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2014年5月27日 (火)

求められる患者としての自覚 糖尿病の場合

まあそんなところなんだろうなと予想は出来ることなのですが、またぞろ何かあれば一気に社会問題化してくるのではないか?とも懸念されるのがこちらの問題です。

カラーコンタクト使用者の約4割が眼科を未受診、国民生活センター調査(2014年5月24日IRORIO)

国民生活センターが市販されているカラーコンタクトレンズの調査結果を発表した。

2009年以降に相談件数が急増

国民生活センターが「カラーコンタクトレンズの安全性-カラコンの使用で目に障害も-」を発表した。
近年、カラーコンタクトレンズを使用して違和感が生じたなどの相談が増える傾向にあり、2009年以降、毎年100件前後の相談が全国消費生活情報ネットワークに寄せられている。
相談の内容を分析すると、契約当事者の性別は女性が92.0%と圧倒的で、年代は10代が50.8%、20代が29.4%とこの2世代が多い。また購入形態は通信販売が81.4%だ。

低品質なカラコンも

同センターでは17種類の製品を通信販売で購入、個人輸入品3種類と合わせて様々な検査を行った。
これによると、承認基準を超える直径の大きさやベースカーブ(飽和状態となるまで膨潤させたレンズの後面の光学部の中央の曲率半径)の製品が複数存在した。
また通販購入の17種類中11種類でレンズ表面に着色されていた製品があった。製品の広告には「色素が直接目に触れない」のようにアピールしているものが多い中で、レンズ表面に着色があるのは視覚障害を引き起こす原因にもなるだけに危険だ。
さらに滑らかに加工されているはずの縁が尖ったままの製品もあり、ガラスの破片を目に入れているも同然の危険性だ。

使用者の4人に1人が眼科受診なし

カラーコンタクトレンズの使用者を対象に行ったアンケートの集計結果も記載されている。
入手先では通信販売が39.2%、専門店が30.8%、ディスカウントショップ・雑貨店が7.7%などとなっている。先に書いた相談者の購入先の8割超が通信販売であることを考えても、通信販売での購入に危険性が高いと考えられそうだ。
カラーコンタクトレンズの使用に際し一度も眼科を受診したことのない人が25.5%、過去に受診経験があってもカラーコンタクトレンズを購入する際に眼科を受診しなかった人が18.0%、最初にカラーコンタクトレンズを使用する際に眼科を受診したもののレンズの種類を変える際に受診していない人が15.2%だった。
また3か月以内の目の定期検診を受けている人は17.0%しかおらず、全く受けていない人は30.6%、ほとんど受けていない人も14.7%だった。さらに1年以内に目に違和感を覚えた人が23.7%で、その内49.4%が眼科を受診しなかったと答えている。
(略)

ちなみにコンタクトレンズ購入に当たっては法律上医師の処方箋は必須ではなく、特に昨今ではネット通販で気軽に入手できるようになっていることは記事からも明らかな通りですけれども、特にカラーコンタクトレンズの場合は様々な商品を使い分けると言う局面も多そうなだけに、勝手知ったる商品を長年使うと言うことが多いだろう通常のコンタクトレンズよりも問題商品に当たる確率はずっと高くなりそうです。
もちろんきちんとした商品であっても正しく使用しなければ大きな問題となることは、かつて社会問題化したソフトコンタクトレンズの消毒不十分から来るアカンとアメーバによる失明問題などを見ても明らかですが、普段使いでなく特定の日だけにカラコンを使うタイプの方も当然正しい使用法に習熟すると共に、記事にもあるようにレンズ表面に着色したタイプのものは避けた方がよさそうですよね。
いずれにしてもきちんとした眼科的フォローアップが望ましいことは言うまでもないのですが、想像するに多くの方々が何らかのトラブルを自覚するまではなかなか眼科受診とはいかないだろうとも思われ、その結果気がつけばもはや手遅れと言う方が毎年必ず出てくるのは何とも残念なことですけれども、こうした正しいフォローアップの欠如による弊害と言うものは別にコンタクトに限ったことではないわけです。
例えば今の時代例のメタボ健診によって毎年非常に多くの方々が病気であると診断されつつありますが、その後もきちんと定期的フォローアップを受け必要な検査や治療を受けていると言う方ばかりではなく、気がつけば病院にも来なくなりまた翌年の健診で同じことを繰り返すと言うケースは少なくないわけで、その結果不利益を被るのは結局本人であると言う事ですよね。

糖尿病患者、年間8%が受診中断 失明・突然死の恐れも(2014年5月25日朝日新聞)

糖尿病患者で受診を中断してしまう人は年間8%で、約22万人にのぼるとの推計を厚生労働省研究班がまとめた。治療を勝手にやめると、自覚しないうちに病気が進んで失明や足の切断、突然死につながりかねない。研究班はかかりつけ医に向け、中断を防ぐ手引書をつくった。

 大阪市で開かれた日本糖尿病学会で24日発表した。全国11地域の医師会の協力を得て2009~10年、生活習慣が原因とされる2型糖尿病患者約2200人(40~64歳)を調査。予定された受診日から2カ月の間に来院しなかった人を受診の中断として集計すると8・2%が該当した。厚労省の患者調査(11年)の受診者数にあてはめると約22万人になった。

 中断の理由は「仕事で忙しい」や「体調がよい」、「経済的に負担」が多かった。手引書は、多忙な患者への受診時間の配慮や知識の啓発、価格の安い後発医薬品の使用の検討などを勧めた。電話や郵便物、メールなどで受診を促すのも「有効な手段」とした。

糖尿病治療、患者の1割が1年で通院中断(2014年05月25日読売新聞)

 糖尿病で治療中の患者のうち、1年間で約1割が医療機関への通院を中断しているという調査を厚生労働省研究班がまとめ、24日、大阪市で開かれた日本糖尿病学会で発表した。

 糖尿病では患者が自己判断で治療を中断することが問題になっているが、研究班では全国規模の実態が明らかになったのは初めてではないかとしている。

 研究班は2009年10月~10年9月末、東京都板橋区や大阪市など全国11地域にある診療所で治療を受けている2200人に同意を得た上で調査を実施。954人には、積極的に受診を呼びかけたり食事と運動の指導を行ったりしたが、残りの1246人には特別な対応はせず、通常通りの診療を行った。

 その結果、通常通りの診療を受けた患者の8%が2か月以上、医療機関への受診を中断した。受診の呼びかけや指導をした患者の中断者は3%にとどまった。

糖尿病治療の中断防げ 医師の取り組みは(2014年5月24日NHK)

糖尿病の患者が治療を中断し、重症化するケースが多いことから、厚生労働省の研究班は、夜間や週末に診察したり、価格の安い後発医薬品の処方を検討したりするなどとした医師向けの対策マニュアルをまとめました。

厚生労働省の推計によりますと、糖尿病の患者は950万人で、その可能性がある予備群の人も合わせると2000万人を超えています。
症状が重くなると失明したり、腎不全になったりするなど深刻な症状を引き起こしますが、国の調査では治療を中断している患者が55万人に上ると推計されています。このため厚生労働省の研究班は治療の中断を防ごうと、医師向けのマニュアルをまとめました。
この中では、治療中断の理由として、痛みがないため治療の必要を感じないほか、治療しようとしても仕事などが忙しく通院が難しいケースや、治療費の負担が重いと感じるケースが多いと分析しています。
そのうえで、対策として夜間や休日に診察するなど受診時間の融通を図るほか、後発医薬品など価格の安い薬を積極的に処方するよう求めています。
また、予約した日に受診しなかった患者に対しては、電話や手紙などで連絡するよう呼びかけています。
マニュアルをまとめた国立国際医療研究センターの野田光彦部長は「医療機関はこれまで患者の受診行動に受け身な姿勢だったが、患者が治療を中断することを念頭に置いて、対応を取ることが重要だ」と話しています。

負担が大きく治療中断し症状悪化

京都市左京区に住む高島良明(42)さんは、20歳のときに糖尿病と診断されましたが、治療を中断した結果、症状が悪化し人工透析を受けています
高島さんは、診断直後、薬による治療を続けていましたが、運送の仕事が忙しく通院時間を確保できなかったといいます。
また、1か月に2万円近い治療費も負担だったため、医師から求められた月1回の受診を徐々にしなくなりました。
その結果、30代になって目と腎臓の機能が徐々に悪化し、去年3月から人工透析が必要となりました。
週に3回、1日4時間の透析治療を受けているため、仕事は辞めざるをえなくなり、現在は生活保護を受給しながら暮らしています。高島さんは「まずいなと思いながら痛みもなく日々の生活に困らないので、ついつい治療を後回しにしていました。仕事や経済面もきつかったが、それでも今から思えば1か月に1度のことなので治療に行っておけばよかったと思っています」と話しています。
(略)

ちなみに以前の調査で糖尿病患者のうちで治療や通院を止めたいと思っている患者が44%に登ると言うデータが出ていましたが、その理由として医療費負担や多忙等による通院困難が多いと言うのは当然に理解出来るとして、実に4割もの患者が「血糖コントロールがうまくいかない」と言う理由を挙げていると言うのは注目すべきことではないかと思いますね。
2011年の糖尿病学会でもやはりこうした患者調査の結果が発表されていますが、治療中断例には進行している糖尿病症例が多い(受診時の平均HbA1c 12.7%、インスリン治療94%)と言うことがここでも指摘されていて、元より自覚症状が乏しい疾患であるだけに数字的にも目に見える効果が出て来ないことには治療継続の意欲につながっていかないのかなと推測されるところです。
ただ糖尿病患者ばかりが特別に治療意欲が乏しいと言うわけではなくて、高血圧や高脂血症等々様々な疾患がメタボ健診などを契機に発見され一時的には医療機関を受診するものの、その後はまた放置されると言うことを繰り返している方々が相当に多いわけですから、病気を見つけることばかりに血眼になるのではなくどうやってそれを継続管理するかと言うことも制度的に考えていくべきだと思いますね。

とは言え記事にもあるとおり、糖尿病患者に病識の乏しい(あるいはさらに進んで、独自の疾患理解をされている)方々が多いと言う印象は多くの臨床医が共通して抱くところだと思いますし、その独特のキャラクターを称して糖尿病気質などと言うくらいで、正直診療に当たっていて心が折れそうな思いをしている担当医の先生方も決して少なくないんじゃないかとも思います。
先日出ていた記事ですけれども、糖尿病患者の性格によって治療中断率がずいぶんと違うらしいと言う話があって、「様々な知識を吸収したい、複雑な物事を究明したいといった欲求を持ち、客観的で、分析力や判断力に富む」アナライザー(分析)タイプが最多で29%にも及ぶと言いますが、こうした学究的タイプは自分の考えと合った場合はいいのでしょうが、少しでも担当医と意見が分かれると容易に治療離脱する印象があります。
逆に治療中断率が低い(10%)のは「人の役に立ちたい、葛藤を避けたいという欲求を持ち、温和で、協調性に富む」サポーター(支援)タイプだそうで、要するに辛抱強く相手に合わせられるタイプであると言うことでしょうけれども、残念ながらと言うべきかこうしたタイプに分類される糖尿病患者は全体の1/4程度だったと言いますから、まあ診療に当たって一般に少なからず困難を覚えるのもやむなしではあるのでしょうね。
こうした独特の患者気質を前にして、例えば十分な情報による正しい教育を行えばアナライザータイプの治療離脱を防げるのではないか等々様々な対応策ももちろん考えられるのですが、何しろ肝心の本人がこうした気質であるだけによほど長年にわたる付き合いでもなければ今の時代、心情的にもJBM対策的にも「紹介状と共に専門医に華麗にスルーパス」あるいは「十分な説明と同意の後、患者本人の意向を尊重」することになりがちな気がしないでもありません。

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コメント

>「紹介状と共に専門医に華麗にスルーパス」あるいは「十分な説明と同意の後、患者本人の意向を尊重」することになりがち

それを言っちゃあおしめえよw

投稿: aaa | 2014年5月27日 (火) 08時40分

カラコンについては、昨日のNEWS webでやっていましたね。
つぶやきでも「どうして目に異物を平気で入れられるの?」とか「どうしてカラコンするのか不明」など
いろいろ出ていましたが、それに対して女性陣はなにもいわなかったよね。
よくはないといわれているものを、ファッション?のためバンバン使って異常が出ても
ただのバカで終わると思いますが。
少なくとも、問題があったものについては国の認可は取り消して、基本販売は医師の検診と
セットにすればいいのでは?

糖尿病についても、費用負担が厳しいは理解できますが、
仕事が忙しいはただの言い訳でしかないですから。

投稿: hisa | 2014年5月27日 (火) 09時02分

>対策として夜間や休日に診察するなど受診時間の融通を図るほか、後発医薬品など価格の安い薬を積極的に処方するよう求めています。

自分の命なんだから、なんで医療機関が営業時間外に動かなければならないんだろうか?多忙だから窓口にいけないので、休日に銀行の窓口を開けろ、なんて話はないわけだが。

>また、予約した日に受診しなかった患者に対しては、電話や手紙などで連絡するよう呼びかけています。

患者の判断を優先して、専門家である医師の判断はマスコミもJBMでもないがしろにするのに、患者の判断で来ないのになぜ医療機関側に対策を求めるのか。

ダブルスタンダードの過保護もいい加減にしろ、と思うばかりです。

投稿: おちゃ | 2014年5月27日 (火) 09時13分

>夜間や週末に診察
何故そうなる?研究班の先生方は当然既に実行しているのですよね?

あ〜ちなみに、個々の一般的な経営判断で診療時間をシフトするのはアリだと思いますよ。

投稿: JSJ | 2014年5月27日 (火) 09時17分

皆さんおっしゃるとおり率直に言って対策としてはあまりに斜め上すぎます。
ただでさえ自分に甘すぎる人たちをますます甘やかしてどうするんだと…

投稿: ぽん太 | 2014年5月27日 (火) 09時51分

>アカンとアメーバ

なんかフイタw

>それを言っちゃあおしめえよw

現にお㍗りますがなw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2014年5月27日 (火) 09時53分

まあ何と言いますか、患者も同情の余地があるとか可愛げがあるとか言った場合の方がより積極的な医療による助力を期待出来ると言う点は、やはり人間の行うことですから仕方がないのかなと言う気がします。
ただ健康で長生きと言う価値観一点張りで政策として行っていくのが妥当なのかどうか、財政上の要請としてやむなきこととして自らの意志でそれに外れる者をどうするべきかと言う議論は必要でしょうね。
その点でちょうど麻生さんがまたこんなことを言っているようで、これまた議論のネタとして小さくない話題だと言う気がします。

 5月26日(ブルームバーグ):麻生太郎財務相は26日午後の参院決算委員会で「俺が納めている税金で、ぐうたらな生活の人の医療を全部賄っているのは公平ではないのではないか、という気が正直しないわけではない」と述べた。

民主党の西村まさみ氏が、診療報酬改定に関連し社会保障政策の評価を質問したのに対し、自身が「長期に入院したことは1回もない」と述べた上で語った。今年73歳になる麻生氏は同時に「身体がもともと弱い方などそれぞれなんで、こういったことは千差万別だ」との考えも示した。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N660AH6S972F01.html

投稿: 管理人nobu | 2014年5月27日 (火) 11時43分

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