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2014年5月30日 (金)

交通事故厳罰化の波紋

本日の本題とはあまり関係ないことなのですが、先日少しばかり気になる記事が出ていたので最初に紹介しておきましょう。

ウィキペディアを信じるべからず。病気や健康に関する記載の9割が虚偽情報だと判明(2014年5月28日IRORIO)

人物や場所、イベント、事件、事故など、あらゆるコトの詳細をわかりやすく簡単に教えてくれるウィキペディアは、現代人にとってはなくてはならない強い味方。
しかし、誰でも簡単に編集できてしまうが故に、間違った情報がたくさん掲載されているのもご存じの通り。特に病気や健康に関するトピックにおいては、虚偽の内容が多いので気をつけた方がいいという。

病気関連の記載の90%が誤情報

米キャンベル大学のRobert Hasty医師率いる研究チームがおこなった調査では、ウィキペディアに掲載されている2万以上の医療に関するページの中から、糖尿病や肺がん、腰痛など一般的に費用のかかる病気・病状についての記載を検証
その結果、なんと90%もの内容が誤情報であることがわかったそう。これでは、間違った診断や治療を招きかねない。

医師らもウィキを使わないよう要注意

また過去の調査では、医療関係者の多くもウィキペディアを参考にしていることがわかっている。そのためHasty医師は、「ウィキペディアは医学誌と同じピア・レビューのプロセスを踏んでいないので、一次ソースとして使用しないように」と注意を呼びかけている。
風邪や病気の症状があったとき、薬の作用・副作用を知りたいとき、医者に行くよりも前にまずネットで検索するという人は多いだろう。ウィキペディアの情報を鵜呑みにして自ら安易に診断をくださないよう留意してほしい。

はてさて、確かに大抵の記事には読んでいて「ん?」と思うような部分が含まれているものですけれども、分量的に9割が嘘だと言っているのか、記事の9割に嘘が含まれていると言っているのかでずいぶんと意味合いが変わってくる気がしますけれども、費用のかかる問題に関してと言うのが妙にリアルですよね。
ともかくも編集合戦などと言う言葉があるくらいに見解が分かれることはままあるもので、特に歴史解釈であったり思想信条に触れるような何が正解とも言い切れない領域においてはさんざん迷走した挙げ句記事ごとごっそり削除と言うケースも少なくありませんが、自然科学の領域においてもこうした問題は発生するのだと言うことはまず念頭において置かなければなりません。
また嘘と言っていいのか微妙なところですけれども、いわゆる代替医療の類を筆頭に(ごく控えめに表現するならば)有効性が必ずしも確認されていない珍説奇説の類がさりげなく含まれていたりもするもので、話のとっかかりとして利用するには便利なのですがやはり他ソースも参照しながら複合的に見ていく必要性があるのではないかなと思いますね。

いささか余談が長くなりましたけれども、道路交通法の改正が近年段階的に進んでいて基本的に厳罰化する方向で話が進んできている、その理由の一つとして飲酒運転に伴う悲惨な交通事故のケースが相次いで報じられるようになり、自らの意志で飲酒し違法行為であることを知りながら運転をしているのに一般の犯罪行為に比べて罪が軽すぎるのではないか?と言う素朴な国民感情があるようです。
この辺りは若い世代を中心に飲酒離れが進んでいると言う報道もあったり、職場の飲み会なども忌避すべき古い慣習だと評判が悪いと言った世相も反映しているのでしょう、全般的に飲酒そのものに対して以前よりも世間の目線が厳しくなってきているようにも感じますけれども、これに対して飲酒者の側でも様々な対策?を講じているのは当然と言えば当然ですよね。
その中でかねておかしいのでは?と言われてきたのが飲酒運転中の事故に対する罰則の問題で、飲酒運転中に事故を起こし相手を死傷させれば危険運転致死傷罪が適用され35点の減点と100万円以下の罰金に加え最高刑は懲役20年にもなるのに対して、逃げて酔いが醒めてからひき逃げとして出頭すれば同じく35点の減点ながら救護義務違反だけで10年以下の懲役又は100万円以下の罰金で済むわけです。
となると誰しも飲酒運転中に事故を起こせば逃げた方がお得だと考えるのは当然なのですが、さすがにこれはどうかと言う批判の声が高まった結果今ではこうした対応が取られるようになったと言います。

飲酒運転隠す「発覚免脱」容疑を北海道内で初適用 事故で逃走の男送検 釧路署(2014年5月27日北海道新聞)

 【釧路】釧路市の市道で24日夜、軽乗用車にワゴン車が追突して逃走し、運転していた同市の会社員の男(42)が自動車運転処罰法違反(過失致傷)などの疑いで逮捕された事件で、釧路署は26日、容疑を同法違反(発覚免脱)と、道交法違反(ひき逃げ)に切り替えて送検した。

 「発覚免脱」は酒などの影響で事故を起こしたことを隠すために逃走した際に適用され、最高刑は懲役12年。20日施行の自動車運転処罰法で新設された。道警によると、道内での適用は初めて。

 送検容疑は24日午後10時15分ごろ、釧路市新富士町4の市道でワゴン車を運転中、前方の軽乗用車に追突。同市の介護職員の男性(52)に軽傷を負わせた上、飲酒運転の発覚を恐れ、被害者を救助せずに逃げた疑い。男は約1時間後に出頭。呼気からアルコールが検出され「酒を飲んだのが発覚するのが怖かった」と供述しているという。

飲酒事故「発覚免脱罪」で全国初の逮捕…福岡(2014年5月28日読売新聞)

 福岡県警飯塚署は27日、無免許で飲酒運転をして事故を起こしたあと、飲酒運転を隠す目的で逃走したとして、同県直方市下境、土木作業員山本貞彦容疑者(40)を自動車運転死傷行為処罰法違反(発覚免脱)などの疑いで逮捕した。

 県警によると、今月20日に施行された同処罰法の「発覚免脱罪」での逮捕は全国で初めて。

 発表によると、山本容疑者は20日午前0時40分頃、同県飯塚市川島の国道200号で、酒を飲んで軽乗用車を運転。逆走して福岡市の看護師女性(24)の軽乗用車と衝突し、首や腰に軽傷を負わせ、車を放置して逃走するなどした疑い。容疑を認めているという。

 山本容疑者は、同僚の自宅や飲食店で酒を飲み、この同僚の車を運転して帰宅する途中だったという。今年1月、飲酒運転で運転免許の取り消し処分を受けていた

 発覚免脱罪は、事故時の飲酒量をごまかす行為などを罰するために同処罰法で新たに設けられた。

一体どっちが初なんだと言う突っ込みはさておき「発覚免脱罪」とは聞き慣れない罪名なのですが、記事にもあるようについ先日から新設されたこの「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」はまさしく飲酒運転時の逃げ得を解消する目的で新設された法律だと言え、早速その罪が問われたくらいですから相当に対象者は多いと言うことなのでしょうね。
内容としては「自動車の運転により死傷事故を起こした際に、事故現場から逃走したり、酒や薬物をさらに摂取するなどして、飲酒や薬物摂取の事実を隠そうとする犯罪」で、最高12年以下の懲役と言えばやはり危険運転致死傷罪と比べて手ぬるいじゃないかと言われそうですけれども、ひき逃げの場合はそちらも別に加算され最高で18年の懲役になるのだと言います。
「酒や薬物をさらに摂取するなどして、飲酒や薬物摂取の事実を隠そうとする」と言う文言からも判る通り、以前から指摘されているように検問に引っかかったりだとか事故を起こした場合にわざわざその場で酒を飲んで見せ「飲酒運転をやったわけではなく今ここで飲んだだけです」と言い張るケースも想定してであると言えそうですが、今後こうした方々がどう言った対策を講じてくるかも注目ですよね。

幾つかのルール変更が行われた今回の改正に関しては他にも注目すべき点があり専門家の解説を参照いただきたいですが、例えば以前の亀岡における交通事故の際にも話題になったように無免許で日常的に運転を繰り返し運転技量が人並みにあると考えられた場合には危険運転致死傷罪の対象とならないと言う批判に対して、新たに「無免許運転による過重」として刑罰が重くなったと言います。
例えば無免許の状態で危険運転致死傷罪相当の罪を犯しても従来は自動車運転過失致死傷罪と道路交通法違反という軽い刑罰しかなかったものが、そもそも無免許運転自体が非常に危険な行為であるとして通常15年までの懲役が最大20年の懲役となるなど、全般的に無免許の場合は刑罰が重く加算されるようになったと言います。
実は今回厳罰化されたものの中には飲酒のみならず病気などの影響で事故を起こした場合も含まれていて、まさしくひと頃話題になったてんかん患者の事故などを想定したものだと一部方面から反対意見も出ているのですが、本来コントロール可能である原因の管理を怠ったことによって事故を起こした場合厳罰と言う総論から疾患だけを除外すると言うのは、疾患についてはコントロール不能であると自ら認めたにも等しい形ですよね。
この辺りは患者団体などがどのような損得勘定を描いているのか何とも言いかねるところですけれども、基本的に有病者であってもきちんと医学的な管理を行っていれば一般人以上のリスクはないと言う方向で話を進めた方が長期的な利益に叶うはずですし、目先のことに釣られて何でも反対と叫んでいてはどこぞの業界団体同様にいずれ社会的信用を失うことにもなりかねないと言う気はしますけれどもね。

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コメント

持病で免許取り消し急増…来月の改正法施行前に
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140528-OYT1T50075.html

現行法でもじゅうぶん対応できるってこと?

投稿: | 2014年5月30日 (金) 08時38分

厳罰化自体の是非はともかくとしてバランスはよくなったですかね。
ただ最大何年の上限よりも実際の判決がどのくらいになるものなのか。
車で人を死なせるってことにはどうも他人事とは思えませんので。

投稿: ぽん太 | 2014年5月30日 (金) 09時55分

一般論としてはルール上の裁量の幅は広めに設定しておいて現場判断で処分を行う形の方が広範な場合に適切な対応が可能かと思いますが、この場合司法判断がどこまで妥当だと受け止められるかが問われそうです。

投稿: 管理人nobu | 2014年5月30日 (金) 11時19分

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