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2014年5月12日 (月)

ブラック企業問題 働く側の求める条件とは意外にも?

世に言うところのブラック企業問題ですが、正社員のみならずアルバイトにおいても問題化している、と言うよりも立場の違いを考えるとこちらの方が深刻であるかも知れないと言う気になる記事が出ていました。

“ブラックアルバイト”も問題化…「売れ残り買わす」「試験前でも残業」(2014年5月9日産経新聞)

 就職先だけでなく、アルバイトの現場にも「ブラック企業」の影が忍び寄っている。若者をターゲットにしたブラック企業が社会問題化する中、違法な働き方で学生を使い捨てにするアルバイトが“ブラックアルバイト”と呼ばれ、新たな問題として浮上している。
 契約内容と違う過度に責任の重い仕事を押しつけたり、長時間労働をさせたり…。学費の高騰や親からの仕送りも少なくなり、なかなかバイトをやめられない学生が、違法な働き方を強いられ、やがて心身を病む。期待に胸を膨らませ、新生活をスタートさせた学生までもがブラックな職場の餌食になるという、まさに負のスパイラルが広がっているという。
 ブラック企業を避けようとするあまり、イメージや評判を過度に気にする傾向も年々強まっており、景気の回復を受け雇用情勢は上向き傾向といわれるが、若者たちを取り巻く労働環境には依然、不透明感が漂っている。 

■学生も被害…ブラック企業のバイト版登場

 「希望を無視してシフトを組まれ、試験前でも休ませてくれない。サービス残業もさせられる」
 「売れ残りの商品を買わされる。連絡メールにすぐに返信しないと、給料が減らされる
 「初日から先輩のバイトに怒鳴られ、ミスをすると暴力を振るわれる
 支援団体やインターネット上には、ブラック企業で働く新入社員と同様、劣悪な職場環境で悩む学生からの悲痛な声が寄せられている。

 学生たちを悩ませる「ブラックアルバイト」とは何か。
 労働問題に詳しい井上幸夫弁護士(第二東京弁護士会)によると、特徴的なのは、(1)労働時間に見合った給料を支払わない(2)仕事のミスに罰金を科す(3)上司が怒鳴ったり暴力を振るったりする(4)最初の契約に反して、授業や試験に支障が出るような働かせ方やシフトを命じ、長時間働かせる-の4点で、このうち1つでも該当すればブラックアルバイトだと考えてよい、という。
 井上弁護士は「学費が高くなり、生活苦でバイトをせざるを得ないケースや、上司から『辞めたら約束違反で罰金を取るぞ』といわれたことを本気で信じるケースがあり、すぐに辞めることができない若者が多い」と指摘する。バイトに重要な仕事を任せるところも多く、責任感が強くまじめな若者ほど簡単に辞めることができない状況に陥っているそうだ。
(略)

■連休明けから届く“悲鳴”

 一方、支援団体などには例年、連休明けに、新入社員の若者から相談が寄せられ始める。入社したばかりで張り詰めていた緊張の糸が、5月ごろになるとゆるみ、「うちの会社はおかしいんじゃないか」と冷静に考えるようになるという。
 「休みが入社してからずっとない
 「『バカ。もっとできる奴だと思っていた』などといつも怒鳴られ、仕事を続ける自信がない
 若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE」のもとにも5、6月ごろからこうした相談が寄せられる。担当者は「4月はただ働きで酷使されても頑張ってみようと思っていた新入社員も、5月に入ると段々心が折れてしまう」と分析する。
(略)
 「また担当が変わったの?」。取引先からこう言われ、先輩たちの入れ替わりの激しさにとまどう若者から「うちはブラック企業かもしれない」と相談が寄せられたこともある。担当者は「安易なイメージで企業を選び、想像と違ったとすぐに辞めてしまう若者もいる」とため息をつく。
(略)

すでに勤務先の評判を事前にネットで調べておくくらいのことは当たり前だと言いますが、それにしても「サービス残業もさせられる」だとか「初日から先輩に怒鳴られ、暴力を振るわれる」だとか「休みがずっとない」だとか顧客から「また担当が変わったの?」と言われるだとか、まるでどこかの業界のようなことが世間でもあるものですね…
基本的に時間給で働かせているのに給料無しで仕事をさせようとするようなところはブラックで確定ですし、そんなところで働くだけ損であることは言うまでもなく直ちに職を辞するべきですけれども、問題は辞めるに辞められない事情のある人々を狙ってこうした行為を働いている場合も少なくないと言うことで、他人の弱みに付け込んで不当な利益を得ようとする手合いに対しては社会的に対処するしかなさそうです。
ただ基本的にこうした問題は当事者の告発なりがなければ労基署等もそうそう立ち入ることが出来ないもので、その意味で社会人であれ学生アルバイトであれ働くと言うことを始めるならばまずは社会人としての基本的なルールは予習していてしかるべきだし、そもそも義務レベルの学校教育の現場においても社会で生きるために必要な最低限の知識はきちんと身につけさせておくべきものでしょうね。
昨今若年者が何かとトラブルに巻き込まれる原因となっているネットリテラシーなども件も含めて、このあたりは是非とも被害と加害双方の予防のためにも教育現場から見直していっていただきたいところですが、見ていますとこのブラック企業問題に関しても表向き言われるような条件面の厳しさもさることながら、学生の労働意識の変化ということもバックグラウンドに存在しているようで、しかもそれを企業側が正しく認識出来ていない側面もあるようですね。

<ブラック企業>学生と企業の認識の差 給与金額で顕著に(2014年5月5日毎日新聞)

 就職支援会社「ディスコ」(東京都文京区)は、就職活動中の大学生1650人と主要企業約1000社の採用担当者を対象に、労働法規を無視するなど悪質な会社を指す「ブラック企業」について考えを尋ねるアンケートをインターネットで実施した。給与、残業時間などブラック企業となる目安について、学生と企業側の認識の違いが明らかになった。

 「ブラック企業だと思う条件」は、「残業代が支払われない」が学生75%、企業側78%とトップ。選択肢の中で最も両者の差が開いたのは「給与金額が低すぎる」で学生は48%に対し、企業側は24%だった。

 ブラック企業になると思う目安の質問では「新卒者の入社3年後の離職率」で「3割超」を選んだ学生は36%と最も多かったが、企業側は53%が「5割超」。「1カ月の残業時間」では、学生の最多は「40~60時間未満」(24%)だったが、企業側の最多は「100~120時間未満」(34%)

 ディスコの担当者は「学生は企業研究が足りず現実より厳しく考える傾向がある。ブラック企業を警戒しすぎているかもしれない」と分析している。【藤沢美由紀】

ちなみに元々の調査結果はこちらですが、記事の末尾に添えられた担当者の分析が正しいのかどうかはともかくとして、ここでは調査結果を伝える記事のスレタイがどうなっているかと言うことにも留意ください。
法定労働時間40時間の時代に月40時間の残業すなわち週50時間の残業でブラック企業認定されてしまうとなると、いくら何でも仕事を甘く見過ぎているのではないか?と思ってしまうベテラン労働者の方々もいらっしゃるやも知れませんが、実際問題日本の労働現場では欧米に比べて残業時間が3倍も長いと言う問題点が以前から指摘されています。
このあたりは労働に対して対価を支払うと言うよりも、終身雇用で勤務をすることに対価を支払うと言う日本の雇用形態からくる影響もあったのでしょうが、今現在問題視されているブラック企業と言うものがまさに労働に対して正当な対価を支払わないと言う存在であることを考えると、なかなかに興味深い労働観だと言えるかも知れませんね。
ただ日本人の平均労働時間が週41時間とほとんど法定労働時間に迫る勢いであると言うこともまた事実ですから、毎週毎週それよりも二割も余計に働かされるのではたまらん…と考えてしまうのも理解はできるのですが、それでは労働時間が長いからブラックだと言うわけでも必ずしもないと言うのは、特に学生側において労働に対してきちんと報酬が支払われていないことを第一条件に挙げる声が多いことからも理解出来ます。

ただ働きをさせるような企業はブラックであると言うことが共通認識であるとして、それでは仮に残業代も支払われたとしてもどこまで酷使すればブラック認定されるのかと言う点で、学生側の40時間と言う答えも興味深い一方で企業側が100時間超までは大丈夫だと考えていると言う点もこれまた非常に示唆的ですよね。
ちなみにご存知の通り、残業時間80時間というのは過労死ラインとされている水準で、未だに「その程度たいしたことがないじゃないか」と言う歴史と伝統に基づいた労働観が横行しているとも噂される某業界などにとってはともかく、一般的に考えれば企業側の強いる労働時間として「あってはならない」と言うレベルであるはずですが、実際に働かせているかどうかは別として認識としてそうであると言うのはどうなのかです。
元々の調査では有休取得に関しても意識の乖離が見られていて、これまた興味深い点として過半数の企業側はおそらく現実を前提とした有給休暇など年に5日も取得出来れば十分ブラックではないと考えている、一方で学生の側では法で認められた10日程度を一つの目安にしているらしいなど、とかく学生側は「現実より厳しく考える傾向がある」と考えるべきか、それとも企業側があまりに認識が甘いと言うべきでしょうか。
こうした点を挙げて「多くの学生は「まともな働き方」を求めているに過ぎない。学生が「ブラック企業を警戒しすぎている」というのは、長時間労働を是正できずにいる企業側の責任転嫁ではないのか。」と言う指摘もあるのですが、こうした言わば条件面でのとらえ方の違いもさることながら、企業と学生との間に明らかにブラック企業とは何かという認識が違っていそうだと思われる点がいくつかありそうです。

例えば両者で圧倒的に認識に差がある点として「募集条件と実働に著しく差がある」「セクハラ、パワハラがある」と言った点で学生が非常に嫌悪感を示している一方、企業側が憂慮する給料が安いだの残業が多いだのと言う点に関しては実は学生の方が我慢出来ると考えているというのは、社会を知らないからだと言ってしまえばそれまでですが今の時代の学生像について考えさせられます。
さらに企業と学生の間で明らかな差が出たのが入社後三年間の離職率に関する認識で、企業側がおおむね5割以上をブラックの要件と考えているのに対して学生側は3割と厳しく、現実の大卒者の3年間での離職率が31%に達することを考えるとこれまた「現実を知らない」などと言われそうですけれども、逆にこうした認識が前提にあるからこそ新卒者の離職率が高いのだとも言えるかも知れません。
ともかく見て判るのは企業と学生の間でかなり認識が違っていて、一つには労働時間ということに関して企業側の考える限度と言うものが学生の考える限度と全く乖離してしまっている、そして企業側が今の認識のままで改めることをしないならば新卒者はどんどん職を辞し後輩達に「あそこはブラックだから」と言って回るだろうと言うことで、まずは最低限法定基準と言うものを認識しておく必要はあるだろうと言うことです。
報酬や労働時間に関しては企業経営上どうしても必要だとまだ言い訳がつくことなのかも知れませんが、実は学生側が重視する「ブラックか否か」の基準としては労働時間や給料、残業代と言った数字に出るものばかりではなく、むしろ企業側が甘く考えている数字以外の働きやすさこそ重要なのだと考えると、これはどんな職場においても放置しておいていい話ではなさそうですよね。

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コメント

ブラック企業の烙印を押された代償は大きい
http://www.huffingtonpost.jp/hiroshi-onishi/sweatshop_b_5292496.html

ワタミも下り坂真っ逆さまだそうで
天網恢々疎にして漏らさずですな

投稿: | 2014年5月12日 (月) 08時41分

外科部長先生は若い先生や職員をどなりつけるそうです。
パワハラって言葉はたぶん知らないと思います。
でも患者には意外と受けが良かったりするんですよね…

投稿: ぽん太 | 2014年5月12日 (月) 08時56分

>でも患者には意外と受けが良かったりするんですよね…

ブラック企業は従業員から搾取してる分価格を安く出来たりするんで顧客には評判がよかったり…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年5月12日 (月) 10時36分

一般論として外面と内面を使い分ける上司というのはまあ、あまり部下に好もしい印象を与えるものではないかなと思います。
医療業界に関して言えばさすがに研修医は大事にするようになってきたようですが、未だにコメディカルに対するパワハラは許容されているところがありますよね。
この辺りが看護師らの離職率の高さにもつながっているのであれば、本来もっと問題視されてもいいことのように思いますが。

投稿: 管理人nobu | 2014年5月12日 (月) 10時58分

最近妙な「公平感」とやらが蔓延っているのか経営者として不適合どころか管理職として不適合な輩がやたらめにつく…と思うのは私だけでしょうか。

おそらくこれらは同根の問題で、行き着くところは無能な経営者が多いことに問題があるのでしょうね。

「みんながヒーロー」とは皆部長までは…って話ではなく、それぞれ身の丈にあった貢献って話ですよね。 それに、サービス残業…しないやつはバイトだろうが仲間内からシカトされるってのは容易に想像できるぢゃないですか。

追い詰められている悲壮感が漂ってますね。 たくさんいいところがある日本人の少ないけれども度の高い悪いところですから、一般化しないように個々が要警戒ってところでしょうかね。

投稿: ポンスケ | 2014年5月12日 (月) 11時13分

↓会社の評判どころか元彼の評判まで共有するのだとか(゚ー゚;
http://www.cafeglobe.com/2014/04/037354lulu.html

投稿: 鎌田 | 2014年5月12日 (月) 11時57分

 ワタミの桑原豊社長は8日、決算発表の記者会見で、ことし4月に入社した新卒社員は120人で目標の半分にとどまったことを明らかにした。
桑原社長は「深刻な人手不足という外的環境の変化があった。われわれの成長戦略が曲がり角に来ている」と語った。

 ワタミでは長時間労働の問題が指摘されており、採用が苦戦した一因になった可能性もある。

 ワタミが設置した有識者による業務改革検討委員会は「所定労働時間を超える長時間労働が慢性化している」と指摘した報告書をまとめた。
正社員やアルバイトの確保も難しくなっており、桑原社長は「労働環境の改善を最優先で進める」と述べた。

 今後の改善策は、2014年度中に60店舗を閉鎖し、従業員を他の店に振り分けて、1店舗当たりの従業員数を増やす。営業前などに実施して
いる会議の時間は、これまでの年間約250時間から80時間程度に減らし、拘束時間を短くするという。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140509/biz14050916360018-n1.htm

投稿: | 2014年5月12日 (月) 22時25分

これだけさわがれてもまだワタミで働く情弱ってw

投稿: aaa | 2014年5月13日 (火) 10時47分

>学生が「ブラック企業を警戒しすぎている」というのは、長時間労働を是正できずにいる企業側の責任転嫁ではないのか。

「」の括りが変

>「学生がブラック企業を警戒しすぎている」と(企業が)いうのは、長時間労働を是正できずにいる企業側の責任転嫁ではないのか。

と修正しないと、作文としては、✘でしょう

主語がバシバシ抜けても、話法の括りがいい加減でもよい日本語ならではというより、論理的な話法ができない人の文章に思えます。
まあ、そんな人の書く文章の中身が本人の思考能力を超えるはずもないので、読んでしまった時間の無駄を悔いる私です

投稿: Med_Law | 2014年5月18日 (日) 14時08分

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