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2014年5月24日 (土)

いつでもどこでもスマホいじり 「今どきの若い者は」と嘆くよりも

スマホとSNSの普及に伴い、どこの企業もいわゆる馬鹿発見器騒動にさらされるリスクがかつてないほど高まっていると言えますけれども、その結果企業の側としても従業員のSNS利用を監視すべきか否か?と言う議論が発生してくることはいわば当然の帰結であるのだろうし、昨今では新規採用に当たってネット検索等で一通りのチェックをかけてみると言った事も(表立ってかどうかはともかく)かなり広まっているようです。
当然ながら学校現場における教員と学生との間にもこの種の緊張ある関係が高まってきていて、もちろん講義時間中にスマホばかり触っているなどと言うのでは本当に真面目に聞いているのか?といいたくもなるでしょうけれども、実はSNSで今日の講義を採点し容赦なくダメ出ししていると言った話であれば果たして学生ばかりが悪いのか、まともに聞く価値のない講義しか出来ない教員側に非はないのかと言った議論にも発展しかねません。
道具はあくまで道具であって使い方次第であると言う考えにたてば、スマホにしろSNSにしろ使い方次第で幾らでも有用な役割が期待出来るはずですけれども、昨今では各地の学校で学生向けにスマホを禁止するのではなく積極活用すると言うことが行われていると言うニュースもあるようです。

スマホ禁じずいっそ活用 授業でアプリ、連絡はLINE(2014年5月17日朝日新聞)

 「勉強に支障が出る」と、スマートフォン(スマホ)の校内への持ち込みや使用を禁じている高校は多い。でも、今や大半の高校生が持っているのが実情。それならいっそ使いこなそうと、授業などで活用するケースが出始めている

 高知市の私立高知中央高校で歯科検診があった4月上旬。生徒のスマホに、担任教諭からのメッセージが届いた。
 「うちのクラスの番なので集まってください」
 検診会場への集合指示が、特定の仲間同士でメッセージをやりとりできる無料通信アプリ「LINE(ライン)」で送られた

 同校ではスマホや携帯電話を校内に持ち込むことができ、昨年3月からは連絡手段としてラインを使っている。学級や部活単位、教員同士などで計40以上のグループをつくり、日々連絡をとりあう。今は全校生徒の98・5%がラインを使うが、その他の生徒にはメールやプリントで連絡する。
 授業でも、生徒の理解を深める教材として、検索や国語辞書、数学クイズなどのアプリを使わせる
 休み時間には私用で使うこともできる。授業終了のチャイムが鳴ると、校内のあちこちでスマホで写真を撮り、ラインでやりとりする生徒の姿も。

 スマホはインターネットを使った犯罪に巻き込まれたり、ネット依存に陥ったりする危険性も指摘されている。だが、近森正久理事長(61)は「社会に出たらスマホは必須。今のうちから安全な使い方を教えた方がいい」と話す。スマホを活用しつつ、安全に使う方法も指導しているという。

スマホを使って“ライブ感”のある双方向講義を実現 “今どきの学生”の意見を引き出すスマホ講義(2014年4月30日日経ビジネス)より抜粋

 東海大学文学部広報メディア学科の小泉眞人教授が、スマホを使った双方向型の講義を昨年11月から始めている。学生は、講義中にスマホでアンケートに答えたり、質問、意見などをリアルタイムに発信したりでき、それを講義を聴く全員が共有できる
 実際に、東海大学の講義で利用し始めたところ、15~20分程度で途切れがちだった学生の集中力が倍近くに伸びたという。さらに、さまざまな意見が飛び交ったり、講義後の質問が増えたりするなど効果も見られた
(略)
どうして、スマホを使った参加型の講義を始められたのですか。

小泉:講義する側がただ情報を一方的に出しているだけ、ただ吐き出しているだけでは、聞く学生も面白くないですし、やっている教員もつまらないとかねがね思っていたのです。音楽の「ライブ」は、「お互い楽しもうぜ」という、双方向性がありますよね。そのライブ感というのがすごく大事なんじゃないかと、以前から思っていました。
(略)
 学生の反応を見ながら、ここ受けたからもうちょっと話そうかなとか、ここつまらなそうだったら、もうちょっとこうしようかとか、試すようになったわけです。学生も、最初はぽかんとしていたりするのですが、だんだんとそういう投げ掛けに慣れてきます。
 そういったライブを実現したいというのがベースにあります。そんな時に「Mentimeter」というスマホなどを使って双方向で講義できる仕組みを見る機会があって、IT技術を活用すればもっとよくできる、と思ったわけです。そして、昨年11月から「イマキク」という仕組みを使って講義を始めました。
 講義の際に、「質問のある人は授業の後に来なさい」ってよく言いますよね。150人の講義のときに、1人か2人ぐらい授業の後に質問に来ますが、実際問題としては、友達の目があったりして、先生の近くに行けないのです。
 これまでは、それはしょうがないと思っていたのですが、ITの仕組みを使えば、その瞬間に学生の反応が見えるようになるし、学生もその場で質問やコメントを発信できる。この仕組みでは、誰がコメントしたかなどは分からないようになっているので、自由に発言できるわけです。
(略)
 究極は、彼らのモチベーションを上げて、言われたことを暗記させるのではなく、自分でいろいろなものに興味を持って、知性や教養を磨いてもらうのが目標です。そのために、90分をできるだけ楽しんでもらい、より熱意を持って、前向きに取り組んでほしいと思っています。そのためには、教える側も工夫しなければいけません。その流れで、行き着いたところが、スマホを使った「ライブ」なのです。

スマホを使った講義を実際に開始してみて、学生の反応はどうでした?

小泉:やっぱりよかったですね。あらかじめ用意しておいた設問にもパッと反応してくれますし、自由質問やコメントなども怖くなるくらいシビアなものが上がったりします
(略)
 重要なのは、無記名なこと、つまり個人を特定しないことです。学生は、誰が言っているのかをすごく気にしています。もちろん教員の中には、この仕組みで出欠を取りたいという人もいるのですが、私の場合は目的が違うので、それで出席を取ったりはしません。
(略)
 1年生の講義などでは、5月の連休までは、集中力が結構続きます。ただ、やっぱり連休が明けると、4月の緊張感から一気に解き放たれるせいもあるのでしょう、短いと15分、20分ぐらいでざわざわしたりしてきます。
 これが、スマホを使った双方向の仕組みにすると、集中力が長続きしますね。実際に調査したわけではないのですが、感覚的には倍くらい、つまり30分~40分くらいに伸びたように感じます。
 学生からのレスポンスもよくなっていると感じますね。この仕組みがなかったら火がつかなかったかもしれない学生に火がついたりとか。授業が終わってからの質問も増えました。この授業だったら自分の言いたいことが言えると思ってもらっているのかもしれません。
(略)
(実際に講義を聞いた後で)本当に学生の反応がいいですね。その場で、アンケート、質問の回答のデータがリアルタイムに出るのがいいと思いました。講義をただ聴いているだけだと、周りがどの程度理解しているのかとか、理解できない俺はダメなんじゃないかとか、自分のレベル感が分かりませんが、これならよく分かります。

小泉:そうなんです。授業に動きがでるんですね。普通の授業というのは静的といいますか、動きがあまり多くない。それが、学生の反応が即反映されますから。

本当にあれだけのコメントがどーっと来たのはかなり驚きましたね。学生が文字を書くスピードが速い! そして、匿名のせいでしょうか、思ったことをそのまま書いていますね。

小泉:普通、「意見、言ってください」と言ってもなかななか言わないですし、アメリカのビジネススクールみたいにどんどん手を挙げるような文化はないじゃないですか、日本は。
 ハーバードの白熱教室のように「私が私が」と手を挙げられるようになるのは一つの理想でしょうけれど、あれはなかなか日本のカルチャーでは難しいですね。日本人には、やっぱり奥ゆかしさや、周りを気にするような空気がありますから。
 そうなれないというのは、日本人のいいところでもあります。そういう日本の文化に合ったシステムと言えるんじゃないでしょうか。意見がないんじゃなくて、周りを気にして言えないとか、言っちゃまずいかと思って言えないとか、そういったことを気にせず発言できますから。
(略)

高知中央高校のケースなどは実は実社会で当たり前に行われている利用法の延長とも言え、日常生活で使って便利なのだから難しいことを学ぶ場で使えばもっと便利だろうと言う当たり前のことだとも言えますが、特に昨今社会問題化しているネットリテラシー教育と言う側面からもスマホ利用をむしろ積極的に推進していると言うのは非常に有意義なことだと思いますね。
従来日本の大学で行われている講師が一方的に喋るスタイルの講義では学生が実際に講義の中身を身につける比率が極めて低いと言われていて、これを解消するために学生同士のディベートを取り入れ主体的に参加させるだとか様々な方法論が模索されているところですけれども、東海大の例では誰もが持っている簡単なデバイスによって双方向性が確保されれば、それだけでも身の入り方に相当な違いがあると言うことですね。
この小泉先生の方法論のいいところはディベート等ですとそれまでのやり方やカリキュラムのこなし方からかなり改変し調節すると言った面倒な作業が必要になりますが、こちらですとほぼ従来のやり方がそのまま用いることが出来ると言うことで、もちろん双方向性によってよりシビアな批判の目にもさらされるわけですから講義内容にも様々な工夫が必要でしょうが、講師側にとっても参入のハードルが低いとは言えるわけです。

ただもちろん小泉先生も言っているように実際単に質疑応答を取り入れたと言ったレベルではすぐに反応が鈍くなってしまうのも当然で、それぞれの講師が自分なりのやり方で常に創意工夫を凝らしていかなければ意味がないのは当然ですが、こうした双方向でのやり取りに基づく講義内容の改善と言う作業自体は実は大手予備校などでははるか大昔から行われていることです。
予備校の場合などは講師側も学生によって批評の目にさらされ給料や契約継続の可否も決まってくると言うシビアな世界だそうですが、その大前提としてあるのは小泉先生も言うように「大学にとって学生というのは顧客」と言う考え方であって、学究肌の先生から見れば「そんな学生に媚びを売るような真似が出来るか!」と言うことにもなるかも知れません。
ただ高度な専門課程などにおいてはまた別でしょうけれども、大学教養部レベルくらいまでの教育においてはやはり教わったことをどれだけ身につけられるかが教育効果に直結する部分は否定出来ないわけで、創意工夫によって居眠りをしていた学生達が真面目に熱心に講義に参加するようになるのであれば教える側としてもそれで給料をもらっていると言う名目である以上、やる価値は十分にありそうだと思えます。

先日アメリカから面白い話があって、とある高校で試験に通るかどうか不安を抱いた一学生が大勢のre-tweetを獲得したら試験免除してくれないかと先生に持ちかけたところこれが通ってしまい、実際全米に呼びかけてみると目標数をクリアし試験免除になってしまった、これを見た各地の高校で学生達が先生に同じようなお願いをしてちょっとしたブームになっていると言うニュースが出ていました。
面白いのは必要な数字の設定が1000件だったり100万件だったりとてんでバラバラなことで、もちろん試験の重要性もあるのでしょうが相手を見ながら「この学生にはこの程度のハードルが妥当だろう」と見て設定していると言うのであれば、これはこれで興味深い社会学習の機会であると考えることも出来そうです。
日本と大学の位置づけがかなり異なっているせいか、アメリカの高校の場合は社会に出る前の最終教育機関として様々な社会的教育を行う役割も持っていますけれども、見ず知らずの人とどうやってコネクションを作り出していくかと言うことはアメリカ社会に生きる上で非常に重視されるスキルであって、そこらのペーパーテストなどよりもよほど必要性の高いものであると言えるでしょうね。
日本でも日本なりの事情に合わせた有意義なスマホ活用術と言うのは幾らでも工夫出来るんだろうと思いますが、小学生レベルからSNSを介しての犯罪行為にも巻き込まれかねない今のご時世ですから、とりあえずはネットリテラシー向上のための教育だけは初等教育レベルから大至急かつ徹底して繰り返しておいた方がいいんじゃないかと言う気がします。

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コメント

高知中央高校(普通) 高校偏差値39
東海大学 文/A方式 広報メディア 53 (偏差値)

微妙

投稿: | 2014年5月24日 (土) 08時37分

禁止してもどうせ使うんだからw

投稿: aaa | 2014年5月24日 (土) 10時55分

ウチの子が通ってる地元の公立中高一貫校はスマホ携帯持ち込み禁止なんですが以前帰宅時に寝過ごしてバス降り損ねた時連絡取れなくて往生しました。昔と違って公衆電話も滅多になかったりするんで授業中だけ禁止でいいと思うんですがねぇ…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年5月24日 (土) 16時12分

学校内では携帯回線は遮断して学内LANだけ認める、といった手段もどうですかな
当然接続先には厳しい縛りをつけるということで

投稿: 元僻地勤務医 | 2014年5月24日 (土) 18時17分

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