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2014年6月 5日 (木)

「忘れられる権利」検索結果の削除を命じる判決出る

この10年ばかりネットの一般化、大衆化と相前後するように既存マスコミへの批判とマスコミ離れと言うことが進行してきていて、その理由の大きなものとしてマスコミの報道が極めて恣意的であり、事実の一片しか伝えないばかりかしばしばあからさまな捏造まで行っていると言うことが明らかになってきたことが挙げられるでしょう。
そうなるとソース原理主義などと言う言葉もあるネットは隠蔽も捏造も存在し得ない素晴らしいメディアなのか?と言うことになるわけですが、ネットはネットで大きな問題を抱えているのだと言うことを示すのが近年各地で頻発するこちらのようなトラブルです。

グーグルに個人情報削除命令 EU司法裁(2014年5月14日日本経済新聞)

 【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)司法裁判所(ルクセンブルク)は13日、スペインの男性が自身の過去の個人情報が掲載されている内容をインターネット検索大手グーグルに削除するように求めていた裁判で、スペインの男性の主張を認める判決を言い渡した。個人情報保護の観点から、いわゆる「忘れられる権利」が認められた形だ。今回の判決は、EU内や世界的に議論を呼ぶ可能性がある。


グーグルに削除要請殺到、「忘れられる権利」サイト開設で(2014年6月2日ウォールストリートジャーナル)

 ルクセンブルグの欧州連合(EU)司法裁判所が個人の「忘れられる権利」を2週間前に認めたことを受けて、米グーグルは30日、欧州でユーザーからのリクエストを受けるためのウェブ上の専門フォームを利用できるようにした。
 フォーム開設以来数時間で、自身の氏名にリンクする検索結果の削除を求める欧州における個人のリクエスト件数は1万2000件を超えた、と事情に詳しい関係者は述べ、リクエストのペースは1分当たり20件にのぼると付け加えた。
 裁判所の判断以来、フォームが立ち上げられるまでの削除要請件数は「数千の前半」にとどまっていた。

 削除要請の殺到は、欧州でインターネットから自身のコンテンツを除去する需要が極めて多いことを示す例となった。観測筋は、これは裁判所の判断の有効性をめぐる重要なカギになると見ていた。
 業界団体の英国工学技術協会(IET)は「EUの判断とこれを受けたグーグルの『忘れられる権利』フォームの立ち上げは困難に満ちたもので、導入は不可能」と述べていた。
 判断の一部として、EU司法裁判所は、個人はグーグルや他の検索サービスに対し、もはや関連性に乏しく、あるいはプライバシーの侵害にあたると自身が判断した個人情報へのリンクの削除を要請できると述べた。ただグーグルに対しては、プライバシー保護に関わる権利と一般的な知る権利との均衡を図るべきとしたが、具体的な指示はほとんど行っていない。

 グーグルに近い関係者は、裁判所の判断の実行可能性や各要請に関して判断を下すためにグーグルが採用しなくてはならない人数は、受け取るリクエスト件数次第になると述べていた。
 ヤフーは30日、グーグルと同様に、「欧州のヤフー利用者にとって重要なプライバシー保護と表現の自由の権利の均衡につながると思われる解決策を考えているところだ」と述べた。

今回のEU司法裁判所における「画期的判決」の詳細はこちらWSJの記事を参照いただくとして、そもそも何故この判決が画期的かつ予想外のものであったと受け止められたかと言えばリンク先が合法であろうと非合法であろうと、検索エンジン運営会社は検索によって示される個人情報に責任を負いリンクを削除する義務を負うと明示された点にありそうです。
留意していただきたいのは当然のことながら、リンク先の元記事自体に対しては検索エンジン運営会社に削除等の責任があるわけではありませんけれども、検索する側としては適切な検索語を選べば特定の記事を任意に選び出すことが可能である以上、実質的には元記事につながる全てのリンクを検索サービス上から削除しなければならないと言うに等しいと言えそうです。
ご存知のように検索サービスに関しては元々yahooに代表されるように人間が一つ一つチェックしてサイトを分類・登録していくタイプのディレクトリ型と呼ばれる方式が主流であったものが、自動で機械的に片っ端からサイトを登録していくロボット型と呼ばれる方式を採用したgoogleがその圧倒的な検索効率で一気にメジャーになり、今やyahoo等においてもロボット型検索エンジンを併用していると言う状況です。
当然ながら自動で情報が収集され登録されるわけですからいわゆる反社会的なサイトや、一般公開するのに適切でないサイトまで表示されてしまうと言う問題点が以前から指摘されていたわけですが、逆にこうした特性によって「とりあえず何でも検索してみる」と言う社会的習慣が定着してきていることもまた否定出来ないところですよね。

最近ではこうした一方的な検索エンジンによる登録を嫌って趣味系のサイトを中心として検索避けと言われる対策も進んでいますけれども、一つにはディープな趣味に走る方々の場合世間一般から見るとしばしば誤解されやすい要素がままありますから、検索経由で何も知らない一般人が流入して余計なトラブルになるのを嫌うと言う心理も働いているようです。
ただ人間の解釈あるいは予断の入る余地がないロボットによる登録が行われた結果、人間の目には全く無関係にしか見えなかったものの間に思いがけない関連があると言ったことが見えてくるようにもなったのがロボット型検索エンジンの功績とも言えますから、一部に不都合が出てくるとしても「余計なことばかりしやがって」とばかりに何でもかんでも目の敵にしてしまうのももったいない話だとは思うのですけれどもね。
ともかくネット上の情報を探し表示すると言うだけのことをしている会社がどれだけの社会的影響力を持つに至ったかと言うことは各方面から指摘されている通りで、SF等に登場する社会を監視する不気味な存在になぞらえて警鐘を鳴らす声すらありますけれども、何しろ恣意的な選択の結果ではないだけに権力者にとっても末端の一市民にとっても同じように有意義でもあれば脅威でもあると言えるかと思います。
そこに敢えて恣意的な選択を働かせようとするのは時代に対する逆行であると言う批判も一方ではあって、冒頭に取り上げたような裁判に対しても社会的に有意義な情報の隠蔽だと批判する向きもあるのですが、いずれにしても現実的に判決の求めるような対応を取るための人的リソースがどれほど必要かと言うことを考えるだけでも、これは今後大変な社会的影響を持つものになりかねないと言う気はしますでしょうか。

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コメント

問題サイトはリンク全削除+登録禁止にしたらいいだけじゃないの?
たいした手間がかかるようには思えないけど

投稿: | 2014年6月 5日 (木) 08時50分

プライバシー侵害したら削除って微妙な判決ですね。
ほとんどの事件報道が該当しちゃうんじゃないですか?

投稿: ぽん太 | 2014年6月 5日 (木) 09時41分

個別のリンクへの削除要請は認めると言うことのようなので、おそらく重要性が高いと判断された情報に関しては例によって削除と再アップのいたちごっこになるのではないかと言う気がします。
個人的にはプライバシー侵害を理由とするよりも、明らかな誤情報に対する削除要求の方がより深刻かつ緊急性が高いのではないかなと言う気もしますが、なかなか判断が難しいところではありますね。

投稿: 管理人nobu | 2014年6月 5日 (木) 11時47分

一般論としては首肯できるにせよ、各論としては異論も多そうですな
とはいえ削除要請の受付先があるだけでも大いなる進歩ではありますが

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年6月 5日 (木) 17時55分

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