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2014年7月29日 (火)

結局のところ大事なものは

本日の本題とはまた別の話ですが、先日報道されたこちらのニュースについてご存知でしょうか?

急病で入院の日本人男性、台湾の人々の温かい思いに支えられ帰国へ(2014年7月21日フォーカス台湾)

(桃園 21日 中央社)今月初め台湾の病院に救急入院したまま、現在も回復の見込みが立たない日本人男性が、台湾の人々の寄付と温かい思いに支えられ、あさって23日、医療用専用機で帰国し日本で治療を続けることになった。

この男性(50)は今月5日、台湾での出張を終えて日本へ戻る際に乗った航空機内で意識不明に陥った。同機はただちに桃園国際空港に引き返し、男性を県内平鎮市の私立病院に搬送。脳幹出血による重度の昏睡状態で集中治療室での治療が続けられた。まもなく男性の妻と娘が日本から台湾に駆けつけたが、その後2週間経っても容態の回復は見られなかった
何度も治療の継続を諦めようと考えていた家族は、台湾の人々に励まされ、また日本には高齢の両親もいることから、男性を日本に連れて帰って治療を続けることを決心、23日の帰国を計画した。去年保険を解約したばかりで、台湾での医療費と日本に連れて帰るための専用機の費用162万台湾元(約547万円)など重い負担がのしかかることを覚悟していたが、台湾の友人らの勧めもあって集められた寄付金を使うことになり、20日夜には台湾企業の代表からも寄付が届いた。
これまでの入院期間中には、地元の人が通訳を買って出たり、男性の世話にあたって病院で働くボランティアらが支援したり、病床で日本の歌を歌ってくれたりしたほか、台湾の友人たちが帰国費用の資金集めに奔走し、状況を知った他の入院患者の家族などから少しでも足しになればと数千元の寄付があったりしたという。

男性の妻と娘は、台湾の多くの人々の温かい心に感銘を受け、差し伸べてもらった温かい援助の手に感謝したいと取材陣に対し、何度も深々とお辞儀をしていた。

台湾人男性が日本に恩返し、日本人男性に治療費援助=台湾ネット「日本と台湾は相思相愛」「心温まるニュース」(2014年7月26日レコードチャイナ)

2014年7月24日、台湾出張中に脳幹出血で倒れた日本人男性を救うため、台湾人男性が治療費を援助したことを伝えた台湾メディアの記事に、台湾のネットユーザーからコメントが相次いだ。

この日本人男性は2日に台湾を訪れ、5日に帰国する予定だった。だが、離陸直後の帰国便のなかで脳幹出血を起こして倒れたため、飛行機は台湾の空港に引き返し、男性は病院の集中治療室(ICU)に入った。男性を日本に移送するには巨額の費用がかかるため、男性の妻は台湾の人々に助けを求めた。すると、ある企業の社長が匿名で160万台湾ドル(約540万円)を寄付。以前、日本でけがをした際に多くの日本人に助けられたことから、日本への恩返しのために今回の援助を申し出たという。この記事に多くのコメントが寄せられた。

「日台友好!」
「最近嫌なニュースばかりだったけど、これはいいニュースだ」
「愛は国境を越える!」
「同じ台湾人として誇り。この社長の善意に感謝する」
「台湾は日本が好きだし、日本も台湾が好きだよね」
「台湾の日本への好感度は国同士の問題を超えている」
「東日本大震災で台湾は68億台湾ドル(約230億円)の義援金を提供。四川の震災では70億台湾ドル(約238億円)を中国に送った。日本は今でも台湾に感謝してくれているが、中国は台湾をばかにしてばかりだ」(翻訳・編集/本郷)

記事を読んでみますと情けは人のためならずと言うことになるのでしょうか、ともかく医学的にはもちろん極めて厳しい状況であることには変わりないのですけれども、台湾の方々の暖かい支援の手に同胞の一人として篤く御礼申し上げるしかありません。
この海外における急病と言うもの、以前にも大阪で旅行中に急病となった中国人が600万円余の治療費を未払いのまま帰国し裁判沙汰になった件がありましたが、この場合もきちんと旅行者用の保険に加入していたにも関わらず持病だとして支払い対象外となったことがトラブルの発端だと言いますから、まずは保険をかけておくにしても契約内容の確認が必要だと言えそうです。
日本では大病になろうが健康保険による支払金額の上限もあって、普通に生計を立てている家庭であればまず支払えなくなると言うことはないでしょうが、そもそも諸外国においては医療費自己負担自体が非常に高額であり、特に今回のようにいわゆる末期の治療をどこまで行うべきかと言う判断が金銭的側面からも迫られる可能性があると言う点は理解しておく必要がありますよね。
最近では「マタたび」などと言って妊婦にどんどん海外旅行を勧めるような風潮が一部にあるようですけれども、純然たる医学的リスク以外にも医療経済的なリスクもあると言う点を十分に承知した上で行われるべきものだろうし、それを理解していない方々に安易に国内と同様の感覚で気軽に出歩くことを勧めると言うのもどうかと言うことでしょう。

さて、このところ景気が上向きつつある予兆はあるのに何となくすっきり好景気にまで行かないと言うもどかしさが統計的にも現れていて、その最大の要因として「需要があるのに供給が追いつかない」と言うことが挙げられていますが、例えば建築業界で言えば一つには復興需要によって建築資材自体が不足していると言うのが一点、そして材料があってもそれを組み立てる人材がいないと言うことがもう一点だと言います。
興味深いことに昨今倒産の理由として人手不足を理由にしたものが増えているのだそうで、建築業界や運送業界を中心に幾らでも仕事はあるのに人が来ない、その結果仕事を受注することが出来ないと言うジレンマがあると言いますが、興味深いのはこうした超売り手市場となるべき状況であるにも関わらず賃金は上昇するどころか、むしろ下落傾向にあると言う話もあり、その理由として非正規雇用の増加が挙げられています。
そもそも今の時代若い人材はどんどん減ってきているのですから本来なら好待遇で奪い合いが起きてもおかしくないのに、それを目先のコストカットで人材難を来しているのだとすれば自業自得と言うもので、関連業界においては是非この機会に取引先とも強力に交渉するなどして待遇改善を図っていただきたいところですが、ともかくこうした人材難への当座の手当としてにわかに外国人労働者が注目されているのは周知の通りですよね。
この点で例によって「そんなもの役に立つはずがない」と言う強い反対を受けながら実施されたのが医療・介護業界における外国人労働者の政策的導入なのですが、過去にも何度か伝えた通り言語能力の壁などに由来する国試合格率低迷など様々な問題もある一方で、案外現場での評判は悪いものではないと言う記事が出ています。

医療現場担う 外国人の今 高い順応性、言葉の壁なお(2014年7月24日日本経済新聞)

 医療の国際化と人手不足を背景に、外国人医師や看護師らの受け入れが進んできた。経済連携協定(EPA)による東南アジアからの看護師受け入れは累計で700人を超えたほか、医師についてもこのほど規制が緩和された。独自に日本の医師や看護師の資格を取得する外国人も増えている。医療現場を担う外国人の実情と課題を探った。

<看護師>

 「ご気分はどうですか。何か困ったことはありませんか」。袖ケ浦さつき台病院(千葉県袖ケ浦市)の外科病棟で、流ちょうな日本語で患者に声をかけるのはベトナム人看護師のファム・ティ・ミンフーさん(34)だ。6月下旬から入院している佐久間義子さん(86)は「検査で不安なときも優しく付き添ってくれる。日本人よりも優しいくらい」と厚い信頼を寄せる。(中略)
 文化や習慣の違いもある。思ったことをはっきり口にするベトナム人と違い、日本人は体調が悪くても話さないことがある。ミンフーさんはベトナムの風習や歴史を話して患者と親しくなるよう努める。「信頼関係を作ることが患者のケアにはとても重要だ」と話す。(中略)
 給与体系は日本人と同じ。「受け入れ前の看護学校の授業料や日本語習得にかかる負担などを考えるとコストはかさむ」(同病院を運営する社会医療法人社団さつき会の矢田洋三理事長)が、「少子高齢化による将来的な医療従事者不足を考えると、外国人の受け入れを進めなければならなかった」(同)という。
 東京都八王子市の永生病院は、中国・黒竜江省出身の看護師を12年から主任に起用し、病棟管理も任せている。日本語をマスターし日本の看護師資格を取っただけでなく、日本に帰化し結婚・子育てするなど積極的に根付こうと努力するなかで、「順応性があり能力も高い」(斉藤あけみ看護部長)と評価は高い。
(略)

わざわざ遠い外国の言葉を勉強してでも働きに来ようと言う人々ですからモチベーションが低いはずもなく、適切な機会さえ与えられれば戦力として十分に計算できると言うことでしょうが、こういうことが可能であるのは医療が専門職によって構成されている特殊な職場だからであって、誰にでも出来る一般労働において無原則な外国人導入など行うべきではないと言う考え方もありますよね。
世界的に見るとひと頃には「異文化を受け入れてこそ進歩した社会の証しである」と言う考え方から特に欧米系諸国では移民に対してかなり寛容に受け入れていた時期があった、ところが実際に受け入れてみると様々な問題があることが判り近年では逆に厳しい規制や制限を課す国が増えていて、「移民に反対することはもはやタブーではなくなった(英)」などと言われるほど公のテーマとして語られるようになってきています。
逆にイギリスやドイツと言った必ずしも医療現場の環境が良いと言えない国々から医師が逃げ出していくと言う現象がひと頃話題になっていましたが、そのイギリスなどではアフリカ等第三世界から医師を引き抜いた結果これら地域に新たな医療崩壊をもたらしたと批判されるなど、育成にコストがかかり存在感が大きい専門家に対しては国境を越えての囲い込みが今後ますます増えてくるのかも知れません。
どうせ外国人を呼ぶなら少しでも優秀な人材に来てもらった方がいいじゃないかと言う考え方も一理あるのですが、日本の場合必ずしも労働環境や待遇面で胸を張って素晴らしいと言えるほどのセールスポイントがなく、国際的な人材の奪い合いになった場合にはどうしても不利になるんじゃないかとは外国人看護師導入を議論する段階でも言われてきたことですよね。

前述の運送業界なども過酷なスケジュールを強いられる割に対価が非常に低いと問題視されていて、先日は佐川がamazonと手を切ると言うニュースが話題になっていましたけれども、以前から国政の場でも問題視されるほど労働環境を巡っての問題点が指摘されている中で、これだけ手不足が言われ荷主への発言力が増すべき状況だからこそ雇っている側からも待遇改善のために努力すべきところはありそうですよね。
この辺りを対比してみると医療の場合はお金を払う荷主に当たるのが国(国民)であり、ドライバーに相当するのが医師、彼らに給料を払っているのが運送会社に相当する雇用主たる病院であるわけですが、ドライバーが会社に待遇改善を要求した結果会社が荷主に正当な対価支払いを求め待遇改善にあてると言う真っ当な?行動に相当する動きは、実は医療の世界ではほとんど目立ったものにはなりませんでした。
その代わりに逃散と言われるように待遇の悪い会社(病院)から一斉に医師が辞職していき、待遇のいい会社に移ると言う個人レベルの行動が著効したと言われているのですが、国民の医療費支払いがほぼ上限に達していると考えられている時代にトータルのパイがさほど大きくならないと言う判断と、そして何より手に職を持つ専門資格職としていつでも自分を高く売り込めると言う自信があったと言うことなのでしょうね。
最近では運転免許制度の改正等もあって大型免許を持つドライバーが不足しているそうで、運送業界でも以前よりは現場から声を上げやすい状況にはあるんじゃないかとも思いますけれども、逃散騒動によって何よりも病院自身がそれと自覚せざるを得なかったように、業界としても優秀な労働者をしっかり確保することが目先のコストカットよりも大きなメリットがあると言う認識が必要なんだと思います。
ともかく日本の場合人口が減っていくと言う時代にあって、今後ますます人材不足があちこちで問題化してくるんじゃないかと思いますけれども、国内で奪い合うにしても外国から呼び寄せるにしても結局最後には労働環境や待遇が一番のカギになるのかも知れずですし、少なくとも正社員の首を切って派遣ばかりにしてコストカットなんてやり方をしている企業は労働者から見ればあまり魅力的ではなさそうですよね。

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コメント

求人がこれだけ出てきたらやっと職場を選べるようになるかな?

投稿: | 2014年7月29日 (火) 08時57分

求人がいつでも出てるような職場は結局ブラック

投稿: | 2014年7月29日 (火) 09時17分

>求人がいつでも出てるような職場は結局ブラック

それを言っちゃあおしめえよw

投稿: aaa | 2014年7月29日 (火) 09時21分

でも意外と真相の一端を突いてる気がしてきた…

投稿: ぽん太 | 2014年7月29日 (火) 09時39分

個人的には年中人手不足だがブラックとも言えない実例を幾つも知っているので、必ずしもそうとも言い切れない部分もあるかと思いますが、採用数が多いのに求人も多く若手ばかりと言うパターンは要注意でしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2014年7月29日 (火) 10時34分

ブラックでなくても労働に見合う報酬を払えないところも多そう
でも仕方ないけどそういう所は潰れるしかないかと
インフレになり投資が増えればデフレよりはマシになるので安倍首相にはがんばって
欲しいですが増税後は結構怪しいですね
ここからさらに10パーセントに上げると景気は悪化しまた安倍内閣は終了しそう

投稿: | 2014年7月29日 (火) 12時33分

従業員が自分とこの悪口ばかり言ってるお店ってだいたい雰囲気もサービスも悪いですもんね。
愛社心?みたいなものをもっと評価した方がいいんじゃないでしょうか。

投稿: てんてん | 2014年7月29日 (火) 13時25分

ワ○ミみたく完全に洗脳されちゃってるケースも多いしそもそも客観的評価は不可能だし<愛社心

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年7月30日 (水) 12時49分

洗脳された場合も客としてはありだと思うな
往年のマハーポーシャも悪くなかった

投稿: | 2014年7月30日 (水) 14時55分

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