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2014年6月19日 (木)

晩婚化、少子化は何故深刻化するばかりなのか

全く関係のない話ですが、作家のダニエルキイスさんが亡くなったのだそうで、謹んでご冥福をお祈り致します。
さて、先日中高年有職婦人の現状に関する記事が出ていたのですが、本日まずはその一部なりとも引用させていただきましょう。

40代独身。いつまで働けばいいの?迫る妊娠リミット、50歳の就活……(2014年6月17日東洋経済オンライン)
より抜粋

地元の大学を卒業して上京し、これまで派遣や契約社員を経て、4年前に正社員になった横田真由美さん(40歳、仮名)は、午前8時半から午後11時ごろまで働いている。週に2日ある休みも1日は出勤することが多い。
もう正社員になる機会はないだろうと思っていたので、入社のときはとても嬉しかった。しかし正社員は責任も重く、入社当初より仕事量は2倍以上に増え、サービス残業も多い
「性格上、突き詰めてやるほうなので、疲れ切って家に帰ると“何やっているんだろう”と思います」
30代半ば過ぎまでは、公私ともに充実した日々だった。仕事も楽しく、同じ境遇の仲間たちとよく遊びに出かけた。当時は恋人もいたが、相手には妻がいて結婚できなかった。それでもいいと思って交際していたが、入社を機にピリオドを打った。

迫る妊娠リミット

若い頃、漠然と「結婚して子どももいるだろう」と考えていた年齢になった。一緒に遊んでいた友人たちは結婚し、横田さんと数人が残った。スーパーで買い物をするとき、大好きなアーティストのコンサートに行くときに「独りの寂しさ」を感じる。
会社では、子どものいる社員は時短もあり、残業も“子どもがいるので”と一区切りをつけてさっさと帰宅していく
「そんな姿を見ていると、いいなあと思います。今は猛烈に結婚したい。自分の精神の安定を得るためにも、東北にいる母親を安心させるためにも──。そうなるとせっかくなった正社員ですが、働き方を変えなければいけなくなりますね」
妊娠リミットも迫った現在、今年中に相手を見つけて来年は結婚、妊娠する計画だというが、「こんな状態だと婚活イベントにも参加できません」と横田さんは笑った。
(略)

他にも数人の有職婦人のインタビューが掲載されていて、どの方々もそれぞれに問題を抱え先が見えない状況にあると言うことなんですが、別に女性であるからどうこうと言う話ばかりではなく、今の時代多くの男性もまた同じような問題を抱えていると言っていいんじゃないかと言う気がします。
ただ女性の場合やはり生物学的な妊娠、出産と言う行為のタイムリミットがあり、この点で男性よりも結婚に対する時間的な危機感があるのだろうし、少子化対策の観点からも危機感があるべきだと言う考え方が次第に強くなっているようですから、やはり焦らずにいられないと考える方々も決して少なくないのでしょう。
この点で興味深いのが昨今結婚と出産の年齢が年々高まりついに30歳を超えたと言う時代にあって、当然ながら生物学的に見れば30代以降は妊娠と出産に対する適性が下がる一方であると言う微妙な時期でもあるのですが、その対策にも有効と考えられ先日独身者に対しても実施が容認された凍結卵子保存に関してこんな意識の差があると言います。

卵子凍結保存に70%が否定的 子供いない35歳以上女性は肯定感(2014年6月17日産経新聞)より抜粋

 パートナーのいない女性が将来の妊娠に備えて自分の卵子を凍結保存することについて、岡山大の研究グループが成人男女を対象に意識調査を実施、回答者の70%以上が否定的に捉えているとの結果をまとめた。肯定的だったのは約27%で、とくに子供がいない35歳以上の女性に肯定感が強い傾向がみられた。

 調査は昨年7~9月、東京、愛知、大阪など8都府県に住む男女5972人に調査票を郵送して行われ、1144人から有効回答を得た。男性は343人、女性は798人、性別不明3人。平均年齢は44・5歳だった。
 パートナーがいない女性が卵子や卵巣組織を凍結保存することについて「肯定的」「どちらかといえば肯定的」とした人は27・7%、仕事に打ち込むために女性が凍結保存することに同様の肯定感を示した人は24・2%。逆に、こうした社会的理由での凍結保存に否定的な人は70%を超えた
 女性の回答を詳しく見ると、35~44歳で子供がいない人のグループでは、パートナーがいないケースで肯定感を示した人が43・6%、仕事に打ち込むためのケースで38・2%と、全体より高い傾向が見られた。
 一方、「がん患者が将来の妊娠に備えて」といった医学的理由の場合、肯定的な人の割合は全体の79・8%で、社会的理由の場合に比べて高かった。

 日本生殖医学会は昨年11月、健康な独身女性が将来の妊娠に備えて若いうちに卵子を凍結保存することを認めるガイドラインを決定。凍結保存を手掛ける施設も出ているが、出産の先送りにつながるとの懸念もある。
(略)

将来の妊娠に備えてと言う社会的な理由での卵子保存に否定的な人が多いと言う点は予想範囲内なのですが、興味深いのがすでに生物学的にハイリスク妊娠が懸念される年代に差し掛かっている非経産女性で肯定的評価を下す人が多かったと言う結果で、やはりこの辺りの年代になると我が事として危機感を感じずにはいられないのかも知れません。
ただ30代も半ばを過ぎてから卵子保存を肯定的に評価し「自分もやってみよう」と考えるのでは正直遅いと言う懸念もあって、本来であればもっと早く老化していない卵子を保存しておいてこそ意味があるのだとも思うのですが、やはり20代あたりでそんなことまで気を回している心理的・経済的余裕もなければ、それが将来必要になるかも知れないと言う危機感もないと言うことでしょう。
もちろん普通に適切な年齢で結婚し出産を考えていればそうした手間ひまをかける必要もないわけですから、社会的に見れば若者達がもっと結婚に前向きになってくれれば一番いいと言うことなんですが、これまた興味深いことにここでも男女間に意識の差がはっきり現れていると言います。

未婚率上昇、晩産化も=仕事と育児の両立困難-少子化白書(2014年6月17日時事ドットコム)

 政府は17日午前の閣議で、2014年版「少子化社会対策白書」を決定した。若い世代の未婚率は上昇が続き、最新の10年の時点で25~29歳を見ると、男性は71.8%、女性は60.3%。女性の晩産化も進み、第1子を出産した平均年齢は12年で30.3歳だった。白書は仕事と育児の両立に向けた環境整備の必要性を指摘している。
 内閣府が実施した意識調査では、若い世代で未婚・晩婚化が進んでいる理由について、20~30代男性の回答は「経済的余裕のなさ」が最も多かった。しかし、同年代の女性では「独身の自由さを失いたくない」がトップ、「仕事や学業に打ち込みたい」が続き、男女の意識の違いが示された。
 また、「子どもを持つ場合の条件」に関し、20~40代の既婚女性の回答は「働きながら子育てができる職場環境」が最多だった。
 別の調査では、妊娠・出産時の職場の理解について、既婚女性の54.6%が「不満」と答えた。出産を機に退職した女性の約4分の1が「仕事を続けたかったが育児との両立が難しく仕事を辞めた」と話しているという。


若年層の未婚理由、明らかな男女差…少子化白書(2014年6月17日読売新聞)

 政府は17日の閣議で、2014年度版「少子化社会対策白書」を閣議決定した。
 第1子を出産した女性の平均年齢が2012年で前年より0・2歳高い30・3歳となるなど「晩産化」が進んでいるとして、仕事と子育てを両立出来る職場環境の実現が必要だと指摘した。
 12年の平均初婚年齢は、男性が30・8歳(前年比0・1歳上昇)、女性が29・2歳(同0・2歳上昇)と晩婚化も進んだ。

 内閣府が昨年秋に全国の20~79歳の男女1639人を対象に行った意識調査で、若年層の未婚、晩婚化の理由について聞いたところ、女性の回答は「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(55・3%)が最も多かった男性は「経済的に余裕がないから」(52・0%)が最多で、男女間の意識の差が浮き彫りになった。
 「子どもを持つ場合の条件」について、20~40代の女性は「働きながら子育てができる職場環境」という回答が最も多かった。

しかし独身女性が結婚によって様々に失うものがあり、それが結婚を躊躇させていると言うのは日本人の結婚観をうかがわせて興味深い結果ではあるのですが、その背景因子として既婚女性の就職環境が決して恵まれているとは言えず、特に出産後社会復帰しようとしても極めて厳しい現実があることも考えると、これはやはり「独身女性のお気楽さ」などと見るよりも経済的問題であると捉えるべきかと思いますね。
一方で特に統計的データの裏付けもない印象論なのですが、平均値で晩婚化が進んでいると言っても若いうちからどんどん結婚も出産もしてしまう方々と言うのもそれなりの数が存在していて、こうした方々の場合別に若くして沢山稼いでいるからだとか将来出世する見込みが濃厚だとか言うわけでもなく、むしろ所得等で考えれば決して恵まれているわけでもない方々が多いように感じます。
「収入が少ないんだから結婚なんて出来るはずがないじゃないか。結婚しろと言うなら給料を上げろ」と言う声はもっともだし、実際に未婚男女に聞いてみれば結婚支援にあれやこれやと手を尽くすよりも真っ先に給料を上げてくれと言う意見が最多であったと言うくらいですから、結婚にはまず経済的裏付けがいると言う意見ももっともだし、婚活サイトなどでも年収300万などと正直に申告していては誰も相手にしてくれないそうです。

ただ年収300万が二人合わせれば年収600万と言う話もあるし、結婚によって共用部分の生活コストが削減されると言った支出抑制効果もあるわけですから、あまり人生に関して慎重かつ計画的に過ぎると自ら人生の選択枝を狭めてしまう理屈であって、少なくとも相手もいてその意志もある人々が収入が少ないからと結婚を先送りすることがないよう公的な支援もあっていいんじゃないかと言う気がします。
その点で現在の配偶者控除などを見ても昔ながらの専業主婦的家庭像を前提にしたシステムになっているのは一体いつの時代の制度なのかで、国にしても産めよ増やせよと言うなら言うで今どきの働き方に合い結婚し子供を産むことに直接的なメリットのある政策を打ち出していく責任があるはずです。
特に年金や医療保険などこのところ社会保障関連支出の増加が若い世代を中心にずいぶんと負担感が増してきていますから、○歳までに結婚すれば年金掛け金○割引き、子供が生まれれば保険料○割引きといったバーゲンプライスをどんどんアピールして「ほらほら、今ならこんなにお得なんですよ?」と呼びかけていくくらいのことはやってもいいかと思いますが、子沢山で知られる橋○市長さんどうでしょうね?

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コメント

不思議ですねえ。
「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」なんて、結婚すれば仕方ないし、
逆にそれに見合う得るものがあるんだけどなあ。
さらに昔と違って、結婚しても女性は結構好き勝手して、男が我慢しまくり
というのが過半だろうに。

投稿: | 2014年6月19日 (木) 08時56分

したくない人はしかたないがしたい人ができないのは困ったものです。
ほんとに結婚補助金みたいなのが一番効果てきめんだったりして。
でも求人はあちこちあるのに好況感がないって不思議ですね。

投稿: ぽん太 | 2014年6月19日 (木) 09時25分

まぁ歴史を見ると皆が皆、結婚していた20年くらい前までが異常とも言えますが

日本がやたら少子化なのは母子家庭の貧困率が高い事、女性の職場復帰が難しい事、婚外子が社会的に受け入れられていないことにも原因がありそうです

最も少子化自体の直接の原因は非婚化なんですが(結婚した夫婦が持つ子供の数は70年代から大きく変化なし)
これは非婚化の傾向は個人の自由って価値観が浸透した先進国共通ですからどうしようもないですね

投稿: | 2014年6月19日 (木) 09時37分

携帯に税金かかろうかって時代だから独身者にも税金をかけようって声が出るかも……

投稿: tama | 2014年6月19日 (木) 09時48分

少子化少子化と煽って騒いでるが、
結婚したら子供を産んだらこれだけ大変なんだって意識を更に植え付けてるようにしか見えないのですが・・・

投稿: | 2014年6月19日 (木) 10時05分

いい歳して独身でいることにどんどんプレッシャーかけたらいいのだよw

投稿: aaa | 2014年6月19日 (木) 10時16分

無論主義主張として独身主義を貫くと言うことであれば誰憚ることないのですが、せっかく結婚し子供も欲しいと言う気持ちがあっても周囲の心ない一言で余計に意固地になってしまう場合もあるのかも知れません。

都議会:セクハラやじ 女性議員に「早く結婚しろ」
http://mainichi.jp/select/news/20140619k0000m040122000c.html

投稿: 管理人nobu | 2014年6月19日 (木) 11時01分

少子化対策に魅力がないってことですよ。
結婚して子供産むメリットが感じられないから。

投稿: てんてん | 2014年6月19日 (木) 12時16分

少子化にせよ、労働力不足にしろ
移民を入れるのが手っ取り早いですね。

世界的にも増えてるのは途上国や先進国でも
黒人、イスラム、ヒスパニックだけで

結婚しない人が増えたのは先進国の価値観ゆえかと思われます。

投稿: ダックス | 2014年9月13日 (土) 05時15分

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