、巻末に「SPECIAL THANKS」として、SNK社など作中に登場するゲーム会社名が列挙され、
(C)マークとともに各社の会社名が記載されていた。一見、許可を取っているかのようだ。
しかし、文化庁によると、(C)マークは元々、著作権が登録制だった海外の国において、すでにそれが
他国の著作物であることを示すために使われたマークだった。現在は登録制の国が少なくなり、
(C)マークの本来の意味も失われた。最近は、単に著作権者が誰かを表すために使われることが多いという。
つまり、「SPECIAL THANKS」と書いてあったり、(C)マークを付けた会社名を記載していても、
それは必ずしも許可を取った証しではなかったのだ。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140901-00000502-biz_san-nb&p=2

投稿: | 2014年9月 2日 (火) 13時25分

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