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2014年7月14日 (月)

あちらこちらからクレームが殺到する時代

昨今では何であれクレームが舞い込まないものはないと言ってもいいくらいで、特にCMのようにイメージアップを狙う意図のあるものではそもそもクレームをつけられると言うこと自体が失敗だと言う考え方もあるのでしょうけれども、そうは言っても箸にも棒にもかからない無難なものばかりでは誰の印象にも残りませんし、また昨今では逆にクレームをつけられることを狙っているんじゃないか?と言われる広報戦略すらあるようです。
別段大騒ぎするようなものでもないと思われていたものがクレームによって打ち切られた、しかもどうやらクレームをつけたのがごく一部の人間に過ぎなかったとなればネット上では「何故打ち切るんだ?!」と論争に発展することがしばしばありますが、特にそれが一般的にはむしろ優良なものであると認識されていた場合には騒ぎが大きくなる傾向にあるのも当然と言えば当然でしょうか。

テレビCM:リアルな就活 批判受け東京ガス放映打ち切り(2014年7月4日毎日新聞)

 就職活動中の女子学生の厳しい日々を題材にした東京ガスのテレビCM「家族の絆・母からのエール」編が、今年2月1日の放送開始から1カ月足らずで打ち切りになったことが話題となっている。当時、就活生やその母親とみられる人から「リアルにできていて心が痛む」などのクレームが寄せられ、そうした声などに配慮したためという。最近になってツイッターなどでこの打ち切られたCMが話題となり、「感動的。見て泣いてしまった」など、打ち切りに疑問を呈する声も上がっている。

 CMは、就活中の女子学生が主人公。志望企業から何十通もの「お祈りメール」(不採用通知、末尾に他社への就職活動の成功を祈念する文が付くことからこう呼ばれる)をもらった末に、ようやく最終面接までこぎ着けた企業からも「お祈りメール」が届く。近所の公園のブランコにぼんやり座っていて、母親に背を押されて号泣。母の作った鍋焼きうどんを食べ、翌朝、スマホに「まだまだ」と打ち込んで再び就活に飛び込んでいくシーンで終わる。

 同社によると、CMの放送期間中、「心が痛む」など批判の電話が数件寄せられたという。このCMの前に流していた「家族の絆・ばあちゃんの料理」編が広告賞の最優秀賞に内定したこともあり、総合的な判断から「母からのエール」編を2月22日で打ち切り、「ばあちゃんの料理」編に切り替えたという。クレームの件数は多くはなかったものの、2月は就職活動が本格化している時期でもあり、就活生の心情に配慮したとみられる。

 このCMをめぐっては、「最後の凜(りん)とした女性の表情、すごくいいなと思う」「(自分が就活をしていた)1年前に見たら嫌な思いしただろうなぁ」などと賛否両論の意見があった。東京ガスには「素晴らしいCMで感動した。なぜ放送を中止したのか」などと尋ねる電話もあったという。【尾村洋介/デジタル報道センター】

このCMに関してはひとまずオリジナルの映像の方を御覧いただきたいと思いますけれども、確かに重い内容ではあるのですが昨今の軽薄短小な時代に珍しく丁寧に作られた内容であるとは言えそうですし、逆にそれだけ作り込まれているからこそ一部の方々にとってはクリティカルヒットになってしまったのかなとも思います。
ちなみにこの東京ガスの一連のCMシリーズに関しては他にもなかなかにユニークかつ妙に心に響くものが多いと一部で評判ではあるようで、まあガス会社のCMとしてこうした作風が妥当なのかどうかはともかくとして、CMとして第一に重要な視聴者の注目を集めるという点に関してはそれなりに仕事はしているなと言う評価になるのでしょうか。
いずれにしても企業側としてはこれだけ話題になったのだからCMとしての役割は十分果たして元を取ったとも言えるのでしょうし、今も動画としては残っていることから見たい人にはいつでも見られると言う点で比較的誰にとっても損がなかったと言う終わり方だと言えますが、これが現物が残っていて活動していて初めて意味があると言った類のものであれば話は別ですよね。
そう言った意味で今日日「ゆるキャラなのに全然ゆるくない」と言ったことは別段珍しいことでもありませんけれども、ゆるくなかった結果ここまでの騒動に発展したと言うケースは少ないんじゃないかと言う騒動が勃発したようで、見たくないと言う一部の意見に対してどこまで配慮すべきなのかと言うことを考えさせる例題として取り上げてみようかと思います。

鳥取城:飢餓キャラ「かつ江さん」 市民の批判で公開中止(2014年7月9日毎日新聞)

 鳥取城跡のマスコットキャラクター「かつ江(渇え)さん」が、その見た目や名前から波紋を広げている。羽柴(豊臣)秀吉による鳥取城の兵糧攻め「鳥取の渇え殺し」(1581年)に巻き込まれた民衆をイメージし、右手にカエルを持つ女性のイラストで、7日午後に市のホームページ(HP)で公開を始めると9日朝までに6万3000件以上のアクセスがあった。市民から「不快だ」などと批判の声も寄せられ、市教委は同日公開を中止した。

 かつ江さんは、鳥取市教委の公募に市内の男性が応募し次点の優秀賞に選ばれた作品。7日からHPで画像を公開して2次利用も認めたところ、アクセスが急増。一方で「行政が飢餓をちゃかしている」「同じ名前の人もいて不快だ」などの声も。市教委は「飢餓を揶揄(やゆ)しているわけではなく、兵糧攻めを考える上でふさわしいと思い採用した」と説明。今後、イラストはそのままで名前だけを変え公開し直すという。

 また市教委はかつ江さんの名前付きのイラストを使い、鳥取城跡を紹介したパンフレットを既に3000部作製しているが、「このままでは配布できないので対応を考える」としている。【川瀬慎一朗】

かつ江さん:批判受け鳥取市HPでの非公開決める(2014年7月10日毎日新聞)

 鳥取市教委は10日、市民から「不快」と批判が出ていた鳥取城跡のマスコットキャラクター「かつ江(渇え)さん」について、市のホームページ(HP)上での公開は今後一切しないことを決めた。9日には「名前を変えて再公開する」としていたが、反響の大きさを受けて変更した。一般に向けてキャラクターの名称や画像の2次使用の自粛を要請する。ただ、HP以外での活用は検討を続け、「キャラクターをなくすことは考えていない」としている。

 10日記者会見した市教委は非公開にする理由として、批判の声が大きかったことや、公開の意図を逸脱して話題が独り歩きすることなどを挙げた。市教委には10日午後6時までに約40通のメールや電話が寄せられ、「市のイメージがダウンする」「市民として恥ずかしい」などの批判の一方、「渇え殺しを知ることができた」などの声もあったという。

 一方、今回の決定について、キャラクターの選考委員だった市民団体副会長の男性(63)は「歴史を学ぶきっかけになるのに、数日間に寄せられた意見だけで中止するのはいかがなものか」と話した。【川瀬慎一朗】


かつ江さん:「公表の仕方や管理ずさん」作成者が不満訴え(2014年7月11日毎日新聞)

 鳥取市教委が公募で選定した鳥取城跡のマスコットキャラクター「かつ江(渇え)さん」が市民らから「不快」などと批判を受け、ホームページ(HP)での公開を4日間で終了した問題で、キャラクターを作成した同市内の男性(40)が11日、毎日新聞の取材に応じ「作品の公表の仕方や管理をしっかりしてほしかった」と不満を述べた。

 作成した男性は、インパクトを持たせるため、色鉛筆を使って荒々しい絵柄にし、名前も、鳥取城であった籠城(ろうじょう)戦「鳥取の渇(かつ)え殺し」を広く知ってもらおうと名付けた、という。男性は市教委の対応について、HPからダウンロードして自由に使えるようにした点を問題視。「ネット上での作品管理がずさんすぎた」と述べ、「もっと市民に説明を尽くしてほしかった」と訴えた。

 一方、市教委への批判や抗議の電話は11日も続いた。キャラクターと同じ名前の中学生の娘をもつ母親は「娘がテレビ報道を見て『自殺する』と言っている」と泣きながら訴えたという。

 平井伸治知事も「不快感を与えた点は反省してほしい」としつつ、「市の認知度を高めることに成功した面もある」と述べた。キャラクターについては「教材(に使う)などでインパクトを持って伝わるのでは」と理解も示した。【川瀬慎一朗】

その映像的インパクトの方は元記事の方を参照いただくとして、ここで留意いただきたいのはシンプルに画像的に不快であると言うこともさることながら、歴史的に悲惨な籠城戦の一つとして知られている鳥取城攻略戦と言う微妙なテーマを扱っていることも批判の対象になっていると言うことですが、そもそも地域の歴史的に取り上げるべきテーマでもあると言う点ではインパクトあるキャラクターであることは相応に意味があるわけです。
ただその使い方としてやはり悲劇的な歴史を象徴するものとして慎重に使うべきものであるとすれば、作者が方向性を選ばず自由に使用できる状況に置いたことを批判していると言うのも理解出来ることで、せっかくインパクトあるキャラに仕上がっているのですからもう少し利用法を考えていけばよかったのに変な方向で知名度が高まってもったいなかったでしょうか。
ただ一般論として何事にも不快だと感じる人はいるもので、特に名前が同じだから不快だと言うのはいささかクレームの付け方としてどうなのかですし、こうした偶然の一致で子供がダメージを受けることを懸念するよりも、いちいちそうしたことを気に病む必要はないのだと言うことを教え諭す契機とした方が、後々社会に出てからも役に立つのではないかと言う気がします。
市としてはせっかくキャラクターとしての知名度が高まったのですから、今後は城の歴史紹介等真っ当な用途に積極的に活用していけば知名度も生かせると言うものですし、忌むべき存在だとして封印してしまうよりも同じ名前を持つ全国数多の子供達にずっとポジティブなメッセージを送ることになるんじゃないかと思いますね。

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コメント

100%の賛辞はありえないんだから反対意見が出たら中止ってどうなんだろ?

投稿: | 2014年7月14日 (月) 08時30分

>羽柴(豊臣)秀吉による鳥取城の兵糧攻め「鳥取の渇え殺し」(1581年)に巻き込まれた民衆をイメージ

素朴な疑問としてマスコットキャラ用意してまで広めるべきものなのかって気が。
近ごろの歴女っていわれる人たちはこういう暗い歴史に萌えるんですかね?

投稿: ぽん太 | 2014年7月14日 (月) 08時57分

 東京ガスは「別のCMを流すため」とちゃんと説明してるのに、毎日とかが勝手に「批判のため」と煽ってるだけですが。

投稿: ?? | 2014年7月14日 (月) 10時00分

打ち切りになったのは事実だよ?

投稿: | 2014年7月14日 (月) 10時39分

>マスコットキャラ用意してまで広めるべきものなのか

城と言うもの自体が戦争の中でも特に防戦のための施設ですから、基本的には華々しい勝ち戦の記憶には結びつきにくいものではあるかなと言う気がします。
日本人の場合滅びの美学と言うものにも親和性が高いので売り出し方次第で十分商品力はあるかと思うのですが、そういう方向性で売り出すためには今回のキャラクター付けはやや合わなかったのでしょうか。
いっそ昨今流行りのかわいい系の女の子化くらいまで行っていた方がよかったのかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2014年7月14日 (月) 11時12分

>同じ名前の人もいて不快だ

ゾルゲ君乙w

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年7月14日 (月) 12時18分

>100%の賛辞はありえないんだから反対意見が出たら中止ってどうなんだろ?

この国では100%の賛辞が得られないものは全て批判対象になります。そういう国ですので医療は終焉に向かってます、

投稿: REX | 2014年7月14日 (月) 20時20分

お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が、13日放送のトーク番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)で、東京ガスのCM「家族の絆・母からのエール」編が視聴者の批判を受けて打ち切りになったことに疑問を呈した。

番組は、視聴者からトークのテーマを受け付ける「あなたが取り上げてほしいニュース」のコーナーで、同CMの打ち切りが話題になっていることを紹介。
同CMは今年2月に放送されたが、女子学生の厳しい就活の日々をテーマにしたため、就活生やその母親から「リアルにできていて心が痛む」などのクレームが寄せられ、1カ月間しか放送されなかった。

松本は、CMはリアルタイムでは見てないとしながら、「何が文句があるのかまったくわからない」と描かれている内容は問題ないとの考えを示した。
これにゲスト出演した渡辺真理は、就活中の当事者たちは逆なでされた感じを受けるのではないかと指摘。出演者の間でさまざまな意見が飛び交うなか、松本は「僕が常に腹が立つのはクレーム」と主張した。

松本は「クレーム付ける人にこれからどこの誰って名乗って(もらって)、どういう理由でこれを見て嫌だったのか、腹が立ったのか、
悲しかったのかをしっかり訊いて、それに答えない人のはクレームとしてカウントしない方がいいと思いますね」と持論を述べた。

さらに「たぶんクレーム癖が付いてる。同じクレームをする人の絶対数は決まっていて、何にでもクレームを付ける癖がある人が絶対にいますね。これちゃんとデータさえ取ったら(クレームは)なくなると思うんですよ」と主張。
「じゃないと世の中にとって良くない! カウントしておいて、1年間通じて『あなたクレーム多すぎ』ってこっちから言える。
『あなたのクレーム認めません』『クレームしたいだけ』って」とクレームにクレームで対応することもありではないかと訴えた。

一方、この日、ゲスト出演した杉田かおるは、30年前に東京ガスのCMに出演したとし、「『東京ガス』と言っただけで500万円もらった」と景気が良かった時代のエピソードを語った

http://news.livedoor.com/article/detail/9038054/

投稿: | 2014年7月14日 (月) 22時11分

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