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2014年5月23日 (金)

高齢ドライバーと昨今多いと言うあの問題

交通事故自体の件数は交通戦争と呼ばれたひと頃からずいぶんと減ってきているそうですが、その一方で以前からこういう事故のニュースがたびたび出ていることを皆さんご存知だと思います。

67歳女性「間違って線路走った」…阪急電車と衝突し車大破(2014年4月4日産経新聞)

 3日午後10時45分ごろ、京都市右京区西院久保田町の阪急京都線西院-西京極間の踏切近くで、乗用車が河原町発梅田行き普通電車(8両編成)と衝突した。車は大破したが、運転していた同市北区の女性(67)は車から降りて無事だった。乗客約160人にもけがはなかった。

 京都府警右京署によると、女性は「踏切に入ったあと、誤って線路内を150メートルほど進んだ」と話しており、同署で詳しい事故原因を調べている。阪急電鉄によると、同線の河原町-桂間で運転を見合わせた。

長崎道を逆走50キロ 80代男性「記憶にない」 [佐賀県](2014年04月04日西日本新聞)

 3日午前5時20分ごろ、佐賀県武雄市東川登町の長崎自動車道下り線で「車が逆走している」と通行車から110番があった。県警高速隊が時速70キロ前後で福岡県方面に逆走している軽乗用車を確認し、約30分後、最初の目撃地点から約50キロ離れた金立(きんりゅう)サービスエリア付近(佐賀市久保泉町)で車を停止させた。事故はなかった。

 隊によると、運転していたのは福岡県筑紫野市の80代男性。同乗者はおらず、「記憶にない」と話しているという。男性は通行券を持っておらず、車に自動料金収受システム(ETC)は搭載されていなかった。隊は料金所の発券記録などで高速道に入ったインターチェンジ(IC)や逆走を始めた地点を調べる。道交法違反(通行区分違反)容疑で交通違反切符を交付するかどうか検討している。

 隊によると、最初に目撃されたのは武雄北方ICから約10キロ離れた長崎県側。軽乗用車は下り線追い越し車線を走行しており、午前5時46分から東脊振、佐賀大和、多久各IC間で車両の流入を規制した後、追跡し停車させた。

いずれも記事を読んでいる限りでは一体何が起こったのか?と思ってしまうような常識外れの事例で、しかも当事者があまり問題だと考えていないらしいことが気になりますけれども、特に昨今何かと話題になることが多いのが高速道路の逆走問題で、警視庁によれば幸い事故に至らなかったものも含めると年間200件以上も発生していると言いますから毎日のように起こっていると言ってもいいくらいですよね。
注目されるのが65歳以上の高齢者がその7割を占めると言うことなのですが、忘れ物をしただとか降りるべきICを通り過ぎたと言ったある程度了解可能な(それとても本来あってはならないことですが)理由がある場合もあるものの、高齢者の場合そのほとんどがそもそも高速道路は逆走不可だと言う交通法規を知らないか、合理的?理由がなく認知症によるものであるとしか言えないようなケースであると言うことです。
そして冒頭の記事にしてもそうなのですが間違えによって何か非常識なことをやってしまうまではままあることだとして、高齢者の場合その後の対応方法において明らかにそれは違うだろう…と言う行動に走ってしまうのも特徴と言え、異常事態で逆上してしまったのか正しい対案を考えつけないほど認知機能低下が進んでしまったのか、ともかくも走る凶器の運転を行うに当たってそれでいいのか?と不安視せざるを得ませんよね。
警察においても当然ながらこうした高齢ドライバーの抱えるリスクは承知しているようなのですが、さてその対策は?と考えた場合に未だこれと言う明確なものは打ち出せてはいないようです。

高速道路の逆走、7割超に認知症の疑い 大阪府警が調査(2014年5月21日産経新聞)

 高速道路の逆走事故が後を絶たない中、大阪府警が平成22~25年の府内の高速道路の逆走事案を調べたところ、ドライバーから聴取できた17件のうち15件を60歳以上の高齢者が起こし、7割以上の13件で認知症やその疑いがあったことが、府警への取材で分かった。
 本人が認知症と気づいていないケースや、高齢者の「生活の足」となっているため免許を返納しにくい例もあるといい、対応の難しさが問題になりそうだ。

 府警によると、22~25年の逆走事案の認知件数は105件。このうち逆走車を発見し、本人から事情を聴けたのは17件。22年6月に70代のタクシー運転手が高速出口から進入して車と正面衝突し、運転手が重傷、後部座席に乗っていた客が軽傷を負ったケースなど、事故が起こった事案が2件あった。
 逆走事案の運転者をみると、9割近い15件(88%)が60~80代の高齢者。さらに17件の76%を占める13件の運転者が、認知症、またはその疑いがあった
 昨年末に85歳の男性が阪神高速を約14キロも逆走したケースでは、府警によると運転者の男性には認知症の兆候がみられたが、本人に自覚症状はなく、通院歴もなかったという。男性の家族から、府警に免許証の自主返納について相談があったのは、事故の後だった。

 警察庁が22年9月~24年8月の2年間を調べた結果では、逆走447件の約4割が認知症やその疑いとされている。
 認知症に関しては、平成21年の道交法改正で、高齢者の運転免許証更新時に認知機能検査が義務付けられ、違反内容や医師の診断によっては免許が取り消されるようになった。また、自動車教習所が認知症の可能性のある人を見つけたら警察に連絡する制度も設けられており、大阪府警は4月に同制度のプロジェクトチーム(PT)を結成し、態勢強化を図っている。

 70歳以上のドライバーは、自動車教習所で免許更新時に「高齢者講習」を受ける。この際、窓口で同じことを何度も聞いたり、車のエンジンをうまくかけられなかったり-といった認知症の兆候を発見できる可能性が高いという。
 教習所から警察へ連絡があれば、警察が本人や家族に免許の自主返納を勧めるなどの対策が取れる。しかし昨年1年間で府警への通報は9件しかなく、PTは教習所への啓発活動に力を入れる。府警幹部は「1件でも事故を減らすため制度を活用したい」と話した。

この高齢者ドライバーの認知症対策と言うもの、警視庁のHPなどにもその方法論が記載されているようなのですが、高齢者講習の前に記憶力や判断力を測定する講習予備検査を受けなければならないと義務づけられているのは75歳からだと言うのはどうなのかで、少なくとも医学的に高齢者として扱われる65歳以上にはスクリーニング的に全例長谷川式くらいはやっておいてもよさそうに思います。
ただ年齢だけが問題になるかと言えばもちろんそんな話ではなくて、例えば興味深いことに逆走事故の発生件数をみても20代、40代そして60代以降とピークが三つあると言うのは技量や知識の未熟や運転機会の多寡など様々な要因が絡んでいることを示唆しているものですし、そもそも若年者の自爆的事故の多さを考えれば別に高齢者でなくとも安全運転をするに当たって問題多々ありと言う場合は多いわけです。
本来的には運転免許の取得や更新に当たってもう少し実際的な技量や知識を確認するべきなのかも知れませんが、どうやって行うかと言う問題は置くとしても取得者の数の多さや運転はせずとも身分証明的に使われている現実を見る限り、取りあえずは違反を重ねているような要注意者から対策を進めていくしかないのでしょうか。

そもそも高齢者の運転そのものがどうなんだと言う考え方もあって、現行の運転免許は基本的に1種類ですが、高齢者であってもどうしても日常生活の必要上免許が必要な人が多いのに更新か返納かの二択しかないのも問題で、例えば近隣の一般道だけを走行できる限定免許のようなものも用意してもいいんじゃないかと言う考えもあるでしょう。
ただそうした免許を作ったとしてそこらを走っている人達の免許の種類がどうなのかをどうやって確認するのか、いちいち各所に検問を張って渋滞を巻き起こすと言うのでもなければ事故なり違反なりが起こるまで何もしない現状と同じではないかと言うことになってしまい、結局は当事者の意識の問題であると言う現在と同様の落としどころになりかねません。
この点で無免許運転防止等の観点からも車を運転するに当たって必ず免許証を確認するようなシステムを自動車に組み込むべきだと言う考えは以前からあって、ETCなどと同様の技術で高速道路等に限って走行を制限するようなことも技術的には可能でしょうが、わざわざ不便で面倒くさくなる装備を自分でお金を出してまで取り付けたがる人がどれだけいるのか?と言う問題はありますよね。
それではその種装置の取り付けを義務づけるかで、なんでもかんでも公的規制頼りでは世の中堅苦しくなって仕方がない、かと言って本人の自覚任せでも自覚がないから認知症なんだと言われればそれまでですが、高齢ドライバーが自ら運転をしなくても済むような社会体制の整備がまず先だろうと言われるとお金も時間もかかる話ではあります。

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コメント

ときどきあり得ないくらい運転へたなのがいるんですけど取り締まりしないの?って思う

投稿: | 2014年5月23日 (金) 08時51分

そういえば昔はAT車の暴走事故も問題になってましたね。
あれもATあたりまえになったせいか消えてなくなっちゃいましたけど。
高齢ドライバーが当たり前になったらこれも気にならなくなるんでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2014年5月23日 (金) 09時16分

車が当たり前の世代が高齢化してくれば当然ながらこうした問題は増えてくるはずなので、今後どこまで免許保持を許すべきかと言う問題も数多く発生してくるはずです。
ただてんかん問題と同様に社会参加の芽を摘むと言うことにもつながりかねないので、実際の事故リスクと照らし合わせながら社会の許容度を測ると言うことになるでしょうね。
個人的にはほとんど乗らない高齢者ののろのろ運転よりも、日常的に無謀運転を繰り返している若年ドライバーのリスクの方がはるかに高いとは思うのですが。

投稿: 管理人nobu | 2014年5月23日 (金) 11時26分

うちは糖尿で視力が怪しくなった親父がタクシーと家族の送り迎えでやりくりしてます。
自分が事故にあうのは自業自得だけど歩行者ひっかけたらシャレになりませんし。
どうしても車がいる高齢者向けの乗り物ってどこか出してくれませんかね?

投稿: てんてん | 2014年5月23日 (金) 13時23分

身内が80才になって自治体からタクシー利用券をもらったが
何かと制限が多くて結局使い物にならんと、使うことはなさそうな模様
いまも元気に運転している

投稿: | 2014年5月23日 (金) 13時43分

本来的にクルマのような楽な交通手段はお年寄りにこそ必要とされるものですからな
自動運転とまではいかずとも操縦補助技術の進歩で安全性が高まることを願いたいところ

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年5月23日 (金) 16時28分

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