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2014年6月25日 (水)

現代日本の就活事情の一端

一昔前までは医師の世界と言えば一般的な意味での就職活動とは無縁だったもので、医師自らが病院を選ぶようになった今の時代でも他業種とはいささか就労の事情が違いますけれども、それでも医学部が理系最難関学部として位置づけられている点では受験競争の頂点に位置すると言う言い方も出来るかと思います。
かつての受験戦争と言われた時代の最盛期には学歴社会は弊害が大きすぎる、何とかすべきだなどと言う声もありましたが、その後少子化の時代を迎え大学全入などと呼ばれる時代ともなり学歴も何もなくなったのかと言えばさに非ずで、いわゆる一流大学などはやはりネームバリューだけで就職にも有利と言う状況は相変わらずあるようです。
そうは言っても大多数の人間は一流以外の大学を出たり専門学校を出たりなのですから、企業側もどうやって学生の能力を見極め選抜すべきか悩ましいところだと思いますけれども、大学名だけで判断できない時代に意外な方向に手を伸ばしている企業もあると言うことです。

就活での「学歴」 高校までさかのぼるケースも?(2014年6月20日AERA)

「結局、東大にはかなわない」と言われる一方で、「学歴がなくても課外活動を頑張ればいい」とも言われる。採用をめぐっては、あらゆる噂が飛び交う。就職と学歴の実際を取材した。
 就職活動で学生が戦略的に動くためには、個々の業界や企業が求める「ターゲット」を知っておく必要がある。一概にこうだと言い切ることは難しいのだが、識者や人事関係者に取材し、把握を試みた結果、様々な声が集まった。その一部を紹介する。

「就活で最強なのは『旧帝大、早慶クラス』+『体育会』」(就活コンサルタント 小寺良二さん)
慶應SFCは超人気。ただ入社後、日本企業のカルチャーに合わないケースも」(HRプロ社長 寺澤康介さん)
流通は、MARCHと日東駒専が現場で活躍」(キャリアコンサルタント)
百貨店は私立の牙城。慶應が強い」( 大学キャリアセンター関係者)

 就活コンサルタントで、オールアバウト「大学生の就職活動」のガイドも務める小寺良二さんは言う。
「どの業界でも正社員は、マネジメント層としてチームをまとめて成果を上げる能力を求められる。そのためにコミュニケーション能力と地頭のよさは必須。単純労働は非正規社員に任せたりアウトソーシングしたりすることが多いので、ただただ真面目とか勢いがあるというだけの人材では、必要とされないケースが増えてきました」
(略)
 大学以前にさかのぼって「学歴」を見ることもある。
企業がほしいのは、学歴より学力。大学名は立派でも、AO入試や小中からのエスカレーター式で入学していて勉強していない学生もいる。大学名だけでなく、高校名や大学の入学方法まで見ようとしている企業もあります」(小寺さん)

業界や企業によってももちろん選抜の方針は違うのだと思いますが、某有名私大卒は代々OBからの引きが非常に強いだとか、体育会系で特に幹部として活躍していた学生は有利だとか様々な情報が飛び交っていて、恐らくどれが正しい、間違っていると言うよりも少なくとも特定業種・企業においてはそれはそれで正しい情報で、逆に言えばその他の場合にはそんなことはどうでもいいと言うことなのかも知れません。
ただ最近しばしば聞く言葉として「地頭の良さ」と言うことが言われているようなのですが、要するに子供の頃から一生懸命勉強して何とか成績を引き上げようやく大学に入った学生よりも、スポーツや遊びも人並み以上にこなしながら片手間の勉強で入試を突破したような学生の方が脳の余力があり、入社後の仕事の覚えや成長も優れているのではないかと言う考え方なのでしょうね。
確かに学生時代であれば居残り勉強をしたりしていかにも一生懸命勉強してますと言うタイプが真面目だと評価されるところがありますけれども、社会人になれば連日残業残業でやっと仕事をこなしている人よりは自分の担当の仕事など鼻歌交じりでどんどん片付けて定時に終われる、あるいはさらに他人の分の仕事までついでにこなせる人間の方が企業にとってはありがたいでしょう。
その潜在能力とも言うべき部分をどうやって評価するかと言う指標として、成績がよくいい学校に入ったと言うだけでなく部活動でも一流の成績を残したと言えばこれは見るからに出来る人間っぽく思えますが、それ以外にも記事にもあるように大学よりも高校の方が本来持っている能力をよく反映していると言う意見もあるようで、中には出身中学の名前までも書かせる会社もあるようです。
まあこうした選抜方法が可能になったのもネットの検索一発で地方の中学高校であってもどんな学校か調べられる時代になったからだとも言えそうですが、こうした学歴偏重の入社試験が広く一般化していることを逆手に取ってと言うべきなのでしょうか、こんな妙なことをやっている企業もあると言います。

就活生から「クソ企業の告発」相次ぐ 投資家からは「じゃんじゃん出して」の声(2014年6月16日キャリコネ)

2015年卒の就活が「内定解禁」となってから2か月半が過ぎた。ネットには就活生からの喜びや悲嘆の声が見られるが、中には面接や内定後に「クソ企業」から酷い仕打ちを受けたという告発も見られる。
ある就活生はソフトウェア開発会社から念願の内定を獲得したが、採用担当から耳を疑うような言葉を投げかけられたと2ちゃんねるに明かしている。

    「学校辞めて来月から来て欲しいって頼まれた。来年入社されても意味がないって。明日には返事が欲しいらしい。もし無理なら内定取り消しっぽいこと言ってた」

「面接中の社長の態度」も詳細に暴露

この投稿を見た人からは「そんな非常識な企業やめたほうがいい」「今後のことを考えるなら蹴れ」と、学生に内定を断ることを勧めるアドバイスが相次いだ
内定者に大卒の資格を取らせなければ、転職も難しくなり、悪条件でもこき使えると会社は考えたのだろうか。就職先を失うリスクもあるが、「むしろ激務で身体壊したりするリスクを回避できたと喜ぶべき」と慰める声もある。

面接の時点から、就活生をぞんざいに扱う企業もあるようだ。はてな匿名ダイアリーには、「某中堅IT企業の最終面接があまりにもクソだった件」というエントリーがあがっている。
採用担当者からは「父親の業種は?」「生まれも育ちもそこなの?」「本を良く読むと言われたが具体的にどのような本を読むのか」といった、業務に関係ないので不適切とされている質問が相次いだ
さらに役員がスマートフォンを使い出したり、ずっとパソコンから目を離さず就活生に目もくれなかった社長が、突然、

    「君は大学で勉強ぜんぜんしてないよね。しゃべり方でわかるよ。最近、文系上がりの医者が問題になっているように君は文系に見える。普通だったら得意科目にこんなこと書かないもの。そこどうなの?」

となど質問してきたりと、かなり不愉快なものだったという。

投資家「中身に近い情報をどんどん出して欲しい」

結局この学生は不合格となり、子会社へのあっせんを提案するメールが来たが断りを入れた。書き込みには会社の所在地や代表のイニシャルなど、会社を特定できそうな情報も添えてあったが、こうした内部情報をネットに投稿する理由を、投稿者はこう説明している。

    「いわゆる『圧迫面接』や、採用側の立場を使って嫌がらせのような質問をする会社はイーブル(不道徳・有害)であり、その企業風土というのを発信することで、2016年の就活生の一助となればと考えています」
    「『己の欲せざる所は人に施すこと勿れ』という言葉がありますが、口外されて困るような面接をするのであれば、はじめから面接などするなというのが私の考えです」

この投稿には「クソ吹いた。お前なんか雇いたくねーよバーカwww」などの批判的な意見も少なくないが、投稿が転載された「市況かぶ全力2階建て」には、投資家を名乗る人たちから意外な歓迎コメントも見られる。

    「社長がクソなところは投資対象外。事実ならどんどん発信して頂きたい」
    「投資判断の情報は喉から手が出るほど欲しい。学生にはじゃんじゃん、匿名でもなんでも、面接の情報発信はしてもらいたい
(略)

しかし採用の条件として卒業前から働き始めることを挙げてくると言うのはなかなか考えたものだなと思いますが、当然ながら大卒ではなく中退扱いとなれば就職先が気に入らなくとも次に転職しようにも条件面で不利になるわけで、それが判っているから少々のことなら我慢して勤務を続けるだろうと言う非常にブラックな考え方が見え隠れしますね。
ことさらに怒らせる、あるいは萎縮させるようなことを言って受験者の反応を見るいわゆる圧迫面接の類も基本的には同じく「不平不満があっても我慢して逃げ出さない」と言う企業側にとって有利な人材を選抜する意図があると言われていますが、企業側からすれば「最近の若いものはちょっと厳しく指導でもすればすぐ退職してしまう。これでは仕事にならない」と言う不満が先にあるとも言います。
この辺りはニワトリが先か卵が先かと言う議論にも似た部分がありますけれども、とりあえず新入社員が先を争って逃げ出す職場よりは長く踏みとどまっていく職場の方が労働者として満足感が高く会社への忠誠心が高いだとか、組織として新卒者教育がしっかりしていると言う可能性が高いでしょうから、将来性を見据えて投資先を考えている人々にとってはそうした情報もまた考慮に値すると言う事なのでしょうね。

日本では基本的に学歴社会と言うとネガティブなイメージとして語られますけれども、ある意味日本などよりもはるかに深刻な学歴社会であるアメリカでは結果の平等よりも機会の平等を求める風土もあり、奨学金等々成績さえ優秀ならどんどん学歴を積み上げていける社会的支援が手厚い一方で、学歴を積み上げる過程における競争の激しさは日本などの比ではなく、卒後の初任給なども露骨に学歴に左右されると言います。
ただ初任給こそ差があってもその後の給料の上がり方は学歴ではなくあくまで成果主義で決められていくと言うことで、この辺りは学歴と言っても問われるのはあくまでも学校名だけ、下手すれば卒業後の昇進も出身大学によって決まってしまう日本よりもよほど努力しがいがあるとも言えるし、生涯努力を続けなければいつでも誰でもすぐに落ちこぼれてしまう可能性がある怖い社会だとも言えそうです。
ただ人生の一時期における努力ばかりが過度に重視される日本型の学歴社会が悪いものなのかと言えば必ずしもそうではなくて、何事にも組織として集団としての和を重視する日本社会で人生常時周囲との競争を強いられるやり方では困る場合も多いだろうし、実際にアメリカ式の成果主義を導入する企業が増えてからスタッフの士気や組織への忠誠心に悪影響が出ているとも聞きますよね。
それでは結局どんなやり方が正解なんだと言われれば恐らく唯一絶対の正解などないのであって、それなら「そんなやり方では世界との競争には勝てない」なんて言葉に踊らされて長年うまく行っているやり方を変えてしまうよりは、昔ながらのやり方を頑固に続けてみると言うのも案外間違っていないんじゃないかと言う気がします。

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コメント

サッカー大負けして日本代表のこれから心配するより明日からの自分達の仕事の心配しろよサカ豚どもw

投稿: | 2014年6月25日 (水) 07時53分

高校はまだしも中学って地元の公立じゃダメなんですかねえ?
子供のころからお受験を続けないと勝ち組になれないんじゃイヤだなあ。

投稿: ぽん太 | 2014年6月25日 (水) 09時10分

普通に考えれば、私立の中高進学校出身の大半が、小学校の頃から親の言いなりで
勉強漬けだろうから、能力の伸びしろとしてダメという発想につながりそうだけど・・・。

逆に、大手企業なんかは、そういった人間が上を占めているので
上司の言いなりで働くようなやつのほうが使いやすい?

投稿: hisa | 2014年6月25日 (水) 09時56分

職場によっては敢えて社会的な意味では使えないタイプの人間の方が利用価値があると言う場合もあるようで、こればかりは職場それぞれで求める人材像が異なるとしか言えないでしょうね。
就職試験を受ける際には一般的な対人関係におけるマナーのような好感度アップのポイントを確認するのはもちろんですが、その職場でどういう人材が求められているのかを周知しておくことも必要だと思えます。
例えば創造力がありリーダーシップを発揮出来る人材は一握りでよく、大多数はただ従順に言われたことを黙々とこなすだけの人材で十分と言う場合に、自分がどちらに予定されているかを取り違えると悲劇ですよね。
平均値としては決してレベルが低いわけではないにしても、日本ではこのあたり複数のタイプ各々の人材育成に適した個別的な教育と言う点でまだちょっと弱いのかなと言う気がしています。

投稿: 管理人nobu | 2014年6月25日 (水) 10時13分

バカは何やってもだめなんだなと思ったな

投稿: | 2014年6月25日 (水) 18時36分

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