« 広範囲に広がっている「禁忌」使用法の実態 | トップページ | そのゆるすぎる行動はどこから生まれているのか »

2014年7月16日 (水)

弁護士業界の中の人 いよいよ追い詰められる?

本日の本題に入る前に、以前に島根医大で研修医室に研修医自身が灯油をまいて放火すると言う前代未聞の事件がありましたが、妙なところでその続報が出ているようです。

研修医、病院に爆破予告=業務妨害容疑で再逮捕-島根県警(2014年7月14日時事ドットコム)

 島根大病院の施設に火を付けたとして逮捕された研修医が、研修先の市立病院の爆破を予告する文書を送り付け、病院の業務を妨害したとして、島根県警松江署は14日、偽計業務妨害容疑で研修医佐藤司容疑者(28)=同県出雲市塩冶町=を再逮捕した。容疑を認めているという。

 逮捕容疑は昨年7月27日、研修先の松江市立病院と同市役所に対し、「7月29日から30日にかけて病院を爆破する」と書いた文書を郵送し、患者の避難をさせるなど病院の業務を妨害した疑い。

しかしこういう事件を繰り返す点からするとよほどに追い込まれやすい人物なのか?とも思うし、昨今研修医など超売り手市場でもの凄く立場が強化されているイメージがあるだけに違和感も感じるのですが、卒業年数からすると初期研修医として働いていたようなのに、初期研修の最中に市立病院から大学病院に代わっているのも何か事情があったのですかね。
ともかくも近ごろでは世の中のあちこちで追い込まれてしまう人が目立っている印象で、しかも本来であれば社会的にそれなりの地位にも就いていたはずの方々でさえ大変な状況と言うのが社会階層固定化回避と言う点で評価すべきなのかどうか、何にしろ昔のように学校を出て就職すればその時点で人生行路ほぼ確定と言う時代ではないことは間違いないようです。
中でも昨今あまりに急速な人員増加に伴って人余りが顕著となり、定員すら充足出来なくなった各地の法科大学院が絶讚廃止中と言う弁護士業界などもかつては文系トップエリートと言われた地位から凋落著しいのだそうですが、その結果こうまで追い込まれてしまった人がいると言うのは時代の流れを感じますよね。

多重債務者の斡旋受ける 弁護士ら在宅起訴へ(2014年7月8日産経ニュース)

 弁護士資格のないNPO法人の元代表(49)から多重債務者の斡旋(あっせん)を受けたとして、東京地検特捜部が弁護士法違反の疑いで、弁護士数人と元代表から事情聴取していたことが8日、関係者への取材で分かった。近く同法違反(非弁提携など)の罪で弁護士と元代表を在宅起訴するとみられる。
 弁護士法では、債務整理業は弁護士しか行えないと規定しており、報酬を得て債務者を紹介したり、紹介を受けたりする行為を禁じている

 関係者によると、特捜部の事情聴取を受けたのは東京都内の40~80代の男性弁護士で、少なくとも3人。平成21~25年にかけて、多重債務者の救済を掲げるNPO法人「ライフエイド」(東京都台東区、解散)の元代表から債務者の紹介を繰り返し受けていた疑いがある。
 弁護士は、債務者が消費者金融に払い過ぎた利息(過払い金)の返還請求などを行っていた。弁護士事務所では元代表が派遣した事務員が経理を担当。元代表に収益の一部を送った上で、弁護士には月50万~100万円の報酬を支払っていたという。
 元代表は、過払い金請求業務で得た報酬を申告せずに約1億5千万円を脱税したとして所得税法違反罪で、2月に東京国税局に告発された。

「報酬50万円に飛びついた」 多重債務者斡旋、浮かびあがる弁護士の困窮(2014年7月9日産経ニュース)

 東京都内の弁護士数人が、弁護士資格のないNPO法人元代表の紹介を受けて債務整理を行い、報酬の一部をNPO側が受け取っていた問題。“正義の味方”であるはずの弁護士が、なぜ違法な商売に手を貸したのか。弁護士への取材から浮かんだのは「経済的困窮」から違法行為に手を貸す様子だった。

■赤字で「飛びついた」

 「仕事が減って困っていた。月50万円という言葉に飛びついてしまった」
 平成22年から約2年間、元代表と提携していた50代の男性弁護士は、産経新聞の取材にこう振り返った。「近年は弁護士が増えて仕事が取れなくなった。事務所は赤字状態が続いていた」とも打ち明けた。
 当初、先輩弁護士から「債務整理の仕事をしないか」と誘われた。週3、4件のペースで払い過ぎた利息(過払い金)の返還交渉などを手がけ、多重債務者から手数料などで月300万円を得たこともあったが、実際には事務員が大半を元代表へ送金していたという。この弁護士は「実務は自分でやっていたので違法性はないと思っていた」と訴えた。
 別の40代男性弁護士には「月100万円の報酬」が提示された。当時、弁護士は仕事があまり得られない状況だったという。「事務員に経理を任せていた。帳簿上、すべて自分の報酬になるのかと思っていた」と釈明する。

懲戒弁護士もターゲット

 23年3月まで元代表と提携していた70代男性弁護士は「経理をNPO側に任せるのは危険だと思った」と振り返る。同僚弁護士の業務を引き継いだが、元代表との提携が違法だと気付き約1年で提携を打ち切った。「飛びついて抜け出せなくなる弁護士も多いのではないか」と振り返る。
 元代表は20年以降、少なくとも7人の弁護士と提携。多くは仕事量が減ったり、懲戒処分を受けたりして経済的に困窮していたという。「そうした弁護士に定期的な報酬を確約することで人員を確保し、債権回収をビジネスとして成立させていた」(検察幹部)。

 日弁連の調査(22年)によると、平均的な弁護士の年間所得(中央値)は12年の1300万円から10年間で959万円にダウン「10年前に比べて弁護士間の競争は厳しくなったか」との質問には4割以上が「そう思う」と回答した。
 別の検察幹部は「弁護士数の急増もあるのかもしれないが、弁護士には高いモラルが求められる。困窮しているといって、法に抵触した行為をするのは言語道断だ」と話している。

「クモの糸つかむ思い」仕事に困窮の弁護士(2014年7月10日産経ニュース)

 資格がないNPO法人元代表から債務整理の紹介を受けたとして、弁護士3人が9日東京地検に起訴された。いずれも懲戒処分や高齢が原因で仕事に困っていた弁護士ばかり。宮本孝一被告(46)は取材に「生活に困窮し、クモの糸をつかむ思いだった」と打ち明けた。

 宮本被告によると、平成21年に元NPO代表の小林哲也被告(49)と知り合った。複数回、懲戒処分を受け、借金は膨らみ、当時勤めていた事務所を辞めようとしたころ、「債務整理を手伝ってくれる人がいる」と、知人から紹介されたという。
 小林被告が連れてきた事務員らと一緒に、都内に新たな事務所を開設。新聞折り込みチラシやインターネットを駆使して多重債務者をかき集め、実際の債務整理は弁護士や事務員がこなした。日弁連の非弁提携問題の担当者は「競争激化で、仕事がない弁護士が提携に走る傾向がある。業界全体の問題として、倫理研修を徹底したい」と話している。

まあしかし他人のお金を一手に預かる銀行員などがそうそう食うに困らないほど高い収入を得ているのは何故なのかと言うことを改めて考えさせる事件ではあったのでしょうかね。
食っていく収入の道に困っている、そして今さら他の仕事にも転職できない専門馬鹿(失礼)に対して「金に困ろうが倫理は守れ」と言っても倫理で飯が食えるのかと言う話で、特にこれからは弁護士余りがますます加速して行きかねない時代なのですから、個々人のモラルに依存した努力目標にいつまでも頼っていても仕方がないのかなと言う気がします。
弁護士業界の場合は日弁連のような法律によって強制加入の業界団体があるので、何かあればそちらから処分を下すことが出来ると言う抑制力が働いていますけれども、世の中専門的な資格を持つことで行うことの出来る限りなくグレーな仕事と言うのは決して少なくないわけで、食い詰めてそれらに手を出そうかと考えている弁護士からすれば「偉そうなことを言うなら仕事をくれ」と言う気持ちなのかも知れませんね。

この辺りは弁護士業界内部で仕事の割り振りがどのように行われているのか存じ上げないのですが、医師の世界ですとかつては日々バイトに終われていた研修医が新臨床研修制度導入以後は最低賃金保証の上でバイト禁止になったのも研修に専念出来るだけの収入を保障するのと同時に、研修医時代から金払いのいいバイト先ばかりを飛び回って金儲けに走るのを抑制すると言う目的もあったわけです。
また医局制度が未だ力を持っていた頃は臨床能力上いささか問題ありと思われる人材は大学医局で飼い殺しにしておくとか、看取りだけの老健なりに派遣して世間様の迷惑にならないようにと言った配慮が行われていたものですが、法的に裏付けられていると言う点で医局や医師会などよりずっと権限を振るえるだろう日弁連の方がもっと主体的になって動いていてもよさそうに思いますね。
一国民の立場として考えると食うにも困っている弁護士に金目当ての仕事をされると言うのも怖いのが正直なところですが、もっとも人権侵害などに酷く鈍感で、むしろ自ら進んで奴隷労働に身を堕とすことを何とも思わないどころかマゾ的喜びすら覚えかねない医者と言う人種と違って、法律に詳しい弁護士の先生方であれば強制的な権力によってどうこうされると言うこと自体がひどくセンシティブな問題となってしまうのかも知れません。

|

« 広範囲に広がっている「禁忌」使用法の実態 | トップページ | そのゆるすぎる行動はどこから生まれているのか »

心と体」カテゴリの記事

コメント

まだ959万も稼いでるんだから無問題だね
エリートさんは自分でがんばって解決してください

投稿: | 2014年7月16日 (水) 08時31分

>初期研修の最中に市立病院から大学病院に代わっている
1年間は大学病院、1年間は市中病院というプログラムで初期臨床研修を実施している大学病院がありますので、訳ありではないかもしれません。

投稿: クマ | 2014年7月16日 (水) 09時04分

もともと何か素因があったのか環境が合わなかったのか…
せっかく医師免許まで取ったのにすっかり人生狂わせちゃいましたね…
しかし今どきの入局してない研修医だとこういう場合誰も救済してくれない?

投稿: ぽん太 | 2014年7月16日 (水) 09時56分

>「実務は自分でやっていたので違法性はないと思っていた」

それでもプロかよ…

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年7月16日 (水) 10時20分

>それでもプロかよ…

まさにそこが一番感じるところなのですが、医療の分野においても眼科でもないのにコンタクトクリのバイトをしていたりと言った黒歴史がありますから、門外漢が金儲けだけに走るとはこういうことなのかも知れません。
ただ高度専門職等を筆頭に他人にモラルを求めるなら求めるでそれ相応の見返りを用意しておかないと、結局社会的に見た場合の不利益が増大してかえって損になるんじゃないかとは感じています。

投稿: 管理人nobu | 2014年7月16日 (水) 10時28分

この歳になるまでそれなりに稼いでただろうに、貯蓄とかは一切してなかったの?>貧乏弁護士先生

投稿: | 2014年7月16日 (水) 10時47分

>複数回、懲戒処分を受け、借金は膨らみ、当時勤めていた事務所を辞めようとした

この状況で辞めるってのは弁護士事務所ってどういう給与体系なんだろ?
医師だったらこういうときは田舎病院あたりにしがみついてそうなものだけど

投稿: こだま | 2014年7月16日 (水) 11時06分

>医療の分野においても眼科でもないのにコンタクトクリのバイトをしていたりと言った黒歴史

それって微妙に違う気がするんですが…。非眼科専門医のコンタクトクリバイトは「違法」ではないですし(よね?)、仮に違法だとしても医師は法曹ではないですから違法性を認知してなかったとしても弁護士が医学的知識に欠けているようなものでそれ自体は特に恥ではないように思われます。

>ただ高度専門職等を筆頭に他人にモラルを求めるなら求めるでそれ相応の見返りを用意しておかないと、結局社会的に見た場合の不利益が増大してかえって損になるんじゃないかとは感じています。

何度か書いてますが、量産型医師と量産型弁護士がタッグ組んだらエライ楽しい事になりそうですねえw。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年7月16日 (水) 12時59分

グレーさ具合で言うとヤクザ屋さんと組んでの嘘診断書書きくらいが近いのかも知れませんな>医者の不法行為

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年7月16日 (水) 18時03分

なんでエリート様の報酬を血税や規制で保障しなきゃならないの?

非倫理的行為、大いに結構。 法の範囲内でサービスやモノを提供して儲けるのが資本主義の常識。

有能なら儲ける。無能なら窮する。

これの何が不満か。

医者だから・・・とか東大卒弁護士だから・・・といった理由で給与や報酬をばら撒く必要は一切ない!

自助努力、市場原理でやっていただきたい。稼げないクズは死ねば?

投稿: ジャップ19 | 2014年7月25日 (金) 21時31分

同感です。特別扱いはやめるべき。職業に貴賎はありません。

投稿: | 2014年7月26日 (土) 06時27分

>なんでエリート様の報酬を血税や規制で保障しなきゃならないの?

アンダーグランドに潜って、法の埒外で悪さをする可能性が高いから。
あんたの懐に手を突っ込んで銭を掠める為の規制でも保護でもないよ
あんたの懐から酷くそれも気づかない内に収奪されないようにする為の
保険にすぎないんだわ、ロシアだのアメだのと引き比べりゃ想像付くよね。

投稿: | 2014年7月26日 (土) 09時08分

もうこの手の「オレたちエリート様はぜんぜんこまらねえんだよお前ら愚民どもが困るだけだw」みたいな脅しが通用する時代じゃないんだけどねw

投稿: | 2014年7月26日 (土) 10時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/59988075

この記事へのトラックバック一覧です: 弁護士業界の中の人 いよいよ追い詰められる?:

« 広範囲に広がっている「禁忌」使用法の実態 | トップページ | そのゆるすぎる行動はどこから生まれているのか »